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『こんにちは、母さん』

『こんにちは、母さん』
監督:山田洋次
出演:吉永小百合,大泉洋,永野芽郁,YOU,枝元萌,加藤ローサ,
   田口浩正,シルクロード,宮藤官九郎,田中泯,寺尾聰他
 
封切り日、109シネマズ箕面にて17:30の回を予約。
これまた17:15終業の私には無謀な試みですが、道が空いていたおかげで17:35に劇場入り。
本編の開始には余裕で間に合いました。
 
全国のサユリストにはどやされそうですが、もう何年も前から辟易としているのです。
吉永小百合その人にではなく、名だたる監督たちの彼女の扱い方に。
こんなこととか、こんなこととか、そして「その私の扱い方はおかしいでしょ」と言わない小百合さんにも。
 
しかし本作はちがう。最近の作品で実年齢に近い本人と相手の設定って初めてじゃないですかね。
吉永小百合78歳、彼女が恋する相手役の寺尾聰は76歳。
息子役の大泉洋は50歳、彼の娘、すなわち吉永小百合の孫役の永野芽郁が23歳。
見た目の若さに合わせたのではない、年相応の役柄に好感が持てます。
初めて山田洋次監督えらいやんと思いました。すみません、上から目線で。(^^;
 
誰もが知るような大手企業の人事部長を務める神崎昭夫(大泉洋)。
同期の中で出世頭と言われ、順風満帆な人生を送っているように思われているが、
リストラで社員を切ることに神経がすり減るばかり。
大学時代からの友人で同期入社の木部富幸(宮藤官九郎)がリストラ候補に挙がっているとは言えず、
しかし本人も薄々感じているようで、このところ何度も昭夫のもとへやってくる。
 
会社でもこんなふうでつらいのに、妻子とは別居中で帰宅してもわびしさいっぱいのところ、
妻から一人娘の舞(永野芽郁)が家出して3日間連絡がつかないと連絡が入る。
電話にも出ない舞はおそらく昭夫の実家に身を寄せているのではないかと妻から言われ、
昭夫はしばらくぶりに母親の福江(吉永小百合)がひとりで暮らす実家へと向かう。
 
福江は足袋職人だった夫に先立たれたが、今も足袋を他所から仕入れて店を続けている。
予想通り、舞は福江を頼って実家に居候中。
舞は家も大学もつまらないと言い、福江はホームレス相手のボランティアに精を出し、
しかもいい歳をして教会の牧師(寺尾聰)に恋しているらしい。
それぞれに悩みを抱えていると言うけれど、俺の悩みとは次元が違うと昭夫はいらつくのだが……。
 
感覚的にちょっと古いかなぁという印象は否めません。
クドカン演じる係長の振る舞いなんて、今はセクハラ以外の何者でもない。
昭夫の部下(加藤ローサ)の肩にそんなに気安く触っちゃ駄目だし、
男ふたりで飲みに行けばいいものを、いちいち誘いますかね、彼女を。
酒いける口だって聞いてるよって、オッサンから言われたかないっちゅうの。
で、彼女も誘われたら行くんかい。まぁ、大泉洋となら飲みに行きたいかもしれません(笑)。
 
永野芽郁演じる舞が木部に「おじちゃま」と声をかけるシーンも違和感バリバリ。
いまどきのヘソ出しが子が言いますか、オッサンにおじちゃまって。
 
と、まぁ、やっぱり山田監督にはいろいろ文句を言いたくなるのですが、
大泉洋を見ているのは面白かった。
無意識のうちにいろんなものに上下をつけて、周囲の人を見下している。
それにまったく気づいていない彼がどうするのかは見ものでした。
 
でもつらいですよね、クビを切られる側はもちろんだけど、クビを切る側も。
思い悩んでいるところ、母親や知り合いが「おまえの立場ならなんとかできるやろ」と言う。
いやいやいや、なんともできんっちゅうの。
あ、母親が息子のことを「おまえ」と呼ぶのもそういえば違和感がありましたが、
この世代では普通のことなのでしょうか。
 
ホームレス役の田中泯が空き缶いっぱいのビニール袋を積んだ自転車を押すシーンは、
舞踏家としての彼の姿を久しぶりに見ているかのような気持ちになりました。
彼と昭夫が川沿いのベンチに腰掛けて会話するところは結構好き。
 
肝心の吉永小百合ですが、こんなもんじゃあないですか。またサユリストに叱られる(笑)。
でも私にとっては久々に「普通によかった」と思える山田監督作品です。
普通って大事でしょ!?
 
