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『The Witch/魔女 増殖』

『The Witch/魔女 増殖』(英題:The Witch: Part2 The Other One)
監督:パク・フンジョン
出演:シン・シア,パク・ウンビン,ソ・ウンス,ソン・ユビン,
   チン・グ,チョ・ミンス,イ・ジョンソク,キム・ダミ他
 
たぶん来年秋まで続く、「毎月末の日曜日に動物園前で落語を聴く」。
3月と4月は電車で向かいましたが、5月は思い切って車で出発。
恵美須町のコインパーキングに車を駐めて、徒歩でなんばパークスシネマへ。
 
前作は先日同劇場で再上映されていた『The Witch/魔女』(2018)。
この続編で終わりかと思いきや、まだまだ続きそうな気配。
観ても“魔女ユニバース”がなんたるかは私は理解できずにいますが、めちゃくちゃ面白いです。
 
主人公は、前作のキム・ダミ演じるク・ジャユンから、シン・シア演じる少女へ。
人間らしい名前を与えられたジャユンとは異なり、名前を呼ばれることのない少女がいっそう謎。
だけどキム・ダミよりずっと可愛いんです、このシン・シア。
彼女もキム・ダミ同様に、オーディションで何千人という中から選ばれたんだそうな。
 
本作は、ジャユンが自分を造った博士ペクのもとを訪れた後の話。
そのままジャユンが出てくるのだろうと思っていたら、彼女は最後まで姿を見せず。
 
ある日、済州島にある研究所が武装集団に襲撃される。
所内の人間はすべて殺され、実験体の少女も死んだはずだったが、なんと彼女は生きていた。
血まみれで森をさまよっていた少女は、通りかかったワンボックスカーに押し込まれる。
そこにはいかにも悪そうな男どもと、彼らに拉致された女性ギョンヒが乗っていた。
 
ギョンヒは両親から受け継いだ農場の立ち退きをヤクザから迫られていた。
契約書に押印しようとしないギョンヒをヤクザが拉致したのだ。
少女は関係ないのだから逃がしてあげてと言うギョンヒ。
目撃者はたとえ子どもであろうと始末すると言うチンピラたち。
 
いたいけな少女と思われたが、ギョンヒがチンピラから痛めつけられそうになった瞬間、
少女は信じがたい力を放ち、チンピラどもを半殺しにする。
 
警察に通報するのはよくないと直感したギョンヒは実家へ少女を連れ帰り、面倒を見るように。
最初は訝しげだったギョンヒの弟デギルも、また押しかけてきたヤクザから少女に救われ、
少女のパワーに目を丸くして、以降は可愛がるようになるのだが……。
 
前作のジャユンがラストでは悪魔と化していたのとは異なり、
この少女はあり得ないパワーの持ち主だけど、純真無垢と思えます。
自分を守ってくれる人とそうでない人を見極め、
守ってくれる人に攻撃をしかける人間は容赦なく殺す。めっちゃ強い。
 
人間の心を持つはずもない実験体なのに、ギョンヒやデギルと暮らすうち、
愛情を知り、美しいものに目を輝かせ、美味しいものを片っ端から頬張る。
「切ない」という感情を覚えたときの少女の表情には胸が痛む。
 
