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『明日の食卓』

『明日の食卓』
監督:瀬々敬久
出演:菅野美穂,高畑充希,尾野真千子,柴崎楓雅,外川燎,阿久津慶人,
   和田聰宏,大東駿介,山口紗弥加,山田真歩,真行寺君枝,烏丸せつこ他
 
イオンシネマ京都桂川にて、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の次に。
 
原作は先月読了。そのときのレビューはこちら
瀬々敬久はかつて“ピンク四天王”と崇められた監督のうちのひとり。
今はもうその余韻もなく、若手もベテランも上手く起用して
話題性の高い作品を撮っている印象があります。
私は別に嫌いじゃないけど、特に好きでもないかなぁ。
 
「石橋」という同じ姓を持つ母親3人。
それぞれ違う土地に住み、お互いの繋がりはまったく無し。
ただ、息子の名前は仮名で書けば3人とも「ユウ」、皆10歳。
 
冒頭、どこかに住む石橋姓の女性が10歳の息子ユウを殺害したニュースから始まります。
一歩まちがえば3人の誰に起きても不思議はなかったという話。
 
神奈川に住むフリーライター・石橋留美子(菅野美穂)。
カメラマンの夫・豊(和田聰宏)と、長男・悠宇(外川燎)、次男の4人家族。
マンションでもスーパーでもじっとしていない息子たち。
その悪ガキぶりに手を焼き、非協力的な夫に悶々としている。
 
大阪に住むシングルマザー・石橋加奈(高畑充希)。
若くして結婚した夫は浮気して逃げた。
生活のために借りた金を返すため、町工場とコンビニの仕事を掛け持ち。
息子・勇(阿久津慶人)はそんな母を気遣っている。
 
静岡に住む専業主婦・石橋あすみ(尾野真千子)。
夫・太一(大東駿介)と息子・優(柴崎楓雅)の3人家族。
隣の敷地には義母・雪絵(真行寺君枝)が暮らすが、干渉しすぎない良い関係。
 
という3家族の日々が描かれています。
 
一見いちばん平穏なのは静岡のあすみの家族。
優は優しくて朗らかで成績も優秀な自慢の息子。
何の心配もないはずが、実はサイコパスかと思われるような事件が起きます。
 
実は原作を読んだときに映画版のキャストを知って、
大阪弁のシングルマザーの役は尾野真千子だと決めつけていました。
そうしたら、静岡の専業主婦のほうが尾野真千子で、
シングルマザー役は高畑充希だったからビックリ。
ただ、観終わってみれば、尾野真千子だったらあまりにステレオタイプだったかも。
高畑充希演じる母親の懸命さとその息子の健気さに胸を打たれます。
 
原作では加奈と勇親子の将来には光が射す終わり方で、それは映画版も同じ。
ただ、あとの2家族とも同様に明るさを感じさせて終わった映画版とは異なります。
特にあすみの家庭は原作では崩壊するから後味が悪い。
後味が悪いにもかかわらず、映画版もそのエンディングを観たかったと
ちょっぴり意地の悪い見方をしてしまいました。
 
受け入れがたかったのは、山口紗弥加演じるあすみの友人。
原作ではこんなに怪しさ全開の女性ではありませんでした。
あすみの家を訪れてクッキーを食べるシーンなんて、
レズビアンかと思わせるような演出。
いっそそういう関係になるならまだしも、そうじゃないんだから本作には不要。
 
こういうところが単なるウケ狙いに思えて、
瀬々監督をイマイチ好きになれない所以です。
“ピンク四天王”だった頃をかいま見せられている気がしなくもないけど、
無理に挟んだシーンに思えます。台無しじゃあないですか。
 
でもキャストは面白いですね。
原作の「とても綺麗な女性」をまったく無視した(すみません(^^;)、
デリヘルで働く母親役に山田真歩
原作の表現には別の母親役で登場する水崎綾女のほうが合っている。
加奈のろくでなしの弟役には藤原季節
同じく加奈の母親を演じる烏丸せつこがよかった。
教師役で宇野祥平が出ているのも見逃せません。この人こそバイプレイヤー
最後の最後に登場するほとんどスッピンの大島優子もお見逃しなく。

