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『ホーンテッドマンション』〈吹替版〉

 『ホーンテッドマンション』(原題:Haunted Mansion)
監督:ジャスティン・シミエン
出演:ラキース・スタンフィールド,ティファニー・ハディッシュ,オーウェン・ウィルソン,ダニー・デヴィート,
   ロザリオ・ドーソン,チェイス・W・ディロン,ジェイミー・リー・カーティス,ジャレッド・レトー他
声の出演:八代拓,土屋アンナ,片岡愛之助,温水洋一,田村睦心,小林幸子,前田一世他
 
字幕版を観た翌日、遠出をするのはしんどいし、近場の劇場で何か観たい。
でも、前週末までの封切り作品はほぼ制覇してしまったから、本作の吹替版を観るしかありません。
109シネマズ箕面にて。
 
観るまでもなく字幕版のほうが良いに違いないと書きました。そのとおりでした。
子ども連れで観に行った友人が眠くなったと言っていたのがわかります。
 
声を担当しているのが誰なのか調べずに行きました。鑑賞後に調べてビックリ。
え~、霊媒師が土屋アンナで、神父は片岡愛之助、教授は温水洋一
水晶玉に閉じ込められた伝説の霊媒師が小林幸子ってか。全然わからなかったなぁ。
 
なんだか台詞がつまらないのです。字幕では笑えたシーンが笑えない。
たとえば、冒頭、息子のトラヴィスが恐怖に怯えながらも自分の部屋に入ったとき。
壁にかかっている女性の大きな肖像画が今にも襲ってきそうで、
トラヴィスはその絵に向かって“Not today”と言います。字幕は「今はやめて」でした。
吹替版では「来ないでよ」。そうなんだけど、普通すぎて面白くない。
 
ギャビーが卵料理を作ろうとしているとき、亡霊たちがふざけてじゃまするシーンがあります。
卵が宙を飛んで勝手に動いたり、フライパンの上で割られて殻ごと突っ込まれたり。
そこでベンとギャビーが“egg”にからめたギャグを言い合うのですが、
これを「卵」でやられると全然笑えません。もっとも、これに関しては字幕版でもスベっているけれど。
 
何よりも、吹替版はなぜかちっとも切なくないのです。
字幕版では泣いた猫のシーンも吹替版では泣けず。
テンポも吹替版より字幕版のほうが良いように感じます。
 
ただ、どちらを観ても、近親者を亡くした経験のある人ならところどころ響きそう。
泣くところまでは行かずとも、猫にはしんみりするはずです。
そして、「幽霊のウィンク」は信じたい。
 
字幕を読むのが大変だという人以外は、断然字幕版がオススメです。

—–

『ホーンテッドマンション』〈字幕版〉

『ホーンテッドマンション』(原題:Haunted Mansion)
監督:ジャスティン・シミエン
出演:ラキース・スタンフィールド,ティファニー・ハディッシュ,オーウェン・ウィルソン,ダニー・デヴィート,
   ロザリオ・ドーソン,チェイス・W・ディロン,ジェイミー・リー・カーティス,ジャレッド・レトー他
 
前週『こんにちは、母さん』を観ようと劇場へ向かっていたところ、うんと年下の友人から呼び止められました。
彼女は息子ふたりを連れて本作の吹替版を観るとのこと、私は来週観るわと言って別れたのでした。
その夜、睡魔と戦うのが大変だったとの報告が彼女からあり、そうなのかぁと残念に思っていました。
で、テンション下がり目だったけど、私に「観ない」という選択肢はないから、後日イオンシネマ茨木へ。
もともと洋画は字幕で観る派だから、当然字幕版を鑑賞しました。
 
ディズニーランド人気アトラクションを実写映画化した作品。楽しいじゃあないか。
 
シングルマザー女医ギャビーは、ひとり息子のトラヴィスを連れてニューオーリンズの外れに引っ越し。
古めかしく豪奢な屋敷で心機一転を図るつもりだったが、ここには絶対に何かがいる。
到着してからものの数分と経たないうちに怪現象に見舞われ、すぐに逃げだす。
 
