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『聖なる犯罪者』

『聖なる犯罪者』(原題:Boze Cialo)
監督:ヤン・コマサ
出演:バルトシュ・ビィエレニア,エリーザ・リチェムブル,アレクサンドラ・コニェチュナ,
   トマシュ・ジェンテク,レシェク・リホタ,ルカース・シムラット他
 
京都シネマにて3本ハシゴの2本目。
 
実際にポーランドで起きた事件が基になっているそうです。
第92回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたポーランド/フランス作品。
 
少年院を仮釈放となった20歳の青年ダニエル。
院内で出会った神父を慕い、熱心なキリスト教徒となった彼は、
神学校に入学を希望するが、前科者は聖職者になれない。
 
仮釈放されて向かったのは、少年院を出た者を多く受け入れている製材所。
きっと一生ここから出られないにちがいない。
鬱々とした思いを抱えながら町の教会に立ち寄ると、
そこにいた若い女性マルタから「どうせ製材所の人でしょ」と嘲笑われる。
 
ムキになったダニエルは、咄嗟に「僕は司祭だ」と嘘をつく。
少年院から持ち出した司祭服を見せると、マルタは狼狽。
すぐに本物の司祭に紹介され、新任の司祭だと勘違いされてしまう。
 
逃げそこねて、司祭のふりをせざるを得なくなったダニエル。
開き直ってミサに出ると、意外なことにその説教が村人の心を掴み……。
 
村では1年前に7名が死亡するという交通事故が起きていました。
事故現場に手向けられた花の中に、犠牲者6人の写真が飾られています。
なぜ1人だけ写真がないのかと疑問に思うダニエル。
それを調べると同時に、事故によって傷つけられた村人の心を癒やそうとします。
 
酒もタバコも女も好き。
こんな田舎の村におとなしくおさまっていられるはずもなさそうだったのに、
最初は真似事だった司祭の役柄が天職に見えてくるから不思議。
 
事故の真相は如何に。
加害者呼ばわりされて村八分に遭っていた運転手の妻に会う辺りから
サスペンスの要素も含まれていて見応えがあります。
 
前科者には更生の機会が与えられているように見えてそうではない。
根っからの悪人もいるとは思うのですが、こんな若者はどうすればいいのか。

—–

『凱歌』

『凱歌』
監督:坂口香津美
 
京都シネマで3本ハシゴの2本目。
 
ハンセン病はらい菌によって引き起こされる感染症。
かつて患者は全国に点在するハンセン病患者の収容施設に強制的に入所させられました。
そのうち、東京都東村山市にある国立療養所多磨全生園に入所していた元患者の人々を
9年間にわたって撮影したドキュメンタリーです。
 
ハンセン病患者が結婚するときは、子どもを産めなくする手術も強制されました。
男性側の断種か女性側の不妊手術を強いられる。
 
本作に登場する山内さん夫婦は、ふたりともハンセン病患者でした。
自分が手術を受けるよという妻に、
女性にそんな手術を受けさせるなんて男が廃ると断種手術を受けた夫。
病弱だった夫は結婚時に余命4年と言われていたそうで、
22歳だった妻は「4年で亡くなるなら、この人が亡くなった後でまた恋ができる」と思ったと笑います。
でも結局、夫はその後60年近く生き、いつまでも仲睦まじい夫婦でした。
 
ハンセン病でなかったらよかったのに、
指があればよかったのにと思ったことはないかと若者から問われ、
「残念ながらそう思ったことはないのよ。
私を見た誰かが、この人よりいい、五体満足でよかった、そう思ってくれたらそれでいいから」。
こんなこと普通思えますか。すごい。
隔離されて、閉じ込められて、子どもを持つことは許されず、
この世に存在しなかったかのように生きることを強いられて来た人たち。 
この事実は多くの人が知らなきゃいけないと思います。

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『ジャスト6.5 闘いの証』

『ジャスト6.5 闘いの証』(原題:Metri Shesh Va Nim)
監督:サイード・ルスタイ
出演:ペイマン・モアディ,ナヴィド・モハマドザデー,ファラッド・アスラニ,パリナズ・イザディアール他
 
