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『明日を綴る写真館』

『明日を綴る写真館』
監督:秋山純
出演:平泉成,佐藤浩市,吉瀬美智子,高橋克典,田中健,美保純,赤井英和,黒木瞳,市毛良枝他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『違国日記』の次に。
 
バイプレイヤー平泉成が80歳にして初主演と話題になっている作品です。
原作はKADOKAWAが運営する無料コミックポータルサイト“COMIC BRIDGE”に
2018年から2019年に渡って全5話で掲載された、あるた梨沙の同名漫画。
監督の秋山純は元テレビ朝日のプロデューサーで演出家とのこと。
『20歳のソウル』(2022)も同監督の作品ですね。
 
インスタのフォロワー数10万人以上の人気を誇るカメラマン・五十嵐太一(佐野晶哉)。
コンテストでは前人未踏の3年連続グランプリを受賞し、
彼に撮ってほしいという有名人は引きも切らない状態だが、太一本人は自身の作品に納得できずにいる。
そのせいで無愛想すぎる太一。マネージャーを務める林透留(田中洸希)は代わりに頭を下げてばかり。
 
自分がグランプリを受賞したコンテストで佳作入賞していた1枚の写真。
一般参加者が応募していたその写真に目を奪われた太一は、透留にすべての仕事のキャンセルを頼むと、
その写真を撮影した岡崎の写真館の主人・鮫島武治(平泉成)に弟子入りを志願するのだが……。
 
幼少期に写真が趣味だった父親(高橋克典)からカメラを譲り受けた太一は、その才能を発揮。
高校生のときには数々の賞を獲るようになりますが、父親と母親(黒木瞳)は離婚。
いつも忙しかった母親にはほとんどかまってもらえず、今は疎遠になっています。
 
そんな彼は人物を撮るのが苦手だと思っていたけれど、武治のもとで働くうち、
写真とは、被写体のみならず撮影者の心も映し出すものだとわかる。
自分が良い表情で撮れた写真は、自然と被写体の表情も良いものになるのですね。
 
武治の妻・桜(市毛良枝)が息子に結婚式を強く勧めるシーンなど、時代錯誤の感はあります。
また、これはネタバレになるのですが、武治と桜の50年経っての結婚式などは、
まさか市毛良枝のウェディングドレス姿を見せられるとは予想しておらず、ひょえー。
確かに70歳を超えても可愛い人ですよ。でもウェディングドレスはかなり厳しいのでは。(^^;
それと、危篤状態の婆ちゃんが黒髪ツヤツヤの美保純って。
最期もこんななら写真を撮るのはいいかもしれませんけれど、病床の今際のきわの人を無断で撮りまくるのはどうなのか。
 
とはいうものの、こういう作品を観れば落ち着けるようにも思います。
実際、高齢客の多いことといったら。共感能力が高いですからね。笑う、泣く、とてもいいこと。
佐藤浩市吉瀬美智子赤井英和などなど、みーんな友情出演。
知った顔ばかりというのもこの年代の人にはいいかもなぁと思いました。
 
それでも私は写真を残したくない。だって、残されたほうは整理するのが大変だもの。
今だから特にそう思う(笑)。心に残っていればいい。

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『違国日記』

『違国日記』
監督:瀬田なつき
出演:新垣結衣,早瀬憩,夏帆,小宮山莉渚,中村優子,伊礼姫奈,滝澤エリカ,染谷将太,銀粉蝶,瀬戸康史他
 
もはや日本かタイかどちらが「帰る」方向なのかわからない(笑)ダンナが、タイへと戻って行きましたので、
私の劇場通いが復活します。
日曜日の朝、ダンナを空港まで送ってから、TOHOシネマズ伊丹へ向かい、勢いで4本ハシゴ。
 
原作は女性向け月刊漫画雑誌『FEEL YOUNG』に2017年から2023年にかけて連載されていたヤマシタトモコの同名漫画。
監督は『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020)の瀬田なつき。
おおっ、本作に脇役で出演している滝澤エリカをどこかで見たことがあると思ったら、その映画でしたか。
 
