MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『デビルズ・バス』

『デビルズ・バス』(原題:Des Teufels Bad)
監督:ヴェロニカ・フランツ,ゼヴリン・フィアラ
出演:アーニャ・プラシュク,ダーヴィド・シャイト,マリア・ホーフスタッター,ナタリア・バラノワ,
   ルーカス・ウォルチャー,クラウディア・マルティーニ,アグネス・ランプル,カミラ・シチリア他
 
テアトル梅田にて2本ハシゴの2本目。
これが観たくて仕事帰りに車を飛ばしたわけですが、1本目の『サスカッチ・サンセット』でゲンナリ。
どんよりした気持ちを引きずったまま観たこのオーストリア/ドイツ作品がまた一段と暗かった。
 
舞台は18世紀のヨーロッパ。「代理自殺」なるものがあるということを知って本作に興味を持ちました。
 
母と兄との3人暮らしだったアグネスは、近隣の村のヴォルフと結婚することに。
家族と離ればなれになる不安に駆られながらも、優しいヴォルフとなら温かい家庭を築けるはず。
当然義母と同居するのだと覚悟していたのに、ヴォルフはアグネスとの新居を買ったという。
 
とにかく早く子どもを授かること。母や兄もアグネス自身もそれで幸せになれると信じている。
友人たちと飲んでいたヴォルフが帰宅した初夜、服を脱いで待つアグネス。
ところがヴォルフはアグネスに反対側を向くように言ってひとりで始め、終わるとすぐに寝てしまう。
以降、幾晩重ねようが、アグネスとしようとしないヴォルフ。これでは子どもを授かれない。
 
息子がそうだとは知らない義母は、アグネスに冷たい態度。
毎日のように新居にやってきては世話を焼きたがり、アグネスに文句をつけてばかり。
アグネスは徐々に心を病んで行き……。
 
冒頭から度肝を抜かれました。
若い母親が生まれてまもない赤ん坊を滝の上から投げ落とすシーンに唖然。
 
代理自殺という言葉が本作に出てくるわけではありません。
ちらりと調べたところによれば、キリスト教では自殺は最大の罪。
自殺した人は埋葬してもらえず、地獄に落ちる。
だけど、殺人を犯した人は告解すれば赦してもらえて天国に行ける。
 
だから、死にたくなったら他人を殺して告解する。
その結果、例えばこの村では斬首刑に処されるけれど、魂は天国へ召されるのです。
 
ヴォルフが恋していたとおぼしき男性リンツは首を吊ったせいで荒野にさらされ、
赤ん坊を殺した母親は首を切り落とされたまま刑場に放置される。
こんな場面を目の当たりにすれば、頭がおかしくなっても不思議はない。
 
ラストは、実家に戻されたアグネスが少年を殺して告解します。
斬首されたアグネスを見て狂喜乱舞する村人たち。
そしてアグネスの血を飲もうと群がるのですから、もう不気味以外の何物でもありません。
 
ひたすら暗いけれど、面白い作品でした。
仏教の国に生まれたことをありがたく思ったりもします。

—–

『サスカッチ・サンセット』

『サスカッチ・サンセット』(原題:Sasquatch Sunset)
監督:デヴィッド・ゼルナー,ネイサン・ゼルナー
出演:ライリー・キーオ,ジェシー・アイゼンバーグ,クリストフ・ザヤック=デネク,ネイサン・ゼルナー
 
テアトル梅田で2本ハシゴの1本目。
 
美女やイケメンを見られないのはわかっている作品だから、あまり食指は動きませんでした。
でも、後述の2本目を観たくて、それとハシゴするならこれかなぁと、なかば渋々。
製作総指揮を務めるのが『ヘレディタリー/継承』(2018)や『ミッドサマー』(2019)のアリ・アスター監督だから、
なんとなく嫌な予感がするじゃないですか。
予感どおりということはなかったけれど、なんで私はこんな映画を観ているんだと嫌にはなりました(笑)。
 
“サスカッチ”をご存じですか。
北米の森の奥深くで人知れず生息しているといわれる未確認生物で、別名“ビッグフット”
それが本当に存在していたらという仮定のもとで撮られた作品です。
 
大自然の中に生きるサスカッチ一家。
登場人物はライリー・キーオジェシー・アイゼンバーグ、クリストフ・ザヤック=デネク、ネイサン・ゼルナーの4人が演じるサスカッチのみ。
特殊メイクを施しているので、顔だけでは男女の別すらわからない。
胸があるかどうかで女性であることをかろうじて知り得ます。
 
台詞はなく、4人がウホウホ言っているだけ。交尾の場面ではアヘアヘ言うだけ。
誰と誰が夫婦なのかわからんし。2人がヤッている姿を遠巻きに別の2人が凝視していたりして、気持ち悪さしかありません。
残りの2人のうちの1人は女性の子どもらしくて、おっぱいを吸ったりも。
 