休みを取った日、京都シネマで3本ハシゴの1本目。
 
警察と麻薬組織との攻防が描かれたイラン作品。
本国イランで大ヒットを飛ばしたそうです。
ポスターを見るかぎりでは、目の据わった兄ちゃんと汚職警官との対決なのかと思っていました。
実はこの兄ちゃんこそが麻薬組織のボスで、どうしようもないクズだった(笑)。
 
薬物撲滅警察特別チームを統率するサマドは、相棒のハミドと共に次期署長候補。
下っ端の売人ばかりを捕まえていても埒があかず、早く組織のボスを挙げたい。
少々強引な手法を使って次々と関係者を連行すると、最終ターゲットの首領ナセルに迫る。
 
ナセルの自宅に乗り込んだところ、ナセルは大量の睡眠薬を服用して風呂場で意識を失っていた。
病院へ搬送し、回復を待って拘留するのだが……。
 
いろいろとビックリ。
こんな話、当然賄賂を受け取る警官が出てくると思っていたら、
サマドはナセルの取引にいっさい応じようとしません。
こういう正義感あふれる警官の姿が大ヒットに結びついたのかなぁ。
 
ヤク中の人たちが住んでいる場所にまずびっくり。
今まで観たことのあるスラム街とは全然違う。
建物と呼べるものはどこにもなく、大きな土管が彼らの家。
そこでひたすらクスリを吸ったり打ったり。
死んでいる人がいても誰も気にしない。
 
さらに驚いたのは、留置場のありさま。
立錐の余地もないほどの数の犯罪者が同じ部屋へ押し込まれます。
そしてそこにいる者たぶん全員、麻薬を売ったり買ったりした人。
親が捕まると、ほかに身寄りのいない子どももそこへ一緒に放り込まれる。
親は罪から逃れたくて、子どもがクスリを買ったことにしようとする。
サイテーです。そんな親でも子どもは慕う。
 
こんなにも多くの人々をヤク中にした責任を麻薬組織は取るべき。
そう考えるサマドは、ナセルの罪を追及します。
ナセルのクズっぷりに腹が立ちますが、家族思いであることは確か。
ほんの少しだけ同情するシーンもある。
 
最後にまた驚いたのは、死刑の処し方。
これはもうなんというのか、死刑ではなくて処刑です。
10人ぐらいが一度に横並びに絞首台に上げられて、あっというまに吊るされる。
顔に覆いをかけられることもなければ、懺悔する時間もない。
整列、はい、吊るすよ、終了、みたいな感じで。
 
初めて観るタイプのイラン映画でした。驚愕。
タイトルの意味は全然わからないんですけど。調べてみよっと。

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『さんかく窓の外側は夜』

『さんかく窓の外側は夜』
監督:森ガキ侑大
出演:岡田将生,志尊淳,平手友梨奈,マキタスポーツ,新納慎也,
   桜井ユキ,和久井映見,筒井道隆,滝藤賢一他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴした日曜日、
定刻16時の晩ごはんを食べてから、今度は109シネマズ箕面へ。
劇場も時短営業中で20時前に全作品の上映が終了するから、
本作も17時半からの回が最後。
客は私ともう1人のみ。両者エグゼクティブシートに着席(笑)。
 
原作はヤマシタトモコの同名コミック。
ミステリースリラーというんですかね、このジャンル。
ホラーっぽいけどこれは私も大丈夫そうだと踏みました。
 
幼い頃から幽霊が見える特異体質の持ち主、三角康介(志尊淳)。
そのせいでいじめに遭い、つらい思いをしてきたし、
見たくもない幽霊が目の前に現れるたびに怖くて逃げ出したくなる。
 
