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『国境の夜想曲』

『国境の夜想曲』(原題:Notturno)
監督:ジャンフランコ・ロージ
晩ごはんを京都で食べることになり、その前に映画を2本。
京都シネマに行きました。
イタリア/フランス/ドイツ作品。
監督は『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』(2013)のジャンフランコ・ロージ。
第77回ヴェネチア国際映画祭で3冠を受賞するなど、評価が高い。
でも、テロップやナレーションが一切ないから、
何を見せられているのか終始わからないまま。
圧巻の映像の前には説明など余計ということなのかもしれないけれど、
こういうのは素人にツライのです。
3年以上の間、イラクシリアレバノンクルディスタンの国境地帯で撮影されたそうです。
戦争で失った息子を想い歌う母親たち。
ISIS(イスラム国)の侵略を目の当たりにした子どもたち。
政治風刺劇を上演する精神病院患者たち。
上記のような人たちを撮影しているのだとわかったのは鑑賞後。
そりゃなんとなくはわかります。
拷問されて亡くなったとおぼしき息子を哀悼する母親の歌声は胸に迫るし、
殺戮を目にした子どもたちが心のケアを受けて、訥々と話したり、
当時の状況を絵に描いたりするのを見たときは、
こんなことがあってよいものだろかと呆然としました。
文句を言うことは許されない作品でしょう。
でも、説明はやっぱりほしい。
予備知識がいっさいないと、そこここで睡魔に襲われる。
説明がないからこそ、この切実さがわかるとか言われたら、
いや、説明がなければわからんからと言いたくなってしまう。
寝たらあかんと思うのですけどね。寝てまうやん。
それぞれの国境地帯の様子をある程度は頭に入れてから鑑賞すべき。

—–

『355』

『355』(原題:The 355)
監督:サイモン・キンバーグ
出演:ジェシカ・チャステイン,ペネロペ・クルス,ファン・ビンビン,ダイアン・クルーガー,
   ルピタ・ニョンゴ,エドガー・ラミレス,セバスチャン・スタン,ジェイソン・フレミング他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『前科者』とハシゴ。
 
めっちゃ面白そうだったんです、予告編。
違うタイプの美女がぞろぞろ出てきて、“チャーリーズ・エンジェル”みたい。
強くてカッコイイ美女だらけというのは同性から見ても嬉しいものです。
 
麻薬カルテルの大規模取引がおこなわれそうだということで、
コロンビア諜報機関DNIが現場を押さえようと張り込んでいたところ、
そこで取引されるのは麻薬ではなく、何もかもハッキング可能なデバイスであると判明。
取引が成立しかけたときに突入して撃ち合いとなる。
 
現場にいた麻薬カルテル側の人間は全滅。
突入した側の特殊部隊諜報員ルイスのみが生き残り、デバイスを持ち逃げする。
このデバイスがあれば、旅客機を思いのままに墜落させることも、
世界中を停電させることも、すべての携帯を監視することも可能。
 
悪用されれば第三次世界大戦が起こるやもしれぬ危機。
アメリカのCIAはデバイスを奪取すべく、諜報員メイスとその同僚ニックを抜擢。
ルイスが提示してきた300万ドルで買い取るためにパリへと乗り込むが、
受け渡し現場にはドイツのBNDの諜報員マリーも張り込んでいた。
 
メイスとマリーが追走劇を繰り広げる間にニックは襲撃に遭って死亡。
逃げおおせたルイスのもとへはDNIに所属するセラピストのグラシエラが向かい、
デバイスを引き渡すよう、ルイスの説得を試みていた。
 
一方のメイスは、旧友でイギリスの元MI6のサイバーエージェント、ハディージャに連絡。
もう危険な仕事には戻りたくないというハディージャに世界の危機を伝え、
今回だけはどうしても力を貸してほしいと力説する。
 
グラシエラに従うことにしたルイスは、DNIの護衛付きでその場を離れようとするが、
メイスとハディージャ、マリー、さらには謎の武装者たちから追われるはめになり……。
 
