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『俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー』

『俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー』(原題:Ricky Stanicky)
監督:ピーター・ファレリー
出演:ザック・エフロン,ジョン・シナ,ジャーメイン・ファウラー,アンドリュー・サンティーノ,
   レックス・スコット・デイヴィス,アンニャ・サヴィッチ,ウィリアム・H・メイシー他
 
Amazonスタジオ制作のオリジナルです。2024年のアメリカ作品。
Amazonプライムビデオにて今春より独占配信中。
 
冒頭、あまりのお下品さに観るのをやめようかと思ったほどですが、
一旦観はじめたらとりあえず最後まで観るのが信条です(笑)。
 
幼なじみのディーンとウェスとJTは、1999年のハロウィンの夜、
ケチだと思われていた近所の住人を懲らしめてやろうとちょっとした悪戯を仕掛けるが、
それが火事騒ぎとなって大弱り。
その場から逃げるさいに「犯人はリッキー・スタニッキー」と、
実在しない子どもの名前を書き残したところ、功を奏して追及を免れる。
 
以来、いい歳になった今も3人はリッキーを実在の親友として仕立て上げ、
妻や恋人に内緒で出かけたいときは「リッキーが病気」などと口実に使っている。
 
ある日、そんなふうにいつものように3人で出かけてハメを外している間に、
JTの妻スーザンが予定よりずっと早く産気づく。
出産に立ち会えなかったJTを義母が見咎め、リッキーは実在しないのではないかと言い出し、
本当にいるならば赤ん坊のブリス(割礼の儀式)に呼べと言う。
 
困り果てた3人だったが、ディーンが妙案を思いつく。
それは、ハメを外しているときに出会った売れない物真似タレントのロッドに、
リッキーのふりをしてもらうよう、仕事として依頼すること。
アル中で一文無しのロッドに、多忙で有能で愉快という想定のリッキー役を任せるなんて。
不安は大きいものの、そうするしかこの局面を乗り切る方法を思いつかず……。
 
少年時代の3人の悪戯というのがすでにう○こまみれでゲンナリ。
そこへ来て、ジョン・シナ演じるロッドの芸が下ネタすぎてほんとにウンザリ。
リッキーのふりをする仕事を引き受けたと思ったら、空港でゲロ吐いて失禁してるし。
この辺りで観るのをやめようかと思いましたがな。
 
しかし耐えながら観つづけたら、結局は面白くて。
どうにも信用できないはずのロッドもなんだかんだでプロの芸人。
ディーンたち3人が創り上げたリッキー像以上の人物を演じ、
高慢な客人には辛辣ながら的を射た話をしてみせて、皆が舌を巻きます。
 
3人のうちウェスは、嘘の上塗りが嫌で、恋人たちに真実を話そうと言いますが、
ディーンとJTは自分勝手そのもの。
嘘をつくためにロッドを雇ったくせして、ロッドの活躍が面白くなくて陥れようとする。
おまえら地獄に落ちろ!と思ったけれど、ロッドのおかげでそうはならない。
ディーンの彼女エリンがとても素敵で、女優陣もとてもよかった。
 
エンドロールで監督がピーター・ファレリーであることに気づく。
そりゃ下ネタ満載のはずだわと笑いました。ならばオッケー。
世界中で絶賛の声が高かった『グリーンブック』(2018)を黒人監督から「最悪」と評されたファレリー監督。
黒人でゲイのウェスに「クリスマスはゲイにはつらいイベント」とつぶやかせるところなど、ちょっとしんみり。
 
サンタクロースがデブなのは何故だ。
マッチョでもいいじゃないかというウェスの意見になるほど。
マッチョなサンタのイラストがサイコーです。

—–

『成瀬は天下を取りにいく』を読みました。

地震が起きたら本に埋もれて死ぬだろうと思うぐらい本だらけだった実家。
幼少期からその状態を見てきたので、私の家はそんなふうにはしまいと思い続けてきました。
5千冊ほどあった父の蔵書を片付けたところでほとんどは買い取り不可で、
まったくたいした金額にはならなかったから、余計にそう思う。
それなら家に溜め込まなくて済むように図書館で借りればよいのですけれど、
読みたいときに読みたい本が手元にないと嫌な性分の私は、本は買う派
 
買った本を自分で読んだ後は、希望者がいればお貸しするなり差し上げるなりしますが、
ほしいと思えばすぐに買うから、読む速度が追いつかず、とりあえず家の一角は本だらけ。
単行本だと置いておくのも場所を取るため、基本的にな文庫本しか買いません。
そうしていたのに、まだしばらく文庫化しそうにないこの本がどうしても気になり、
さらには「買ったら貸してほしい」という複数の声があったこともあって(笑)、
ついに買ってしまったじゃあないですか。
 
