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『赤い糸 輪廻のひみつ』(付:2回目の『劇場版 モノノ怪 第二章 火鼠』)

『赤い糸 輪廻のひみつ』(原題:月老)
監督:ギデンズ・コー
出演:クー・チェンドン,ヴィヴィアン・ソン,ワン・ジン,マー・ジーシアン他
 
仕事帰りに塚口サンサン劇場へ。本命は台湾の本作だったのですが、その前にもう1本観られそう。
といっても上映スケジュールが合うのはすでに観た『劇場版 モノノ怪 第二章 火鼠』のみ。
まぁ、めっちゃ面白かったし、眠くなりゃ寝てもいいしねと思ったけれど、まったく睡魔に襲われず。
それどころか最後の「自分を許せない」とわかるシーンではやっぱり涙目になったのでした。
 
さて、そのあと数分後に上映開始の本作は、『あの頃、君を追いかけた』(2011)のギデンズ・コーが監督。
同作は日本でリメイクされ、主演は今ほどはまだ売れていない山田裕貴でしたね。
 
本作は2022年に台湾で公開され、当時、台湾映画興行収入トップだった『呪詛』を超える大ヒットを飛ばす。
そんな作品を上映してくれてありがとう、塚口サンサン劇場さん。
 
近所のオッサンたちとバスケを楽しむ青年シャオルン(クー・チェンドン)。
突然の雨に大木の下で雨宿りをしていたところ、雷に見舞われて命を落としてしまう。
 
冥界にやってきたシャオルンは、“月老(ユエラオ)”となって善行を積むために修行を始める。
月老とは台湾で親しまれている縁結びの神様。
現世でこれはと思われる相手同士を赤い糸で結ぶことによって幸せを呼び込むのだ。
 
月老となるには相棒が必要。2人1組となって試験に合格し、月老を目指す。
シャオルンは同時期に冥界にやってきた生意気な女性ピンキー(ワン・ジン)と渋々コンビを組むも、なんとか月老となって現世へ。
 
ピンキーは生きていた頃の記憶をちゃんと持っているが、落雷のせいで記憶が飛んだシャオルンは何も覚えていない。
冥界入りした際にいくつか示された資料を見て、自分の通っていた高校はわかるからその辺りをうろついてみる。
すると、シャオルンとピンキーの姿は誰にも見えないはずなのに、1匹の犬が走り寄ってくるではないか。
 
その犬“アールー”を探しにきた女性シャオミー(ヴィヴィアン・ソン)を見た瞬間にシャオルンの記憶が蘇る。
小学校のときに転校してきたシャオミーにシャオルンは一目惚れし、すぐさまプロポーズ。
シャオミーは決して「いいよ」と言ってくれなかったが、シャオルンの想いは変わらず。
そして10年以上が経ってようやく恋人同士になったというのに、シャオルンが死んでしまったのだ。
 
ずっと一緒にいてくれたシャオルンを失い、うつろな毎日を送るシャオミー。
自分の姿が見えずとも彼女に寄り添っていたいシャオルンは、一方的にシャオミーに話しかけるのだが……。
 
結論から言うと『僕と幽霊が家族になった件』(2022)のほうが断然好きでした。
でも台湾のファンタジー作品って良いですよね。
前日に『ガラ』を観てゲンナリしたばかりだったから、なおさらのことそう思います。
 
冥界の仕組みが面白い。
生きている間にどれぐらい善人であったかによって、何に転生できるかが決まる。
ゴキブリだったりカタツムリだったり、上位がブタというのはどういう理由なのかわからんけど。
 
閻魔大王から牛頭に任命されたグイトウチェン(マー・ジーシアン)は、500年間その役目を果たしてきたのに、浄土にたどり着けません。
現世で自分を貶めた相手のことが忘れられずに憎み続けているのに、当の相手は何度も転生してグイトウチェンへの仕打ちなんて忘れている。
もうどうなってもいいと決めたグイトウチェンは現世へと逃亡し、誰かに乗り移りながら殺人を繰り返します。
憎む相手のひとりがシャオミーの前世だったから、シャオミーもターゲットになってしまう。
 
殺されかけているシャオミーをなんとか助けたいシャオルンは、グイトウチェンと相対するうち、ふと自分の前世を思い出します。
このシーンはめちゃめちゃ良くて、涙ポロリ。
 
