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『83歳のやさしいスパイ』

『83歳のやさしいスパイ』(原題:El Agente Topo)
監督:マイテ・アルベルディ
 
学生時代は毎日かよっていたのに、今はちょっと遠く感じる京都。
えいっ!と気合いを入れなきゃなかなか向かえないのですが、
この日は朝から京都シネマに4本予約。行くぞ。
 
ところがオンライン予約後に電車の時間を調べたら、
なぬ!?阪急電車の京都線で人身事故があった模様。
目的地の烏丸まで阪急で行くのは無理っぽくて、
JRと京都市営地下鉄を乗り継ぐなら今すぐ出てもキワキワ。
涙目になりながら慌てて家を出たところ、
宝塚線に乗っている間に京都線復旧。間に合いました♪
 
チリ/アメリカ/ドイツ/オランダ/スペイン作品。
なんとも風変わりで楽しく、心に沁みるドキュメンタリーです。
そうだと知らずに観たら、きっとフィクションだと思うはず。
 
チリにて、ある日の求人広告。募っているのは80歳〜90歳の老人。
こんな年齢層への求人なんて、見たことがない。
応募者との面接段階から撮影されています。
 
仕事を射止めたのは83歳のセルヒオ。
4カ月前に妻に先立たれ、今は独り暮らしをしています。
彼の任務は老人ホームへの潜入捜査。
入居者である母親への虐待を疑う女性から依頼を受けた探偵事務所が、
セルヒオをスパイとして送り込もうというもの。
 
求人の条件には、年齢のほかに「電子機器を扱えること」もありました。
83歳といえどもスマホはちゃんと使えます。
それでも、音声メッセージの送信機能などは使ったことがなく、
まずその操作を覚えるのがなかなか大変。
本件を担当する探偵ロムロがイライラする姿も可笑しい。
毎日の報告は周囲にバレないよう、暗号も駆使せなあかんし(笑)。
 
さてさて、こうして潜入捜査が始まるわけですが、
ホームはほぼ女の園で、入居者は男性数名に対して女性は何十人もいる。
そこにお洒落で知的な紳士セルヒオがやってきたからさぁ大変。
セルヒオはモテモテになっちゃいます。
 
女性にちやほやされて悪い気はしないでしょうが、
セルヒオはちっとも偉そうじゃない。どの入居者にも親切で優しい。
この人、カウンセラーの資質があるんじゃないかと思うほど。
自分の記憶が薄れて行くことに気づいて苦しむ女性とのやりとりなど、
あまりにも温かく切なくて、涙なしでは聴けません。
 
しかしこんなふうに入居者の誰も彼ものことをセルヒオが案ずるから、
肝心の対象女性の捜査は遅々として進まない(笑)。
 
「ターゲットは手厚く介護されている。
僕がこんなことを言う立場にないのはわかっているが、この捜査に意味はあるのか。
虐待を疑っていると言いながら、娘は一度も面会に来ないじゃないか」。
 
ユーモアに満ちていて、かつ介護についても考えさせられる良作でした。
ぜひぜひご覧ください。

—–

『食の安全を守る人々 未来の子どもたちのために』

『食の安全を守る人々』
監督:原村政樹
 
第七藝術劇場にて、前述の『東京クルド』とハシゴ。
コロナのせいかおかげか、2本の間隔が少し長くて30分ある。
斜向かいのがんこ寿司十三総本店に駆け込み、
にぎり寿司のランチを食べることができました。
お腹も満たされたところで本作を鑑賞。
 
ターゲットになっているのはモンサント社とそれを買収したバイエル社。
ご存じの方はここにあれこれ書くまでもないこと。
ご存じでない方は『モンサントの不自然な食べもの』(2008)をまずはご覧いただきたい。
 
何でも枯らす「画期的」な除草剤“ラウンドアップ”。
それを体内に吸い込めば、子どもは学習障害を起こしたり自閉症になったり。
大人も癌になったりするけれど、それをラウンドアップのせいだとは思わない。
 
