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『バイオレント・ナイト』

『バイオレント・ナイト』(原題:Violent Night)
監督:トミー・ウィルコラ
出演:デヴィッド・ハーバー,ジョン・レグイザモ,エディ・パターソン,カム・ジガンデイ,
   アレックス・ハッセル,アレクシス・ラウダー,ビヴァリー・ダンジェロ,リア・ブレイディ他
 
イオンシネマ茨木にて前述の『バンバン!』を観たあと、毎週火曜日の常、食パンを買いに
雪もしんしんと降ってきて、そのまま帰りたくなったけれど、
『ブラックナイトパレード』と勘違いして公開後しばらく見落としていた本作が気になり、
帰宅せずに109シネマズ箕面へと向かいました。21時半からのレイトショー。
 
監督はノルウェー出身、『セブン・シスターズ』(2016)のトミー・ウィルコラ。
デビュー作は『キル・ビル』(2003)をパロった『キル・ブル 最強おバカ伝説』(2007)でした。
ほかの作品もB級らしきタイトルが並んでいますが、いつも監督自身のオリジナル脚本。
ちょっとダーティな役が似合うデヴィッド・ハーバー。今回の配役は大当たり。
 
パブでべろべろに酔っぱらっているサンタクロースの格好をした中年男。
ほかの客から「サンタになって何年か」と問われ、「さぁなぁ。もう今年で辞める」とぼやく。
毎年この時期にサンタになるアルバイトだと誰しもが思っていたが、
実はこの中年男は正真正銘、本物のサンタ。
 
いつの頃からか、プレゼントのリクエストはゲーム機だったり現金だったり、
サンタとしては空しくなるものばかり。
とっととプレゼントを配り終えてしまおう、そう思って向かったのは、
女社長ゲートルード・ラインストーンとその親族が集まる凄まじき豪邸。
 
ところが、サンタが到着したときには血も涙もない強盗団が侵入済み。
金の在処を知っているとおぼしき親族だけが生かされていたが、
執事ボディガードも使用人という使用人はすべてすでに殺害されていた。
強盗団はクリスマスパーティのために雇われた業者になりすましていたのだ。
 
とっとと逃げようとしたサンタだったが、ゲートルードの孫娘トルーディからトランシーバーで連絡を受ける。
トルーディはサンタの存在を信じる唯一の娘で、“良い子リスト”に載っている。
彼女を放っておくのはさすがに良心が痛み、意を決して現場に戻ったサンタだったが……。
 
冒頭のシーンから最高です。
本物のサンタなんているわけがない。そう思っていたのに、パブの女主人が「これ、お孫さんのミッキーに」なんて言われる。
店を出て屋上に上がろうとするサンタ姿の男を追いかけたら、トナカイに乗って空を走ってゆくではありませんか。
女主人とともに私も感激していたら、空から降ってくるサンタのゲロ(笑)。
 
酒を手放せないアル中だし、トナカイに悪態はつくし、ちっとも頼りになりそうじゃない。
しかし、どんな理由でサンタになったのか、悲しい過去があるみたい。
千年以上も生きてきて、きっと死ぬことはない彼が人生に投げやりになっている。
そんなとき、自分を信じてくれているトルーディに出会い、なんとかしなきゃと奮い立つ。
 
ま~、とにかく殺し方が残酷なので、R15指定もごもっとも。
だけど、ジョン・レグイザモ率いる強盗団のメンバーがばったばったとへろへろのサンタにやられるのは痛快。
サンタだなんてもちろん信じていない悪党どもも、
教えてもいない実名で呼ばれたり、子どもの頃の話をされたりして、
「もしかしてこいつ本物のサンタ?」と思いはじめる表情も可笑しい。
『ホーム・アローン』(1990)のパロディもしっかりと。
 
観に行ってよかった。えげつないけど、めちゃめちゃ楽しい。大好き!