日々に感謝して生きることを忘れずにいようと思える作品です。

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『ガラ』

『ガラ』(原題:嘎啦)
監督:ツェン・ダーヘン 
出演:チュー・チアイー,シュー・ハオシャン,メイヴィス,リー・エンヨウ他
 
昨夏台湾で公開されて大ヒット、興行収入年間ベスト10入りを果たしたホラー作品との触れ込み。
本国ではあまりのグロさに耐えきれずに鑑賞中の嘔吐者続出ってホンマかいな。
いやいや、吐きそうになったら劇場の外へ出なあかんし、そもそも観なきゃよいのでは。
 
だからもともとはホラーが苦手な私も観るべきではないと思ったのですけれど、またまた好奇心が勝る
世の中にホラー好きは多いようで、これだけ煽られたら観たくなるというものでしょう。
シアターセブン、連日大盛況のようで、この日も満席でした。
よかった~、早めにオンライン予約しておいて。こんな映画、最前列では観たくない(笑)。
 
タイトルの“GALA”は、台湾で歯ぎしり音を表す擬音語のことなのだそうです。
原作の小説は台湾で文学として高く評価され、その原作者のチャン・タイユーが脚本を書いています。
『呪詛』(2022)で金鐘賞最優秀アートデザイン賞を受賞したスタッフがグロすぎる特殊メイクを担当。
ヤバそうなシーンが急に来ても大丈夫なように、最初からほとんど薄目の状態で観ました。
 
青年アーシューの母親はインフルエンサーのメイビス。
メイビスは夫と死別した後に再婚。このたび、父親の命日にかぶせて家族旅行を計画したのがアーシューは気に入らない。
再婚相手つまりアーシューの継父とアーシュー、そしてまだ幼い妹を連れ、メイビスは山奥のリゾートヴィラへと向かう。
 
ヴィラだと言うが、そこは50年以上前のホテル建設時に多数の死亡者を出した廃墟
ここからライブ配信をおこなって客を呼び込み、儲けようとメイビスは考えているのだ。
 
途中で森に迷い込んで車が動かなくなったが、メイビスの部下チャンが迎えに来たおかげで一行は無事ヴィラに到着。
しかしヴィラで次々に怪奇現象に見舞われたばかりか、チャンが不可解な死を遂げる。
死の直前にチャンが撮影して送ってきた動画を見たアーシューの友人ティエンレンは、これを利用しない手はないと考える。
 
ヴィラから帰宅後も様子がおかしいメイビスを心配するアーシューに、ティエンレンはもう一度ヴィラに行こうと言う。
謎を探るべく乗り込んでライブ配信するべきだと言われ、アーシューも頷く。
チームを組むため、ネットでメンバーを募ってオーディション。
フェイシャン(♂)、ジェニー(♀)、ジュエン(♀)を採用し、計5人で再度ヴィラへと向かうのだが……。
 
う~む、なんだかガッカリです。意を決して観に行ったのに(笑)。
 
原作はどうだか知りませんが、怪奇現象が起こる原因が中途半端にしか描かれていなくてわかりづらい。
そこにちゃんとした理由があるホラーなら物語として面白いから楽しめます。
『哭声/コクソン』(2016)とか『憑依』(2023)、『破墓/パミョ』(2024)などの韓国ホラーが私にとってはそうでした。
 
いずれの作品よりも映像的には本作のほうが不気味でグロいけれど、物語性が低い。
ジャンプスケアに特化した作品だと思うので、ただ怖いものを観たくてビビりたい人にはいいかも。
呪われた人は自分で口を引き裂いて死んじゃいます。もうホントにグロい。
 
ホラーにも切なさがほしいんだよ。これじゃ結局何だったの!?という感想しか残らない。
とは言うものの、えげつないシーンでは目を閉じていたから大丈夫かと思いきや、
この日の晩に見た夢は、内容を覚えていないけれど嫌な感じだったから、それなりに怖かったのでしょう。(^^;

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『パディントン 消えた黄金郷の秘密』〈字幕版〉

『パディントン 消えた黄金郷の秘密』(原題:Paddington in Peru)
監督:ドゥーガル・ウィルソン
出演:ヒュー・ボネヴィル,エミリー・モーティマー,ジュリー・ウォルターズ,ジム・ブロードベント,マデリーン・ハリス,
   サミュエル・ジョスリン,カルラ・トウス,オリヴィア・コールマン,アントニオ・バンデラス他
声の出演:ベン・ウィショー,イメルダ・スタウントン他
 
朝イチに梅田で『クィア/Queer』→中津で昼呑み→十三で『ごはん』『湖の見知らぬ男』
最後に観た『湖の見知らぬ男』の上映終了時刻とは上映開始時刻がかぶっている本作を観にTOHOシネマズ梅田別館へダッシュ。
だってそこまでしないと、字幕版を観る機会がないんです。
仕事帰りにシュッと寄れる劇場では日本語吹替版ばかり上映しているし、梅田まで出ても字幕版の上映は最終のオソオソの回1度きり。
 
