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『サイダーのように言葉が湧き上がる』

『サイダーのように言葉が湧き上がる』 
監督:イシグロキョウヘイ
声の出演:市川染五郎,杉咲花,山寺宏一,潘めぐみ,花江夏樹,梅原裕一郎,
     中島愛,諸星すみれ,井上喜久子,神谷浩史,坂本真綾他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
アニメーション映像の音楽レーベル“フライングドッグ”の設立10周年記念作品。
監督はTVアニメ版『四月は君の嘘』のイシグロキョウヘイ。
脚本と演出も彼自身によるもの。
『団地ともお』とか『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2期なども
この人が絵コンテを担当していたそうです。
 
本作もコロナのせいで公開が1年以上延期されました。
その後どうなるのかも不明のまま半年が経過し、今夏の公開がようやく発表された模様。
梅雨時のはずが、それもまたまた延びて先月末なんとか公開に至る。
 
初めて予告編を目にしたとき、主人公の声を市川染五郎が担当していると聞き、
え~、染五郎ってもう50歳ぐらいとちゃうん?高校生役ってあつかましすぎん?
違和感ないほど声は若いんかなぁ?などと思ってしまった私はアホです。
そんなわけないやん。あの染五郎はもう松本幸四郎でしょ(笑)。
20年前に今井美樹と共演したTVドラマ『BRAND』、懐かしくないですか。
はい、本作の主人公の声を務めるのは、もちろんあの染五郎の息子、八代目です。
 
小田市という地方都市に暮らす17歳の高校生、佐倉結以。
佐倉=サクラでみんなからは「チェリー」と呼ばれている。
人づきあいが苦手な彼の趣味は俳句
口には出せない思いを詠んではひそかにSNSに投稿していた。
 
一方、前歯にコンプレックスを持つ16歳の星野ユキは、歯の矯正中。
歯が見えないように常にマスクをしているが、
SNSでは“カワイイ”をコンセプトにライブ配信する人気者。
街を歩けば「スマイル」として方々から声をかけられる。
 
そんなふたりがショッピングモールに居合わせた折、
アクシデントが起きてぶつかった拍子に、スマホを落とす。
マスクも外れて慌てたスマイルは、誤ってチェリーのスマホを持ち帰ってしまう。
スマホの取り間違いに気づいたふたりは再会して無事交換。
以降、少しずつ距離を縮めていくのだが……。
 
おそらく私と同世代の人ならば、この絵を見て思い出すのは、鈴木英人やわたせせいぞう。
はやりのフル3DCGもいいけれど、なんかこういう絵のほうが落ち着きます。
俳句の心得はありませんが、高校生の趣味が俳句というのも昔っぽくて良い。
 
でもいろいろと引っかかるところがあります。
 
チェリーはモール内の福祉施設で腰を痛めた母親に代わってバイトをしていますが、
そこにかよっているのが元レコード店の経営者、フジヤマのおじいちゃん。
記憶が次第に薄れていくおじいちゃんが片時も離さずに持っているレコードジャケット。
中身は空っぽで、レコード本体をどこにやったか思い出せないらしい。
このエピソードを上手く生かし切れていないなぁという印象。
 
それ以上に気になったのは、レコードをあんなふうに持ちますかね。
今はレコードを見たことがない人も多いでしょうが、
貸しレコード屋に頻繁に出入りしていた私たちの世代は、
レコードの端っこを挟むようにして持つと思うのですよ。
あんなにベタッと盤を握ったりしない。その持ち方に興醒め。(^^;
 
スマイルをイマイチ好きになれなかったのも乗れなかった要因。
巷で人気のライブ配信ってこういうものなのか。
モールを歩いてカワイイと思うものをカワイイカワイイ言って回るだけ。
チェリーの俳句もカワイイと言われちゃうんだから。
カワイイって何やねんとイライラするところがおばちゃんか(笑)。
 
カワイイって何が!?
ただ、大貫妙子の曲はとってもよかったです。
 
タイトル自体が五・七・五になっているって、観る前からわかってました?

