MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『マイ・スイート・ハニー』

『マイ・スイート・ハニー』(英題:Honey Sweet)
監督:イ・ハン
出演:ユ・ヘジン,キム・ヒソン,チャ・インピョ,チン・ソンギュ,ハン・ソナ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『キラー・ナマケモノ』の次に。
 
脚本はあのイ・ビョンホンじゃないほうのイ・ビョンホン。
『サニー 永遠の仲間たち』(2011)の脚本家でもあり、
なんてったって大好きだった『エクストリーム・ジョブ』(2019)の監督でもあります。
本作のイ・ハン監督も『ワンドゥギ』(2011)や『無垢なる証人』(2019)を撮った人だし、
この監督と脚本家のコンビなら期待が増します。
 
とはいうものの、主演はお世辞にも男前とは言えない、どちらかと言えばブサイクなユ・ヘジン
恋愛ものなんて絶対にあり得ないイメージの彼主演のラブストーリーを撮っちゃうとは。
『LUCK-KEY/ラッキー』(2016)や“コンフィデンシャル”シリーズ同様に笑わせてくれることでしょう。
 
お菓子が大好物のチャ・チホは天才的な味覚を持ち、製菓会社に研究員として勤めている。
彼が開発したお菓子は大ヒットを連発、会社は彼のアイデアに頼っているが、
高給取りにも関わらず、彼の毎日は会社と自宅を往復するだけで、彼女いない歴45年。
ただお菓子を食べることができればそれで幸せだから、悲しくもなんともない。
 
ある日、兄弟でありながらチホとは真逆の生活を送る兄ソクホが帰ってくる。
ならず者のソクホは多額の借金をチホに返済するように言いつけ、チホは金を払いに出かける。
そこでチホのことを見かけたシングルマザーのイ・イルヨンは、
チホがよその子どもに優しく接する姿に一目惚れ。
 
すぐさまチホを追いかけ、なんとか恋に発展する機会を掴もうとするが、
生まれてこの方、女性にアプローチされたことなど皆無のチホはイルヨンの気持ちがわからない。
チホが栄養失調気味だと知ると、イルヨンはまずは「食べ友」になろうとチホを誘い……。
 
イルヨン役にはキム・ヒソン。美人です。ユ・ヘジンと並ぶと美女と野獣(失礼、すみません)。
これだけ可愛ければアラフィフになっても引く手あまただろうに、男運は無し。
常に前向きなところが良い。それを娘は嫌がっているわけですが、まったく意に介しません。
 
ソクホにはイケメンのチャ・インピョ。
スーツ姿のイメージしかなかったのですが、こんなチャラい見た目の役も似合うんですね。
軽く振る舞う彼の悲しい過去を盛り込むのが韓流。
どうしてチホはこんなろくでなしの兄貴のいいなりなんだよと思うけれど、
事情が明かされるとグッと来ます。
 
あ、イルヨンの元夫(というのか未婚のままイルヨンは出産したらしいけど)役として
チョン・ウソンがカメオ出演しています。彼を見られて得した気分。
ほかにもエラく美形の俳優が脇の脇役で出演していると思ったらイム・シワン
女性アイドルグループ“Secret”(知らんけど)の元メンバー、ハン・ソナも超かわいく、
チホが立ち寄る薬局の薬剤師役にはヨム・ヘランが扮していて凄く可笑しい。
 
アラフィフ男の初恋の物語、いいじゃあないか。
やっぱりイケメンを見るほうが楽しいのは確かだけど(笑)。

—–

『キラー・ナマケモノ』

『キラー・ナマケモノ』(原題:Slotherhouse)
監督:マシュー・グッドヒュー
出演:リサ・アムバラヴァナー,シドニー・クレイヴン,アンドリュー・ホートン,オリヴィア・ルワイア,
   ビアンカ・ベックルズ=ローズ,ティフ・スティーヴンソン,ステファン・カピチッチ他
 
スルー予定だったのですが、なんとなく観に行ってしまいました。
なんばパークスシネマにて。
 
原題の“Slotherhouse”は「屠殺場」の意の“slaughterhouse”と「ナマケモノ」の意の“sloth”をもじった造語らしい。
また、『スローター・ハウス/13日の仏滅三隣亡』(1986)という日本未公開のB級ホラーコメディ作品がありまして、
それになぞらえたもののようでもあります。
アメリカ作品の邦題に「仏滅三隣亡」と付けるセンスが素晴らしくないですか(笑)。
 
ナマケモノって、生涯の大半を樹木にぶら下がって過ごし、
週に1回程度のみ、排泄のために地上に降りてくるのだそうです。
機敏に動けないから鷲などには簡単に捕食され、ストレスに弱くて温度変化にも敏感。
でも泳ぐのは得意とウィキにあります。って聞いても、愛着も何も湧きませんけれど。(^^;
 