私と同じく洋画は字幕で観る派が多いのか、遅い時間にもかかわらず8割ぐらいの客入り。
十三で電車に飛び乗って向かったわけですが、本編上映数秒後に滑り込むことができました。
 
『パディントン』(2014)、『パディントン2』(2017)に続く第3弾はペルーが舞台。
監督は本作が長編デビューとなるドゥーガル・ウィルソン。イギリス出身だそうです。
 
すっかりブラウン一家の一員となり、ロンドンで平和な日々を送っていたパディントンのもとへ、
故郷ペルーの老グマホームに暮らすルーシーおばさんの様子が変だという手紙がホームのシスター・クラリッサから届く。
パディントンの育ての親であるルーシーおばさんの元気がないなんて気がかりで仕方がない。
ちょうどパスポートを作ったばかりのパディントンは帰郷を決意する。
 
パディントンの決意を聞いたブラウン夫人は、一家でその旅に同行しようと提案。
もちろんパディントンのことが心配だからだが、最近一緒に過ごす時間の減った家族が一致団結する良い機会だとも思うからだ。
 
こうしてペルーへと向かったブラウン一家とパディントン。
しかし、老グマホームに着いてみると、ルーシーおばさんが行方不明だと言う。
彼女が自室に残していた地図を頼りにジャングルの奥地に乗り込む彼らは、
クルーズ船を運航する船長のミスター・ハンターとその娘ジーナに案内を頼むのだが……。
 
やっぱり嬉しいなぁ、パディントンがベン・ウィショーの声で話すのを聴けるのは。
ルーシーおばさんの声を担当するのはイメルダ・スタウントンで、こちらもさすが。
 
てっきりいい人だと思っていたシスター・クラリッサが実は黒幕という展開にはちょっとビックリ。
最初からかなり怪しくはあるのですけれど、まさかお宝を狙っていたとは。
彼女の役にオリヴィア・コールマンを起用したのが素晴らしい。
ハンターを演じるアントニオ・バンデラスも役にハマりすぎ。
ばあちゃん役のジュリー・ウォルターズも頼もしくていいですよねぇ。
 
子ども向けと侮ってはいられません。
船が激流に飲み込まれそうになるシーンは迫力がありますし、芸達者な人たちが揃っているから、大人もじゅうぶん楽しめる。
何よりも紳士然としたパディントンが愛らしく、いつまでも元気でいてほしいと思うのでした。

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『湖の見知らぬ男』

『湖の見知らぬ男』(原題:L’inconnu du Lac)
監督:アラン・ギロディ
出演:ピエール・ドゥラドンシャン,クリストフ・パウ,パトリック・ダスンサオ,ジェローム・シャパット,マチュー・ヴェルヴィッシュ他
 
昼呑みの後、シアターセブンで前述の『ごはん』を観てから階段を駆け上がり、第七藝術劇場で本作を鑑賞。
朝イチで観たのが『クィア/Queer』だったから、期せずして1日に2本のゲイムービーを観ることになりました。
 
アラン・ギロディは、現代フランスを代表する映像作家でありながら日本では劇場未公開という監督なのだそうです。
鬼才か奇才か、はたまたの異才か。そんなギロディ監督の特集がナナゲイで組まれていました。
監督作全7作のうち3作をこのたび公開。
本作は第66回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞とクィア・パルム賞を受賞した2013年の作品で、
ギロディ監督の名を世界に轟かせた作品なのだとか。
 
休暇のシーズンを迎えた湖のほとり。
ここはいわゆるハッテン場。対岸は普通の家族が訪れる場だが、こちら側はまるで男性だけのヌーディストビーチ。
裸体をさらして好みの相手を探し、お互い目配せして合意すれば湖の上の森に入って行為に及ぶ。
フランクも毎夏ここへやってくる常連のうちのひとり。
 
この夏初めてやってきたとおぼしきアンリはそんな男たちを見るでもなく、ひとり離れて湖を見つめている。
フランクのタイプではないから寝るつもりはないが、話してみると落ち着く。
以降、フランクはほぼ毎日挨拶がてらアンリの隣へ行き、言葉を交わすように。
 
ある日、もろにタイプのミシェルを見かけて惹かれるフランク。
ミシェルとフランクが話していると、怒った美男子ラミエールがやってきてミシェルを連れて行く。
タイプの男性にはたいていいつも彼氏がいると思わずアンリにぼやくフランク。
 