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『バンバン!』

『バンバン!』(原題:Bang Bang)
監督:シッダールト・アーナンド
出演:リティック・ローシャン,カトリーナ・カイフ,パワン・マルホトラ,ダニー・デンゾンパ,
   ジャヴェード・ジャフリー,ジミー・シェールギル,カンワルジット・シン,ディープティ・ナヴァル他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
これはどういうことなのでしょうね。2014年のインド作品を今頃公開するなんて。
当時インドではもちろん大ヒット、ボリウッドとして海外でもそれなりに当たったようなのに、
日本では客入りが見込めないと判断されたのでしょうか。
『RRR』が想定外にヒットしたものだから、いまだ!と思って公開したのか。
 
どういう事情にせよ、本作を公開してくれたことに感謝します。
ふたりの出会いも職業も盗み出すものも、何もかもオリジナルとは変更されています。
監督は『WAR ウォー!!』(2019)のシッダールト・アーナンドです。
 
ロンドンで捕らえられたインド人テロリストのザファルは、裏社会を牛耳っている。
脱出するために手下を使い、彼をデリーへ連行するためにやってきた軍人ヴィレンを殺害。
ロンドンから出たものの、ザファルはロンドンにはまだ未練があると言う。
それは、インドの宝といわれているダイヤモンド“コイヌール”がロンドンにあるから。
ザファルはなんとしてでも腕の立つ者を見つけてコイヌールを盗み出し、自分のもとへ届けよと手下に命じる。
 
見事コイヌールを盗み出したのはラージヴィールという謎の男。
ラージヴィールは、500万ドルでコイヌールを売るとザファルに連絡。
待ち合わせ場所に現れたラージヴィールにはコイヌールを渡すつもりなどないらしく、
ザファルの手下を次々と殺して逃走する。
 
シムラー(ヒマーチャル・プラデーシュ州の州都)の銀行で受付係を務めるハルリーンは、祖母と二人暮らし。
平凡すぎる毎日に退屈しつつも穏やかに暮らしていたが、祖母にけしかけられて出会い系サイトに登録。
マッチング相手とのデートに出かけたのに、待てど暮らせど相手は来ない。
意気消沈しているところへ現れたのが、相手のふりをしたラージヴィールで……。
 
ハリウッド作品もボリウッドにかかればこんなふうに変身。
うんと遊び人風のリティック・ローシャンは私のタイプとはちょっと違うけどイケメンです。
そういえば彼は、『エンドロールのつづき』の作中にスクリーンに映し出される映画の中に出ていました。
ハルリーン役のカトリーナ・カイフは地味なOLという設定ですが、どこが地味なんだか。美人!
このカップルは、『人生は二度とない』(2011)と同じふたりで、本作でもまた素敵なキスシーンあり。
 
オリジナルのハリウッド版でもこんなに派手ではなかったんじゃなかろうかと思うほど。
コイヌールをめぐってロンドン、デリー、南国の島とかプラハとかにも行っちゃって、
ボリウッドだからダンスシーンもあるんです。
ちょっと危機に晒されるけど絶対ハッピーエンドでしょ。カッコイイ。楽しい。サイコー。

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『あのこと』

『あのこと』(原題:L'evenement)
監督:オードレイ・ディヴァン
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ,ケイシー・モッテ・クライン,ルアナ・バイラミ,ルイーズ・オリー=ディケーロ,
   ピオ・マルマイ,サンドリーヌ・ボネール,アナ・ムグラリス,ファブリツィオ・ロンジョーネ他
 
京都河原町で珍肉を食べる会に参加する日、その前に京都シネマで2本ハシゴの2本目。
 
原作は、2022年のノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーの『事件』。
ハシゴ1本目の『冬の旅』は1985年のヴェネチア国際映画賞金獅子賞受賞作、本作は2021年の同賞受賞作です。
『冬の旅』で主人公モナを演じたサンドリーヌ・ボネールが、本作では主人公アンヌの母親役。
いやはや、凄烈で一種のホラー作品にも思えます。映像が目に焼き付いて離れない。
 