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『イン・ザ・ハイツ』

『イン・ザ・ハイツ』(原題:In the Heights)
監督:ジョン・M・チュウ
出演:アンソニー・ラモス,コーリー・ホーキンズ,レスリー・グレイス,メリッサ・バレラ,
   オルガ・メレディス,ダフネ・ルービン=ヴェガ,グレゴリー・ディアス四世,ジミー・スミッツ他
 
晩ごはんを六甲でいただくことになっていたため、
大阪ステーションシティシネマで2本観た後、TOHOシネマズ西宮へ移動して。
 
トニー賞で作品賞を含む4冠に輝いた大ヒットブロードウェイミュージカル」、
の「映画化」って怪しくないですか。
たとえば『キャッツ』(2019)、あれはホントに駄目だった。
その例があるから、これも観に行くのは躊躇しました。でも、観なきゃ文句も言えないし
結果、まぁまぁでした。『キャッツ』よりは遙かに良い。
 
監督は『クレイジー・リッチ!』(2018)のジョン・M・チュウ。
面白い作品でしたもんね。
 
マンハッタンのワシントン・ハイツ地区。
ラテン系の移民が多く暮らすこの街で食料雑貨店を営む青年ウスナビ。
彼自身もドミニカからの移民で、大物になる夢がある。
 
真面目にコツコツと働いていればいつか夢が叶う。
そう信じてきたけれど、現実は厳しい。ここにいてもつらいだけ。
今は逆に故郷へ帰る日を夢見ている。
 
ウスナビが想いを寄せているのは、やはり移民のヴァネッサ。
彼女の夢はファッションデザイナーになること。
店の常連客である彼女にウスナビは声をかけるが、ちっとも相手にしてもらえない。
 
そんなウスナビを見てからかうのは、親友のベニー。
タクシーの配車係を務める彼は、同じ街に暮らしていた秀才ニーナに夢中。
ニーナは街の希望の星で、スタンフォード大学へ進学したが、突然帰省して……。
 
映画評論家は大絶賛しているそうですが、そこまで良いとは思えず。
移民の人たちの気持ちを汲み取ることが難しいからかなぁ。
とはいうものの、先日『東京クルド』を観たばかり。
日本にやってきたクルド人も、こうしてハイツで暮らす移民も、
歯がゆい思いを抱えて生きているのだと思うと、
単なる楽しいミュージカル作品だとは思えません。
 
単なるミュージカルとして観れば、もう少しイケメンのほうがいい(笑)。
主演のアンソニー・ラモスは、『ファイナル・プラン』の汚職に苦しむ警官役のほうが似合っていたかも。
ベニー役のコーリー・ホーキンズもちょくちょく観る俳優だけど、
『ブラック・クランズマン』(2018)を思い返しても何役だったか覚えていません。
どうやらTVドラマに多数出演している人のようですね。
 
一緒に観に行った姉さんが、アンソニー・ラモスのことを「地味な顔やなぁと思ったけど、
最後まで観たらやっぱりあれぐらい地味じゃなきゃあかんわ」言うてました(笑)。
 
美容院経営者のダニエラ役、ダフネ・ルービン=ヴェガが良い味を出しています。
彼女はパナマ出身の女優で、本作はほかにもキューバやらプエルトリコやら出身の俳優が目白押し。
だから、映画の中だけの世界ではなくて、実際に彼ら彼女らが夢を叶えた作品なわけで。
それを感じながら観るのがいちばんかと思います。
 
観るもんがなくなったら、もう1回観てもええかな。

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『返校 言葉が消えた日』

『返校 言葉が消えた日』(原題:返校)
監督:ジョン・スー
出演:ワン・ジン,ツォン・ジンファ,フー・モンボー,チョイ・シーワン,
   リー・グァンイー,パン・チンユー,チュウ・ホンジャン他
 
大阪ステーションシティシネマにて、『白蛇:縁起』の次に。
 
公開前に本作のポスターを見たとき、ホラーやな、パス!と思いました。
最近の私はホラーにも耐性ができて、時には好んで観に行くけれど、
学校を舞台にしたホラーって、なんだか途轍もなく怖そうで。
 
