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『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(原題:Woman Talking)
監督:サラ・ポーリー
出演:ルーニー・マーラ,クレア・フォイ,ジェシー・バックリー,ジュディス・アイヴィ,
   ベン・ウィショー,フランシス・マクドーマンド,シーラ・マッカーシー他
 
とても観たかったのにタイミングを逃していた作品。
最近とても遠く感じるTOHOシネマズ西宮へ、休日早起きした勢いで向かう。
 
原作はカナダ人作家のミリアム・トウズによる全米ベストセラー小説。
メガホンを取るのは、監督としても抜群の手腕を発揮する女優サラ・ポーリー
本作では脚本も自身が担当し、第95回アカデミー賞の脚色賞を受賞しています。
 
実話が基って、いつの時代の話かと思ったら2010年だというではないですか。
100年前の話と聞けば納得できるけど、21世紀にこんな村があるとは。
 
人々が自給自足の生活を送るあるコミュニティで、レイプ事件が発生。
今に限ったことではなく、ずいぶん前から起きていたこと。
女性が家畜用の鎮静剤を打たれて眠っている間に被害に遭い、
妊娠して誰の子だかわからぬまま出産という状況が日常化している。
 
女性の妄想だとか悪魔の所業だとして片付けられてきたが、
ある日ようやく現場から逃げ去ろうとする犯人を取り押さえ、
共犯者の名前も明らかになり、コミュニティの男たちが次々と連行される。
しかしじきに彼らは釈放されて戻ってくるだろう。
 
女性たちは選択を迫られる。
このまま何もしないか、徹底的に闘うか、ここから出て行くか。
投票の結果、何もしない派は少数で、残り2つから選ぶことに。
全員で話し合っても埒が明かないからと、選択は3家族の女性に任されるのだが……。
 
鑑賞後に調べたところによると、“メノナイト”というキリスト教の一派に属するコミュニティだそうですね。
こんな差別的な宗教があっていいのかと思うほど、男尊女卑がはっきりしています。
女性は読み書きを学ぶことも許されず、だから投票するのも大変。
自分たちが出て行くのではなくて、男性たちに「出て行って」とお願いする選択肢もあるはずだけど、
今まで男性に何か頼んだことなどないから、最初で最後のお願いがそれだなんてと自虐的に笑う。
 
そんなコミュニティでは男性に刃向かえば神が許さないと思う人も多い。
自分も、自分の娘までもレイプされているというのに何も言えないなんて、そんなことがありますか。
 
女性たちの話し合いの場で中心となるルーニー・マーラが落ち着いていて美しい。
彼女もまたレイプされて、出産の日も近い。だけどお腹の子は憎くない。大事に大事に想う。
彼女と違う意見を持つクレア・フォイジェシー・バックリーとのやりとりも見ものです。
また、この話し合いに男性で唯一、筆記係として参加するベン・ウィショーも素晴らしい。
彼を見ていて泣いてしまいました。
 
話して、話して、話して、彼女たちがたどり着いた結論。
「逃げる」ことと「出て行く」ことは違う。
世界のどこかで常に起きている戦争にサラ・ポーリーが物申しているようにも思えます。

—–

『スパイスより愛を込めて。』

『スパイスより愛を込めて。』
監督:瀬木直貴
出演:中川翼,茅島みずき,速瀬愛,坂巻有紗,福山翔大,田中直樹,
   横山めぐみ,藤枝喜輝,西山繭子,萩原聖人,田中美里,加藤雅也他
 
イオンシネマ茨木にて。1週間のみの限定公開なのでしょうかね。
ご当地ムービーの上映率はイオンシネマが群を抜いて高いように思います。
配信で観られるようになるかどうか、DVD化されるかどうかも不明なので、
とりあえず観ておくことにしました。
 
カレー屋さんがいちばん多いのは石川県だってこと、ご存じでしたか。
金沢を舞台にしたご当地ムービーですが、金沢を謳っているわけではないので、
それほど「ご当地ご当地している感」はありません。
↑私の言うところの「ご当地ご当地している感」は内輪受けの意を含みますから、
それほどないというのは褒め言葉と取ってください。
 
監督はこれまたご当地ムービーの『恋のしずく』(2018)を撮った瀬木直貴。
ほかにも大分県宇佐市を舞台にした『カラアゲ★U.S.A』(2014)などもお撮りになっています。
監督ご自身は三重県四日市市のご出身らしく、どこの映画かにはこだわない様子。
単にさまざまな地域を応援したいってことですかね。
 