一方、優秀な宇宙物理学者だったベンは、最愛の女性を亡くした後、
彼女に再会したい一心で「幽霊を写すことができるカメラ」を発明、完成させるが、
学会で発表したところ笑いものにされ、以降ずっとふさぎ込んでいる。
 
ある日、神父だという男性ケントがベンを訪ねてきて、「ヒーローにならないか」とのたまう。
どこで知ったのか、ベンが発明したカメラのことを知っているらしく、
ニューオーリンズの屋敷に出没する亡霊を撮影しに行ってほしいと言う。
即座に断わろうとするベンだったが、報酬に惹かれてつい引き受ける。
 
ニューオーリンズの屋敷には、ギャビーとトラヴィス親子がいた。
壊れて使えないカメラを使えるふりをして報酬を受け取ったベンは、亡霊などいないと言ってとっとと帰る。
ところが帰宅すると様子がおかしい。どうやらあの屋敷から何かがついてきたらしい。
どうにもならなくて致し方なく屋敷に戻ると、ギャビーとトラヴィスが「やっぱり戻ってきた」と呆れ顔。
 
そこへケントも現れる。
そう、ギャビーとトラヴィス、ケントの3人は皆、ベン同様に、逃げ出した先まで亡霊についてこられて、
この屋敷へと戻ってきたのだ。ケントに騙されたと怒るベンだったが、時すでに遅し。
 
こうして怪現象の謎を解いて祓う決心をした彼ら。
助っ人として、料金が格安の割には出来ると噂の霊媒師ハリエットを呼び、
幽霊屋敷に詳しい歴史学の教授ブルースにも話を聴くのだが……。
 
すごく楽しかったです。
 
心に傷を負った母子が大きなお屋敷に引っ越してきて恐ろしい目に遭う。
しかし『ヴァチカンのエクソシスト』と違うのは、子どもが「おかしい」と言うのを大人がすぐに信じて、
みんな怖い目に遭うところ(笑)。最初から笑ったなぁ。
 
キャストが楽しいですね。
ベン役のラキース・スタンフィールドはほとんど初めましての役者さんですが、
大好きだった妻を亡くした彼の表情が切ない。
ギャビー役のロザリオ・ドーソンが逞しく明るい母親で最高。
その息子トラヴィス役のチェイス・W・ディロンの屋敷到着後すぐの台詞“Not today.”は
『トップガン マーヴェリック』の同じ台詞を思い出してふきました。
 
神父にはオーウェン・ウィルソン、歴史学者にはダニー・デヴィートでもう鉄板。
水晶の中に閉じ込められている霊媒師役にはジェイミー・リー・カーティス
ラスボスは本当の顔がわからないジャレッド・レトー(笑)。似顔絵のシーンにバカウケ。
ラスボスがかつて住んでいた屋敷のツアーガイド役でウィノナ・ライダーが出演しているのに驚いた。
 
ラスボスを倒すためにほかの幽霊まで味方につけちゃう。
笑って、最後はちょっぴり泣きました。これもやっぱり、気持ちの整理のつけ方
たぶん吹替版より字幕版のほうがずっといいのではないかと思います。
 
ところで、テイタートッツ、ご存じでしたか。私は知りませんでした。
ハインツの子会社オレアイダの商品で、すりおろしたジャガイモを揚げたものなのだそうです。
冷凍のフライドポテトを作るさいに出るジャガイモの切れ端を有効活用できないものかと、
オレアイダの創設者が思いついて1950年代に商品化したとのこと。
この時代にすでに食品ロスを考えた結果に生まれた商品があったのですね。

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『オオカミの家』

『オオカミの家』(原題:La Casa Lobo)
監督:クリストバル・レオン,ホアキン・コシーニャ
声の出演:アマリア・カッサイ,ライナー・クラウゼ他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『福田村事件』の次に。
 