ラスボスのように登場したジャユンと共に母親を探すことになった少女はどうなるのか。
いったいこの先どこまで続くのか知らんけど、今はとにかく面白くて楽しみです。

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2023年5月に読んだ本まとめ

2023年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2545ページ
ナイス数:779ナイス
■逆転美人 (双葉文庫 ふ 31-03)
これだけ帯で煽られたら誰でも身構えて読むから、書き手は彼女ではないのだろうというのは、多くの人が想像できたことだと思います。その通りだとわかったときには「けっ、この程度かよ」と悪態つきそうになったけれど(笑)、そこから先は確かに「紙の本でしかできない驚きの仕掛け」。果たして少女がどのように告発するのかを見守ることになりました。種明かしに至るまでの間、美人の悩みなんて知る由もない私は、それはそれで大変だなぁと夢中で読みましたが、結局これでは「美人は性格が悪くてバカ」になっちゃって、私たちには胸のすく展開!?
読了日:05月01日 著者:藤崎 翔
■虹にすわる (幻冬舎文庫 た 45-5)
昨年6月に弟が亡くなりました。その5カ月後、弟よりひとつ下の私の友達も同じように癌で亡くなりました。20年以上前に弟と彼は面識があり、亡くなるひと月前に「向こうで弟さんに会えるとおもいます」と連絡をくれました。そんな彼が木工職人で、遺作となった椅子が展示されている今、木工の話だなんて知らずにこれを読んだものだから、思わず涙。「虹にすわる」とは良いタイトル。彼の遺作は曲線が虹っぽいベンチシートで、ふたり並んで座っているところを想像します。瀬尾まいこが好きな人なら瀧羽麻子もきっと好きですよね。心が温かくなる。
読了日:05月05日 著者:瀧羽 麻子
■ロスト・ケア (光文社文庫)
映画鑑賞後に読み、原作との相違点にいろいろと戸惑いました。検察官の性別が異なるのは驚くようなことではないにしても、介護士の職場と検察官の親が入居する老人ホームの母体が同じだったり、そもそも検察官の父親は孤独死していなかったり、映画化に当たってかなりの改編を必要とするほど難しい作品だったのだろうと思います。検察官の言うことは確かに正論だけど、映画版を観たときに特に心に残ったのは、家族の絆とは何なのかということでした。時には断ち切ったほうが皆が楽になれる場合もある。介護保険制度について考える機会になりました。
読了日:05月08日 著者:葉真中 顕
■思わず考えちゃう
ちょっとだけ何か読んでから就寝したいなぁと思ったとき、気軽に手に取れるのがヨシタケさん。しかし手に取ったが最後、読むのをやめられなくなる。ヨシタケさんの著作中、これは私のいちばんではない。「生きるヒントに。」と謳われている時点で説教くさい気がしてしまうから。最終章はその気配が若干強いけど、前の2章は笑いました。ヨーグルトの台座もストローの袋も、私はヨシタケさんとピッタリすぎて、逆に合わないですよね、きっと(笑)。心配事を吸わせる紙、ほしい。明日やるよ。すごくやるよ。って、しっかり生きるヒントにしている私。
読了日:05月09日 著者:ヨシタケシンスケ
■最後のページをめくるまで (双葉文庫)
どんな本かを説明するに当たり、本作中の作品タイトルをひとつ借りるなら、「読み勝手のいい本」です。1編50頁程度の短編が5つ。連作ではないのでどこから読んでもいいし、どこでやめてもいい。これほど読み勝手がよいにもかかわらず読了に時間がかかったのは、読みやすそうだと思って毎度飲酒してから本を開いていたからです(笑)。酔っぱらって読んでは絶対アカンやつで、全然意味がわからなくなり、翌日戻って読むことを繰り返していたら、10日もかかってしまいました。飲むなら読むな、読むなら飲むな。悪いことはでけん。それに尽きる。
読了日:05月19日 著者:水生 大海
■おんなの女房
武家の娘・志乃が嫁いだ相手は歌舞伎役者。しかも大人気の女形・燕弥。芝居好きの娘ならともかく、これまで芝居をまったく知らなかった娘は芝居を学ぼうとするわけではありません。けれども、家でも女として振る舞う燕弥を支える志乃は健気でもあり、逞しくもあります。病に罹ったと知って役者を辞めようとする燕弥。役者でなくなれば男になる。そうしたら夫婦として普通に穏やかな家庭を築くことができたでしょうに、彼は死ぬまで女形でいるべきだと感じた志乃が一発かますシーンにはシビれました。志乃に惚れてしまいそう。大変だな、役者の女房。
読了日:05月21日 著者:蝉谷 めぐ実
■ニート・ニート・ニート (角川文庫)
一時ハマって大人買いした著者です。どうしようもないニート3人プラス不機嫌女子1人で向かうことになった北海道。きっかけを作った奴は逃亡者の身なのに要らんことばかりするから、あちこちでぶっ殺されそうな目に遭います。「ちょっとテンポの悪い木下半太」みたいな印象がなくもないけれど、それはまたしても私が酒を飲みながら読んだせいなのか。いずれにせよ、もっと評価されても良い作家だという思いは変わりません。序盤は好きになれなかった登場人物たちのこともだんだん愛おしく思えてくる。ダ・カーポの『宗谷岬』が頭の中を巡るよ~。
読了日:05月26日 著者:三羽 省吾
■婚活中毒 (実業之日本社文庫)
嬉しくなるほどの読みやすさ。飲み会に向かう前とその帰りの電車の中、片道小一時間。往路と復路できっちり2話ずつ、駅に帰着するときには読了できてスッキリ。この著者の嫌ミスはどれも面白いですねぇ。婚活にまつわる皮肉に満ちた話4つ。結婚に対する執念にゾッとします。どんでん返しは「どっひゃー」と驚くほどではないけれど、ニヤリと笑ってしまう加減が好き。ここまでして結婚相手を手に入れたとして、果たして幸せになれるものですか。最終話は、この親父がもっと痛い目に遭ってもいいのにと残念に思った私は性格が歪んでいるでしょうか。
読了日:05月27日 著者:秋吉 理香子
■結局できずじまい
はいはーい、最近の月に一度のお約束、「月末が近づくと冊数を稼ぐためにヨシタケさんを読む」。ヨシタケさんの著作があまりに多くて、どれも読みたいけれども、続けて同じ著者の作品を読むのを避けている私としてはちょうどいい案配かもしれません。買った本を読むことができないのは私も同じ。あくまで「なかなか」できないだけですが、買うまでの瞬間が楽しい気持ちはよくわかる。そしてまた積読が増えてゆく。あぐらをかけないヨシタケさんの後ろ姿が可愛らしすぎて笑いました。人それぞれに違ったできないことがあるからこそ許し合い助け合う。
読了日:05月29日 著者:ヨシタケ シンスケ
■赤い魚の夫婦
メキシコ在住経験のある友達が貸してくれました。彼女のメキシコへの想いは相当なもので、WBCのときは日本じゃなくてメキシコを応援して家族の顰蹙を買ったというぐらい、メヒコ大好き!なのだそうです。独特の雰囲気漂う短編5つ。ゴ○○リ(書きたくない(笑))だったり、爪の中の菌だったり、ぞわぞわするものばかりが出てくるのに、目を背けることができないばかりか、ちょっとクセになりそう。ギレルモ・デル・トロとかアレハンドロ・ホドロフスキーとか、メキシコ人監督の映画に惹かれる私はとても気に入りました。奇才か鬼才か、変態か。
読了日:05月31日 著者:グアダルーペ・ネッテル