客層はみーんなサユリストらしき年代の人たち。
いたるところで大笑いしていたので、「はぁ?ウケすぎやろ!」と思いながらも、
それに釣られて私も笑う。これもええかな。

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『君は行く先を知らない』

『君は行く先を知らない』(英題:Hit the Road)
監督:パナー・パナヒ
出演:モハマド・ハッサン・マージュニ,パンテア・パナヒハ,ラヤン・サルアク,アミン・シミアル他
 
シネ・リーブル梅田にて、もう1本。
 
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の長男パナー・パナヒの長編監督デビュー作品。
父親のジャファル・パナヒ監督は、イランの政治体制を批判しつづけている人です。
その作品は国外で高い評価を受けているにもかかわらず、当局からは目をつけられ、
イラン国内では上映禁止になるどころか、監督本人が逮捕されて禁固刑に服したりも。
それでも映画を撮ることをやめようとしない監督の息子はどんな作品を撮るのか。
 
予告編を観て公開を心待ちにしていましたが、社会的背景をよく知らないまま観ると戸惑います。
 
イランの国境近くを車で旅する4人家族。
両親と息子2人。長男とは歳の離れた次男だけがこの旅の理由を知りません。
まだ幼い次男は、憂鬱な顔をした家族の気持ちなど知る由もなく、
ひとり無邪気にはしゃぐから、特に父親はそれに対する苛立ちを隠せない。
 
旅の理由がはっきりと言葉にされるシーンはないのです。
本作は監督自身の亡命体験に着想を得ているとのことだから、
そうか、これは長男が亡命するための旅なのだとわかる。
 
亡命するには基本的には本人だけが出向かなければいけないのに、
長男のことが心配でならない両親はついて行きます。
ケータイも持参してはいけないことになっているのに、次男がこっそり持ち込む。
次男は旅の理由を知らないから、好きな女の子から電話がかかってきたら困ると思って持ち込むのですが、
途中でケータイが鳴ってバレてしまい、母親が没収。後で回収できるように路傍に埋めます。
 
案内人は羊皮のマスクをかぶっていて、長男もいずれかぶる。
その羊皮を指定された場所で買わねばなりませんが、皮だけのはずが羊1頭分払わされたりも。
無事亡命できるとなると、あと一度だけ息子と会える機会が設けられるようで、
でもそのときは息子も羊皮のマスクを着用しているから、誰が誰だかわからない。
 
長男がいなくなった帰り道、兄不在の理由がまだわからない次男が歌って踊る。
両親にしてみれば、長男がいないのは悲しくても、亡命できるのなら致し方ないと思っているふうでもある。
 
景色の美しさが余計に切なさを呼びます。
どこにいても、家族は家族。じゃない場合もあると思うけど(笑)、本作を観るとそう思う。

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『卒業 Tell the World I Love You』

『卒業 Tell the World I Love You』(英題:Tell the World I Love You)
監督:ポット・アーノン
出演:スラデット・ピニワット,タナポン・スクンパンタナーサーン,
   シラホップ・マニティクン,クナイティップ・ピンプラダブ他
 
北摂では観るものがなくなって、仕事帰りにシネ・リーブル梅田へ。
 
最近タイ作品がちょっと面白いな~と思っていました。
『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)も印象に残っています。
でもこれは私には刺さらないどころか、観ているのもツライ作品だったなぁ。
 
「タイの人気若手俳優の共演で贈る青春クライムアクション」との触れ込みで、
だったらイケメンがいっぱい出てくると思うじゃないですか。
だけど、『2gether THE MOVIE』(2021)ほどの綺麗な男子は出てこないんですよ。
タイらしく主人公がオカマ呼ばわりされたりはするけれど、ボーイズラブというわけでもなし、
スリル溢れるサスペンスでもなければ、アクションも中途半端に派手で。
 
