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『ファイター、北からの挑戦者』

『ファイター、北からの挑戦者』(英題:Fighter)
監督:ユン・ジェホ
出演:イム・ソンミ,ペク・ソビン,オ・グァンロク,イ・スンヨン他
 
テアトル梅田で『巴里祭』『愛のまなざしを』→これ。
同日に観た3本の中ではこれが圧倒的によかった。
主演のイム・ソンミは『愛の不時着』に出ていた女優とのこと。
顔を見ても何の役だったのか思い出せずに調べてみたら、
北朝鮮の市場で韓国製の化粧品や下着を密売するお姉ちゃんでした。なるほど。
 
北朝鮮から逃れて韓国へとやってきた若い女性ジナ。
ブローカーの世話により、住居と職は得たものの、稼ぎが少なすぎる。
もっと仕事がほしいと頼んで紹介されたのはボクシングジムの清掃係。
 
ジムには女性も通ってくるのを見てジナはびっくり。
興味深い目をしているのを見たジムのスタッフ、テスは、
やってみるかとジナに声をかけるのだが……。
 
クスッと笑える台詞やシーンがいろいろ。
ジナは実は元軍人で、だからボクシングの経験もある。
それをテスに明かしたとき、テスの物言いたげな顔つきに、
北朝鮮の軍人は全員工作員か何かだと思っているのかと怒ります。
それまではほとんど話さなかったジナだから、あまりの憤りぶりにテスは目が点に。
 
脱北者に対する人の目は厳しい。
ジムに通う女性たちの態度は酷いもので、蔑みを露わにしています。
それだけに、ジムのオーナーがジナの才能を買っていることが許せません。
喧嘩を売られるとおとなしく引きさがってはいられないジナですが、
でも、喧嘩をすることには抵抗を感じる。
ボクシングのことも喧嘩の手段のように思えて、なかなかやる気になれないのです。
 
ジナがまだ幼い頃に母親はひとり韓国へ渡ってしまった。
その母親を探し当てて会いに行きますが、母親には新しい家族がいる。
つらい事実です。この母親とその娘の演技もよかったなぁ。
 
恋愛の要素が必要だったかどうか疑問ですけれども、
テスがめちゃくちゃいい奴で、この恋の成就は応援したくなりました。
韓国作品としてはちょっと地味目。でもじゅうぶん泣いた。好きです。
余談ですが、ボクシングジムのオーナーは「館長」なんですか。
なんとなく「会長」かと思っていたので、館長という響きは新鮮。
決まった呼び名があるわけじゃなくてその肩書きによるのかな。

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『愛のまなざしを』

『愛のまなざしを』
監督:万田邦敏
出演:仲村トオル,杉野希妃,斎藤工,中村ゆり,藤原大祐,
   万田祐介,松林うらら,ベンガル,森口瑤子,片桐はいり他
 
テアトル梅田にて3本ハシゴの2本目。
 
万田邦敏監督って失礼ながら知らないなぁと思ったけれど、
小池栄子豊川悦司共演の『接吻』(2006)の監督でした。
製作委員会のメンバーの中にはENBUゼミナールの名前もありました。
 
精神科医の滝沢貴志(仲村トオル)は6年前に妻の薫(中村ゆり)を亡くした。
自身が患者を診る立場であるにもかかわらず、
妻の幻影に囚われて精神安定剤を手放せない日々を送っている。
 
そんなとき、彼の前に現れたのは水野綾子(杉野希妃)という患者。
貴志の苦しみに気づいた綾子は、自分が貴志の支えになることを望み、
治療が終わるや否や、貴志の恋人の座におさまる。
 
一人息子の祐樹(藤原大祐)の世話を薫の両親に任せっぱなしだった貴志は、
義両親に綾子の存在を明かし、再婚したいと思っていることを告げる。
もちろん祐樹を引き取るつもりでいたところ、
薫の弟である内山茂(斎藤工)から連絡が入り、
祐樹が貴志についていくつもりがないと茂に訴えていると知り……。
人の気を惹くために嘘ばかりつく女と、それを見抜けない精神科医。
まったく退屈はしませんでしたが、なんたらサスペンス劇場みたいな気がしなくもない。
自分を見てほしくて嘘しか言わない女と、それに惑わされる男。
最初から彼女が嘘つきであることを見抜いて誘惑に乗らなかった茂はエライけど、
貴志が情けなすぎて嫌になるほどです。
いちばん安心して見ていられたのは、クリニックの受付を務める池田さん(片桐はいり)かな(笑)。
綾子がどうしてこんなふうに嘘だらけの自分を作り上げるようになったのか、
その辺りの描写がほぼないから、ただのサイコに見えてしまいます。
友情出演の森口瑤子が綾子の身内を演じていますが、
訪ねてきた茂に戸惑いの表情を見せるだけで、何があったのかはわかりません。
綾子の妹(松林うらら)に至っては、昔から綾子の嘘のせいで迷惑を被っていたらしく、
その怒りの様子を見ると気の毒なほどだけど、もう少し説明がほしい。
 