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『波紋』

『波紋』
監督:荻上直子
出演:筒井真理子,光石研,磯村勇斗,安藤玉恵,江口のりこ,平岩紙,
   津田絵理奈,花王おさむ,柄本明,木野花,キムラ緑子他
 
すっかりインバウンドが戻ってきたミナミ
“りくろーおじさん”のチーズケーキにアホほど並んでいる行列横を通る。
TOHOシネマズなんば別館にて、いただいた株主優待券を使って。
 
原発事故による放射能汚染に怯えながらも人々が穏やかに暮らす町。
「おひとりさま2本まで」と書かれたミネラルウォーターを買いに走る客の姿。
 
水道水は飲まないようにねと家族に告げる主婦・須藤依子(筒井真理子)。
ガーデニングが趣味の夫・修(光石研)は、庭に水遣りに出たまま蒸発。
自分の父親(花王おさむ)の介護を依子に押しつけ、高校生の息子・拓哉(磯村勇斗)を残して。
 
ところがある日突然、修が帰ってくる。
父親は半年前に亡くなり、息子は九州の大学を卒業して向こうで就職。
依子は新興宗教“緑命会”を心の拠り所にして生きていた。
 
勝手に出て行った修を突き放そうとするが、修は末期癌なのだと言う。
保険適用外の新薬に必要な金がほしくて帰ってきたらしい。
父親にはそれなりの資産があったはずだから、自分に相続権があると言い……。
 
修があまりにもろくでなしで、その点では依子に同情しますが、
彼女が一方的に被害者だとは思えないところもしばしば出てくるのです。
 
大きめの一戸建てに住み、幸か不幸か金もそれなりにあるから、新興宗教に入れ込みまくり。
こういう話に騙されてしまう、江口のりこ平岩紙演じる信者も皆怖い。
キムラ緑子(教団代表)みたいなおばちゃんに優しく話されると信じるものなのでしょうかね。
 
依子に胸のすくアドバイスをするのがパート先の清掃員(木野花)。
更年期の乗り切り方を教えてくれたり、戻ってきた夫に仕返しすべきなどと言われたりして、
依子は少なからず気分を持ち直します。でもこの清掃員にも実は辛い過去がある。
 
いちばんの被害者は息子だったのではないだろうかと思います。
父親に捨てられ、残された母はおかしいから、見ているのがつらい。
逃げ出した先で出会った女性と同棲を始めたけれど、
母親に紹介しようと帰省すると、憎むべき父親が帰ってきていたうえに、
息子より6つ年上で聴覚障害者である恋人(津田絵理奈)のことを母親は嫌う。
こんな家からは離れたくなりますよねぇ。
 
いつもどこかのほほんとしている荻上直子監督作の中では、闇が強くて異色と言えそう。
でもところどころクスッと笑ってしまう場面はやはりある。
ムロツヨシの出演シーンは一瞬彼とわかりませんでした。カマキリの話、聞いてください。
 
