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『レッド・ロケット』

『レッド・ロケット』(原題:Red Rocket)
監督:ショーン・ベイカー
出演:サイモン・レックス,ブリー・エルロッド,スザンナ・サン,ブレンダ・ダイス,
   ジュディ・ヒル,ブリトニー・ロドリゲス,ツォウ・シンチン他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの2本目。
監督は『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)のショーン・ベイカー。
 
AV男優のマイキーは、2,000本にのぼるポルノ映画に出演、
1,300人のAV女優と絡んだ経歴を持つが、今やすっかり落ちぶれて一文無し。
衣食住に困って17年ぶりに故郷テキサスの田舎町へと戻る。
 
マイキーが頼ったのは、まだ籍を入れたままの妻レクシーと義母リル。
家に入ることを拒否するふたりをなだめて泊まらせてもらうことに。
 
翌日から仕事を探しはじめたマイキーだったが、どこも雇ってくれない。
仕方なく近所に住むゴッドマザー、レオンドリアの指示のもと、マリファナを売りさばくように。
 
ある日、ドーナツ店を訪れたマイキーは、バイトの高校生ストロベリーの色気にやられる。
さっそく口説きにかかって成功、彼女と甘い日々を送るようになるのだが……。
 
ポルノスターがどう生きるのかが面白そうで、期待して観に行ったのですが、
マイキーが想定外のろくでなしで、最初から最後までイライラ(笑)。
だいたい、アラフィフの男が17歳の高校生に入れ込むところからしてキモい。
速攻でフラれろと思ったのに、ストロベリーがまたヤリマンで。
 
こんな夫を持ったレクシーも気の毒だと思いたいところ、彼女もたいがい。
そもそも昔、夫婦でポルノ映画に出るべく、故郷を去ったらしく。
手に職も何もないレクシーは、ネットで相手を見つけて売春するしかない。
彼女もまたまたヤリマンなんです。(^^;
 
とにかく、共感できる登場人物がひとりもいません。
唯一えらかったのは、かつての同級生で隣人のロニー。
軍人歴を詐称しているけれど、たぶん善人は善人。
マイキーのことなんか相手にしなければいいのに、ポルノスターだった彼のことを崇めているから、
車に乗せて買い物に連れて行ってやったり、マイキーの自慢話を聴いてやったり。
挙げ句の果てにこんなことになって、マイキーの罪をかぶる。えらいけどバカですね。バカ。
 
口先だけのダメ男は、何があってもそのまんま。
そんな立派なイチモツをお持ちならAV業界にいるほうが稼げたでしょうに。
なんといっても、AV男優の数はAV女優よりもずっと少ないですからね。
まぁ、ギャラはAV女優ほどないと聞きますから、やっぱりツライか。
 
おぉぉぉ、主演のサイモン・レックスって、ゲイポルノに出演経験のある本物のAV男優なのか!
いま調べて知りました。

—–

『EO イーオー』

『EO イーオー』(原題:EO)
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドラ・ドルジマルスカ,ロレンツォ・ズルゾロ,マテウシュ・コシチュキェヴィチ,イザベル・ユペール他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの1本目。
 
第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたポーランド/イタリア作品。
監督はポーランドの鬼才と言われるイエジー・スコリモフスキ。
鬼才か奇才かいつも迷います。そして、結局変態だわというところに落ち着く(笑)。
だけど本作はもっと変態度が高いと身構えていたため、意外に穏やか(?)でした。
 
主人公はロバ。CGで擬人化されたやつとかじゃないですよ。
正真正銘ホンモノだから、もちろん何も喋りません。嘶(いなな)いたり、鼻息荒くなったりするだけ。
 
サーカス団の心優しき美女カサンドラの相棒として大切に扱われてきたロバのEO。
あるとき突然、動物愛護を理由にサーカス団から引き離される。
カサンドラとも離ればなれになったEOは、ポーランドからイタリアへ。
 
物言わぬロバのロードムービーとは、なんと斬新。
サーカス団から没収されたEOがどれだけ手厚く扱われるのかと思いきや、
相変わらず荷物を運ばされたり子どもを乗せさせられたり。
 
トラックから抜け出して街をうろついているところを捕まえられるけど、
捕獲者がサッカーの試合に出場している間はEOもそれを観る。
すると勝利の馬と崇められて、祝勝会にも連れて行かれます。
それが災いして、乱入したライバルチームに殴打され、死にそうになる。
 