人生いつも嘘をついてきた女と、無意識に妻を虐げてきた男の末路はどうなるか。
やっぱり女は怖いのです。

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『巴里祭』【4Kデジタル・リマスター版】

『巴里祭』(原題:Quatorze Juillet)
監督:ルネ・クレール
出演:アナベラ,ジョルジュ・リゴー,レイモン・コルディ,ポーラ・イルリ,
   レイモン・エイムス,トミー・ブールデール,ポール・オリヴィエ他
 
ルネ・クレール監督の1933年の作品。
4Kデジタル・リマスター版がテアトル梅田にて公開されています。
『恐るべき子供たち』(1950)のリマスター版も公開中なのですが、
この日はなんとなく明るい気分になれるほうを観ようと思いました。
 
7月14日はフランス革命記念日。その前日、13日の活気溢れるモンマルトル
裏通りに面したアパルトマンに暮らすアンナと、
向かいのアパルトマンに住むジャン。お互いのことが気になっている。
 
タクシー運転手のジャンは、同業者のキャビーと共に、
アンナを誘って踊りに行き、このうえなく楽しい一夜を過ごす。
恋人になったはずのふたりなのに、ジャンが自室に戻ると、
そこにはジャンの元カノ、ポーラが居座っていた。
 
即刻ポーラを追い出そうとするジャンだったが、ポーラは動かない。
致し方なく明日には出て行くようにと告げて、ジャン自身が出て行く。
翌日、ジャンの留守中に部屋を訪ねたアンナは、
見知らぬ女がいることに衝撃を受け、何も知らぬジャンに冷たい態度を取ってしまい……。
 
こうして書いてみると、ありがちな話ですよね。
誤解した女が男を振り、振られた男は自棄になって悪行に走るという。
なんちゅうことはないから睡魔に襲われるかもと思いきや、
なんでしょう、テンポがいいのか、結局寝ずに最後まで。
くっついたり離れたりのふたりのことをアホくさと思いながらも退屈せずに観ました。
 
ポーラがまた悪いんですよ。
どうしてこんな女に一時的にでも惚れたのか、
アンナに振られたらすぐに元サヤに戻ることを選ぶのか不思議。
男女の仲なんて百年近くたっても同じなんだと思いました(笑)。
 
原題の“Quatorze Juillet”の意味は単に「7月14日」。
これじゃ邦題にしづらいと考えて「巴里祭」にしたのだとか。
それが日本で浸透して、日本人だけが「パリ祭」と言うらしいというのは面白いことですね。

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『皮膚を売った男』

『皮膚を売った男』(原題:The Man Who Sold His Skin)
監督:カウテール・ベン・ハニア
出演:ヤヤ・マヘイニ,ディア・リアン,ケーン・デ・ボーウ,モニカ・ベルッチ,ヴィム・デルボア他
 
なんばパークスシネマから「もうじきポイントが消滅しますよ」とメールが来ました。
貯めたポイントがなくなるのはもったいなくて行くことにしたけれど、
諸般の事情から休日に車でなんばパークスまで向かわねばならず、
映画はタダで観たのに駐車場代が映画1本分よりも高いじゃあないか。何をやっているのやら。
 
ちなみになんばパークスは平日ならば最大料金が1,000円なんです。これは安い。
しかし休日は最大料金設定がなく、5,000円以上買い物しないと2時間無料になりません。
映画を観ればこのサービスは受けられるはずが、無料鑑賞するときはサービスを受けられないのです。
ひとこと言いたい。ある程度ポイントを貯めている客は、それなりにかよって映画を観ているのよ。
なのに無料鑑賞の日はサービス対応不可って、おかしくないか。
TOHOシネマズや109シネマズ、イオンシネマなどはちゃんとサービスを受けさせてくれるのにさ。
 
と文句を言ってみましたが、この日観た映画には何の文句もない。
チュニジア/フランス/ベルギー/スウェーデン/ドイツ/カタール/サウジアラビア作品。
昨年の東京映画祭で上映されて評判を呼び、このたびの公開に至ったそうです。
 
監督はチュニジア出身の女性、カウテール・ベン・ハニア。
ベルギーの現代アート作家ヴィム・デルボアの実在するアート作品に着想を得たとのこと。
ご本人も本作にカメオ出演していますが、鑑賞後に知ったため、どの人だったかわからず。(T_T)
 
シリア北部の都市ラッカに暮らすサム。
恋人のアビールに列車内でプロポーズして成功、見知らぬ乗客たちからの祝福を受けるが、
喜ぶサムが「これは革命だ」と叫ぶ様子が動画として投稿され、逮捕されてしまう。
親戚である憲兵がこっそりと逃がしてくれるが、もうシリアにはいられない。
 
姉の力を借り、なんとかレバノンへとたどり着いたサムは、
同胞と共に日銭を稼ぎ、セレブのパーティなどに潜り込んでは食事をくすねていたある日、
アビールが見合いで結婚した外交官ジアッドに同行してブリュッセルにいることを知る。
なんとかアビールのもとへ行けないものか。
 