絶望の中にも生きていくわずかな光を感じました。
他人から見ればこれが光とも思えないかもしれないけれど、本人にとっては。
筒井真理子は素晴らしい女優。最後は赤が映えて美しかった。

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『それでも私は生きていく』

『それでも私は生きていく』(原題:Un Beau Matin)
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:レア・セドゥ,パスカル・グレゴリー,メルヴィル・プポー,ニコール・ガルシア,
   カミーユ・ルバン・マルタン,フェイリア・ドゥリバ,サラ・ル・ピカール,ピエール・ムニエ他
 
シネ・リーブル梅田にて。
直前に観た『ソフト/クワイエット』があまりに嫌な作品だったため、凹み気味で観はじめました。
レア・セドゥが好きなんです。本作よりもうちょっと髪は長いほうが私は好きかな。
 
パリで通訳の仕事をするサンドラは5年前に夫を亡くし、8歳の娘リンを育てるシングルマザー
視力を失い、記憶も薄れつつあるひとり暮らしの父親ゲオルグのことも気がかり。
離婚したゲオルグにはレイラという彼女がいるが、そうそう彼女にだけ任せるわけにもいかない。
ゲオルグを施設に入所させる話については、母親フランシスと相談している。
 
悩み事が増えるなか、サンドラは亡夫の友人だったクレマンと再会。
彼には妻子があると知っていながら、お互いに惹かれてゆくふたりは不倫関係に陥り……。
 
タイトルがタイトルなので、もっと試練だらけの作品なのかと思っていました。
主人公のサンドラが絶望の淵にいるかと思いきや、そうでもない。
 
彼女は仕事も順調、娘も賢くて可愛い。父親の世話も献身的におこなう。
良き母親、良き娘、そして良き女性です。
これはそんな役を演じるレア・セドゥを見る作品ですね。
 
身につまされるシーンは多い。
住人のいなくなった実家を片付ける様子などは思わず共感。そうそうとなずいてしまいます。
 
レア・セドゥ知らん、別に好きでもないし、という人には退屈な作品かもしれません。
私はあのお尻がほしいなぁ(笑)。今さらええか。(^^;

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『ソフト/クワイエット』

『ソフト/クワイエット』(原題:Soft & Quiet)
監督:ベス・デ・アラウージョ
出演:ステファニー・エステス,オリヴィア・ルッカルディ,エレノア・ピエンタ,
   デイナ・ミリキャン,メリッサ・パウロ,シシー・リー他
 
ちょっと面白そうでシネ・リーブル梅田まで観に行きましたが、
わざわざ出向いたことを後悔したぐらい不快な作品。
映画の出来としては良いのでしょうけれど、内容はワースト級です。
 
幼稚園教諭のエミリーは、実は白人至上主義者
彼女のお眼鏡に叶った友人を集めて、教会の談話室を借りて会合を開く。
“アーリア人団結をめざす娘たち”という名のグループを立ち上げるため。
 
しかし、彼女たちの会話を聞いた牧師が直ちに出て行くように告げる。
さもなくば警察に通報すると言われて、致し方なくその場を退去。
それで断念するようなエミリーではないから、自分の家で続きを話そうと皆を誘う。
 
途中、メンバーのひとりであるキムが営む食料品店に寄り、酒を調達。
そこへエミリーと面識のあるアジア系姉妹のアンとリリーがやってくる。
ワインを買いたいというアンに罵詈雑言を浴びせるキムたち。
 
アンにいちばん高いワインを買わせた後も執拗に嫌味を言いつづけ、
それでも気持ちが収まらないエミリーたちは、アン姉妹の家へと向かう。
留守宅に少々いたずらをしてやるつもりだったが、それが行き過ぎて……。
 
一見普通のご婦人たち。エミリーなんて、むしろ上品で博愛主義の女性に見える。
だからこそ、彼女たちの本当の姿が恐ろしい。
 
よくもまぁこんな作品を撮れると思うぐらい不快。虫酸が走る。ヘドが出る。
だけど、本作を撮った監督が非白人女性だと知ると見方がまた変わります。
 
ベス・デ・アラウージョ監督はブラジル移民の父親と中国系アメリカ人の母親を持ちます。
最近のアジア系が多く出演するハリウッド作品のもてはやされ方には違和感をおぼえていますが、
こんなふうに見た目「普通」の白人の裏の姿を描く本作は衝撃的。
 
ミヒャエル・ハネケ作品の不快さがカワイイと思えるぐらいでした。

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