「こうだい槙生」のペンネームで若者向けの小説を書く人気作家・高代槙生(新垣結衣)は、
訳あって絶縁状態だった姉・実里(中村優子)と事実婚の夫・田汲はじめ(大塚ヒロタ)が事故死したとの報せを受ける。
残されたのはふたりの間の娘・田汲朝(早瀬憩)、中学3年生。
 
葬儀の席で、朝の両親の姓がなぜ違うのかとか、家庭のことを揶揄する話をする親戚縁者たち。
槙生と実里の母親・京子(銀粉蝶)は朝のことをとても可愛がってはいるものの、
年齢や体調を考えると朝のことを引き取るのは無理だなどという話もしている。
「盥回し」という言葉が聞こえてきて、朝がパニック状態に陥りそうになったとき、
突然槙生が大声で朝に呼びかけ、自分の家に来ないかと言う。
 
こうして一緒に暮らすことになった槙生と朝。
槙生は元来ひとづきあいが苦手で片付けなどもできないのに対し、朝は人なつっこく天真爛漫。
はたしてこの共同生活が上手く行くのか、槙生の親友・醍醐奈々(夏帆)や元カレ・笠町信吾(瀬戸康史)、
弁護士で後見監督人の塔野和成(染谷将太)も気にかけて……。
 
何が起きるわけでもありませんが、中3女子の両親が突然死んで、
いわゆるコミュ障の35歳女性が引き取ることになるのですから、それだけで大変。
 
私は、パニックを起こした朝が「“たらい”ってどう書くんだっけ」と頭を巡らせているときの、槙生の台詞がとても好き。
「あなたの母親のことが私は大嫌いだった。大嫌いなあの人の娘であるあなたを好きになれるかどうかわからない。
でも、私は決してあなたを『踏みにじらない』」。ここだけで涙が出そうになりましたね。
それに続く台詞が「“たらい”は臼の間に水、下に皿と書く。盥回しは無しだ」。それも好き。
 
まわりの目を気にしつつも槙生に背中を押され、そんな槙生の背中を押すこともある朝。
ふたりの絆が少しずつ深まってゆくのが好きでした。
学校の友人たちとの関係の変化も良い。
 
鑑賞後にウィキを読んだら、もっと登場人物も多いし、当然ながらいろいろあった印象。
本作はそれを上手く削ぎ落として2時間に集約できている作品なのではと思います。
原作未読のため、わかりませんけれど。
 
劇場鑑賞復帰第1弾としてはちょうどよい重さだったかな。

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『俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー』

『俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー』(原題:Ricky Stanicky)
監督:ピーター・ファレリー
出演:ザック・エフロン,ジョン・シナ,ジャーメイン・ファウラー,アンドリュー・サンティーノ,
   レックス・スコット・デイヴィス,アンニャ・サヴィッチ,ウィリアム・H・メイシー他
 
Amazonスタジオ制作のオリジナルです。2024年のアメリカ作品。
Amazonプライムビデオにて今春より独占配信中。
 
冒頭、あまりのお下品さに観るのをやめようかと思ったほどですが、
一旦観はじめたらとりあえず最後まで観るのが信条です(笑)。
 
幼なじみのディーンとウェスとJTは、1999年のハロウィンの夜、
ケチだと思われていた近所の住人を懲らしめてやろうとちょっとした悪戯を仕掛けるが、
それが火事騒ぎとなって大弱り。
その場から逃げるさいに「犯人はリッキー・スタニッキー」と、
実在しない子どもの名前を書き残したところ、功を奏して追及を免れる。
 
以来、いい歳になった今も3人はリッキーを実在の親友として仕立て上げ、
妻や恋人に内緒で出かけたいときは「リッキーが病気」などと口実に使っている。
 
ある日、そんなふうにいつものように3人で出かけてハメを外している間に、
JTの妻スーザンが予定よりずっと早く産気づく。
出産に立ち会えなかったJTを義母が見咎め、リッキーは実在しないのではないかと言い出し、
本当にいるならば赤ん坊のブリス(割礼の儀式)に呼べと言う。
 