4人で食料を探してきちんと分けながら食べていたのに、1人が新しい植物を見つけて誰にも渡そうとしない。
食べると性的興奮をおぼえるのか、女性に襲いかかって拒絶されると、
丸く穴のあいた木にアソコを突っ込もうとするシーンなんて、ほんとにゲロゲロ。
 
こいつに天罰が下ったか、ライオンに食われて死んでしまいます。
残った3人は平和に暮らすかと思いきや、うち1人が丸太に乗って川でおちゃらけていたらその下敷きになって溺死。
その前辺りから付近に人間の影を感じます。木が伐採されたり、森の中にテントが張られていたりして。
 
女性とおそらくその子どもが生き残り、この女性が出産を迎えます。
生まれてくる子どもがまた全然可愛くないからドン引き。
あ、そうだ。3人まだ生きているときに道路に糞尿垂れ流しでマーキングする姿にもゲンナリしたんだったなぁ。
 
生き残りの2人と赤ちゃんが歩いているうちにとある建物を見つけます。
これがビッグフット博物館でしたというオチだけはちょっと笑った。
 
観なきゃよかったと思うぐらい不愉快だったにもかかわらず、眠気には襲われず。
だからどのシーンもつぶさに覚えているのが余計に嫌だ(笑)。

—–

2回目の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』はシアタス心斎橋のグランシアターにて。

先行上映で観た1回きりというわけにもいかない『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
2回目はシアタス心斎橋のグランシアターで鑑賞しました。
 
グランシアターは客席が全部で全8席(+車椅子スペース)、ものすごいプライベート感。
ここで観たいと思わされる作品しか観ていません。
何を観たんだっけと振り返ってみると、最初が『グレイテスト・ショーマン』
最後に行ったのが7回目『RRR』だから、2年半ぶりのグランシアターということになります。
 
値段はそのときと変わらず4,000円。
シアタス心斎橋ではオンライン予約した場合は発券不要ですが、
グランシアターで観るときはドリンクとフードチケットがあるため、発券必須です。
アイスクリームとソフトドリンクという選択肢もあるけれど、私は必ずビールとおつまみ。
ビールは小江戸ビール3種類のうちからひとつ選べます。
 
注文だけして入場すれば、後から席まで持ってきてくれるシステム。
お手拭きもちょっといいやつ。
ただ、オープン当初はあった「持ち帰りOK」のブランケットの貸し出しはコロナ以降ないままで、
ブランケットの貸し出しすらない模様です。
 
上映開始までは人の出入りがあるから他に客がいることはもちろんわかるけど、
一旦始まると隣に人がいるかどうかすらわかりません。
どの客も靴を脱いでリクライニングを利用しているから、膝を曲げたりしていると脚が見えないんですよね。
仕切りで完全に隣と仕切られているし、よほどやかましい人がいない限り、まるでひとりで観ているかのよう。
これまでにやかましい人がいた経験はありません。
 
こんなシアターで観るのにうってつけの作品。音響も素晴らしい。
居心地よすぎでアルコールが入ったら眠気に誘われるというもので。(^^;
2回目の鑑賞ということもあってちょっとだけ居眠りしました。
 
この椅子とスクリーン、家にほしい。もちろんそんな余裕はないけれど。
何度でも行きたい劇場です。
 
あ、カップルで行くには不向きです。
上記のように完全に仕切られているせいでイチャイチャできません。手も繋げません。わはは。

—–

『英雄傳』

『英雄傳』
監督:坂本浩一
出演:浅井星光,北川貴英,白川竜次,習志野青龍窟,中野哲爾,ハヤテ真青,
   ゲヘイロ笹森,雨宮宏樹,宮原華音,橋渡竜馬,高岩成二他
 
職場の先輩が合気道を習っています。
その先輩が合気道教室で「伝説の合気道家が出演する映画が公開される」と聞いてきたそうです。
なんかわからんけどおもろそうやから、私が観に行くことにしましょう。
上映館がとても少なくて、キノシネマ心斎橋へ行くよりほか選択肢はありません。
 
妻に先立たれた智也(高岩成二)は、娘のサクラ(藤田凛)を男手ひとつで育てることに。
父子で沈みがちな日々に光をもたらしてくれたのは、ふと目にしたヒーローもの“テアトルージャー”。
以来、智也は野外劇場でスーツアクターとしてテアトルージャーのイベント開催を続けていたが、
野外劇場の閉鎖が決まり、サクラと共に客席でしばし感傷に浸る。
 
そこへ訪れたのが中年女性の浅香光(浅井星光)。テアトルージャーの公演が終わったと知って酷く残念がる。
しばらく町を離れていたという彼女は行くあてもないらしく、智也親子は光を家へと招く。
詳しい事情はわからないが、光にも一人娘がおり、テアトルージャーに救われたのだと言う。
 
一方、付近一帯では再開発の話が持ち上がり、半グレ集団“ストライク”による地上げが横行していた。
ターゲットとなった土地の所有者の中にはさまざまな武道家がいるが、
半グレ集団の面々を仕切る拳悟(橋渡竜馬)のほうも剛腕の格闘家を集めて殴り込みをかけている。
 