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『るろうに剣心 最終章 The Beginning』

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
監督:大友啓史
出演:佐藤健,有村架純,高橋一生,村上虹郎,安藤政信,北村一輝,江口洋介他
 
公開初日に観に行った『るろうに剣心 最終章 The Final』 
その2日後から大阪や兵庫の映画館は休業。
ようやく再開された今も土日は休業中だから、近場では観られません。
緊急事態宣言が解除されるまで耐えるよりないなぁと思っていたら、
日曜日、晩ごはんを京都で食べることになりました。
ということはその前に京都のどこかまで行けば観られる。
 
イオンシネマ京都桂川へ行くことにしたものの、もちろんお初。
学生の頃、京都まで毎日かよっていましたが、当時は洛西口という駅はなく。
どうやって行くねん洛西口ってと調べ、
十三から準急に乗っていればそのまま到着できたのに、
高槻市で快速急行に乗り換えた挙げ句、降りてしまったよ長岡天神で。
各駅停車が来るのを待っていたら、来ないんです、各駅が。
時間が迫ってきて焦り、もう一度よぉく調べたら(スマホはないから「目」で)、
ありゃ、準急って、長岡天神より先は全部に停まるのね。アホや~。
 
なんとか着いた洛西口駅。
イオンモール京都桂川まで徒歩5分と書いてあったけれど、
まだイオンシネマしか営業していない時間帯だったから、
開いている入口を見つけるのに一苦労。
このイオン、広いような気がするのは慣れていないからでしょうか。
 
こうして疲れ果ててやっとイオンシネマの階へ。
座席はひとつ飛ばしで販売、満席です。
 
話としては“るろ剣”の最初に当たるわけですが、
順序通りに撮影されたのではないから、歳を食った佐藤健だけど。
若いときより今のほうが好きだなぁ。
 
動乱の幕末のこと。
緋村剣心(佐藤健)は、長州藩をまとめる桂小五郎(高橋一生)のもと、
討幕派の暗殺者として重宝され、“人斬り抜刀斎”と恐れられていた。
 
ある日、剣心は雪代巴(有村架純)と出会う。
人斬りの現場を偶然見て失神した巴を剣心は介護。
巴は剣心が暮らす宿坊で働きはじめるのだが……。
 
もしも時系列通りにこの“Beginning”を観てから“Final”を観ようと思っている人がいれば、
やっぱり公開順に“Final”を先に観るほうがいいと思います。
 
カッコいいねぇ、緋村剣心。
無敵の強さの彼が決して人を斬らなくなった理由にはやはり泣く。
巴の日記もやはり泣く。命に代えてもこの人を守るって(泣)。
守っているつもりだったのに守られていたって、どうですか。
 
エンドロールまで観て、俄然シリーズ最初に戻りたくなりました。
で、実は私、『るろうに剣心』(2012)を劇場で観ていないのです。
シリーズ全作品を劇場で一挙上映とかしてくれないかな~。
 
ところで剣心はいつから「おろ?」と言うようになったのですか。

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『地獄の花園』

『地獄の花園』
監督:関和亮
出演:永野芽郁,広瀬アリス,菜々緒,川栄李奈,大島美幸,
   勝村政信,松尾諭,丸山智己,遠藤憲一,小池栄子他
 
今度は梅田ブルク7へ移動して本作を。
 
『架空OL日記』(2020)も楽しかったバカリズムの脚本。
よくもこんな話を思いつくものです。
 
三冨士商事の営業部に勤めるOL、田中直子(永野芽郁)。
普通のOLライフに憧れて、平凡な日常を送る彼女だったが、
職場ではヤンキーOLたちによる熾烈な派閥抗争が繰り広げられていた。
 
開発部のヤンキーの頭は安藤朱里(菜々緒)。
営業部のヤンキーの頭は佐竹紫織(川栄李奈)。
製造部のヤンキーの頭は神田悦子(大島美幸)。
この三つの派閥が対決し、勝ったのは朱里。
営業部と製造部のヤンキーたちは開発部の傘下に入り、一応まとまる。
 