健康被害を及ぼすものとして他国では使用が禁止されている添加物も、
日本にはバンバン輸入されている。
アメリカでたくさん作っているから日本はそれを使いなさい。
そう言われてすべて受け入れているなんて、完全なカモですよね。
アメリカのみならず、オーストラリアも自国では使用不可のものを
日本への輸出品には振りかけているらしい。
日本人はそんなことが起きているとは思いもせず疑いもしない。
どれだけお人好しなんだか。
 
モンサント社のラウンドアップで具合が悪くなる人がいたら、バイエル社製の薬がある。
バイエル社がモンサント社を買収した今、自社製品で健康を害するように仕向けて、
自社製品の薬を売りつけるわけですね。そりゃ儲かる。
 
コロナ禍、家呑みする人が増えてレモンがものすごく売れているそうですが、
そのレモン、大丈夫ですか。

—–

『東京クルド』

『東京クルド』
監督:日向史有
 
第七藝術劇場にて。
十三は駐車場料金が安くてありがたい。日中の最大料金が500円ですもの。
これなら電車で行くより断然安い。
 
お恥ずかしながら、タイトルを見たとき、「クルド」の意味すらわからず。
クルドはクルド人のこと。
トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアにまたがる地域に居住。
本作に登場するのはトルコから来日したクルド人青年ふたり。
トルコで命の危険を感じて日本に逃げてきました。
 
青年たちの名前はオザンとラマザン。
ふたりとも家族と共に日本に来て長い年月が経ちますが、
難民申請を受け入れられず、過酷な状況に置かれています。
日本語堪能、漢字の読み書きもできる。
でもビザがないから仕事することは許されません。
 
ラマザンは通訳になることを目指し、英語も勉強中。
しかし難民申請中の彼は専門学校に入学しようと問い合わせても断られます。
オザンは容姿を生かして芸能プロダクションに登録しようとしても、
やはり難民申請中の身では駄目だと断られる。
 
難民だとは認められるまではビザは下りない。
それまで仕事するのは禁止。ならばどうやって毎日食べていけばいいのか。
 
入国管理局の職員は、「それはそっちで考えることでしょ。
他の国へ行ってよ」と平然と言い放ちます。
彼らの仕事は難民認定せずに皆を生まれた国へ送り返すこと。
戻れば殺されるかもしれないのに。
 
ラマザンは心が折れそうになりながらも言います。
「勉強するのは無駄かもしれない。でももしこの先ビザが下りたとき、
あのとき勉強しておけばよかったとは思いたくない」。
やらなかった後悔よりもやった後悔を選んでいます。
 
確かに、日本に来たいという難民をすべて受け入れていたらキリがないのかもしれません。
でも、こんなにも切実な状況にある若者たちをなんとかできないものなのか。

—–

『ファイナル・プラン』

『ファイナル・プラン』(原題:Honest Thief)
監督:マーク・ウィリアムズ
出演:リーアム・ニーソン,ケイト・ウォルシュ,ロバート・パトリック,
   アンソニー・ラモス,ジェフリー・ドノヴァン,ジェイ・コートニー他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
鑑賞後すぐに邦題を忘れました。
えっと、何やったっけ、『ファースト・プラン』やったっけ、逆か(笑)。
原題は“Honest Thief”。そうなんです、彼は「正直な泥棒」。
 
8年前から全米各地の銀行で起きている金庫破り
その手口はわずかな時間で金庫を爆破、
証拠はいっさい残さず、死傷者も出したことがない。
あまりの華麗さに人々が尊敬の念を抱くほど。
 
犯人のトムはある日、貸し倉庫店の受付係のアニーと出会う。
彼女は心理学を学ぶ大学院生で、瞬く間にトムと恋に落ちる。
銀行強盗からは足を洗ってアニーと共に生きたい。
そう考えたトムはFBIに連絡し、盗んだ金900万ドル全額を返金する代わりに、
罪の軽減と面会の自由を取り付けようとする。
 
