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『国宝』

『国宝』
監督:李相日
出演:吉沢亮,横浜流星,高畑充希,寺島しのぶ,森七菜,三浦貴大,見上愛,
   黒川想矢,越山敬達,永瀬正敏,嶋田久作,宮澤エマ,中村鴈治郎,田中泯,渡辺謙他
 
封切り日、前述の『リロ&スティッチ』の後、TOHOシネマズ伊丹のレイトショーにて鑑賞。
予告編を含めると190分、本編175分というボリウッド顔負けの長尺
もしも109シネマズ箕面で観たら駐車サービスでカバーできませんね。(^^;
 
李相日監督が吉田修一の小説を映画化するのは『悪人』(2010)、『怒り』(2016)に続いて3度目。
吉田修一は好きな作家のうちのひとりではありますが、本作の原作は未読です。
毎日寝不足でこの長尺だと睡魔に襲われるのではという懸念も消え去る濃密な175分でした。
 
ヤクザの組長・立花権五郎(永瀬正敏)の息子として長崎で生まれた少年・喜久雄(黒川想矢)は、
一門が集う席の余興に歌舞伎女形を演じてみせる。
権太郎に招かれてその席にいた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺謙)は、喜久雄の才能に目を見開く。
 
ところがその直後にカチコミがあり、権太郎は喜久雄の目の前で死亡。
父の仇を討つべくしばらくは長崎にいた喜久雄だったが、半二郎に引取られてその息子・俊介(越山敬達)と出会う。
ふたりは実の兄弟同然に育てられ、厳しい稽古で互いに高め合いながら芸の道に邁進する。
 
50年という月日の流れが描かれています。
成長してからの喜久雄を吉沢亮、俊介を横浜流星が演じているのは皆さんご存じかと。
 
吉沢亮が酔っぱらって他人の部屋に侵入した事件はまったくもっていただけませんが、
本作に主演する重圧はものすごく高かっただろうと鑑賞して思いました。
普通の感覚で演技できたとは思えないぐらいの凄まじさで、飲まなやってられんぐらいの感じだったかと。
だからって人に家に間違って入るぐらい酔うのは絶対アカンけど。
 
想像していたよりも歌舞伎のシーンが多くて、むしろそれ以外のシーンの少なさに驚きました。
少年時代の子役ふたりも、吉沢と横浜の両人も、素晴らしい演技を見せてくれます。
 
人間国宝の歌舞伎役者・小野川万菊を演じる田中泯はいつもとまるで違う話し方。
生まれついての女形でそのまま90歳を超えましたという雰囲気が圧巻。
 
また、三浦貴大演じる竹野の存在が面白い。
竹野は歌舞伎興行を手がける会社の社員でありながら、「歌舞伎なんてどうせ典型的な世襲制」と最初は冷ややか。
喜久雄と犬猿の仲になるかと思いきや、喜久雄のことを認め、最後まで力になろうとするのがこの人。
 
この世界で親がいないのは首がないのと同じ。
それほど血筋が大切にされる場だけれども、血筋がなくとも芸で道を拓く。
悲劇に何度も襲われながら喜久雄がたどり着く道は、切ない美しさに魅了される175分間。
 
しかしやっぱり苦手なんですけどね、老けメイク。これが出てきた瞬間に若干(かなり)冷める私。(^^;
にしても、そこまでが美しすぎたから、この老けメイクも必要だったものと捉えることにします。
 
ちなみに本作を観たのは6月6日のことでした。
鑑賞から今日までの20日近くの間、どれだけの人から「観ましたか」と尋ねられたことか。
よほど先にUPしようかと思うところを耐えて、鑑賞順を守って本日UPに至る。
大ヒット中なのが嬉しいです。原作ファン、歌舞伎ファンの間では否定的な感想もあるようですが、
イケメンふたりがこんなに美しい姿を見せてくれる、それだけでじゅうぶんなところ、それ以上。

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