バンコクに暮らす男子高校生のケンとタイは親友同士。
あるとき、ケンはボンという青年が夜の街で袋叩きにされているのを見かける。
ボンに殴る蹴るの暴行を加えているのは明らかに裏社会の男たちで、
その場ではどうにもできなかったが、男たちが立ち去った隙にボンを助ける。
 
ボンは足を洗おうとしているのに、ヤクをくすねたと濡れ衣を着せられ、
組織を抜けたければまずヤクを返せと言われたらしい。
しつこくボンを追い回す男たちは、ボンを助けたケンにも目をつけ、
ケンと親しいタイの兄が経営する飲食店にまで押しかけて暴れる。
 
今までタイのもとに住まわせてもらっていたのに出て行くことを余儀なくされたケン。
行く場所に困っていると、ボンが現れ、助けてもらったお礼に家に来ないかと言い……。
 
現在タイに駐在中のダンナに「こんなに簡単にをぶっ放せるものなの?」と聞いたら、
銃は当然違法だから、これは映画の中だけでのこと。聞くまでもないか。(^^;
先日タイでは大麻が合法化されたため、会社としてどのように対応するかは悩みの種なのだそうです。
本作に出てくるヤクは大麻かどうか私にはわかりませんが(笑)、
序盤に貧困にあえぐ主婦が収入ほしさに売ろうとしたのはケタミンでした。
いや、ケタミンがどういうものなのかも知らんけど。
 
テンポが緩い。そのわりに殴る蹴るは派手。
邦画だったらその一発が飛ぶ直前に味方が出てくるやろと思うのに、殴りすぎ。死なないけど。
高校生の暮らしぶりとか、奨学金を狙って勉強する様子とか、中国に行きたがるのとか、
いろいろ興味を引かれる話はありましたが、もっとイケメンが出てきてくれないとつまらない。(^^;
 
と私は思ったのですけれど、そんなに評判は悪くないようですね。へ~っ。

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『エリザベート1878』

『エリザベート1878』(原題:Corsage)
監督:マリー・クロイツァー
出演:ヴィッキー・クリープス,フローリアン・タイヒトマイスター,カタリーナ・ローレンツ,ジャンヌ・ヴェルナー,
   アルマ・ハズン,マヌエル・ルバイ,フィネガン・オールドフィールド,アーロン・フリース,コリン・モーガン他
 
無知でお恥ずかしいことなのですが、“エリザベート”がどこの国のどういう人なのか知りませんでした。
あちこちに同じ名前の王女やら皇后やらがいるのですよね。
その中でも特に有名なのが本作の人、もとはバイエルン王国の次女として生まれた自由奔放なお姫様で、
姉の見合い相手だったオーストリア=ハンガリー帝国の皇帝に見初められてしまい、嫁ぐことになったらしい。
宝塚歌劇で上演されたのもこの皇后エリザベートのことなのか。へ~と今さらですみません。
 
本作の監督はオーストリア出身の女性マリー・クロイツァー。
先日観た『アウシュヴィッツの生還者』で印象に残った女優ヴィッキー・クリープス主演と知り、
こりゃ観なくちゃとイオンシネマ茨木へ走りました。
オーストリア皇妃エリザベートは、クリスマスイブが誕生日。1877年のその日、40歳になった。
*余談ですが、皇后と皇妃って別物なのかと調べたら、日本人は皇后、外国人は皇妃と、日本人が呼ぶみたい。
 
平民女性なら40歳が寿命と言われた時代。
16歳でフランス・ヨーゼフ一世のもとへ嫁いだ彼女は、老いの恐怖と闘っている。
世間が彼女に求めるイメージを何が何でも維持しなければならない暮らしが続く。
お飾りでしかない自分自身に嫌気が差して、次第に不満を募らせて行き……。
 
幼少時代をどんなふうに過ごした人で、どんな人物だったのかを全然知らなかったので、
鑑賞後にウィキペディアなどを見て、劇中の彼女のふるまいに合点が行く。
しかしそんなことを知らなくても、ヴィッキー・クリープスの演技を見れば、
窮屈な毎日に辟易としていることがわかります。
 