平和だった町を取り戻すため、公認システマインストラクターの貴大(北川貴英)、合気道神武錬成塾道場長の竜也(白川竜次)、
忍道家の伊賀崎剛(習志野青龍窟)、躰道道場『己錬館』館長の哲(中野哲爾)らは鍛錬を開始。
 
実は、光こそ貴大らが帰りを待ち望んでいた浅井流鞭拳空手の創始者。
光は娘のマユミ(ファンマユミ)に絡んできた男を殺してしまい、今まで服役していたのだ。
死んだ男の弟が拳悟で、出所してきた光を待って復讐を果たそうとしている。
 
母親が逮捕された後、学校で「人殺しの子」と言われていじめられたマユミは、
出所後に自分のことを迎えにも来てくれない光のことを恨んでストライクに加入。
ストライクのアジトに乗り込んだ光や貴大らは、次々と拳悟の手下を倒してゆくが、
光は拳悟と闘う前にまずはマユミと向き合うことになり……。
 
台詞を言うことには慣れていない人も多いのか、若干棒読みだったりします(笑)。
それでもアクションが素晴らしいから、台詞回しなんてこの際どうでもいいやと思えてしまう。
ファンマユミを始めとする子役たちはテアトルアカデミーに所属しているようで、
役者の卵を見ているのかと思うとウキウキします。
 
悪役のほうも武道家揃い。
剛柔流空手免許皆伝のハヤテ真青、カポエイリスタのゲヘイロ笹森。
その他は公式HPに名前がないからわからんけど、有名どころなのでしょう。
影武流合氣体術の創始者だという雨宮宏樹も迫力がありました。
美しいアクションってこんなにも楽しいものなんだと再認識。
 
「合気道って逃げるだけなのかよ」にするりと反論する白川さん、面白い。
職場の先輩がかよう合気道教室の皆さんには是非ご覧いただきたいです。

—–

『父と僕の終わらない歌』

『父と僕の終わらない歌』
監督:小泉徳宏
出演:寺尾聰,松坂桃李,佐藤栞里,副島淳,大島美幸,齋藤飛鳥,
   ディーン・フジオカ,三宅裕司,石倉三郎,佐藤浩市,松坂慶子他
 
イオンシネマ茨木にて3本ハシゴの〆。
本作の上映は22:00からでした。誰が観に来るねんと思ったけど、5人ぐらいは客がおる。
 
「実話に基づく」って誰の話かしらん。日本ではなくてイギリスの話なのだそうです。
アルツハイマー型認知症を発症しつつ80歳で歌手デビューを果たして話題になった父親とその息子の話。
監督は“ちはやふる”シリーズや『線は、僕を描く』(2022)の小泉徳宏。
長編監督デビュー作の『タイヨウのうた』(2006)がハリウッド韓国でリメイクされて話題の監督でもあります。
 
横須賀で楽器店を営む間宮哲太(寺尾聰)とその妻・律子(松坂慶子)。
一人息子の雄太(松坂桃李)は売れっ子のイラストレーターで、今は実家を離れて東京で暮らしている。
 
このたび、地元の幼なじみ・志賀聡美(佐藤栞里)とダニエル(副島淳)の結婚式に出席するために帰郷。
かつてはレコードデビューの話まであった哲太が披露宴で歌うはずことになっているのに、なかなか姿を現さない。
なんとか時間にまにあって披露宴は大盛り上がりを見せるが、どうもその後も哲太の様子がおかしい。
 
翌日、律子と共に哲太を病院に連れて行くと、医師(佐藤浩市)からアルツハイマー型認知症と告げられる。
こちらにいても仕事はできるからと、雄太はしばらく実家に留まることにするのだが……。
 
日々進行を見せる病状。
雄太が自分はゲイであることを打ち明けたのは10年前のことなのに、そのときに両親に宛てて書いた手紙を今初めて見たように話す哲太。
理解を得られたと思っていたはずが、今さら責め立てられます。
 
正直なところ、ちょっと苦手な物語。優等生すぎるというのか、偽善的というのか。
そもそもオリジナル曲なしでカバー曲ばかりの、ちょっと歌の上手い老人がデビューできるかと言われたら、無理だと思う。
老いさき短い爺ちゃんの夢を叶えてあげようかと思うだけで、歌を評価してのことではないでしょう。
 
ぼけてしまった老人が何を考え、どうしたいと思っているのか推し量るのは難しい。
しかも家の中をめちゃくちゃに荒らして暴れまわる人の面倒を見切れますか。
睡眠もろくにとれないほど夫の世話で疲れているのに、ぼけた夫が毎日プロポーズしてくれると乙女顔の妻。
こんな母親を見ることになったら、私はつらいなぁ。いくつになっても松坂慶子は可愛いですけどね。
 
そんなこんなで私はまったく泣けなかったけれど、偽善であっても何もしないよりは良いんです。
認知症の家族を持つ人が本作を観て前向きになれるならそれでいい。

—–