けれど死なせてはもらえない。
死の淵から生還したEOはまたしても働かされ、やがてサラミになる運命。
 
EOが何を思っているのかを考えると、なんだか悲しくなってしまう。
ロバって、とはえらく扱いが違うのですね。
 
なんと表現してよいかわからない作品です。
ロバにもこんなにも表情があるのだということを知りました。
人間って、勝手です。

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『帰れない山』

『帰れない山』(原題:Le Otto Montagne)
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン,シャルロッテ・ファンデルメールシュ
出演:ルカ・マリネッリ,アレッサンドロ・ボルギ,フィリッポ・ティーミ,エレナ・リエッティ,
   エリザベッタ・マッズーロ,ルポ・バルビエロ,クリスティアーノ・サッセッラ他
 
『ウィ、シェフ!』を観るためになんばパークスシネマまで行ったから、
1本で帰るのはもったいなくて、これも観ました。
パオロ・コニェッティの同名ベストセラー小説を映画化したイタリア/ベルギー/フランス作品。
原作はイタリア文学界の最高峰であるストレーガ賞を受賞しているそうです。
 
都会育ちの少年ピエトロは、山好きの両親に連れられて休暇を山麓で過ごすのが恒例。
山以外に何もないその村には同年代の子どもなど見当たらずひとりぼっちだったが、
ある日、牛飼いの同い年の少年ブルーノと出会う。
 
もやしっ子だったピエトロは、たくましいブルーノについて回るのが楽しくて仕方がない。
毎夏を共に過ごすようになったふたりは友情を育んでゆく。
 
しかし、成長したピエトロは父親に対する不満を募らせて家を出る。
恒例だった山麓での休暇に行かなくなったせいで、ブルーノとも疎遠に。
やがて父親の訃報が届いたのをきっかけに村を訪れたピエトロはブルーノと再会。
ピエトロが父親と会わなかった間、ブルーノが息子のごとく父親と交流を深めていたことを知る。
 
父親は山に横たわる草原を理想の地として手に入れており、
そこに家を建てることを切望していたらしい。
死んでも約束は残るからと、ブルーノは建てると言ってきかない。
ピエトロもブルーノに教えられながら一緒に家を建てはじめて……。
 
147分の長尺で、寝てしまうのは当然と思われました。
実際、途中で睡魔に襲われたところはありますが、意外と大丈夫でした(笑)。
 
何よりも大自然が美しい。
これを「自然」と呼ぶ時点で、ブルーノに言わせれば地元の人間ではないらしい。
普通に山、草原、川というふうに、当たり前の風景があるだけ。
山とピエトロとブルーノ、それだけでよかったはずなのに、
人生には恋愛なども含めていろいろなことが起こるから、それだけでは済まなくなる。
 
山に籠もるのは孤独か。そこで死ぬことは気の毒か。
ふたりにしかわからないこと。他人には理解してもらえなくてかまわない。
カラスを見て、こんな葬式もありかなと思いました。
 
やはり私は海の映画より山の映画のほうが好きなようです。

—–

『ウィ、シェフ!』

『ウィ、シェフ!』(原題:La Brigade)
監督:ルイ=ジュリアン・プティ
出演:オドレイ・ラミー,フランソワ・クリュゼ,シャンタル・ヌーヴィル他
 
料理に関わる映画はスルーできません。
仕事帰りにホイッと行ける劇場では上映していないため、どうしたものかと悩みましたが、
観逃すと後悔しそうだったから、なんばパークスシネマへ。
 
実在の女性シェフ、カトリーヌ・グロージャンをモデルにしたフランス作品。
監督は39歳の新鋭ルイ=ジュリアン・プティ、長編を撮るのはまだ2本目。
1本目の『社会の片隅で』(2018)でも主演に本作と同じオドレイ・ラミーを起用しています。
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(2018)でジルベールの妻を演じた女優ですね。
 
結論から言って、観に行って本当によかった。
原題の“La Brigade”はどういう意味かと思ったら「旅団」。
そのまま訳さなかったこの邦題は上手い。
 
メディアへの露出度が高くて超人気の美人シェフが仕切る一流フレンチレストラン
ここでスーシェフとして働くカティは、見栄えだけを気にするシェフにうんざり。
カティの料理のソースまでシェフに変えられてプッツン。
「三流の勘違いシェフのもとで働く気はない」と捨て台詞を吐いて辞める。
 