ナーズウイルスという新型ウイルスが蔓延。
それにはスパイスが有効で、カレーを食べれば罹患しないという噂が流布したことから、
世界中の人がカレーを食べようとしたことでスパイスが不足。
日本ではスパイスもカレーのルーも品切れして、カレーを食べられなくなってしまう。
 
高校2年生の男子・蓮(中川翼)は大のカレー好き。
幼少の頃から漫画家である母親・香織(田中美里)が毎週カレーを作ってくれたが、
ナーズの流行で長らくカレーにありつけないでいる。
 
ある日、野球部の練習から帰る途中、河川敷でカルダモンの香りを感じる。
それは同じ高校に通う謎めいた女子高生・端目莉久(茅島みずき)から発せられたものだった。
駆け寄って話しかけようとするが、莉久は素っ気ない態度。
そればかりか、後に莉久が野球部のキャプテン(藤枝喜輝)と一緒にいるのを見かけて、
キャプテンに想いを寄せる蓮はショックから立ち直れない。
 
そんな蓮を誘いにきたのが、蓮の幼なじみで売れっ子モデルの現役女子高生・葛城沙羅(速瀬愛)。
沙羅は自分のファンの同級生からカレーの作り方を教わるのだと言い、
蓮を一緒に連れて行こうとする。カレーに釣られて同行してみると、それはなんと莉久の家で……。
 
莉久の父親・陽一(萩原聖人)と兄・真司(福山翔大)はスパイスの研究者で、
噂などではなく、本当にスパイスがナーズウイルスに効くことを証明しようとしていました。
その矢先に陽一が亡くなってしまったうえに、データをすべて削除していたのです。
データを探し出して出世したい真司は、莉久が陽一からデータを預かっているはずだと疑っています。
 
陽一のことを嘘つき呼ばわりして糾弾したのが厚生労働大臣・山神(加藤雅也)というのが
フィクションながら可笑しい。お役人は本当にこういうことをやるかもしれないもの(笑)。
 
物語としてはご当地ムービーらしい出来というのか、うんうん、そうね、という感じ。(^^;
恋愛には異性間恋愛も同性間恋愛も盛り込まれ、ストーカー騒ぎなんかもあり、
ありとあらゆることを詰め込みましたという青春ものです。
でもキャストの若い子たちがみんな可愛くて一生懸命、一所懸命で好感が持てる。
 
スパイスを使ったキーマカレーも、市販のルーを使った欧風カレーも出てきます。
いちばん驚いたのは、サツマイモ梅干しを入れたカレー。
弟妹が多い家では甘味がほしいからサツマイモを入れると同時に、
ルーを使用したカレーに足りないのは酸味だそうで、梅干しが最適なのだそうです。
へ~っ!
 
あ、もうひとつ気になったことを思い出した。
エンドロールで「脚本:アラン・スミシー」となっていました。「匿名希望」のことです。
監督だったり脚本家だったりを「アラン・スミシー」とするのは、
作ってはみたものの名前を出すのは恥ずかしいというときに使うもので、
単に恥ずかしいというよりは、出来が悪すぎて恥ずかしいという場合に用いると思っていたのですが、
この作品にそれを使うのは失礼ではないかしら。恥じるような作品じゃない。

—–

『怪物』

『怪物』
監督:是枝裕和
出演:安藤サクラ,永山瑛太,黒川想矢,柊木陽太,高畑充希,角田晃広,中村獅童,田中裕子他
 
109シネマズ箕面にて。
 
是枝裕和監督の作品は別に嫌いじゃないけれど、凄く好きなわけでもありません。
いや、むしろ鼻につくと思ってしまう場合のほうが多いかも(笑)。
だから、「どうせ私は好きじゃないし~」と思いながら観はじめたら、ええやんか。
今までの是枝作品の中でいちばん好き。『万引き家族』(2018)よりも私はずっと好きです。
是枝監督とタッグを組むには少し大衆的な気がして意外だった坂元裕二の脚本のおかげで、
私にとっての「鼻につく感」が中和されたのかもしれません。
 
夫を亡くしてシングルマザーとなった麦野早織(安藤サクラ)。
幸いにもひとり息子の湊(黒川想矢)は明るく優しい子に育ち、早織との関係も良好だったが、
このところ何か隠し事があるのか、不可解な言動が見受けられる。
 
