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『かたつむりのメモワール』

『かたつむりのメモワール』(原題:Memoir of a Snail)
監督:アダム・エリオット
声の出演:セーラ・スヌーク,コディ・スミット=マクフィー,エリック・バナ,マグダ・ズバンスキー,ドミニク・ピノン,トニー・アームストロング,ポール・カプシス,シャーロット・ベルジー,メイソン・リツォス,ニック・ケイヴ,ジャッキー・ウィーヴァー他

『メアリー&マックス』(2008)を観たときは言葉を失いかけました。そのアダム・エリオット監督の新作は大阪市内へ出向かないと観られません。TOHOシネマズなんばで鑑賞。

エリオット監督の年齢が定かではないのですが、プロフィール写真からはまだそれほどのお歳ではなさそう。とはいうもののものすごい寡作で、日本で公開された作品は3本のみ。この3本以外に4本撮っていらっしゃるようですが、それらはすべて短編作品らしい。もっとようさん撮れんのかいと思わなくはないものの、粘土でこんな造作をするだけでも多大な時間を要するうえに、毎度アニメとは思えないほどテーマが重いストップモーションアニメなんです。本作も子ども向けとは到底言えない重さ。アニメだからって子ども向けと思うのがそもそも誤りなのでしょうね。

主人公の女性グレースが家族同然に親しかった老婆ピンキーを看取るシーンから始まります。ピンキーを喪ってひとりっきりになったグレースが、シルヴィアと名づけていたかたつむりに話して聞かせる思い出。

1970年代のオーストラリア。双子の姉弟グレースとギルバートがこの世に生を受けるが、出産と同時に母親は死亡。口唇裂のせいでいじめられるグレースをいつも守ってくれたのはギルバート。いよいよ手術したほうがよいということになったときもギルバートが輸血に協力してくれる。

父親は男手ひとつで子どもたちを育てようと頑張ってきたが、不幸な事故に遭う。下半身麻痺となってからは酒に溺れ、ある日急死。グレースとギルバートは別々の家に里子に出されることに。

グレースの里親イアンとナレルは「まぁまぁ」の良い人間。ただ、彼らはスワッピングカップルであるため、ほかのカップルとの出会いの場を求め、たびたび乱交パーティーヌーディストグループの集まりへと出かけて家を空ける。そのときにはグレースは置き去りにされるのだ。

一方のギルバートの里親オーウェンとルースは農家を営む宗教原理主義者。言うことを聞かない子どもには悪魔祓いと称して虐待をおこなうのが常。彼らの実の息子4人のうちベンだけはギルバートとウマが合い、こっそり一緒に遊ぶようになるが、あるときギルバートとベンがキスしているのをルースに見られ、ホモは悪魔だとして虐待される。

グレースとギルバートは会えないまま年月が過ぎてゆく。処女のまま年頃をはるかに過ぎたグレースは、ついにありのままの自分を愛してくれる男性ケンと出会う。自分の結婚式にはギルバートに参列してもらおうと、招待状と航空券を送るのだが……。

こうして書いているだけでも、どんなアニメやねんと思います(泣)。ようやく幸せを掴んだかに見えたグレースでしたが、実はケンがただのデブ好きだとわかります。グレースのために作ったミルクセーキマシーンも、グレースを自分好みのデブにしたかっただけ。

社会に巣食うありとあらゆる問題が込められていて、観ているのが本当につらい。クレイアニメと言ったって、“ウォレスとグルミット”みたいな可愛いものではなく、シワだらけの婆さんの死に際の絶叫を聞くシーンから始まるのですから。

凄惨な話が続くだけに、最後はちょっと感動。徹底して叩き落とされて、でも最後には「人生、生きていればいいこともあるよ」と言われているかのよう。

『F1/エフワン』〈字幕版〉

『F1/エフワン』(原題:F1)
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:ブラッド・ピット,ダムソン・イドリス,ケリー・コンドン,トビアス・メンジーズ,ハビエル・バルデム,サラ・ナイルズ,キム・ボドゥニア,ジョセフ・バルデラマ,ウィル・メリック他