自分は引く手あまただと思いたかったが、どの店からも人手は足りていると断られてガックリ。
見かねた親友ファトゥが探してきた仕事の面接にとりあえず行くことに。
 
ところが行ってみてびっくり。そこは店ですらなかったのだ。
移民の少年たちが生活する自立支援施設で、厨房は荒れ放題、まともな機材もない。
施設長のロレンゾは、子どもたちに人気なのは缶詰のラビオリだと言い、
料理に質など求めておらず、とにかく食べられればいいという態度。
巨漢のスタッフ、サビーヌは、カティが大喧嘩したあのシェフの大ファンらしいし。
とはいうものの、他に職はないのだからここで耐えるしかなく……。
 
住み込みで子どもたちの食事を作ることになったカティは、
もともと人づきあいがいいとは言えず、ファトゥ以外には友人もいません。
しかし冒頭から決して嫌な人には思えなくて、彼女を応援したくなります。
 
少年たちはいずれも未成年で、成人するまでに就学できなければ国外へ強制退去させられます。
フランス語もまだまだ苦手な彼らと料理を通じて打ち解けてゆくカティは、
彼らがここから追い出されることがないように、なんとかしたいと思いはじめます。
 
まずはエシャロットの千切りをさせてみて、それぞれの資質を見る。
料理に興味を抱いた彼らを適材適所に配し、メインの肉を焼く人、ソースを作る人、
付け合わせを作る人、食堂のフロアでサービスする人、皿を洗う人まで決める。
それぞれの役目をサッカーに例えるところもすごくいい。
 
どこまでが事実に即した話なのか不明ですが、施設長が学校に掛け合っても、
移民が入学するようにはなかなか取り計らってもらえなかったところ、
少年たちの姿が映し出されたおかげであちこちで受け入れの提案があったようです。
メディアをあれだけ嫌っていたカティがそれを利用するのも面白い。
 
故郷で家族と暮らせるに越したことはないかもしれないけれど、
彼らの料理を食べてみたい。

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『最後まで行く』〈韓国版〉

『最後まで行く』(英題:A Hard Day)
監督:キム・ソンフン
出演:イ・ソンギュン,チョ・ジヌン,チョン・マンシク,シン・ジョングン,キム・ドンヨン他
 
来週公開になる藤井道人監督の『最後まで行く』はこの韓国作品のリメイク。
日本では2015年開催の“カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015”で上映されました。
現在Amazonプライムビデオで配信中。プライム会員なら無料で視聴可能です。
 
殺人課の刑事コ・ゴンスは、母親の葬儀の準備中、署内に内部監査が入ることを知る。
課ぐるみの横領の事実を隠さねばならないと、葬儀を抜け出して職場へ向かうが、
暗闇に現れた犬に気を取られた次の瞬間、男を撥ねてしまう。
 
車を降りて駆け寄るも、すでに男は息絶えていた。
死亡事故など起こせば大変なことになる。監査がどうなるのかも気が気でない。
向かいからパトカーがやってくるのが見えたものだから、
咄嗟に死体を路肩に追いやってやり過ごした後、迷った末にトランクを開ける。
 
飲酒検問をなんとか切り抜け、実家へ死体を持ち帰ったゴンスは、
母親が眠る棺桶に死体を突っ込んで一緒に埋葬することを思いつくのだが……。
 
以下、ネタバレしていますのでご注意ください。
 
日本版リメイクではこのゴンス役を岡田准一が演じることになるのですね。
 
序盤、ゴンスが本当にろくでなしで、同情の余地はいっさいありません。
さらに課をあげて汚職に関わっているようだから、こいつらみんなクズ!と言いたくなる。
 
ところが少しだけゴンスが気の毒になってきます。
というのも、彼が男を撥ねたことを知って脅してくるのがこれまた刑事だから。
しかも実はゴンスが撥ねるより前に男は死んでいたかもしれないなんて。
罪を着せられかけているゴンスは、いくらクズといえどもちょっと可哀想。
 
死んだ男が殺人を犯して逃走中のヤクザだったなんて、なんたる不幸。
切羽詰まったゴンスは見るからに情けなくて、大馬鹿者です。
 
日本版のキャストを見ると、綾野剛の役回りは監察官となっているのでよくわからず。
オリジナルとは幾分異なるのかもしれません。公開がとても楽しみです。
ゴンス役のイ・ソンギュンがタイプじゃないから、岡田くんならばもっと気の毒に見えるかどうか。
 
棺桶の中から鳴り響くスマホの音が怖い(笑)。

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