誰かにいじめられているのではと考えた早織が湊を問い詰めると、
湊はなんと担任教師の保利道敏(永山瑛太)がら暴力暴言を受けていると答える。
早織は小学校に乗り込み、校長(田中裕子)をはじめとする教師たちに説明を求めるが、
当の保利は誤解だと言って信じがたい態度を取り、他の教師もただ詫びるのみで……。
 
ここから先はネタバレの嵐なので、ご覧になる予定の方は読むのをお控えください。
観る予定だけどネタバレOKだよという方はそのままお進みください(笑)。
 
テレビでも予告編が流れているかと思います。
予告編を観た人は、なんて酷い教師なんだ、お母さん頑張れ!と思いませんでしたか。
公開前に劇場で予告編を観た私もそう思っていましたし、
大きく分けて3章で構成されていると言ってよい本編の第1章を観たときもその思いは変わりませんでした。
 
第1章(というふうに分けられているわけではありませんが)は早織の話。
とにかく我が子を守りたくて、担任教師の保利を責め立てる。
保利を前面に出さずに事をおさめようとする学校にも不信感あらわ。
トップに立つ校長は孫を事故で亡くしたばかりらしく、教師たちは校長のことも気遣っていて、
我が子の話を早く終わらせようとしているかのようで早織は許せません。
こんな扱いを受けたら、親は誰でも怒るし、別にモンペなんかじゃないと思えます。
 
ところが第2章で保利の暮らしの一部始終を見せられるとイメージがまったく変わる。
暴力教師なんかじゃないし、児童のことを思う良い先生。
なのにまるでハメられてしまったかのように次々と災難が襲いかかる。
良い先生だったがゆえにこんな目に遭ってしまったとも言えます。
 
第3章は子どもたち、湊といじめられっ子の星川依里(柊木陽太)の日々。
保利は湊こそが依里をいじめている張本人だと思っていたけれど、そうではなかった。
湊が保利から言われたと話していた暴言は、依里が父親(中村獅童)から言われていたことでした。
作文に隠されたふたりの想い。
 
本作もそうで、あのとき見たもの、聞こえたものはこれだったのかと、物語が進むごとに明らかになります。
伏線がどんどん回収されていくのがお見事。
 
こんな作品を見ると、人を見た目で判断したり、噂を鵜呑みにしたりすることは駄目だと強く感じます。
雑居ビルで火事のあった晩にたまたま付近を恋人(高畑充希)と歩いていた保利が
ガールズバーにいたと噂されていたり、猫の死体を土に埋めてやった湊が猫を殺したと噂されたり。
自分で直接見たもの聞いたことからしっかり判断しなきゃいけないのだと思う。
一方で、いくら自分で見たり聞いたりしたことでも、想像力を膨らませすぎるのも問題。
悪い想像ばかりしてしまうのは、相手の良いところを見ようとしていないからなのでしょうか。
 
早織は亡くなった夫を美化していて、湊も父親を尊敬しているふうを装っているけれど、
実は父親が浮気相手とドライブ中に交通事故に遭って死んだことを湊は知っています。
依里にしても、父親に酷いことを言われているのに、父親に刃向かうようなことはしない。
大人に気を遣いながら生きている子どもたちをどうすれば救えるのか。
 
これほど良い教師の保利が最初に早織の前で取る態度は腑に落ちませんが、
その点を除けばとても好きな作品でした。好きだけど重たい。救いはない。
 
誰にも手に入らないものを幸せとは言わない。幸せは誰でも手に入れられるもののはずなのに。

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『渇水』

『渇水』
監督:高橋正弥
出演:生田斗真,門脇麦,磯村勇斗,山崎七海,柚穂,宮藤官九郎,宮世琉弥,吉澤健,
   池田成志, 篠原篤,柴田理恵,森下能幸,田中要次,大鶴義丹,尾野真千子他
 
前述の侍ジャパンのドキュメンタリー作品を観た直後、本作を。
同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。
さっきまで大入りの客席で鑑賞していたのに、こちらは私を含めて客ふたりだけ。(–;
 
原作は河林満の同名小説。高橋正弥監督の作品には私は初めてお目にかかります。
 
水道局員の岩切俊作(生田斗真)が担当するのは、水道料金を滞納している家庭を回り、
相手が請求に応じない場合は給水停止を執行する仕事。
岩切と共に回る後輩職員の木田拓次(磯村勇斗)はなかなかこの仕事に慣れないようで、
事務的に淡々と停水を執行する岩切を見て驚くこともしばしば。
 