そのときは、これが台湾のホラーゲームを基にしているものだと知らなかったんです。
しかもそのホラーゲームの題材が普通じゃないことも。
知れば観に行かずにはいられません。
 
1960年代は中国国民党が強権政治を敷く戒厳令下にありました。
中国国民党は中国共産党などの反体制派に厳しい政治的弾圧をおこない、
反体制派と見るや捕らえて投獄し、死刑に処す。
これら一連の弾圧は「白色テロ」と呼ばれています。
その白色テロをテーマとしたホラーゲームって、そんなものがあるんだ。
 
翠華中学(日本では高校に当たる)に通う女子生徒ファン・レイシンは、
ある日の放課後、いつのまにか教室で寝込んでしまう。
ふと目が覚めると学校の様子がおかしい。まわりには誰もいない。
 
校内をさまよっていると、後輩の男子生徒ウェイ・ジョンティンに遭遇。
彼はファンに片想い中で、ファンが想いを寄せているのは教師チャン・ミンホイ。
 
戒厳令下、本を手に取ることもままならないなか、
チャンは同僚の女教師イン・ツイハンと共に、
読書好きの生徒たちを集めてひそかに読書会を開いていた。
ウェイはその読書会のメンバー。
 
同級生や教師を探し、学校から脱出しようと力を合わせるウェイとファンだったが、
どうにも外に出ることができず……。
 
中国や台湾や韓国のこういった時代背景の作品を観るたびに驚きます。
軍事政権下の韓国が描かれた『1987、ある闘いの真実』(2017)や、
本作と同様に学生がアカ認定されて拷問を受けた様子を描いた『弁護人』(2013)など、
30年からせいぜい半世紀ほど前に本を読むことが禁じられていたなんて。
そして未だに自由に本を読むことが許されない国が存在する。
 
国家の君主は何を恐れているのでしょうか。
本を読めばたちまちみんな賢くなって自分が倒されるとか?
 
時代はもう少し遡りますが、それでもまだ百年は経っていない時代に、
本を読めばアカ認定されることがありました。
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014)のそんなシーンもよく覚えています。
本を焼かれる時代には生きていたくない。
 
白色テロを知るためにも一見の価値がある作品ですが、堂々のホラー(笑)。
直視できないシーンもたくさんありましたから、ホラー苦手な人にはやっぱり無理かも。
このホラーゲームを体験することも可能だけど、いや、私には無理。(^^;

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『白蛇:縁起』

『白蛇:縁起』(原題:白蛇:縁起)
監督:黄家康,趙霽
声の出演:三森すずこ,佐久間大介,佐倉綾音,杉田智和,
     悠木碧,柴田秀勝,本田貴子,石川界人他
 
たいそう話題になっているらしく、大阪ステーションシティシネマは満席。
中国のアニメでここまで客が入るのはなかなか珍しいのでは。
売れそうだということで慌てて(かどうか知らんけど)日本語吹替版を作ったなんて、
とにかく、中国で歴史的な大ヒットを飛ばしたフル3DCGアニメ作品。
 
唐代の中国。
見た目は女性の姿をしているがその実、白蛇の妖怪・白。
 
国師は不老不死の象徴である蛇の捕獲を民に強いている。
致し方なく蛇狩りをおこなう民たち。
そんな国師に憤る蛇族の頭領・蛇母は、白に国師を殺すように命じるが、
暗殺は失敗に終わり、白は逃亡を余儀なくされる。
 
倒れていた白を見つけたのは、蛇狩りの村に暮らす青年・宣。
眠りから覚めた白は記憶を失っており、自分が何者なのかも思い出せない。
 
白が持っていた不思議な簪を見た宣は、
簪の作り手を訪ねれば、白が記憶を取り戻す一助となるのではと考える。
ふたりは工房“宝青坊”に向かって出発するが、
その途中、何者かに襲われたさいに白は蛇の姿に戻り、
彼女が蛇の妖怪であることがわかる。
 