三浦しをん森見登美彦に衝撃を受けたという著者だから、私が気に入るのは必至。
 
西武大津店閉店のニュースを聞いて、夏休みを西武大津店に捧げることにした女子、成瀬。
捧げるって、何をするのかと思えば、野球に興味もないのに西武ライオンズのユニフォームを着て、
取材にくる地元ローカル局の番組に映り込むのですよね(笑)。
そんな成瀬になんとなくつきあう幼なじみの島崎。
 
30頁程度の短編6つ。
成瀬と島崎メインの章のほか、彼女たちの同級生の視点から成瀬が描かれる章だったり、
かつて西武大津店に世話になった40代の男性たちが閉店のニュースを機に集まる話だったり。
 
読んでいるときはめちゃくちゃいいと思っていたわけではありません。
が、時折ふきだしてしまうほど可笑しい。「ほなミルクボーイやないか」なんて、もうツボ。
成瀬と島崎の漫才は微笑ましくて好きでした。あ、上記の台詞はまだ漫才じゃないか。(^^;
 
「膳所高校」と聞いて私が思い出すのは、たぶん小学生のときのこと。
家族で東福寺へ墓参りに行った帰りに寄った駅前の寿司屋で観た高校野球中継は、
膳所高校が0-18で負けた試合でした。いま調べたら、1978年のことなんですね。
あの膳所高校だと思うと、と一緒に過ごしたことも思い出し、懐かしいような、寂しいような。
 
成瀬はいわゆる空気の読めない人なのかもしれない。
でも、誰にも迷惑をかけていないし、誰かを傷つけてもいない。
人の顔色を窺ったり、嫌われることを恐れたりしないで、こんな生き方をするのはありだよと言われているかのよう。
成瀬について話すときに楽しそうな島崎のことも大好きです。
 
残りの頁が少なくなるにつれ、どうかこのまま終わらないでほしいと思いました。
ゼゼカラ解散じゃなくてよかった。で、買っちゃいましたよ、『成瀬は信じた道をいく』も。

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『ドーナツもり』

『ドーナツもり』
監督:定谷美海
出演:中澤梓佐,足立智充,高橋雄祐,仁科かりん,遊屋慎太郎,関口アナン,芹澤興人,安藤聖他
 
劇場鑑賞できない日が続いております。
でも去年も今年もまだ1日も休むことなくブログを更新しているのに、
ダンナが帰国中だからブログ更新無理ってなんだか悔しい(笑)。
毎日1本ずつは配信で映画を観るようにしていましたけれど、
普通に仕事に行って、買い物して帰ってきて、ごはんを用意して片付けて、洗濯して、
とかしていたら、2時間をつくれない日があるのですよね。
 
で、1時間を切るような映画を配信で観られないものかと探しました。
かと言って、短けりゃいいってもんでもありません。ちゃんと興味を惹かれるやつがほしい。
そうしたら、Amazonプライムビデオにありましたがな、44分の好きそうなやつが。
 
2022年の作品で、広告をメインに活動してきた定谷美海監督の初中編なのだそうです。
舞台は東京・神楽坂に実在する“ドーナツもり”
古民家を改装した大人気ドーナツ店らしい。でも実話ではないよ。
 
公子(中澤梓佐)はイラストレーターの仕事のかたわら、“ドーナツもり”で販売員を務める。
従業員はオーナーの森(足立智充)と公子のほか、ドーナツ作りを手伝う小石(高橋雄祐)。
公子の元カレのユータ(関口アナン)が能天気にしばしば顔を出すのが腹立たしい。
 
ドーナツもりを訪れる客はさまざま。
とっかえひっかえ男を替えて訪れるちひろ(仁科かりん)は必ずフランボワーズを選び、
男が何か別のドーナツを選ぶと「半分こしよっか」と言う。
毎回オールドファッションを1個買い、感じ悪いぐらい無愛想なルイ(安藤聖)。
初めて来店した男性(遊屋慎太郎)は恋人に渡すのか、オススメを聞いてきて……。
 
「半分こしよっか」のちひろは、男が半分こを否定すると速攻でサヨナラ。
その様子を見続けてきた公子は、ちひろが新しい男を連れてくるたびに、
どうか今度の人は「そうしよう」と言ってくれる人でありますようにと祈ります。
でもせっかくそう言ってくれる人(芹澤興人)を見つけたのに、ちひろは逃げ出す始末。
 
ちひろを含め、さまざまな客に語りかける公子の言葉は、ひとつ間違えば説教臭くなりそう。
だけどその一歩手前でとどまっているところに好感が持てます。
 
中澤梓佐はこれが映画初主演だそうですが、笑顔がとてもいい。
この人ぐらいの唇の厚さが私もほしかったなと思いました(笑)。
 
ドーナツの穴はなぜあるのか諸説あるそうで。
「それを埋めるためにドーナツ屋で働いているのかもしれませんね」。

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『ジガルタンダ・ダブルX』

『ジガルタンダ・ダブルX』(原題:Jigarthanda Double X)
監督:カールティク・スッバラージ 
出演:ラーガヴァー・ローレンス,S・J・スーリヤ,ニミーシャ・サジャヤン,イラヴァラス,ナビン・チャンドラ他
 