困り果てた3人だったが、ディーンが妙案を思いつく。
それは、ハメを外しているときに出会った売れない物真似タレントのロッドに、
リッキーのふりをしてもらうよう、仕事として依頼すること。
アル中で一文無しのロッドに、多忙で有能で愉快という想定のリッキー役を任せるなんて。
不安は大きいものの、そうするしかこの局面を乗り切る方法を思いつかず……。
 
少年時代の3人の悪戯というのがすでにう○こまみれでゲンナリ。
そこへ来て、ジョン・シナ演じるロッドの芸が下ネタすぎてほんとにウンザリ。
リッキーのふりをする仕事を引き受けたと思ったら、空港でゲロ吐いて失禁してるし。
この辺りで観るのをやめようかと思いましたがな。
 
しかし耐えながら観つづけたら、結局は面白くて。
どうにも信用できないはずのロッドもなんだかんだでプロの芸人。
ディーンたち3人が創り上げたリッキー像以上の人物を演じ、
高慢な客人には辛辣ながら的を射た話をしてみせて、皆が舌を巻きます。
 
3人のうちウェスは、嘘の上塗りが嫌で、恋人たちに真実を話そうと言いますが、
ディーンとJTは自分勝手そのもの。
嘘をつくためにロッドを雇ったくせして、ロッドの活躍が面白くなくて陥れようとする。
おまえら地獄に落ちろ!と思ったけれど、ロッドのおかげでそうはならない。
ディーンの彼女エリンがとても素敵で、女優陣もとてもよかった。
 
エンドロールで監督がピーター・ファレリーであることに気づく。
そりゃ下ネタ満載のはずだわと笑いました。ならばオッケー。
世界中で絶賛の声が高かった『グリーンブック』(2018)を黒人監督から「最悪」と評されたファレリー監督。
黒人でゲイのウェスに「クリスマスはゲイにはつらいイベント」とつぶやかせるところなど、ちょっとしんみり。
 
サンタクロースがデブなのは何故だ。
マッチョでもいいじゃないかというウェスの意見になるほど。
マッチョなサンタのイラストがサイコーです。

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『成瀬は天下を取りにいく』を読みました。

地震が起きたら本に埋もれて死ぬだろうと思うぐらい本だらけだった実家。
幼少期からその状態を見てきたので、私の家はそんなふうにはしまいと思い続けてきました。
5千冊ほどあった父の蔵書を片付けたところでほとんどは買い取り不可で、
まったくたいした金額にはならなかったから、余計にそう思う。
それなら家に溜め込まなくて済むように図書館で借りればよいのですけれど、
読みたいときに読みたい本が手元にないと嫌な性分の私は、本は買う派
 
買った本を自分で読んだ後は、希望者がいればお貸しするなり差し上げるなりしますが、
ほしいと思えばすぐに買うから、読む速度が追いつかず、とりあえず家の一角は本だらけ。
単行本だと置いておくのも場所を取るため、基本的にな文庫本しか買いません。
そうしていたのに、まだしばらく文庫化しそうにないこの本がどうしても気になり、
さらには「買ったら貸してほしい」という複数の声があったこともあって(笑)、
ついに買ってしまったじゃあないですか。
 
三浦しをん森見登美彦に衝撃を受けたという著者だから、私が気に入るのは必至。
 
西武大津店閉店のニュースを聞いて、夏休みを西武大津店に捧げることにした女子、成瀬。
捧げるって、何をするのかと思えば、野球に興味もないのに西武ライオンズのユニフォームを着て、
取材にくる地元ローカル局の番組に映り込むのですよね(笑)。
そんな成瀬になんとなくつきあう幼なじみの島崎。
 
30頁程度の短編6つ。
成瀬と島崎メインの章のほか、彼女たちの同級生の視点から成瀬が描かれる章だったり、
かつて西武大津店に世話になった40代の男性たちが閉店のニュースを機に集まる話だったり。
 
