『3人の信長』
2019年の日本作品。
1570(永禄13)年、蒲原氏徳(高嶋政宏)や瀬名信輝(相島一之)は、
自らの主君だった今川義元を織田信長に討たれ、信長への復讐に燃えていた。
そんな折、金ヶ崎の戦いにより信長が敗走中であることを知って追いかける。
ところが、信長を探し回って各地から帰還した今川軍の残党は、
それぞれに信長を捕らえたと言う。なんと信長が3人も。
1人が本物、2人は影武者のはずだが、3人とも我こそが信長だと主張。
本物の信長の首を持って主君の墓前に報告したいから、影武者の首まではねるわけにはいかない。
どうにか本物を見定めようとするのだが……。
3人の信長にTAKAHIRO、市原隼人、岡田義徳。村人役に前田公輝。
ナメてかかっていたら意外に面白くて、どんでん返しも鮮やか。
DVDでじゅうぶんという気はするけれど、楽しませてもらいました。
《し》
『守護教師』(英題:Ordinary People)
2018年の韓国作品。
元プロボクサーでチャンピオン、引退後はコーチを務めていたギチョルは、
カネのためなら八百長も厭わない協会に腹を立て、暴力沙汰を起こす。
妹の口利きにより、女子高の体育教師の職を得るが、この田舎町はどこか変。
学費等の滞納者から取り立てる役も言いつけられ、
カジンという生徒に話しかけたさい、彼女の親友スヨンが行方不明であることを知る。
事件に巻き込まれた可能性もあるというのに、教師も警察もなぜか無関心で、
ギチョルに余計なことをするなと言わんばかり。
カジンと共にスヨンの行方を探すうち、政治的陰謀が露見して……。
いかつい体つきの心優しきおっちゃん。そんな役どころが多いマ・ドンソク。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)以来、彼が大好きです。
想像していた以上にドロドロのおっかない物語。面白かった。
《す》
『スケート・キッチン』(原題:Skate Kitchen)
2018年のアメリカ作品。
ニューヨーク郊外に暮らす17歳の少女カミーユは母親と二人暮らし。
スケートボードで負傷し、母親からスケボーを禁止されるが、
カミーユにとってスケボーがすべて。辞めることなんてできない。
母親の外出中、ひそかに家を抜け出し、女子のスケボーチームに仲間入り。
それがバレて余計に母親との仲がこじれるのだが……。
タイトルからフィギュアスケートのほうをなんとなくイメージしていて、
もっと幼い少女たちがスケートリンクでくるくる回っているのかと思ったら大違い。
実在する女子スケボーチーム“スケート・キッチン”のメンバーを起用して撮ったとのこと。
母親との確執、彼氏を盗った盗られたの仲間割れ、片想いなどなど。
まるでドキュメンタリー作品のようです。
《せ》
『生理ちゃん』
2019年の日本作品。
吉本興業と各テレビ局のコラボで映画を製作する沖縄国際映画祭恒例企画、
“TV DIRECTOR’S MOVIE”の1本としてフジテレビと共同で製作された作品。
女性ファッション誌の編集部に勤務する青子(二階堂ふみ)、
その会社の清掃員として働くりほ(伊藤沙莉)をメインに、
彼女たちのもとへ月イチでやってくる生理を擬人化。
生理の重さによって“生理ちゃん”の大きさが異なっていて面白すぎる。
特大の生理ちゃんとつきあう育子とりほが、生理ちゃんを背負ったり台車に乗せたりして歩く姿とか、
毎月その日が来るたびに憂鬱になる女性には気持ちがよくわかるでしょう。
男性には決してわからない世界です(笑)。
女性の生理ちゃんに対して、男性には童貞くんと性欲くんが襲いかかるのにも笑った。
《そ》
『葬式の名人』
2018年の日本作品。
大阪府茨木市の市制70周年の記念事業として製作された作品。
同地にゆかりのある文豪、川端康成の諸作をモチーフにしています。
シングルマザーの雪子(前田敦子)は高校時代の同級生・吉田(白洲迅)の訃報を受ける。
集まったのは、母校で教師を務める豊川(高良健吾)ほか、同じく同級生だった面々。
野球部のエースだった吉田をみんなで見送ろうと、
豊川たちは棺桶ごと吉田を母校へと運び込むのだが……。
茨木高校出身者のための作品といってよいでしょう。
実は雪子の元夫が吉田という設定で、学区トップの茨高のこと、
大学へ進学しなかったのは雪子と吉田だけという話も出ます。そうだろうなぁ。
茨高卒業生や茨木在住者はもちろん楽しいと思いますが、
そうではない大阪の人間は、おそらく妙な大阪弁に気を取られて集中できません。
大阪弁をしゃべれない役者を起用しても、役者自身がツライと思うんですけど。
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