日照りが続いて県内全域で給水制限の措置が取られるほどの夏、
岩切と木田が訪れた家は、シングルマザーの小出有希(門脇麦)宅。
有希の夫は蒸発したらしく、有希は長女・恵子(山崎七海)と次女・久美子(柚穂)を家に残して街へ稼ぎに。
そんな家庭の停水はさすがに岩切もためらうものの、規則は規則、譲れない。
有希が不在の家で浴槽やバケツにありったけの水を貯めるように娘たちに指示し、停水を執行するのだが……。
 
水道料金の滞納者にもさまざまなタイプの人がいるようです。
ここに登場する人々はたいていが「払えよ」と言いたくなるタイプ。
水道料金は払わないけどエアコンをガンガンに効かせていたり、
警備会社と契約していながら水道料金は滞納して、親や恋人に払わせるろくでなしだったり。
有希にしても、自分がどれだけ大変かを口にするけれど、楽して稼ぐことしか考えていないふうに見えます。
自分の面倒を見てくれる男が現れれば、平気で育児放棄するような母親で。
 
岩切自身も妻子と別居状態で、生活に苦労はしていなくとも気持ちは虚ろ。
息子のことが気になって、妻の和美(尾野真千子)のもとを訪ねますが、反応はよくない。
彼は水を貯めることで自分の気持ちを満たそうとしているように見えます。
 
キレた岩切が幼い姉妹と一緒に小さな「テロ」を起こすシーンはとても良い。
だけどふと思う。何も変わっていないよねって。
 
最後まで惹かれて観ましたが、強烈な印象は残りません。
とても優しいから。甘いともいえるかもしれません。
実社会で同じ立場に置かれている子どもたちはどうすればいいのでしょう。

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『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』

『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』
監督:三木慎太郎
ナレーション:窪田等
 
映画の上映スケジュールを調べているときにたまに見かける“ODS”。
これっていったい何?とは思っていましたが、いつもそのまま。
このたびついに調べました(笑)。
 
ODSとは“Other Digital Stuff ”の略で、映画ではない作品を最新のデジタル上映設備で楽しむものなのだそうな。
本作も劇場用映画として撮られた作品ではないのですね。
まぁ、本来劇場で公開するつもりではなかったものを特別料金を取って見せることにするわけですから、
「儲かりそうなら公開しちゃう!?」的なところが見え隠れする場合が多いのは否めませんけれど。
しかもたいてい特別料金が設定されていますし。
 
2023年3月に開催された“2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™”。
2021年12月の栗山英樹監督が就任以来、密着取材を続けた専属カメラマンによるドキュメンタリー作品。
先週金曜日から3週間限定のロードショー。
 
私は109シネマズ大阪エキスポシティにて鑑賞しました。
同劇場の中ではそれほど大きいとはいえないシアターで観ましたが、
これとかこれとか以外ではこんなに客入ってるの最近見たことないわというぐらいの大入り。
とりあえず開催当時に周囲で中継を観ていなかった人はいませんでしたから、
そらこんな作品を劇場で観ることができるのなら、みんな押しかけますよね。
 
栗山監督就任発表のその日から、コーチ陣が集まって選手を選考する様子や、
代表決定後に集まった選手たちのロッカーでの様子、強化試合の模様、選手同士の会話、何から何まで楽しい。
 
実は数日前の阪神vsロッテの交流戦を観た折、佐々木朗希の負けん気の強すぎる態度にうんざりし(笑)、
阪神の才木浩人のほうがよっぽどカワイイやんと思っていたのですが、
本作でホームランを打たれて申し訳なさに涙を流す佐々木を見たら、やっぱり可愛かった。
 
阪神ファンとしては湯浅や中野ももっと試合に出られればと思っていたのですが、
このメンバーを見たら、この場にいられるだけでじゅうぶん。
こんなにも凄い選手たちの中で過ごした経験はかけがえのないものでしょう。
 
エンドロールが回りきった後にはちゃんとオチ付き。可愛すぎて笑った。
大谷翔平、サイコーです。
 
次の侍ジャパンの監督はいったい誰に。誰にしてもツライよなぁ、こんなのの後は。(^^;
3カ月前に熱狂した人は絶対に観に行くことをオススメします。
いつ行こうが割引なしの2,200円ですが、その価値じゅうぶんにあります。
特に109シネマズの会員の人は、非会員なら2,900円のエグゼクティブシートを確保してください。
そこに座って2,200円で観ると、優越感に浸れます(笑)。

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