そろそろみんなが帰りはじめる頃、森の中をひとりで歩いていたフランクがふと湖のほうを眺めると、
湖上でミシェルとラミエールが口論中。
さらにはミシェルがラミエールを湖の中に沈めて溺死させるのを見てしまう。
 
ミシェルといたラミエールがいなくなり、フランクとミシェルはそういう仲に。
殺人現場を見たことは言えないまま、この恐ろしい相手ミシェルに惹かれてゆくのだが……。
 
これが監督賞を授与するなんて、カンヌはやっぱり凡人には理解できない映画賞なのだなぁと思います。
良かったかと言われると、変な映画だなぁと思ったという以上のことは言えません。
映像としても2013年の作品というのが嘘に思えるほどで、昔のポルノ映画ってこんな感じなのではと想像。
 
いくら芸術的に評価された作品であっても、男性同士の生々しいセックスシーンが無修正で上映されるとなると、
たとえば新世界国際劇場なんかだと絶対に行けないでしょう。その辺りで本番が始まりそうですし。(^^;
ナナゲイだからこそ女ひとりでも安心して観られます。
 
よそでは観る機会のまずない作品を上映してくれてありがとう、ナナゲイさん。
そういえば『童貞。をプロデュース』(2007)を上映してくれたときも嬉しかったなぁと思い出す。

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『ごはん』

『ごはん』
監督:安田淳一
出演:沙倉ゆうの,大淵源八,井上肇,紅壱子,小野孝弘,福本清三,浅野博之,
   森田亜紀,多賀勝一,福田善晴,戸田都康,鈴木ただし,枦川友彦,皷美佳他
 
中津で昼呑みの後、阪急電車で隣駅の十三へ。シアターセブンで本作を鑑賞。
 
『侍タイムスリッパー』(2023)で話題をかっさらった安田淳一監督が2016年に撮った作品。
安田監督のご実家が米作り農家なのだそうで、お父様がお亡くなりになった後を継ぎ、米農家と映画監督の兼業を続ける安田監督。
本作は日本映画史上もっとも美しい水田風景を描いた作品と言われています。
 
東京で派遣社員として勤めていたヒカリ(沙倉ゆうの)は、父親(井上肇)急逝の報せを叔母(紅壱子)から受け、慌てて京都へ帰省する。
母親(森田亜紀)はヒカリが小学生の頃に亡くなり、そのときも田んぼに出かけていた父親は母親を看取れず。
いつも田んぼ優先だった父親にヒカリは反抗し、以来、父娘の会話はほとんどなくなっていた。
就職先も東京を選んだから、父親が何をどのように考えてどうしていたのか、ヒカリは知る由もない。
 
父親は、田んぼを持て余す近隣の米農家30軒の頼みを聞き入れて5町(甲子園球場約4個分)もの田んぼを預かっていたらしい。
1年前、食うに困ってトマト泥棒を働いた九州出身の源八(大淵源八)という青年を雇い入れ、丁寧に米作りを指導。
父親と源八ふたりで田んぼを見てきたわけだが、父親は亡くなり、源八は現在骨折で入院中。
ヒカリが田んぼをなんとかできるはずなどないから、30軒に詫びて田んぼを返したら東京に戻ろうと考える。
 
ところが、今さら田んぼを返されてもと言う家ばかりでヒカリは困り果てる。
唯一、致し方のないことだ詫びるのはこちらのほうだと言ってくれた西山老人(福本清三)の話を聴き、
せめて源八がまた働ける体になるまではこちらに残って田んぼを見ようとヒカリは決意するのだが……。
 
米作りエンターテインメントと銘打たれているとおり、米作りについてこんなにわかりやすく描写されている作品は初めて。
何の知識もない若い女性が田んぼを守るなんて無理だと思いましたが、
実際に米を作っている安田監督が描くならば、可能なのかもしれないと思いはじめました。
そもそも無理だと決めつけたらそれは無理ですよね。無謀だったとしても、無理だと思い込まないことが大事なのかも。
 
言わずと知れた名斬られ役の福本清三が稲刈りを手伝うシーンで「刃物の使い方は任せしとけ」という台詞で笑わせてくれます。
今はもうこの世にいないのがとても寂しい。
生きていたなら絶対『侍タイムスリッパー』にも出演オファーがあったでしょうに。
でもきっと『侍タイムスリッパー』の大ヒットや本作の再上映を喜んでいらっしゃいますよね。
 
上西雄大監督やその上西組の徳竹未夏もキャストに名を連ね、みんなで作り上げた作品だということがわかります。

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