内容として知っていたのは、「女子学生が予期せぬ妊娠をしてどうするか悩む」、それだけ。
現代の話だと思っていたので、主人公が1940年生まれという設定だと知ったときは驚いた。
そうか、そういう時代の話なのですね。
 
フランス・アングレームの大学で文学を専攻するアンヌは、美人で学業も優秀。
教授からも一目置かれているため、寮生たちの中には彼女を妬んでよからぬ噂を流す者もいる。
そんなことはスルーして我が道を行くアンヌ。
 
ところがあるとき、生理が遅れていることに気づく。想定外の妊娠。
いつか子どもを産みたいとは思っていても、いまは嫌。学業を続けて教師になるという夢がある。
もしもいま出産したら、子どものせいで人生を棒に振ったと恨んでしまうかもしれない。
 
子どもを堕ろしたいと思うが、フランスでは中絶は違法。
お腹の子の父親であるボーイフレンドにも言えず、親友たちにも両親にも打ち明けられず、
困り果てたアンヌは、女友だちの多い同級生ジャンに相談。
きっと孕ませた相手が過去にいて、中絶したことがあるのではと思ったから。
 
どうしようもないまま月日ばかりが経ち、悩みのせいで成績はどんどん下がり……。
 
舞台となっているのは1963年。当時のフランスはこんなふうだったのですね。
親身になってくれるかかりつけ医も、今度ばかりは相談に乗れないと言う。
もしも中絶したことがバレれば、医師免許を剥奪されてしまうだけでなく、何かしら重い罰を受ける様子。
自分の生活圏から離れた産婦人科に行ってみたものの、中絶を希望していると言うと冷ややか。
泣きついて流産しやすくなる薬を処方してもらったはずが、実は流産を予防する薬で。
 
流産するようにアンヌは何でもします。
怖くて直視できなかったのは、編み棒を突っ込むところ。そこまでしても流産できません。
きっと赤ちゃんは生まれたいと思っているのだから、もう産もうよと思ったりも。
 
アンヌの希望どおりに流産するシーンはさらに恐ろしい。
こんな思いまでするのであれば、どうか望まぬ子が生まれぬようにきちんと避妊してください。
 
しんどくて、目を背けたいけれど背けられない1本。

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『冬の旅』

『冬の旅』(原題:Sans Toit Ni Loi)
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:サンドリーヌ・ボネール,マーシャ・メリル,ステファン・フレイス,
   ヨランド・モロー,パトリック・レプシンスキー,マルト・ジャルニアス他
 
京都河原町で珍肉を食べる会に参加する日、その前に映画を観ることにしました。
3本か4本観たいと思っていたけれど、前日に189分の『バビロン』を観たせいで、
寝るのがすごく遅くなったから疲れ果て、2本にとどめることに。
久々の京都シネマにて。
 
1985年のフランス作品の2K修復版がリバイバル上映されています。
監督は2019年に90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ。
旦那様は『シェフブールの雨傘』(1964)の監督ジャック・ドゥミですが、
こちらは60歳になる前にエイズで他界。
夫婦そろって巨匠と呼ばれているものの、生きた年数がそもそも違うから、
妻アニエスのほうが圧倒的に作品数が多いですね。
 
当時、ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞。
フランスでは大ヒットを飛ばしましたが、日本では全然。
ビデオ発売時には『さすらう女』などという冴えない邦題が付いていました。
それがずいぶん経ってから評価されるようになり、この度もリバイバル上映。
 
南フランス、真冬のある日。
小さな農村の畑の隅で、ひとりの少女が亡くなっていた。
犯罪の様子はなく、凍え死んだ模様。
彼女はモナ、18歳。
亡くなる前の数週間に彼女と出会った人びとの証言を聞く、というお話です。
 