めっちゃ面白そうだと思ったけれど、残念ながらそれほどでもなく(笑)。
 
CIAの美女にはジェシカ・チャステイン、MI6の美女にはルピタ・ニョンゴ
BNDの美女にはダイアン・クルーガー、BNIの美女にはペネロペ・クルス
そして最後には中国国家安全部の美女としてファン・ビンビンが登場します。
 
男共が裏切る裏切る(笑)。
死んだと思われたニックは生きているし、信頼していた上司も裏切り者。
とにかく予想できる裏切りは全部あるので、驚きがない。
なのに、これは疑うところだろうというところで疑わなかったりするのがちょっと。
とにかく、最初は敵同士だった女たちは一致団結。男共はバッサリやられます。
 
カッコイイんですけどね。
この中ではいちばん若いルピタ・ニョンゴが38歳。
最年長はペネロペ・クルスの47歳。45歳のダイアン・クルーガーが超ステキ。
この年代でこれだけ綺麗でスタイルよかったら、そら憧れる。
 
ジェシカ・チャステインがプロデュースも担当していて、
最後の台詞なんかを聞くと続編も考えている感じですけど、ちょっとツライかも。
まぁ、美人は見ているだけで楽しいから、それでもまた観ると思います。

—–

『前科者』

『前科者』
監督:岸善幸
出演:有村架純,磯村勇斗,若葉竜也,マキタスポーツ,石橋静河,
   北村有起哉,宇野祥平,リリー・フランキー,木村多江,森田剛他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、仕事帰りに2本ハシゴ。その1本目。
 
岸善幸監督はもとは演出家でありプロデューサー。
テレビ番組制作プロダクションのテレビマンユニオンでは是枝裕和監督の同期だとか。
スタッフとして関わった番組を挙げると、『アメリカ縦断ウルトラクイズ』だとか、
『世界ウルルン滞在記』の前身番組だとか、『情熱大陸』だとか、人気番組だらけ。
 
監督デビュー作となったのは門脇麦主演の『二重生活』(2015)。
2作目は菅田将暉主演の『あゝ、荒野』(2017)。
なぜだか2本とも私は劇場鑑賞を逃しているのですよねぇ。
その後、DVDや配信でも観ていないから、単に時間が合わなかった以外の何か、
気分が乗らなかったということがあるのでしょう。
でも本作は観る気になりました。森田剛が見たくて。
 
まだ子どもだった頃の出来事をきっかけに、保護司となった阿川佳代(有村架純)。
保護司とは、元受刑者の更生をサポートする国家公務員だが、報酬は無し。
佳代はコンビニのアルバイトで生計を立てながら、
更生を目指す前科者たちに寄り添おうと日々奔走している。
 
佳代が新たに担当するのは、殺人を犯して服役し、仮釈放された工藤誠(森田剛)。
身元引受人となった自動車修理工場の社長のもと、実に真面目に働き、
保護観察期間が満了すれば正社員に雇うつもりだと言う社長の言葉に喜ぶ佳代。
 
そんな折、交番勤務の警察官が拳銃を奪われたうえに撃たれて負傷、
その拳銃で福祉課の職員と児童養護施設の職員が立て続けに射殺される事件が起きる。
 
佳代との最後の面談に現れなかった誠のことを心配していると、
刑事の鈴木(マキタスポーツ)と滝本(磯村勇斗)が佳代を訪ね、
誠が連続殺人事件の容疑者として追われていることを知らされるのだが……。
 
予告編を観たとき、有村架純はちょっと違うかもと思いました。
本編を観た後もちょっと違ったかもと思っていますが、だからって合っていなかったわけではなく。
それに、他に適役が思い浮かぶわけじゃなし。
 
『ノイズ』では冒頭で元受刑者を島に連れてくる保護司があっちゅうまに殺されていました。
保護司っていったいどういう仕事なのだろうと思っていたら、こういうことですか。
報酬は発生していると思っていたら、ボランティアだなんて。偉すぎる。
 