ある日、営業部のイケメン社員(森崎ウィン)に朱里の手下たちが絡んでいたところ、
通りかかった女が立ち向かい、手下ヤンキーどもをいとも簡単に倒す。
その様子を物陰から見ていた直子は、翌朝、中途採用のOLを見てビックリ。
昨日の女こそがこの新入りOL、北条蘭(広瀬アリス)だったのだ。
 
蘭は圧倒的な強さでたちまち三冨士のヤンキーOLたちの頂点に。
そして直子ともひょんなことから親しくなる。
蘭の噂を聞きつけた他社のヤンキーたち(ファーストサマーウイカ他)に
次々と戦いを挑まれるも、強さを見せつけるばかりの蘭だったが……。
 
ヤンキーだって楽じゃない。
そしてその頭である人間はそれなりの器じゃなきゃ務まらない。
 
どうなるのかを全然知らずに観に行ったので、あっと驚きました。
書きません。書けませんけど、面白い展開。
 
上場企業にもヤンキーがいて、その頭が遠藤憲一
と思っていたらそれより上の地上最強のヤンキーとして小池栄子が登場。
メイクも含め、この撮影現場はさぞかし楽しかったろうと思います。
 
オチもいいねぇ。
バカリズムはやっぱり只者ではない。
あ、彼も普通の上司役でちゃんと出ています。

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『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』

『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)
監督:ユーゴ・ジェラン
出演:フランソワ・シヴィル,ジョセフィーヌ・ジャピ,バンジャマン・ラヴェルネ,
   カミーユ・ルルーシュ,アモリ・ドゥ・クレヤンクール,エディット・スコブ他
 
TOHOシネマズ西宮で2本観てから梅田へ移動。
大阪ステーションシティシネマにて本作を鑑賞しました。
 
フランス/ベルギー作品。
原題の“Mon inconnue”は「私の未知」、つまり「私の知らない人」の意。
英語のタイトルは“Love at Second Sight”で、
こちらのほうが映画の内容をよく表している気がします。
 
同じ高校に通いながら面識のなかったラファエルとオリヴィア。
ある晩、校舎の隅から聞こえてくる曲に誘われたラファエルは、
そこでピアノを弾いていたオリヴィアと出逢い、恋に落ちる。
 
小説家を目指すラファエル。ピアニスト志望のオリヴィア。
ふたりはラブラブのまま卒業。夢は夢のままだったが、結婚して幸せに暮らしていた。
 
ところが、ラファエルが高校時代から書き続けていたSF小説を
オリヴィアがこっそり出版社に送ったところ、すぐに出版が決定する。
小説はシリーズ化され、ラファエルは大人気作家に。
一方のオリヴィアがピアニストになる夢は叶わなかった。
 
メディアにもひっぱりだこのラファエルは、帰宅しても忙しそうで、
夫婦の時間は激減し、会話もほとんどない。
それについてオリヴィアが不満を口にすると、ラファエルは激怒。
家を飛び出して酔い潰れて帰宅する。
 
翌朝、目覚めると、オリヴィアがいない。
今日は中学校で子ども相手に講演をするイベントがある。
マネージャーを務める親友フェリックスが迎えに来て、
着いた先は確かに中学校だったが、どうも様子がおかしい。
 
なんとラファエルは人気作家などではなく、国語教師
しかもオリヴィアは大活躍中のピアニストで、ラファエルの妻ではないどころか、
ラファエルのことをまったく知らない。
一夜にして人生が変わってしまい、ラファエルは気が動転。
 
なんとかフェリックスにはこの状況を信じてもらうことに成功し、
人気作家の自分、オリヴィアと結婚している自分に戻ろうとするのだが……。
 
ここにもまたアインシュタインの『相対性理論』の話が出てきます。
私には相変わらずまったく理解できない仕組みですが、
本作は『インターステラー』(2014)のように科学的ではないし、
『パーム・スプリングス』(2020)よりも「科学している度」は低いです、たぶん。
 
ま、でも、そんなの全然わからなくても魅力的な物語。
フェリックスが実にいいキャラで憎めません。
ラファエルから事情を聞いたとき、「そういえば、いつもならパンをくれるのにくれなくなった」という理由で
ラファエルの話を信じることにしちゃうんですから。ええ奴。
「こっちの世界の俺はどんな奴だったか」というラファエルの質問に答えるときも可笑しい。
あっちの世界のラファエルはオリヴィア一筋だったのに、
こっちの世界のラファエルはとんだ遊び人。
そりゃまぁこのルックスだもの、モテるでしょう。
 