正直言って、公開当時日本で流行らなかったことは私には当然と思えます。
暗いうえに、なんといっても自由奔放すぎるモナのことが好きになれない。
働くのは嫌、楽して生きたいと公言。
お金がないのに、誰かに仕事を紹介されてもやる気なし。
 
見た目のだらしなさや汚さも気にせず、映像からも彼女のにおいが漂ってきそう。
いくら可愛くたって、その汚さではと思ってしまいます。
そして、汚くても可愛い彼女に寄ってくる男性はいて、
お金を取っているんだかどうかは知らないけれど、尻軽であることは間違いない。
 
自由だけど孤独。
そういうところが描かれている作品なのでしょうけれど、
これだけ好き勝手していて孤独なのと言われても。
フランスで大ヒットしたというのは、こういう行動に若者が憧れていたということか。
 
富裕なご婦人宅で家政婦をする女性をヨランダ・モローが演じていました。
若かりし頃はこんなお顔だったのですね。
今も同じ顔といえばそうなのですが、醸し出す雰囲気が今のほうが強烈。
モナのように生きたいと願う役でした。今のヨランダ本人は結構自由な人に見えます。

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『バビロン』

『バビロン』(原題:Babylon)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ブラッド・ピット,マーゴット・ロビー,ディエゴ・カルバ,ジーン・スマート,
   ジョヴァン・アデポ,リー・ジュン・リー,トビー・マグワイア他
 
公開初日にイオンシネマ茨木にてレイトショーを鑑賞しました。
もっと客が入っているのかと思ったのに、遅い時間だったせいか4人のみ。
『RRR』をも上回る189分の長尺で上映終了は24時近いからですかね。
 
ふだん映画を観ない人もこぞって観に行った『ラ・ラ・ランド』(2016)ですが、
私の中ではデイミアン・チャゼル監督といえば『セッション』(2014)。本当に凄かった。
しかも舞台は1920年代のハリウッドだというのですから、期待大。
 
1920年代、映画産業が急成長し、ハリウッドは大賑わい。
サイレント映画が量産されて莫大な富を生み出している。
毎晩のように繰り広げられるセレブのパーティー会場で、
とりわけ人気があるのはサイレント映画の大スター、ジャック・コンラッド。
 
その夜、映画製作に関わることを夢見ているメキシコ移民のマニー・トレスは、
パーティーの客たちを驚かせるための象の調達を頼まれる。
象を連れて行き、その他の雑用もこなしつつ、映画関係の仕事にありつけないか考えるが、
そんな仕事は回ってきそうにない。
 
一方、招待されてもいないこのパーティーに潜り込もうとしたのが新進女優のネリー・ラロイ。
追い返されそうになっていたところをマニーの機転で会場内へ。
怖いもの知らずの彼女の行動が映画関係者の目を引き、翌日の撮影に呼ばれる。
 
宴の後、酔いつぶれたジャックを自宅まで送り届けるように言われたマニーは、
なぜだかジャックに気に入られ、助手として撮影に同行することになり……。
 
チャゼル監督のことだから、いつもどおり音楽は最高に楽しい。
特に最初のパーティーのシーンではこちらも踊り出したくなるほど。
 
しかし冒頭から象の糞を浴びせられるわ、途中はゲロまみれにされるわ、
私の苦手なう○こネタゲロネタにはゲンナリ。なんだか悪趣味です。
 
当時の撮影現場の様子は面白い。こんなにも馬鹿げていたんですかね。
サイレント映画からトーキー映画に移行することで仕事を失った俳優がいる。
声を出したら全然イケてなかったなんてことがあるのかぁ。
 
お祭り騒ぎだった序盤からどんどん話は暗い方向へ。
ちょっとやるせない気持ちになってきて、沈みました。
マニーが当時を回顧するラストシーンは少しだけ胸が熱くなるけれど。
 
んー、長いよっ!

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