公開初日、109シネマズ大阪エキスポシティにてIMAXレーザーGT版を鑑賞しました。36回観た『トップガン マーヴェリック』(2022)と同じ、ジョセフ・コシンスキー監督作品。

F1ドライバーが主人公の作品といえば、すぐに思いつくのは『ラッシュ/プライドと友情』(2013)。それ以外でもカーレーサーが主人公の話なら『フォードvsフェラーリ』(2019)なんかも面白かった。昔は鈴鹿サーキットへもよく行きました。なんだかんだでレース好きです。

ソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)はかつてアイルトン・セナやアラン・プロストとも競った天才ドライバー。1990年代に所属していたチーム・ロータスで今まさに頂点にのぼりつめようかというときにクラッシュ。大怪我を負った彼はチームを追われ、ギャンブルに走って家庭も破綻。しかし走ることが心底好きだと気づき、以降はレースの大小問わずにドライバーとして渡り歩く日々を送っている。

デイトナ24時間レースに参戦したソニーは激走を見せて見事チームを勝利に導く。このままチームに残らないかと惜しがられるも断った彼は、その後に立ち寄ったコインランドリーで、ロータスでチームメイトだったルーベン・セルバンテス(ハビエル・バルデム)から声をかけられる。

今はチーム・エイペックスのオーナーであるルーベンが言うには、チームは1勝もできないままで最下位に沈み、残り9レースでなんとか結果を残さなければチームの存続が難しくなるのだと。エイペックスには才能あふれる新人ジョシュア・ピアス(ダムソン・イドリス)がファーストドライバーとして在籍しているが、傲慢な性格が災いして完走することすらままならない。セカンドドライバーとしてソニーを招聘し、この事態を変えてほしいとルーベンは考えているのだ。

金に興味はないが、走りたい。これは奇跡を呼び込めるかもしれないと、チームに合流するソニー。しかし、こんなジジイにチーム内の自分のポジションを奪われてたまるかと思うジョシュアは最初から喧嘩腰。あまりにワガママな坊やぶりにソニーも怒りを抑えられず……。

とにかくレースのシーンが多い。肝心のシーンが多いというのは『国宝』と同じで、魅入られます。ケリー・コンドン演じるF1チーム初の女性テクニカルディレクターと恋に落ちるものの、長いラブシーンなどは皆無。あ、彼女が若すぎないのもいいですね。トム・クルーズの相手役がジェニファー・コネリーだったように、ブラピとケリー・コンドンはちょうどいい。

そしてやっぱりイイ、ハビエル・バルデム。トム・クルーズと別れた後のペネロペ・クルスと結婚してからもう十数年経つわけですが、素敵なカップル。ハビエル・バルデムを初めて知ったという人には『海を飛ぶ夢』(2004)をオススメしたい。『コレラの時代の愛』(2007)も強烈です。初恋の女性と結ばれる日を50年以上待ち続けた男性の話で、その日まで自分はヤリまくるんですから(笑)。

ちなみに私はもともとトム・クルーズよりブラピのほうがタイプです。本作を観てそれは変わらないなぁと思いました。それにしてもトム・クルーズといいブラピといい、60歳を過ぎた男がこんなにカッコイイのは嬉しいこと。

コシンスキー監督は、空の世界を描いても凄かったけど、陸の世界を描かせても凄かった。絶対、大スクリーンで観るべき作品。

『ルノワール』

『ルノワール』
監督:早川千絵
出演:鈴木唯,石田ひかり,中島歩,河合優実,坂東龍汰,リリー・フランキー,ハナ・ホープ,高梨琴乃,西原亜希,谷川昭一朗,宮下今日子,中村恩恵他