佳代は28歳という若さで、担当する元受刑者には女性もいるけれど、
本当に信用していいのかどうかわからないオッサンとかもいます。
彼らに面会に行くのはいいとして、家に上げて食事も振る舞うなんて、まず危険を感じてしまう。
しかも、自宅の鍵の在処を隠しもせず、帰宅したら勝手に上がり込んでいることもあるのですから。
前科者に本心で寄り添い信じていなければ、こんなことできませんよね。
 
本作もキャストに魅力を感じます。
森田剛がとてもよかったのはもちろんのこと、佳代が勤めるコンビニの店長役の宇野祥平が◎。
たびたび急用で飛び出す佳代の立場を理解し、文句も言うけど優しい。
猫に「時給いくら?」なんて尋ねるシーンにはほっこりしました。
 
ほかに佳代の上司で保護観察官役の北村有起哉も毎度の良さ。
本物の夫婦で出演したAmazonプライムのCMは不評だったようで残念。
そりゃ、役者としての彼を知らない人が見たら、
格好良くもないのに何このオヤジ、と思うでしょうね(笑)。いい俳優なのに。
 
先輩刑事役のマキタスポーツのとぼけ具合も良いし、
佳代が担当する元受刑者役の石橋静河には泣かされました。
石橋凌原田美枝子の娘である彼女、現時点で私はかなり好きです。
 
私は死刑廃止論者ではないので、家庭内DVで家族を殺した人間など、
死刑になったって仕方ないでしょと思っています。
でも、木村多江演じる弁護士は「更生する機会を区別してはいけない」と言う。
そうかなと少しは思う。
 
一方、本作の誠や弟の実(若葉竜也)のような虐待を受けてきた側の人は、
相手を殺したくもなってしまうでしょうとより強く思う。
彼らが戻ってきたときにどうか居場所がありますように。

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『ギャング・オブ・アメリカ』

『ギャング・オブ・アメリカ』(原題:Lansky)
監督:エタン・ロッカウェイ
出演:ハーヴェイ・カイテル,サム・ワーシントン,アナソフィア・ロブ,ミンカ・ケリー,
   デヴィッド・ジェームズ・エリオット,ジョン・マガロ,デヴィッド・ケイド他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
上映館がやたら少ないじゃあないですか。
だからこれもNetflix独占配信の先行上映だったりするのかしらと思いましたが、
そういうわけではないらしい。仕事帰りに寄れる劇場だとここしかありません。
 
公式HPを見ると、いまだにハーヴェイ・カイテル『レザボア・ドッグス』(1991)の。
サム・ワーシントンは『アバター』(2009)の。
このふたりの代表作ってこれになるんですかね。
私はサム・ワーシントンなら『崖っぷちの男』(2011)が好きだったなぁ。
批評家の評価は全然駄目ですけどね(笑)。
ハーヴェイ・カイテルなら何だろう、ありすぎるけど、『スモーク』(1995)かな。
最近では『異端の鳥』(2019)が印象に残っています。
 
という話はさておき、本作でハーヴェイ・カイテルが演じるのは、
1920年代から1970年代にかけて暗躍した伝説のマフィア、マイヤー・ランスキー。
 
1981年。
作家のデヴィッド・ストーンは、妻子を養う金を作れずに困り果てていたところ、
伝説的マフィア、マイヤー・ランスキーの伝記執筆を任されることに。
 
マイヤーが付けた条件は、「俺が生きているうちは、誰にも読ませるな」。
もしもその約束を破ったときはデヴィッド自身、そして家族の安全も保証されない。
デヴィッドはもちろん条件を飲み、マイヤーへのインタビューを開始する。
 
ポーランド系ユダヤ人の両親の間に生まれ、貧しい幼少時代を過ごしたマイヤー。
しかし、路上でおこなわれている賭け事を見て、ゲームを支配することを学ぶ。
 
数字に圧倒的に強いマイヤーは、暴力を愛するベン・シーゲルを相棒にビジネスを展開。
イタリア系マフィアの最高幹部ラッキー・ルチアーノの懐に入り込むと、
殺し屋集団“マーダー・インク”を結成するなどして、暗黒街に君臨する。
 