ラファエル役のフランソワ・シヴィルは私の最近のお気に入り。
色気のあるイケメンです。そしていい体つき(笑)。
オリヴィア役のジョセフィーヌ・ジャピもチャーミング。
 
どうしても元の世界に戻りたいラファエルに、フェリックスは言います。
戻れなくても、もう一度、彼女と恋をすればいいじゃないか。
想い続けている元カノに声をかけることすら許されずにいるフェリックスは、
たとえオリヴィアがラファエルの妻だったオリヴィアでなくても、
今の世界で恋をやり直せるならいいじゃないかと言うのです。
 
ずっと自分のことだけを考えていたラファエルが、
ようやく戻れそうになって初めて考える彼女のこと。
素敵なエンディングでした。

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『ジェントルメン』

『ジェントルメン』(原題:The Gentlemen)
監督:ガイ・リッチー
出演:マシュー・マコノヒー,チャーリー・ハナム,ヘンリー・ゴールディング,ミシェル・ドッカリー,
   ジェレミー・ストロング,エディ・マーサン,コリン・ファレル,ヒュー・グラント他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『アオラレ』の次に。
早く観たくてたまらなかった作品。
このまま劇場の営業が再開しなければ観逃してしまうのかと思っていたので、
こうしてちゃんと劇場で観られて本当に嬉しい。
 
ガイ・リッチー監督、かなり好きです。
もう「マドンナの元旦那」と言われることもないでしょうか。
 
アメリカ人のミッキーは、ロンドンで大麻ビジネスを展開して大成功。
莫大な資産を築いた裏社会の有名人。
そんなミッキーが利権を売却して引退するという噂が広まり、
裏社会の住人たちが我こそがその利権を手に入れようと画策していた。
 
そのすべてを潰すネタを持っていると言って
ミッキーの右腕レイのもとを訪れたのは、ゲスの私立探偵フレッチャー。
ネタを新聞社に15万ポンドで買い取らせる算段を整えたうえで、
レイには2000万ポンドで買い取ってくれるなら新聞社には売らないと言う。
なぜ15万ポンドのネタが2000万ポンドに跳ね上がるのかとレイが尋ねると、
フレッチャーは自分の調査に基づく推測を蕩々と語りはじめ……。
 
利権を我がものにしようとたくらむのは、
ロシアンマフィアはそれとは別口で絡みます。
 
曲者どもを演じる顔ぶれが面白い。
ミッキー役にはマシュー・マコノヒー
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)でエイズ患者を演じるために
壮絶なダイエットをした彼は、その後もなかなか体重が戻らないのか、
ずっと体調を心配したくなる顔と体つきでした。
本作ではようやく元の彼に戻った気がして安心しました。
 
ミッキーの側近レイ役のチャーリー・ハナムがとてもいい。
ボスにどこまでも忠実、賢くて頼れる人。
自分のほうが賢いと思っているフレッチャー役にヒュー・グラント、喋る喋る。
よくこれだけの台詞を覚えましたよね。
 
そのほかもみんな自分がいちばん賢い、出し抜けると思っている。
善人役も悪人役もできる俳優が揃っています。
そうそう、新聞社の編集長を演じるエディ・マーサンもそうですね。
こいつら、みんな悪い。
 
いちばん気に入ったのは、ボクシングジムを経営するコーチ役のコリン・ファレル
本作の中では異色の存在で、彼だけはミッキーを騙そうなんて気はありません。
不良をジムで引き取って親代わりに面倒を見ているのに、
とにかく目立ちたい不良どもは、ミッキーの大麻栽培施設で盗みと暴行を働く。
それを知ったコーチはすぐにレイに謝りに行き、
大麻を全部返したうえで、お詫びに何か手伝うと申し出ます。
これが実に可笑しくて、彼の登場シーンはよく笑わせてもらいました。
 
化かし合いが小気味よい。楽しかった。
 
最初にミッキーがビールと共に注文するゆで卵のピクルスが気になりました。
“pickled egg”というのですね。ハードボイルドには卵が定番。食べたい。

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