109シネマズ大阪エキスポシティにて。

スルーしそうになっていたところ、後述の『F1/エフワン』の封切り日にハシゴ可能な時間帯の上映。んじゃ観ようかということで。

『PLAN 75』(2022)がたいそう話題になった早川千絵監督ですが、テーマが重くて観る気になれないまま今まで来ました。本作はそれとはまた違うテーマだけれど、なんとなくカンヌっぽい(芥川賞っぽい)イメージ。日本/フランス/シンガポール/フィリピン/インドネシア作品で、多様な人が関わっているようです。

小学5年生の沖田フキ(鈴木唯)は溢れ出す好奇心を抑えきれない少女。たくましすぎる想像力で作文を書けば、教師も傑出した文才を認めつつ、その内容が大人を戸惑わせる。

フキの父親・圭司(リリー・フランキー)は癌に冒されて余命わずか。母親・詩子(石田ひかり)は勤務先で管理職に昇進したばかりだが、そのきつい物の言い方のせいでパワハラ認定される。圭司の最期を自宅で迎えられるようにすべきだと思うものの、公私ともにイライラを募らせる詩子。

こんな家庭で親の目を向けられることが少ないフキは、あちこちに興味を向けます。英会話教室で見かけるいかにもお嬢な同年代の少女(高梨琴乃)のお下げ髪に触る。最近夫を亡くしたらしい近所の物憂い女性(河合優実)に話しかけて家に上がり込む。郵便受けに入っていたチラシを見て伝言ダイヤルにかけ、話し相手の大学生(坂東龍汰)から呼び出されて会いに行く。

もうなんというのか、フキの行動は危なっかしいばかりか、見ていて不愉快にすらさせられます。フキの心情をあらわにするシーンはないから、観て感じ取るしかありません。いちいち言葉で説明されるよりもそのほうが余韻があって良いには違いないけれど、とにかく心地が悪い。

ただ、登場人物の誰にも共感できないにもかかわらず、作品自体には惹かれます。いつ頃の話なのか作品中では具体的に明かされないせいで、最初はいろんな描写がひっかかる。本人への癌の告知は珍しいという台詞やパワハラなど、え、いつのこと!?と思っていたのが、キャンプファイヤーでYMOの“ライディーン”がかかると確実に1980年代だわかります。これは楽しいシーン。

今から何十年も前が舞台でありつつも、癌に効くあれこれだとか自由診療だとかいうものは、今も昔も存在する。藁にもすがりたい人たちの思いにつけ込む商売に私もすがりかけたから、そんなシーンは複雑な思いで観ました。

好きじゃない。でも気になる作品であり監督でもあります。

『秘顔 ひがん』

『秘顔 ひがん』(英題:Hidden Face)
監督:キム・デウ
出演:ソン・スンホン,チョ・ヨジョン,パク・ジヒョン,パク・ジヨン,パク・ソングン他

キノシネマ心斎橋にて、前述の6回目の『ファーストキス 1ST KISS』の次に。

上映時刻になっても入場のアナウンスがなく、何事かと思ったら、機材トラブルがあった模様。15分遅れての入場となり、予告編なしの本編からの上映でした。客は私を含めてたったの3人だったけど、予告編を楽しみにしている人も多いんじゃないかなぁ。私の場合、シネコンでの予告編は暗唱できるほど観ていますが、ミニシアターでの予告編は観たい。とはいうものの、本作はもともとの上映終了時刻が23時近かったから、それより遅くなるよりはいいか。

スペイン作品『ヒドゥン・フェイス』(2011)の韓国版リメイクなのだそうです。予告編を観たときに面白そうだと思い、かなり期待して心斎橋まで出向いたのですけれど。

しがない食堂の息子に産まれたソンジン(ソン・スンホン)は、今はある交響楽団指揮者。楽団のオーナーであるヘヨン(パク・ジヨン)の娘でチェリストのスヨン(チョ・ヨジョン)から逆プロポーズを受けて婚約したゆえのポジション。豪奢な中古物件をリフォームし、ソンジンとスヨンは新生活を始める。

