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『サマーショール 遺言 第六章』

『サマーショール 遺言 第六章』
監督:豊田直巳,野田雅也
 
次年度に繰り越せない有休消化月間。
近場のシネコンは“エヴァンゲリオン”一色で、しかも155分の長尺だから、
それを観ると下手すると2本しか観られない。せっかく丸一日休みなのに。
少なくとも3本は観たいから、会員証を更新しがてら第七藝術劇場へ。
十三は駐車料金が安くていいですねぇ。日中の最大料金は500円也。
 
2人のフォトジャーナリストがフィルムに収める福島・飯舘村の様子。
前章は『遺言 原発さえなければ』(2014)は225分の大作。
その続編として撮られたのが本作なのだそうです。
 
2011(平成23)年3月11日に起きた東日本大震災
超巨大地震に襲われて福島では原子力発電所事故が発生しました。
あれから10年が経ち、飯舘村はどうなっているのか。
 
放射能に汚染されため、村人全員が避難することになった飯舘村。
6年後、避難指示が解除されることにはなったものの、
除染作業は継続中、本当に戻って大丈夫なのかどうかはわかりません。
 
若い人は出て行ったまま戻ってこないだろうから、
村に戻るかどうかの決断を迫られるのはそこそこの年齢の以上の人ばかり。
「放射能が効く前に俺はどうせ死ぬからいいんだぁ」と言う男性。
町場で暮らすには家賃や駐車場代がかかるから、
最低でも月20万の収入がなければ無理、帰ってくるよと言う男性。
みんな明るく笑ってそう言うけれど、寂しさが伝わってきます。
 
朝ごはんにちょっと野菜が足りんねというときは、
家のすぐ外から野生のクレソンやウルイを採ってきて食卓に並べた。
今もそれらは同じ場所で育っているのに食べられない。
 
セシウムに侵されているなんて信じたくない。なかったことにしたい。
でもこの先もここで暮らすならば真実から目を背けるわけにはいかず、
作物のセシウム含有量を定期的に調べている人もいます。
 
チェルノブイリを旅して現実をつきつけられた元酪農家の男性。
原発事故から30年経ったその地は廃墟と化した家ばかり。
夢を打ち砕かれた思いを抱きながらも、現実を見られてよかったと言います。
 
どうなろうが生まれ育った故郷。
そこから離れられずに田畑を耕し続ける人がいる。
 
タイトルの「サマーショール」とは、
チェルノブイリの原発事故で立ち入りを禁止された区域に
自らの意志で暮らす人々のこと。
飯舘村へは帰ってもよいことにはなっている。
帰郷したい思いはある、でも帰郷すべきかどうか、
本当に帰郷しても大丈夫なのか、人々は考えています。

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『シークレット・ジョブ』

『シークレット・ジョブ』(英題:Secret Job)
監督:ソン・ジェゴン
出演:アン・ジェホン,カン・ソラ,パク・ヨンギュ,キム・ソンオ,チョン・ヨビン,
   パク・ヒョックォン,ソ・ヒョヌ,チャン・スンジョ他
 
月20本以上は劇場で観ていますから、そんなに少なくはないと思うのですけれど、
それでも去年は40本観た月もあることから考えれば激減。
去年1日も休まずにブログを更新した意地で今年もそうしたいとなると、
劇場で観た作品を挙げるだけでは追いつきません。
致し方なく、DVDで観た作品についても書くことにします。
一応まだTSUTAYA DISCASの契約継続中。
 
昨夏に公開され、秋にはDVDレンタル開始となった韓国作品。
大好きだった『エクストリーム・ジョブ』(2019)の制作チームの最新作という触れ込み。
 
見習い弁護士テスが勤める大手法律事務所は、よからぬ噂でメディアを賑わし中。
事務所ビル前に詰めかけた抗議デモやその様子を撮影するマスコミから
身を挺して幹部を守ろうとしたところを買われたか、
後日、テスは役員室に呼び出され、ある大きな仕事を任せたいと言われる。
 
それは、廃業寸前の動物園“ドンサンパーク”の経営再建。
新園長に指名され、もしこの仕事を上手くこなしたあかつきには、
事務所の経営パートナーにしてやると約束される。
 
意気揚々とドンサンパークに乗り込んだテスだったが、
集客を見込める動物はすでに売り払われた後。
大半の従業員が解雇され、旧園長を含む何名かがわずかに残っているだけで……。
 
素直なテスは幹部のお眼鏡に適ったと信じていますが、
法律事務所は悪事に手を染めていて、
馬鹿っぽいテスなら何も気づかずにドンサンパークを潰すだろうと思われています。
ヌボーッとした印象のテスがそれに気づいて奮闘するところからが見物。
 