一方、国師と蛇族の間では今にも戦いが始ろうとしていて……。
 
古代に伝わる『白蛇伝』の前世の話とされています。
評判に違わず、非常に面白くて美しい作品でした。
不老不死がらみでは、なんなら『ジャングル・クルーズ』より上かと(笑)。
 
白、宣、その他のキャラクターが生き生きとしています。
宣の飼い犬“はらまき”のなんと愛おしいこと。
白の力によって人間の言葉をしゃべれるようになったときのはらまきが可笑しい。
宝青坊の怪しげな看板娘も魅力たっぷりだし、国師と蛇母はわかりやすい悪役。
 
なんでこんなに客が入っているんだろうと思ったら、
もしかして宣の声を担当しているのがSnow Manの佐久間大介だから?
それにしては老若男女すべての層がいましたけれど。
 
コロナ以降、より中国嫌いの人が増えている気がしますが、
こんな世界もあります。オススメのアニメです。

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『映画 クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』

『映画 クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』
監督:高橋渉
声の出演:小林由美子,ならはしみき,森川智之,こおろぎさとみ,
     仲里依紗,フワちゃん,松尾駿,長田庄平他
 
春先の公開を楽しみにしていたのに、延び延びになって夏の公開。
しかも『ジャングル・クルーズ』同様、子ども向けということなのか、
109シネマズでは夜間の上映なし。
イオンシネマ茨木はかろうじて18時半からの上映がありました。
 
何年か前からかかさず観ている“クレしん”劇場版第29弾。今回も面白いぞ。
 
全寮制の超エリート校、私立天下統一カスカベ学園、通称天カス学園へ、
1週間体験入学する話を風間くんが持ち込む。
5人1組で申し込むことができるらしく、かすかべ防衛隊はちょうど5人。
風間くんの案内で、しんのすけ、ネネ、マサオ、ボーちゃん、皆参加。
 
天カス学園はポイント制のシステムを取っており、
エリートらしい行いだと認められるときにはポイントが加算される。
たとえば成績優秀の場合はもちろんのこと、
さまざまな分野で秀でた才能を持つ者はポイントが増える。
但し、逆の行いをすればポイントはダダ減り。
 
体験入学中にポイントを増やすことができれば、
天カス学園への正式な入学が認められると知って、風間くんは大はりきり。
一方のしんのすけはといえば、いつもの調子で好き放題。
ネネたちも豪奢な校舎での生活を楽しみ、エリートには興味がない。
しんのすけたちに足を引っ張られ、苛立ちを隠せない風間くん。
 
天カス学園には古びた時計塔があり、そこには吸血鬼ならぬ吸ケツ鬼が出るとの噂。
おケツを噛まれた生徒はおバカになるという怪事件が頻発していた。
夜中に行方がわからなくなった風間くんをしんのすけらが探すと、
風間くんは時計塔で倒れていた。目覚めた彼はすっかりおバカになっていて……。
 
おバカな話なんですが、しっかりミステリーになっているところが凄い。
吸ケツ鬼の正体は誰なのか、いったい何のためにこんなことをしているのか。
あの人もこの人も怪しくて、最後までネタ割れしません。
 
偉そうなところが鼻につく風間くんだけど、
体験入学を持ち込んだのは、みんなと離れたくなかったから。
自分だけお受験でほかの小学校へ行く可能性が高いから、
しんのすけたちと一緒に天カス学園へ行きたかったのですよね。
 
エリートとは何か。
お勉強すらできれば、人間的にはどんなだっていいのか。
学園長も決してそんなことを思っていたわけではないのに、
教師役を務めるAIが学園長の言葉の表面のみを受け取って
スーパーエリートを養成しようとしていたのも面白い。
 
33代番長には惚れましたがな。
それから、「弱音と二日酔いは、吐くと楽だって父ちゃんが言ってたぞ」。
覚えておきます。でももう吐くほどは飲まない(笑)。

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