さて、そんなナマケモノが殺人モンスターと化して暴れ回るって、もう観る前から絶対B級かC級ですよね。
でもなんとなくワクワクするぅ。
 
女子大生のエミリーは、女子寮生たちの社交クラブ“シグマ・ラムダ・シータ”に所属。
クラブの会長はここのところ2年連続でブリアナが務めている。
その華やかな存在に憧れる大半の寮生たちは、ブリアナのご機嫌取りに必死。
 
かつてはエミリーの亡くなった母親も会長だった。
エミリーだって会長になりたいが、ブリアナに太刀打ちできるわけもなくてあきらめ気味。
 
そんな折、モールで出会った男オリヴァーが妙な話を持ちかけてくる。
人気者になるためには注目される要素を持てばいいのだと言う彼は、
自分が所有している珍しい動物“ナマケモノ”をペットにすれば夢が叶うと。
 
しばし考えた末に確かにそれは魅力的な話だと思ったエミリーは、
翌朝、ナマケモノを購入するためにオリヴァーのもとを訪ねる。
ところがそこにオリヴァーの姿はなく、ナマケモノが愛らしい表情で佇んでいた。
 
ナマケモノを連れ帰ったエミリーは、親友のマディソンが「野生に戻すべきだ」と主張するのも聞かず、
このナマケモノを女子寮のマスコットにすることを皆に提案。
アルファと名付けたナマケモノの人気に比例してエミリーも瞬く間にスターとなるのだが……。
 
もうホント、笑っちゃいます。
冒頭はパナマの密林の中、ワニを返り討ちにしたナマケモノが密猟者に捕まるシーン。
 
アルファの動きはカクカクしていて、全然リアルじゃありません。
だから、一応はホラーというものの、まったく怖くない。
とっても賢い(笑)アルファは、ブリアナの手先が自分を消しに来たと知るや惨殺します。
こんなに次から次へと人が消えればおかしいと思うはずなのに、
あの子どこへ行ったのかしら、実家へ帰ったらしいよなんて会話が。
いやいや、実家へ帰ったって、誰が連絡してん!?
 
アルファはパソコンもスマホもすぐに使えるようになり、SNSにも自ら投稿。
承認欲求すらありそう。
 
最後は女子寮がまさしく「スローターハウス」と化します。
誰にも薦めないけど、私は嫌いじゃありません。
こんな阿呆な映画を観に行っている自分のことも好きになれます(笑)。

—–

『ミッシング』

『ミッシング』
監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ,青木崇高,森優作,有田麗未,小野花梨,小松和重,
   細川岳,カトウシンスケ,山本直寛,柳憂怜,美保純,中村倫也他
 
イオンシネマ茨木にて暗い暗い2本ハシゴ。
1本目大森立嗣監督、2本目のこの吉田恵輔監督ともに、ハッピーエンドは望めません。
精神状態のよくない人は観ないほうが良いと思います。
 
静岡県沼津市に暮らす森下沙織里(石原さとみ)と豊(青木崇高)が授かった一人娘・美羽(有田麗未)。
目の中に入れても痛くないほど可愛がっていたが、あるとき失踪する。
 
その日、沙織里は大好きなバンドのコンサートに行くため、
弟の圭吾(森優作)に美羽を預けて出かけていた。
公園で遊んだ後に美羽を徒歩5分の距離の自宅へ帰らせたという圭吾。
しかし豊が帰宅しても美羽の姿はなかった。
 
6歳だった美羽が失踪してから半年が経ち、沙織里と豊は街頭でビラを配り、
ローカルテレビ局の砂田(中村倫也)に依頼してその様子を流してもらうなど懸命。
ところが当日沙織里がコンサートに行っていたことがわかると、SNSは炎上。
また、圭吾を無理やり取材に応じさせたところ、圭吾まで嫌がらせを受けるように。
 
何の手がかりもないまま2年が経ち、同市内でまた女児失踪事件が起きる。
母親の交際相手が怪しいと言われるなか、沙織里は同一犯の仕業ではないかと、
その女児を捜すためのビラを作成し、美羽も見つけられればと思うのだが……。
 
吉田監督作品は、大森監督に負けず劣らず暗い。
私が初めて吉田監督を知ったのは『机のなかみ』(2010)で、それは暗くなかったのに、
いまや撮る作品すべて暗い。というのは言い過ぎですね(笑)。
でも、『机のなかみ』も含めて明らかなハッピーエンド作品というのは見当たらない。
 
本作の石原さとみの演技は鬼気迫っていて、楽しいものではありません。
娘をひとりで帰らせた弟を責め、自分よりも落ち着いて見える夫のことも責める。
だけど本当は、自分がコンサートに行ったせいだという思いが消えない。
子育てに明け暮れて、2年ぶりに行ったコンサート。
たまには息抜きしたっていいじゃないかと思いつつも、罪の意識が消えません。
 