『エクストリーム・ジョブ』と比べると、そりゃもう全然。
顔ぶれが地味だし、話も地味。アクションも何もない。
でも、まるで落語の『動物園』なんですよね。そこが可笑しい。
 
客を呼べる動物がいない、新たに買う金もない。ならばどうしましょ。
従業員たちが着ぐるみを着て動物のふりをします。
信じていいのかこの人をというような職人に着ぐるみの製作を依頼し、
できあがった着ぐるみは見る方向によっては完璧。
ライオンの正面ショットとか、キリンの上半身とか(笑)。
 
ゴリラの着ぐるみを着た従業員が、誰も見ていないだろうとコーラを飲んだら、
それがバッチリ撮影されてSNSにUPされる。
はからずもそれが凄い集客になってしまって、さぁ大変。
 
落語『動物園』をご存じの方にはご覧いただきたい1本です。

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『野球少女』

『野球少女』(英題:Baseball Girl)
監督:チェ・ユンテ
出演:イ・ジュヨン,イ・ジュニョク,ヨム・ヘラン,ソン・ヨンギュ他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、『太陽は動かない』の次に。
 
韓国では1996年の規約改定により、女性もプロ野球選手になることが可能に。
本作は実在の女性選手アン・ヒャンミをモデルとしているそうです。
彼女は1997年に韓国の高校で初めて野球部に所属したのち、
プロ野球選手となって公式戦に先発登板したとのこと。
 
高校の野球部に所属する唯一の女子チュ・スイン。
彼女は130km/hの速球を投げることができ、
中学の頃から天才野球少女として称えられてきた。
彼女の夢はプロ野球選手になること。
 
しかし、実際には女子というだけでトライアウトさえ受けられない。
パク監督は温かい目で彼女を見守っているものの、
彼が連れてきた新任コーチのチェ・ジンテは実に冷ややか。
とっととあきらめるようにスインに言い放つが、
監督から彼女の面倒を見るようにそれとなく言われ……。
 
本当はジンテ自身がプロ野球選手になりたかった。
男の自分がなれなかったのだから、こんな女子になれるわけがない。
でも、スインは指導してほしい、代わりに私がプロ野球選手になるからと言います。
 
序盤は、スインの練習の様子を観ていて納得できませんでした。
なんぼ速い球を投げるといっても130km/h。
女子だから凄いといわれるわけで、男子ならなんちゅうこともない。
練習にいそしんでいくら投げたところで、
それ以上速くなるはずもなく、肩を壊すだけでしょう。
もっと足腰鍛えるとかさぁと思っていました。
 
中盤以降、ジンテの指導を受けるようになってからは納得。
そうです、速球で勝負しようということ自体が間違い。
スインの長所はほかのところにあるはず。
 
野球好きだから、こんな野球の話が楽しいのはもちろんのことですが、
彼女の家族や友人とのやりとりがまた良い。
娘が高校の野球部に入りたいと言ったときに父親がどうしたかを知って涙。
反対に、娘の野球を許そうとしなかった母親の心が溶けるときにも涙。
スインとずっと一緒に野球をしてきた男子イ・ジョンホもすごくカッコイイ。
 
本人が「できない」と言わないのに、
周囲が「できない」と決めつけてはいけない。

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『太陽は動かない』

『太陽は動かない』
監督:羽住英一郎
出演:藤原竜也,竹内涼真,ハン・ヒョジュ,ピョン・ヨハン,市原隼人,
   南沙良,加藤清史郎,勝野洋,宮崎美子,鶴見辰吾,佐藤浩市他
 
TOHOシネマズ伊丹にて2本ハシゴの1本目。
 
原作は吉田修一の同名小説。好きな作家ですがこれは未読。
監督は“海猿”シリーズの羽住英一郎
この監督と吉田修一作品はあまり合っていない気がしなくて、
一気にお金のかかっていそうなエンタメになりました(笑)。
 
AN通信は表向きは小さなニュース配信会社。
しかしその実態は、違法に入手した機密情報を売買する産業スパイ組織。
鷹野(藤原竜也)と田岡(竹内涼真)は、そこで働く敏腕エージェントコンビ。
エージェントの心臓には小型爆弾が埋め込まれており、
上司である風間(佐藤浩市)への24時間毎の定期連絡をもしも怠れば、
裏切ったとみなされて爆死する仕組みになっている。
 