世間も夫も、まだ幼い娘すら、エリザベートに良いイメージを求める。美貌の良妻賢母。
慰問先の病院で瀕死の患者が吸いたがっているタバコを与えて一緒に吸えば、娘から嫌な顔をされる。
すべてにうんざりしているエリザベートは、他人の目のあるところで男といちゃついてみたりする。
夫に何を言われようが気にしない風なのに、その夫が18歳の小娘に好意を抱いていると知ると嫉妬する。
 
何もかも縛られて生きてきた彼女が黙って従っていたわけではないのはいいけれど、
面白くないことがあるたびに八つ当たりされる侍女たちは本当に気の毒。
なのに、エリザベートは側を離れてほしくないから、侍女の結婚を認めようとしません。
 
わがままな皇妃に観ているこちらも振り回されますが、
彼女が感じていた息苦しさはダイアナ妃に通じるところがあるように思います。
皇帝に見初められることがなかったなら、彼女の生涯はどうなっていたのか。
体調が悪いと言えば、まったく害のない薬だとしてヘロインを処方される彼女のことを見るに忍びない。
 
40歳になった彼女の1年弱を描いています。
いちばん生き生きとして見えるのは、ルイ・ル・プランスのフィルムの中。
ルイ・ル・プランスは紙フィルムを使って映像を撮影することに成功した“映画の父”と言われる人で、
これはリュミエール兄弟トーマス・エジソンより先だったとか。
誰もが彼の発明を笑い飛ばしていた頃、革新的だったエリザベートはそれを信じた。
彼女がおどけてみせるフィルムはまだ残っているのでしょうか。

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『Gメン』

『Gメン』
監督:瑠東東一郎
出演:岸優太,竜星涼,恒松祐里,矢本悠馬,森本慎太郎,りんたろー。,小野花梨,落合モトキ,
   後藤剛範,今村美乃,奥野壮,高良健吾,大東駿介,吉岡里帆,尾上松也,田中圭他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『春に散る』とハシゴ。
 
原作は2014年から2018年まで『週刊少年チャンピオン』に連載されていた小沢としおの人気漫画。
主演の岸優太が何者であるかまったく知らなかったのですが、“King&Prince”にいた子なのですね。
元メンバーで元リーダーとのこと。本作では「チンチクリン」呼ばわりされています(笑)。
確かに身長も高くなさそうだけど、ちっこくて可愛いではないですか。
 
高校1年生の門松勝太(岸優太)が転校したのは、女子高に囲まれた男子高、私立武華高校。
「彼女出来る率120%」と噂されていたのに、勝太が編入されたG組は様子が変。
G組は校内で最低に位置づけられ、ヤンキーオタクしかいないクラスだったのだ。
 
それでもメゲない勝太は、昭和の香り漂うヤンキー・梅田真大(森本慎太郎)や、
馬面の武闘派・薙竜二(りんたろー。)、イケてないオタク・肝田茂樹(矢本悠馬)たちから
冷たい目で見られても気にせず、逆に鼓舞する。
 
勝太が単なるアホではなく、ものすごく喧嘩に強いことがわかる。
武華高校を仕切っていた上級生まで倒してみせて、同級生たちと絆ができあがる。
さらには、成績トップの学校一のモテ男子・瀬名拓美(竜星涼)ともひょんなことから親しくなり、
彼女を作ろうと躍起になる勝太だったが……。
 
瑠東東一郎監督の作品はバカバカしいものが多いけど、どれも現場が楽しかろうと思います。
G組の先輩で、実は伝説のGメンのメンバーに高良健吾田中圭
アラフォーのふたりが高校生の役って何やねん。でも面白すぎる。
 
G組の担任教師・雨宮瞳(吉岡里帆)もコメディのセンスありますよねぇ。
これはちょっとビックリするぐらいキレ味よくて笑った。
可愛いだけの役をしていた頃は確か同性の好感度が低かったのでは。
今や何でもできる女優で、同性の人気も高いはず。私も大好きです。
 
レディースの恒松祐里と、私が最近注目している小野花梨も○。
りんたろー。の相方、兼近大樹もカメオ出演しています。
「ルフィ」とかつて知り合いだったことが判明して仕事が減ってしまったようですが、
何も事件に関係がないのに受けたとばっちりなら早くなくなりますように。
 
笑いました。楽しい。こんな映画が一日の〆ならば、明るい気分で眠りに就けます。

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