『福田村事件』は満席でした。それには及びませんが、これも9割の入り。
チリ出身のアーティスト・コンビ、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによる初の長編作品で、
なんじゃこれは!?とおののいてしまうストップモーションアニメです。
 
どうやって撮影したのだろうと思っていたら、各地の美術館やギャラリーに実物大のセットを組み、
等身大の人形や小道具を使用したというではないですか。いや〜、もう、変、変、変。
 
ある女性がコロニーから脱走してきたという設定なのですが、
このコロニーはピノチェト軍事政権下に実在した“コロニア・ディグニダ”をモチーフにしているという。
独裁者アウグスト・ピノチェトについては後日調べたいと思います。
 
そんな恐ろしげなコロニーから脱走した少女マリアは、森の中の一軒家に逃げ込みます。
人の気配はなく、家にいたのは2匹の子豚。
オスの子豚にペドロ、メスの子豚にアナと名づけて可愛がりますが、
この先、訳がわからなくて睡魔に襲われてしまいました。(^^;
 
子豚たちはいつのまにか人間の姿になり、その変わりゆくさまがグロテスクすぎる。
マリアが体験する数々の悪夢。そして最後はどうなっちゃったのよ、マリア〜。
 
「マリ〜ア〜」と呼ぶオッサンの声も怖くて、私も悪夢にうなされそう。
難解でまったく意味不明だけど、この映像はちょっと見てほしい。
口ではどうにも説明できないほど不気味で、このアーティストコンビの頭の中がどうなっているのかと思う。
凄いセンスです。凡人でないことは確か。
『ミッドサマー』(2019)のアリ・アスター監督絶賛という触れ込みに大納得。
 
何なんこれ!?と話せる相手がほしいので、誰か観に行ってください(笑)。

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『福田村事件』

『福田村事件』
監督:森達也
出演:井浦新,田中麗奈,永山瑛太,東出昌大,コムアイ,木竜麻生,松浦祐也,向里祐香,
   杉田雷麟,カトウシンスケ,ピエール瀧,水道橋博士,豊原功補,柄本明他
 
シネ・リーブル梅田にて。
同日、森達也監督があちこち飛び回って舞台挨拶に臨んでいらっしゃった模様。
第七藝術劇場の舞台挨拶付きの回は早々とチケット完売し、
シネ・リーブル梅田でも同じく舞台挨拶付きの回は完売していました。
私は北新地でひとりランチした後に、通常上映の回を前日に予約して鑑賞しましたが、
こちらも入場時には満席になっていました。いやはや、凄い話題作になっています。
 
森監督といえば、オウム真理教関連の『A』(1998)、『A2』(2001)、
東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんを追った『i 新聞記者ドキュメント』(2019)など、
これまでは社会派のドキュメンタリー作品を撮ってこられた方。
本作は実在の事件を基にはしていますが、同監督初の劇映画なのだそうです。
 
1923(大正12)年、千葉県東葛飾郡福田村(現・野田市)。
日本統治下の京城に教師として赴任していた澤田智一(井浦新)は、
妻の静子(田中麗奈)と共に郷里であるこの村に戻ってくる。
 
同時期、四国から関東に向けて出発したのが沼部新助(永山瑛太)ら15人。
彼らは、薬売りの行商の旅に出て、やがて福田村に到着する。
 
9月1日、関東大震災に見舞われると、村にさまざまな流言飛語が飛び交う。
「朝鮮人が襲ってくる」などという噂を聞いた村人たちは、自警団を結成して一帯を警戒。
そこを折悪く通りかかった新助らのことを朝鮮人ではないかと疑うと、
村人を落ち着かせようとする村長の田向龍一(豊原功補)や船頭の田中倉蔵(東出昌大)を振り払う。
村人たちは15人を取り囲むと斬りつけたり撃ったり、皆殺しにしようとして……。
 