これだけヒステリックに責め立てられたら離婚も不思議ではないのに、耐えて妻に寄り添う夫。
青木崇高が宿泊先の喫煙所で別の家族の姿を見て涙をこらえる表情は堪らない。
 
警察に行けば「お気持ちはわかりますが」と言われる。
愛娘がどこに行ったかわからない人の気持ちなんて、わかるわけないですよね。
「気持ちはわかる」は同じことを体験した人しか言ってはいけない言葉。
 
こうした親の気持ち、そしてそれを取り上げるテレビ局の視聴率至上主義
「面白くするつもりはない、事実を撮りたいだけだ」と言う砂田に、
警察官が言う、「事実が面白いんだよ」。だから報道は過熱する。
そして、視聴者は飽きるのも早い。進展がなければ忘れられるだけだし、所詮他人事。
 
失踪した子どもが見つかってよかったぁというエンディングを期待している方は鑑賞不可。
『チェンジリング』(2008)のことも思い出します。

—–

『湖の女たち』

『湖の女たち』
監督:大森立嗣
出演:福士蒼汰,松本まりか,福地桃子,近藤芳正,平田満,根岸季衣,菅原大吉,
   土屋希乃,北香那,穂志もえか,奥野瑛太,財前直見,三田佳子,浅野忠信他
 
一日の終わりにはできれば明るい映画を観たいものですが、
この日は終業後に2本ハシゴを決めた時点で暗くなることを覚悟していました。
まずは1本目、イオンシネマ茨木にて。
 
吉田修一の同名小説を大森立嗣監督が映画化。
大森監督作品であっても原作が三浦しをんとかなら若干明るめもあり得るけれど、
吉田修一ならば暗くなること確実です(笑)。
 
滋賀県湖畔の老人介護施設もみじ園で介護士を務める豊田佳代(松本まりか)。
昼夜ぶっ通しで勤務に就いた日の早朝、休憩のために園を出ている間に、
入居者である100歳の男性が急逝する。状況から見て殺人。
捜査を担当するのは西湖署の若手刑事・濱中圭介(福士蒼汰)とベテラン刑事・伊佐美佑(浅野忠信)。
 
もみじ園の職員への取り調べをおこなうことになった濱中は、
伊佐ら上司が犯人と目星をつける職員・松本郁子(財前直見)の自白を得ようと躍起に。
しかし何時間拘束してあの手この手で攻めようが、松本は一向に認めない。
 
実は事件当時に園の外にいたという佳代を湖畔で見かけた濱中。
佳代が何をしていたか知っている濱中は、佳代の隠された感情を引きずり出すと、
彼女への支配欲を募らせ、ふたりは歪んだ関係に陥る。
 
一方、かつて西湖署の汚点となった薬害事件を追う週刊誌記者・池田由季(福地桃子)は、
引退した刑事・河合勇人(平田満)を通じて極秘資料を受け取る。
そこには戦時中におこなわれていたとある実験にまつわる驚愕の事実が隠されており……。
 
大森監督らしい暗さを湛えた作品ですが、ちょっとネタが多すぎてとっちらかった印象。
「女」ではなく「女たち」だからそれぞれの女性の群像劇とも言えるけど、
ひとりひとりのことがよく見えないうえに、みんな中途半端に終わってしまったような。
 
冒頭は佳代の自慰シーンから始まりますから、それなりにショッキング。
たまたまそれを見た圭介は、そのせいで彼女に構おうとします。こうなっちゃう理由も想像におまかせ的。
思春期に母親を亡くして父親の面倒を見続けてきた佳代が女として生きる時期を逸して今に至ったということか。
 
事件の真相は『月』同様に実際の事件を反映。これがとても恐ろしい。
しかし犯人がつかまるわけではないし、薬害事件のほうもどうにもならず、とにかく明るい要素はゼロ。
どれもこれも放り投げられて、観る側は呆然。
ま、好きですけどね、大森監督。こういうのに慣れっこになったかも(笑)。
 
はっきりとした結末がほしい人には不向きな作品。
エロい松本まりかと暴力的で鬱屈した福士蒼汰を見たい人はどうぞ。

—–

『Ryuichi Sakamoto | Opus』

『Ryuichi Sakamoto | Opus』
監督:空音央
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
昨年3月にこの世を去った坂本龍一。
10年近く前に中咽頭がんであることがわかり、3年前には直腸がんに。
あちこちに転移して手の施しようがなくなり、相当つらかったろうと思われます。
彼が「あと何回満月を見るだろう」とつぶやいていたと聞くと、
 
その年の9月、坂本龍一が最後の力を振り絞って演奏に臨む。
東京のNHK509スタジオで8日間にわたって収録した演奏が本作です。
ただひたすら、ピアノに向かう彼を収めただけといえば収めただけ。
凝った演出はされていないように見えるところが余計に素晴らしい。
 
静謐としか表現できません。
彼の表情は穏やかで、死が近いとは思えない。けれど、それを感じながらの演奏だったのでしょう。
 
彼自身の選曲による20曲。
心地よすぎてたまにうとうとしてしまってごめんなさい。
空の上にいるような気持ちでした。
 
あらためてご冥福をお祈りします。

—–