ところが電話に応対した捜査官ベイカーと居合わせた捜査官マイヤーズは、
同様の「自首したい奴」が15人もいる、おまえもどうせ偽者だろうと取り合わない。
証拠を見せるからというトムにいずれ会いに行くと言って待たせ続ける。
 
業を煮やしたトムが再びFBIに連絡したところ、
ようやくベイカーの部下ホールとニーベンスが会いに来るが、
トムが本物の犯人で900万ドルを所持しているとわかると、
ニーベンスとホールがその金を横領しようとして……。
 
もちろんトム役がリーアム・ニーソン
なんというのか、アクション映画には違いないのですが、とっても省エネ。
あまり派手な殴り合いはなくて、ほとんど車頼り。
そりゃまぁ、来年には古稀を迎える人ですからねぇ。
 
そんなリーアムが若い女性と恋愛って、クリント・イーストウッドかよっと思いましたが、
大学院生といってもキャピキャピではないし許そうかと(笑)。
そしてアニー役のケイト・ウォルシュの年齢を知って驚いた。
アラフォーぐらいかなと思ったら、今年54歳なんですと。
69歳のリーアムの相手役としては余裕で許容範囲だわ。
 
ベイカー役をロバート・パトリックが演じていますが、速攻で殺されます。
『ターミネーター2』(1991)の殺人マシーン役だった俳優なのに。
その犯人としてトムは濡れ衣を着せられるのですけれども。
ベイカーの良き友人でもあったマイヤーズを演じるのがジェフリー・ドノヴァン
いいところは彼が持って行きます。
 
穴がありすぎて、トムは自ら罠にはまりに行っていると思えるほど。
でも、最後は絶対トムというのかリーアムが勝つとわかっているし、
退屈せずに安心して観られます。
映画評論家と私たち素人の評価が分かれる典型的作品。
評論家にとっては駄作以外の何物でもないでしょうね(笑)。
 
どうしていいのかわからずに苦悶しているとき、
良心に従えば、自ずと進むべき道はわかる。

—–

『孤狼の血 LEVEL2』〈孤狼祭 コロフェス 完成披露プレミア【舞台挨拶中継】〉

『孤狼の血 LEVEL2』
監督:白石和彌 
出演:松坂桃李,鈴木亮平,村上虹郎,西野七瀬,毎熊克哉,斎藤工,
   中村梅雀,滝藤賢一,宮崎美子,かたせ梨乃,中村獅童,吉田鋼太郎他
 
今日は何を観に行こっかな~と何気なく上映スケジュールを眺めていたら、
“孤狼祭 コロフェス 完成披露プレミア【舞台挨拶中継】”とある。
ちょうどひと月先の8月20日公開の本作の先行上映をするんですと。
こういうときはたいてい値引きなしの定価でチケットが販売されるものですが、
ちゃんとシネマポイントカードデーの割引適用。
全国同時上映らしく、ならば少しでも自宅に近いほうが帰りが楽。
わが家からもっとも近い劇場、109シネマズ箕面にて鑑賞しました。
 
『孤狼の血』(2017)の続編です。
大好きな白石和彌監督の作品ではありますが、冒頭から豚の肛門がアップになるグロさが苦手で、
原作のほうがずーっと好きでした。
原作の続編もめちゃめちゃ面白かったので、映画版はどうなんだろうと興味津々。
しかし原作の柚月裕子って何者よと思ってしまう。
東北生まれのおばちゃんが、こんな広島弁バリバリのヤクザの話を書いちゃうなんて。
 
予告編なし、18:00に全国一斉スタート。
まず、パフォーマンスグループ“s**t kingz(シットキングス)”のスペシャルダンス。
その後、キャストによるトークショーがケンドーコバヤシの司会で。
登壇者は、松坂桃李村上虹郎西野七瀬滝藤賢一中村獅童(以上、警察関係者チーム)、
鈴木亮平斎藤工早乙女太一吉田鋼太郎(以上、ヤクザ関係者チーム)。
吉田鋼太郎が「役所広司さんの役が来たと思って舞い上がっちゃった」という話や
(役所広司演じる刑事は前作で死んでいるので、それを引き継ぐ役だと思ったそうな)、
鈴木亮平演じる上林の非道ぶりを斎藤工が映画オタクらしくトム・ハーディかと思ったという話など、
かなり楽しめました。
 