ある日、またしても幽霊に遭遇して固まっていたところ、
除霊師だという冷川理人(岡田将生)から声をかけられ、助手にスカウトされる。
 
冷川は心霊探偵として警察にも協力しているほどの凄腕。
「僕といれば、怖くなくなりますよ」と言われ、
疑いつつもとりあえず仕事を手伝うことにした三角は、
半澤刑事(滝藤賢一)の依頼を受け、ある未解決殺人事件の捜査に協力するのだが……。
 
個人的にウケたのは、筒井道隆の役どころ。
怪しい新興宗教の教祖役で、かつての青春ドラマの主役イメージは皆無。(^^;
最初怪しく途中から三角と冷川の同志となる女子高生役に平手友梨奈
彼女に呪われて速攻で命を落とす通行人として北川景子がカメオ出演。
 
刑事の名前が半澤で、その役を滝藤賢一が演じているところなんかも面白く、
しかもこの半澤刑事の「信じない」のがめちゃくちゃ良くて。
 
「信じている」という言葉って、いいのかどうかわからなくなりました。
それがプレッシャーとなっていることって、多いのかもしれません。
 
エンドロールの中にあった「亡霊メイク」という文字にも笑った。
そうそう、半澤刑事が冷川を称して「無駄に顔のいい奴」というのも可笑しかったなぁ。
ほんとですね。岡田くんって無駄に顔がいい(笑)。

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『ヤクザと家族 The Family』

『ヤクザと家族 The Family』
監督:藤井道人
出演:綾野剛,舘ひろし,尾野真千子,北村有起哉,市原隼人,磯村勇斗,菅田俊,
   康すおん,二ノ宮隆太郎,駿河太郎,岩松了,豊原功補,寺島しのぶ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴの2本目。
 
出演オファーされた女優がことごとく「遠慮」して話題となった『新聞記者』(2019)。
その藤井道人監督が今度は綾野剛を主演に迎えてヤクザの世界を描きます。
 
時は1999年。
ヤクザでシャブ中の父親を亡くした青年・山本賢治(綾野剛)は、
彼を慕う細野竜太(市原隼人)、大原幸平(二ノ宮隆太郎)とつるみ、
投げやりな毎日を送っている。
 
ある日、昔なじみの女将・木村愛子(寺島しのぶ)が切り盛りする食堂で、
柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)と偶然居合わせる。
そこへ飛び込んできたチンピラが柴咲を殺そうと突進。
間一髪のところで山本がチンピラを叩きのめし、柴咲は命を救われる。
 
「別にあんたを助けようとしたわけじゃない。
うるせぇんだよ、おめえら」と言い残して立ち去る山本だったが、
義理人情に厚い昔気質の柴咲は、後日山本を探し出して呼び寄せ、
身寄りのない山本と父子の契りを結ぶ。
 
こうしてヤクザの世界に足を踏み入れた山本は、
生まれて初めて自分の居場所を見つけ、柴咲組の「家族」として生きてゆく。
 
その道に詳しくないので(笑)、何年と言われてもわかりませんが、
1999年から2019年までの間にヤクザを取り巻く世界は大きく変わったようです。
 
敵対する組の若頭を殺した罪を被り、14年間服役した山本。
出てきてみれば、ヤクザはケータイを買うことも許されない。
驚いたのは、車が全然ちがうこと。
シャバに出てきたらお迎えの車はプリウスだったって、
笑っちゃいけないのかもしれないけれど、ヤクザにプリウス、ちゃうやろ。
 
義理と人情を重んじる、シャブには絶対に手を出さない。
そう決めていたヤクザだって、金がなけりゃどうしようもない。
そんな窮状を見せる柴咲組若頭役の北村有起哉が○。
 
家庭を持って、ヤクザではない家族のために稼ごうとしても、
なんでもかんでもすぐにネットに晒されてしまうこの時代では、
簡単に自分の過去が暴かれて、家族まで世間の非難の対象に。
 
ヤクザの肩を持つわけではありません。
でも、生きづらいのはヤクザも同じなのかなぁと思ったりも。
 
ラスト、山本の娘(小宮山莉渚)と食堂の女将の息子(磯村勇斗)のシーンに泣きました。

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