スヨンと結婚すれば金の心配は不要だし、名声も手に入れて今後は安泰。しかし、ヘヨンはイケメンのソンジンをお飾りの指揮者としか見ていない様子なのが腹立たしい。不満を見せるソンジンを慌てさせようと、スヨンはソンジンに宛てたメッセージ動画を残して家出する。

わがまま娘のことだから、数日でケロっとした顔で帰ってくるだろうとヘヨンは言う。スヨンの帰りを待つべきだとソンジンは考えていたが、チェロの席を空けたままはよろしくないと言うマネージャー。ヘヨンの手配でチェリストに応募してきたミジュ(パク・ジヒョン)を面接したソンジンは、シューベルトが好きだというミジュとその理由に驚き、すぐに彼女に惹かれるのだが……。

現在から3カ月前、7カ月前へと時を遡り、また現在に戻って描かれます。オリジナルのスペイン作品を観ていないので、このリメイクとどう異なるのかわかりませんが、ちらっと読んだところでは、恋人だか夫だかの浮気を疑う女性が秘密の小部屋に隠れたら閉じ込められて出られなくなった、みたいなことだったかと。鍵がなくなったとか壊れたとかの事情による事故なのか、誰かにハメられたのか。オリジナルと同じなのかしら。

ネタバレですが、とにかくこのリメイク版では、スヨンとミジュがレズビアンで恋人同士の関係。本当はふたりが一緒に住むはずだった家に、スヨンは自分が同性愛者であることを隠してソンジンと住むと言うのです。傷ついたミジュは、スヨンからしばらく身を隠してみるつもりだという計画を聞いたときに、ふと仕返しすることを思いつきます。

かつてスヨンとミジュが共にチェロを練習していたこの家にはマジックミラー付きの隠し部屋があります。そこにしばらく潜むことにしたスヨンをミジュが閉じ込めて、スヨンの目の前でソンジンと激しい絡みを見せつける。ミジュ役のパク・ジヒョンがとても綺麗なので、彼女目的で観に行くならオススメしますが、話としてはイマイチ。なんというのか、とても嫌な話なんです。

最終的には部屋から出てきたスヨンがソンジンと合意のもとミジュを閉じ込めますが、ミジュもそのことを楽しむかのように、スヨンを部屋に招き入れて今から絡みますよ、的な。このラストで一気にチープな作品になってしまった気がします。結構な濡れ場なので、私以外の客は男性2人だったからなんとなく気まずいし。私がいちばん後ろに座っていたのが救いです(笑)。

6回目の『ファーストキス 1ST KISS』

ほとんどの劇場で上映が終了していたので、もう観ることはないかなと思っていたのに、6月にキノシネマ心斎橋にて4本ハシゴした折に、こちらではあらたに上映が始まることを知る。後述の作品を観に行くついでに、6回目の『ファーストキス 1ST KISS』を観ることに。

5回目を観てから1カ月半から2カ月経っていたのではないでしょうか。今さら何を言うてるねん、どこを観ててんと言われそうなことがあります。駈(松村北斗)が玄関を出た後にカンナ(松たか子)のスマホに着信があって、あのときふっと自嘲気味に笑ったカンナの顔を見て、いったい誰からどんなメッセージが来たのか気になったのに、深く考えたことがありませんでした。あれって、おそらく駈からの「離婚しよう」というメッセージだったのでしょうね。

6回目でもドキドキわくわくキュンキュンできました。「現状、結婚していないのに離婚したなんて」と絶望的な台詞を吐く駈にはいつも笑ってしまう。そして、15年後の君に会いたいと言う彼にもキュンキュンします。ま、松村北斗があの表情で言ってくれるからなんでしょうけれども。(^^;

もうこれがホントにラストかな~。