あるとき、同じくエージェントの山下(市原隼人)が何者かに拉致され、
鷹野と田岡が救出に乗り込むも間に合わず、爆死してしまう。
山下は全人類の未来を担う次世代エネルギーの情報を掴んでいたらしい。
鷹野と田岡はその情報を狙う各国のエージェントたちと死闘を繰り広げるのだが……。
 
正直なところ、本作で繰り広げられている争奪戦について、
何がどうなっているのか私の理解は及びませんでした。
中国人も韓国人も絡んでいて、誰が何をどうしたいのやらついていけない。
なんでブルガリアまで行く必要があるのかわからん。
 
というわけで、物語の本筋のところには惹かれませんでしたが、
鷹野たちがエージェントになった理由には心が傷む。
彼らは皆、もともとは育児放棄や虐待を受けていた子ども
エージェントに育て上げられ、その日だけ生きられればそれでいいとミッションに挑んでいます。
虐待のニュースを聞くことが多いだけに、この話はつらかった。
 
ところでこれってもとはTVドラマシリーズだったのですね。
エンドロールで流れるシーンにもまったくついていけず、
そっちを観てから劇場版に臨むべきだったのかなとも思います。
とはいうものの、眠くはならなかったからつまらないわけじゃない。

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『あのこは貴族』

『あのこは貴族』
監督:岨手由貴子
出演:門脇麦,水原希子,高良健吾,石橋静河,山下リオ,佐戸井けん太,
   篠原ゆき子,石橋けい,山中崇,高橋ひとみ,津嘉山正種,銀粉蝶他
 
前述の『カポネ』を観たあと、
イオンシネマ茨木から109シネマズ大阪エキスポシティへ移動して本作を鑑賞。
 
原作はコミックだと思い込んでいました。小説なんですね。
山内マリコの同名ベストセラーだそうで。知らなくてすみません。
 
東京・松濤の名家に生まれ育った榛原華子(門脇麦)は27歳。
結婚を約束していた恋人を両親と姉たちにお披露目するはずが、
彼女の家柄におじけづいたか、会食当日に別れることに。
 
早く結婚して出産するのが良家の娘の役目。
自分で相手を見つけられないとなれば、親や知人に頼るしかない。
致し方なく何人かに会ってみるが、まるで駄目。
 
理想の相手に会うことなど無理だとあきらめかけた頃、
義兄(山中崇)の会社の顧問弁護士を務める青木幸一郎(高良健吾)を紹介される。
幸一郎に一目惚れした華子は毎日夢のような気分。
早々とプロポーズされ、ふたりは結婚するのだが……。
 
というのが前半。
 
幸一郎の実家は華子以上の名家で超の付くお金持ち。
こういう家に生まれた人は、遊ぶのも手慣れたものらしい(笑)。
結婚する相手と遊ぶ相手をきっちり分けていて、
しかも遊ぶにはややこしくならない相手を選んでいます。
その相手となった時岡美紀を演じる水原希子が素晴らしい。
 
慶應義塾に幼稚舎から通う筋金入りボンボンの幸一郎に対し、
田舎で猛勉強して慶應大学に合格して上京した美紀。
せっかく入った大学なのに、父親が職を失って学費を払えず。
自分で稼いで払おうとキャバクラのバイトを始めるも払いきれず、結局中退。
そんな美紀と幸一郎は腐れ縁の関係が続いています。
 
たまたまふたりが一緒にいるところを見かけた華子の親友(石橋静河)により、
華子と美紀が引き合わされることになってからは、
私は美紀に魅入られっぱなしでした。
 
華子と会ったその足で、美紀は幸一郎にもう会わないと連絡。
でも「この10年でいちばんの友だちが幸一郎だった」というシーンは切なすぎる。
とは言っても未練がましさは一切なし。
 
多忙な幸一郎と過ごす時間はほとんどなく、
なかなか妊娠しなくて義母のプレッシャーにめげる華子が美紀の部屋に立ち寄った日。
どの世界に住んでいても、今日が最高という日もあればどん底の日もある。
でもどん底の日にそれを話せる誰かがいれば、それでいいんじゃないかなという美紀の言葉。
 
田舎に生まれると、出て行く機会を逸して親の人生をそのままトレースしている人が多い。
でも、名家に生まれても、出て行けなくて結局親の思うがままになる。
確かに似ていますね。
どうせ生まれるなら金持ちの家のほうがいいと思っていたけれど、
そうじゃないかもしれない。
 
華子が差していたビニール傘。
序盤のシーンでは英国王室御用達と思われるバードケージ型のビニール傘でしたが、
終盤のシーンではコンビニのビニール傘だったのが印象に残りました。

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