『12人の怒れる男』(英題:12 Angry Men)
監督:ニキータ・ミハルコフ
出演:セルゲイ・マコヴェツキー,ニキータ・ミハルコフ,セルゲイ・ガルマッシュ,
ヴァレンティン・ガフト,アレクセイ・ペトレンコ,ユーリ・ストヤノフ,
セルゲイ・ガザロフ,ミハイル・イェフレモフ,アレクセイ・ゴルブノフ,
セルゲイ・アルツィバシェフ,ヴィクトル・ヴェルズビツキー,ロマン・マディアノフ他
シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』(1957)をロシアでリメイク。
『12人の優しい日本人』(1991)も、
『十二人の怒れる男』をモチーフとしています。
この日記(注:引っ越し前の「さるさる日記」)は1000字が上限なので、
毎回、最初は出演者を10人くらい挙げておき、
本文が長くなったときはそれを削ります。
しかし、陪審員制度の話となると、12人のうちの誰かは削れませんねぇ。
長い名前の多いこと。やたら「なんたらフ」が多いし。
ロシアの裁判所。
被告である少年ウマルは、養父殺しの罪に問われている。
ウマルは無実を訴えているが、検察側は終身刑を求刑。
12人の陪審員に評決が託される。
ウマルにとって圧倒的に不利な証拠と証言が揃い、
12人全員一致で即座に有罪を下すことが確実だと思われていたが、
ただ1人の陪審員だけが無罪を主張する。
ご存じのように、評決は全員一致が前提です。
オリジナル同様、陪審員が一室にこもり、
全員一致の評決に達するまでを描いていますが、
裁判所の部屋が補修中で、
隣接する小学校の体育館で議論するところも含め、
ロシアならではの要素が興味を引き、お見事。
まず、被告のウマルがチェチェン人。
チェチェン紛争で両親を亡くした彼を引き取ったのが、ロシア軍の将校。
また、陪審員が全員男性で中高年。
こんなに偏った人選でいいのかと思いますが、
出身地が違えども、同じ国で同じ世代を生きてきた男たちだからこそ、
最終的には理解し合える部分があるのでは。
ウマルと同じ地方の出身である陪審員が、
ナイフ片手に踊ってみせる姿にも引き込まれます。
彼らにとってはナイフは体の一部で、
人を刺すときにはこうは使わないという台詞にも説得力が。
中途半端に大ネタバレです。
ウマルの無実を信じつつ、もしも無罪の評決を下せば、
彼がシャバで殺されてしまうことを悟った陪審員たち。
有罪にすれば刑務所の中で一生安泰。さて、どちらに。
陪審員として出演もしている監督、
オイシイところを持って行き過ぎ。(^^;
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