読んでいるときはめちゃくちゃいいと思っていたわけではありません。
が、時折ふきだしてしまうほど可笑しい。「ほなミルクボーイやないか」なんて、もうツボ。
成瀬と島崎の漫才は微笑ましくて好きでした。あ、上記の台詞はまだ漫才じゃないか。(^^;
 
「膳所高校」と聞いて私が思い出すのは、たぶん小学生のときのこと。
家族で東福寺へ墓参りに行った帰りに寄った駅前の寿司屋で観た高校野球中継は、
膳所高校が0-18で負けた試合でした。いま調べたら、1978年のことなんですね。
あの膳所高校だと思うと、と一緒に過ごしたことも思い出し、懐かしいような、寂しいような。
 
成瀬はいわゆる空気の読めない人なのかもしれない。
でも、誰にも迷惑をかけていないし、誰かを傷つけてもいない。
人の顔色を窺ったり、嫌われることを恐れたりしないで、こんな生き方をするのはありだよと言われているかのよう。
成瀬について話すときに楽しそうな島崎のことも大好きです。
 
残りの頁が少なくなるにつれ、どうかこのまま終わらないでほしいと思いました。
ゼゼカラ解散じゃなくてよかった。で、買っちゃいましたよ、『成瀬は信じた道をいく』も。

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『ドーナツもり』

『ドーナツもり』
監督:定谷美海
出演:中澤梓佐,足立智充,高橋雄祐,仁科かりん,遊屋慎太郎,関口アナン,芹澤興人,安藤聖他
 
劇場鑑賞できない日が続いております。
でも去年も今年もまだ1日も休むことなくブログを更新しているのに、
ダンナが帰国中だからブログ更新無理ってなんだか悔しい(笑)。
毎日1本ずつは配信で映画を観るようにしていましたけれど、
普通に仕事に行って、買い物して帰ってきて、ごはんを用意して片付けて、洗濯して、
とかしていたら、2時間をつくれない日があるのですよね。
 
で、1時間を切るような映画を配信で観られないものかと探しました。
かと言って、短けりゃいいってもんでもありません。ちゃんと興味を惹かれるやつがほしい。
そうしたら、Amazonプライムビデオにありましたがな、44分の好きそうなやつが。
 
2022年の作品で、広告をメインに活動してきた定谷美海監督の初中編なのだそうです。
舞台は東京・神楽坂に実在する“ドーナツもり”
古民家を改装した大人気ドーナツ店らしい。でも実話ではないよ。
 
公子(中澤梓佐)はイラストレーターの仕事のかたわら、“ドーナツもり”で販売員を務める。
従業員はオーナーの森(足立智充)と公子のほか、ドーナツ作りを手伝う小石(高橋雄祐)。
公子の元カレのユータ(関口アナン)が能天気にしばしば顔を出すのが腹立たしい。
 
ドーナツもりを訪れる客はさまざま。
とっかえひっかえ男を替えて訪れるちひろ(仁科かりん)は必ずフランボワーズを選び、
男が何か別のドーナツを選ぶと「半分こしよっか」と言う。
毎回オールドファッションを1個買い、感じ悪いぐらい無愛想なルイ(安藤聖)。
初めて来店した男性(遊屋慎太郎)は恋人に渡すのか、オススメを聞いてきて……。
 
「半分こしよっか」のちひろは、男が半分こを否定すると速攻でサヨナラ。
その様子を見続けてきた公子は、ちひろが新しい男を連れてくるたびに、
どうか今度の人は「そうしよう」と言ってくれる人でありますようにと祈ります。
でもせっかくそう言ってくれる人(芹澤興人)を見つけたのに、ちひろは逃げ出す始末。
 
ちひろを含め、さまざまな客に語りかける公子の言葉は、ひとつ間違えば説教臭くなりそう。
だけどその一歩手前でとどまっているところに好感が持てます。
 
中澤梓佐はこれが映画初主演だそうですが、笑顔がとてもいい。
この人ぐらいの唇の厚さが私もほしかったなと思いました(笑)。
 
ドーナツの穴はなぜあるのか諸説あるそうで。
「それを埋めるためにドーナツ屋で働いているのかもしれませんね」。

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