おぞましいです。
事実が忠実に再現されているのだとしたら、まともな思考回路を持っていた人もいるにはいる。
けれども、疑念に囚われて暴徒と化した人々には何を言っても無駄。
子どもや妊婦まで躊躇することなく殺してしまうとは、どうなっているのか。
 
新助らはもともと被差別部落の出身で、その日暮らすのも稼ぎがなければ無理だから、
富山の薬売りのように後から薬代を回収する商売の仕方では生きていけません。
生まれたときから差別を受けて、行商先では朝鮮人と疑われて殺されて。
しかし、「この人たちが本当に日本人だったらどうするんだ」という声に対して、
「朝鮮人だったら殺してもいいのか」と叫ぶ新助の声に、その通りだよ、そもそもおかしいよと思う。
 
この事実は村の秘密として長らく隠されていたそうで、50年以上経ってようやく調査が始められたとのこと。
そして昨年、犠牲者の追悼式がおこなわれ、100年経った今、本作がつくられました。
 
なかったことにはできません。知っておかなければいけない事実。

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『スイート・マイホーム』

『スイート・マイホーム』
監督:齊藤工
出演:窪田正孝,蓮佛美沙子,奈緒,中島歩,里々佳,吉田健悟,
   磯村アメリ,松角洋平,岩谷健司,根岸季衣,窪塚洋介他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
斎藤工が映画を撮るときは齊藤工名義。
長編監督デビュー作だった『blank13』(2017)には自ら出演していましたが、
本作ではメガホンを取ることに徹しています。
 
原作は神津凛子の同名小説でベストセラーとのことですが、私は未読。
こんなイヤミス、観てからは読めません(笑)。めっちゃ凹むわ。
 
長野県に暮らす清沢賢二(窪田正孝)は、スポーツジムに勤めるインストラクター。
妻のひとみ(蓮佛美沙子)、娘のサチ(磯村アメリ)と幸せな日々を送っているが、
いま住んでいるアパートは冬の寒さが耐えがたい。
以前から気になっていたハウスメーカーのモデルハウスを見に行き、購入を決意する。
 
その家は“まほうの家”という商品名の、玄関まで暖かい一戸建て。
清沢家の営業担当は、自身も家族と共に“まほうの家”に住んでいるという女性・本田(奈緒)。
営業だとばかり思っていたら、一級建築士の資格を持っているらしく、
清沢家の設計もしてくれることになり、理想の家どころか理想以上の家が建つ。
 
ところが、快適なはずのマイホームに引っ越してからおかしなことが起こるように。
子どもを連れて遊びに来たママ友たちは二度と来なくなり、
この家に来てから授かった第二子は何もないはずのところを注視している。
 
やがて、本田の同僚で当初から変なそぶりを見せていた甘利(松角洋平)が殺され、
何者かから嫌がらせを受けていた賢二の不倫相手・友梨恵(里々佳)も死亡する。
刑事の柏原(中島歩)から話を聞かれた賢二は動揺するが、犯人が誰なのかは皆目わからず……。
 
まるで『ブギーマン』だと思いました。
でも本作で狙われる家族は別に悲しみに暮れているわけではない。
真相が判明すると『ブギーマン』よりずっと怖い。
 
ネタバレ全開ですが、甘利と友梨恵を殺したのは、奈緒演じる本田。
冒頭に登場する顔の見えない妊婦が実は彼女なんですね。
夫を亡くし、子どもも死産した彼女は、理想の家族と家を夢見ている。
顧客の中に見つけた清沢家を自分の家族とみなします。
そして、理想の家族に不必要なものを排除しようとする。めちゃめちゃ怖いです。
 
彼女以上に怖くて最後にビビらされたのがひとみ役の蓮佛美沙子。
赤ちゃんの身に何か起こるとは思っていなかっただけに、
えーっ、そんなことしちゃうのかよ、齊藤工監督!と背筋が凍りました。
 
頭のおかしい人とみなされていた賢二の兄・聡役の窪塚洋介もよかった。
彼が守ってくれたのだけがいい話で、後はものすごく嫌な話。助けて。

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