いつものように食事を求めて美術館のレセプションに忍び込んだところ、
著名な現代アート作家ジェフリーの秘書ソラヤからつまみ出されかける。
しかしそれを見たジェフリー本人から呼び止められ、信じがたい提案を受ける。
 
それは、サムの背中にタトゥーを施し、サム自身をアート作品にするというもの。
そうすれば、サムは世界中を自由に行き来できるうえに、金も手に入れられるというのだが……。
 
ただ彼女に会いたくて選んだ道。難民からアート作品へ。
自由を手に入れられたようでいて、彼は展示品だから、展覧会中はずっと拘束されます。
ブリュッセルまで行けたからって、そんな簡単に事は運びません。
肝心の彼女は夫のある身で、しかもその夫はサムの存在に気づいて嫉妬に狂う。
 
また、頼んでもいないのに、難民の支援団体がサムを助けようとします。
あなたは搾取されている、一緒に訴えようではありませんかと。
断ると、美術館まで押しかけてきて、サムの展示室で抗議活動を始めてしまう。
 
暗いエンディングかもしれないと覚悟していましたが、なんのなんの。
実在のアート作品に触発されて製作した映画だから作家のことを悪く言うのはやめたのか、
ジェフリーがサムの幸せへの道を拓いてくれます。
 
難民の話といえば重くなりがち。
こんなユーモアもまじえた作品があってもいいなと思いました。
重くないとはいえ、難民の実情を考えずにはいられません。
 
それはそうとモニカ・ベルッチ、57歳。
ソラヤ役の彼女は相変わらずド迫力の美人。魅入られてしまいました。

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『アイの歌声を聴かせて』

『アイの歌声を聴かせて』
監督:吉浦康裕
声の出演:土屋太鳳,福原遥,工藤阿須加,日野聡,大原さやか,
     浜田賢二,津田健次郎,咲妃みゆ,カズレーザー他
 
観そびれていたアニメ作品が日に一度だけまだ上映中。
イオンシネマ茨木にて。
 
コミックの映画化が多いなか、本作は吉浦康裕監督によるオリジナル。
原作も脚本も監督自身だというのはまぁまぁ珍しいような。
私は観たことがないけれど、『イヴの時間』(2008)の監督です。
 
タイトルの「アイ」は人の名前ではなく、AI(人工知能)のことです。
 
高校生のサトミが暮らしているのは、星間エレクトロニクスという大企業のある実験都市。
この町では星間エレクトロニクスが開発したロボットが農業などに従事している。
サトミの母親は星間エレクトロニクスの研究員で、現在、一大プロジェクトのリーダー。
 
ある日、母親の極秘プロジェクトで試験中の少女型AI“シオン”が
AIであるとは明かさずに転校生として学校に送り込まれることを知ったサトミ。
先生に連れられてやってきたシオンは、サトミを見つけるとなぜか一目散に走り寄る。
 
「サトミ、幸せ?」といきなり尋ねるシオンは急に歌い出し、学校中から変な子認定されるが、
成績優秀、スポーツ万能、変わっている点を除けば明るくて良い子。
皆が友だちになりたがるのに、シオンはサトミを追いかけ回す。
 
シオンがもしもバグなどを起こしてトラブルになれば、母親の立場が危うい。
逆に試験期間の5日間だけシオンが普通に振る舞うことができれば、母親の出世は間違いない。
なんとかシオンを守ろうとするサトミだったが、懸念通りトラブル発生。
偶然その場に居合わせた同級生4名にシオンの正体がバレてしまい……。
 
母親には結構イライラします。
男社会の中でやっかみを受けながらがんばる母親の気持ちは理解したいけれど、
自分が開発したAIを娘の学校で試用するのに、娘に何も知らせない。
娘が母親のためにトラブルを隠そうと必死なのに、上手く行っていると信じて疑いません。
トラブルが明らかになるとヤケ酒を煽って娘に八つ当たり。どうよこれ。
 
サトミが学校の嫌われ者だという設定は新鮮。
優等生だけど、かつて上級生の喫煙を先生にチクったことから、「告げ口姫」と呼ばれています。
そんな彼女には誰も近づこうとしない。シオンだけが近づいてくる。
やがて告げ口をした理由も明らかになり、そこはわりとジワーン。
 
シオンの声を担当するのは土屋太鳳
実写映画でヒロインを演じるときの彼女が声を作っていると揶揄されることがありますが、
本作のシオンにはその声がとても合っています。歌も上手い。
サトミの幼なじみで機械マニアのトウマの声は工藤阿須加が担当。彼も良いですねぇ。
 
このところ、AIが友だちみたいな作品が多くて、大丈夫かなのか子どもたち、と思ったりも。
科学バカの私は、AIがネットに逃げるとか、実際に考え得るのかどうか不明。
そのうちAIは本当に感情を持つようになるのでしょうか。もうなっていたりします?
本作ではそれがよかったけれど、悪用されると怖いなぁ。
科学による発明って、誰がどういう目的を持って使うかでやっぱり変わる。

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