1960年代にはカジノを併設するホテルを建設。
投資で3億ドルを儲けたと言われており、資産の行方をFBIが追っていたが見つけられず。
デヴィッドがマイヤーに密着取材していると知ったFBIは再び捜査を開始し、
なんとかマイヤーに金の在処を吐かせるためにデヴィッドを利用するのだが……。
 
ハーヴェイ・カイテルの演技には適度な重みがあり、
マイヤー・ランスキーの人となりや生き様がわかるようで面白い。
しかし一方のデヴィッド・ストーンのほうの人生がまるでわからないのです。
こんなにも生活に苦労しているのはなぜなのか、
そんな売れない作家に伝説のマフィアの伝記を書く話が回ってきたのはなぜなのか。
しかもいとも簡単にハニートラップにかかってFBIに弱みを握られるという(笑)。
重さと軽さのバランスがちょっと悪い。
 
とはいうものの、最後まで面白く観ました。
そもそも私はマイヤー・ランスキーというマフィアがいたことも知らなかったので、
彼がアメリカ経済にいかに貢献したかを記すエンドロールの皮肉なテロップまで面白かった。
 
アル・カポネにしてもランスキーにしても、みんなほんとに資産を隠していたのかしら。
ランスキーがどこにお金を使ったのか。
想像の域は超えませんが、ちょっとウルッとします。

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『鹿の王 ユナと約束の旅』

『鹿の王 ユナと約束の旅』
監督:安藤雅司,宮地昌幸
声の出演:堤真一,竹内涼真,杏,木村日翠,阿部敦,安原義人,
     櫻井トオル,藤真秀,玄田哲章,西村知道,青山穣他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『大怪獣のあとしまつ』の次に。
 
原作は上橋菜穂子のベストセラー小説ですが、 1冊では終わらないことに躊躇して未読。
原作読まず、映画も一度観ただけのわかる範囲でのあらすじです。
 
かつて敵対関係にあったツオル帝国とアカファ王国。
強大な力を持つツオルにアカファが従属する形で、現在は友好関係を築いている。
しかしそれは表向きの話で、アカファの王はツオルを叩く機会を密かに窺っていた。
 
あるとき、ツオルの岩塩鉱を山犬が襲う。
山犬は黒狼熱(ミッツァル)というウイルスを宿すとされており、
山犬に噛まれた人間は苦しみながら直に死に至る。
岩塩鉱で奴隷として働かされていた人々や看守たちも襲われてすぐに息絶えるが、
どうやら山犬に噛まれても死なずに逃げ出した者がいる様子。
 
それは奴隷の元戦士ヴァン。
山犬に噛まれても生き延びたということは、ヴァンには抗体があるはず。
ツオルの皇帝に呼ばれた医師ホッサムは、ヴァンの血から治療薬をつくれると考え、
行方を追ってなんとしてでも生きたまま連れ帰ってほしいと皇帝に頼む。
 
アカファの王の懐刀トゥーリムは、ツオルの皇帝に協力すると見せかけて、
凄腕の跡追い女にヴァンを探し出して殺すように命じる。
 
跡追い女はヴァンの行方を追ううち、彼がひとりではなく、
ユナという名の女児を連れて逃げていることに気づくのだが……。
 
原作、面白いだろうなぁと思えるアニメでした。
予告編を観たとき、ミッツァルって、なんでこんな発音しにくい名前つけるねんと思っていましたが、
これだけ言いづらい片仮名が出てきても、映画版を観た今ならサクサク読めるかもしれません。
 
ヴァンとユナがたどり着く集落の人々との暮らしはに和みます。
ニコリともしなかったヴァンが、こうして暮らすうちに笑うようになる。
命を懸けても守りたいものができる過程。
 
山犬の王として選ばれたのは自分。でもユナにもその資格があるらしい。
自分が山犬を率いなければ、ユナがそこに導かれてしまうと悟ったときのヴァン。
泣くほど感動したわけではないけれど、かなり切なかったです。
 
原作をお読みになった方の評価はいかがですか。

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