でもトークショーの中継は途中で終了なんです。
いきなり画面が切り替わって、白石監督が登場。
「まだまだ続いておりますが、この続きはYouTubeにて」って、上手いな~(笑)。
そして劇場では本編が始まります。
 
始まってみたら、全然ちがうんですよ、原作三部作に第二部に当たる『凶犬の眼』と。
ん~?読んだのがずいぶん前だから私が忘れてるだけ?いやいや、絶対ちがうってば。
観終わってから知りましたが、これって映画用の完全オリジナルストーリーなんですと。
原作の柚月さんが脚本を担当しているのかと思いきやそれもちがう。
終盤の交番勤務のところからが『凶犬の眼』とかぶっていて、
なるほど、これなら三部作を四部作にして次作を『凶犬の眼』にできそう。
 
さて、映画完全オリジナルストーリーである本作はこんな感じ。
 
3年前の前作で、暴力団の抗争に巻き込まれて殺害された刑事・大上(役所広司)。
その後を継いで広島の裏社会を治める刑事・日岡(松坂桃李)。
日岡が手を回して広島仁正会と尾谷組に手打ちをさせたおかげで、
暴力団同士の争いは消え失せ、物騒な事件も起こらなくなっていた。
 
しかし、仁正会傘下の五十子会・故会長の側近だった上林(鈴木亮平)が刑務所から出所。
上林はその足で手下を引き連れ、刑務官の妹(筧美和子)を殺しに行く。
広島県警本部には嵯峨(滝藤賢一)の指揮のもと、捜査本部が立ち上げられ、
なぜかそこに呉原東署から日岡が助っ人として呼ばれる。
 
日岡とコンビを組むことになったのは、県警本部のロートル刑事・瀬島(中村梅雀)。
瀬島は定年直前でこんな殺人事件に携われることが嬉しくて仕方ない様子で、
日岡の素っ気ない態度を物ともせず、ウキウキとくっついて回る。
 
刑務官の妹を殺したのは上林にちがいないのに、決定的な証拠がないらしい。
捕まえられずにいるうちに、上林は故会長の仇を討とうと尾谷組へのカチコミを計画。
同時に、故会長を罠に陥れた刑事が誰なのかを突き止めようとする。
そんな上林の動きを探るため、日岡はチンピラの近田(村上虹郎)をスパイとして送り込むのだが……。
 
豚の肛門は出てこなかったけど、とにかく殺し方が凄絶。
くり抜かれた目ん玉がゴロリと出てきますから、この手のやつが駄目な人は要注意(笑)。
かくいう私も別に得意じゃないし、できれば見たくないので、
画面をまともに見られないシーンもかなりたくさんありました。
 
それ以上に話は面白いので、時折伏し目がちになりながら鑑賞するしかない。
凄惨なストーリーの中でたまに笑わせてくれるのが、
仁正会会長役の吉田鋼太郎と、なんとなく私のツボ、音尾琢真
音尾さんって、たいてい悪役なんですけれど、
最後まで格好いい悪役であることはまずなくて、どこか間が抜けている。
ちょっと動きが竹中直人に似ていませんか。
 
「政治家よりヤクザのほうがマシ」とは中村梅雀演じる瀬島の言葉。
ヤクザは悪いことをしていると自分で宣言して悪いことをしている。
政治家は正しいことをしているような顔をして悪いことをしている。
「税金でいいものを着ていいものを食べているなら、
せめて正しいことをしろ」というマ・ドンソクの台詞も思い出します。
 
本公開になったらどうしよう。
カメオ出演している模様の柚月さんを見つけられなかったし、
もう一度観てもいいかなと思うぐらいに面白かったけれど、
目ん玉は見たくないよなぁ(笑)。

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