ダンナ一時帰国中ですが、この日は飲みに行くということだったので、私は映画に行く計画を立てる。
ところが、飲む約束をしていた相手の体調不良で、飲み会が流れてしまいました。
せっかく予約を取ったお店をキャンセルするのがもったいなくて、私が代打で行くことに。
しかし本作をいま見逃すと次のチャンスがいつ来るかわからないから、これだけは観に行かせてもらいます。
おでんを食べに行く前に、塚口サンサン劇場へ。
 
2023年のインド作品。
先週観たばかりの『ジガルタンダ』(2014)と同じカールティク・スッバラージ監督の作品で、
タイトルもこうだと10年越しの続編だと思ってしまいますが、そういうわけでもない。
映画が武器になるというテーマは同じですが、前作を未見でもまったく問題なし。
 
1970年代後半、冒頭の舞台はコンバイ地方、象のいる森
神聖なる生き物、象とその森に暮らす部族たちは共生してきたはずなのに、象牙を狙って密猟する者が現れる。
その残虐な行為に胸を痛める村人たちが新任の警視ラトナクマールに直訴すると、
なんということか、ラトナクマールは村人たちを助けるどころか、捕らえて拷問する。
そして悪魔のような密猟者シェッターニは野放し状態。
 
一方、マドゥライで警察官を目指していたキルバンは、ようやくその夢が叶うというとき、
学生たちの喧嘩に巻き込まれたうえに、凶器を手にして気絶していた現場を押さえられ、学生たちを殺害した罪で投獄される。
 
数年が経ち、ラトナクマールに呼び出されたキルバンは、
ジガルタンダ連合というギャングの親玉アリエス・シーザーを殺せば、警察官に復職できるようにしてやると言われる。
シーザーは自らの映画館を所有しており、自分の映画を作って上映したいと思っているらしい。
そこでキルバンは映画監督を装ってシーザーに近づき、撮影を開始するのだが……。
 
『ジガルタンダ』を観たときと同じく、序盤少しうつらうつらしてしまいました。
イケメンがまったく出ていないのもツライでしょ(笑)。
だけど、もうホッント、話が進むとどんどん面白くなって止まりません。
イケメンなしでここまで観ている者を惹きつけられるってすごくないですか。
 
ラトナクマールがとびっきり嫌な奴なのはもちろんのことなのですが、
一見善人風の女性州首相とか、あり得んぐらい悪い。こんなにも悪いんですか、インドの政治家って。
 
飲んだくれで暴力的で、信用ならない印象だったシーザーが最期はどれほどカッコイイことか。
キルバン監督、シーザー主演の作品に見入る観客たちの表情。
ちょっとは良い政治家もいることにはホッとしました。
 
クリント・イーストウッドに献辞ってなんだろうと最初に笑っていたら、
そりゃそうだ、これは彼あっての作品でしょう。
 
そしてあるのですね、続編が。10年も待たせないでよ。

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『ブラックベリー』

『ブラックベリー』(原題:BlackBerry)
監督:マット・ジョンソン
出演:ジェイ・バルシェル,グレン・ハワートン,マット・ジョンソン,リッチ・ソマー,マイケル・アイアンサイド,
   マーティン・ドノヴァン,ソンウォン・チョ,ソウル・ルビネック,ケイリー・エルウィズ他
 
2023年のカナダ作品。
NetflixでもAmazonプライムビデオでも視聴可能ですが、後者は有料。
帰国中のダンナが運転免許を更新するため門真まで行くと言うので送って行き、
駐車場で待っている間にスマホで鑑賞しました。
 
“BlackBerry”はカナダのブラックベリー社(旧リサーチ・イン・モーション社)が開発した元祖スマートフォン。
実話が基となってはいるものの、フィクションの部分もかなり入るモキュメンタリー
それにしてもよくもこんなに面白い作品に仕立て上げたものですねぇ。
監督は本作でダグ役を演じているマット・ジョンソン。この人が監督とは思いもよらず(笑)。
 
カナダ・オンタリオ州のウォータールー。
マイク・ラザリディスとダグ・フレギンは機械と映画に入れ込む立派なオタク
ふたりで立ち上げた会社リサーチ・イン・モーションの社員はほかもオタクばかり。
携帯電話にコンピュータを載せることを思いつき、
メールの送受信可能なキーボード付き携帯の案を大手企業に持ち込むが、良いようにあしらわれる。
やっと契約にこぎつけたはずの企業からはさっぱり金が振り込まれず。
 
このままではニッチもサッチもいかないとマイクが困っていたところ、
かつての売り込み先にいたジム・バルシリーが突然訪ねてくる。
 
ジムはマイクとダグの以前のプレゼンを徹底的にこき下ろすが、
ジム自身をリサーチ・イン・モーションのCEOに就任させればこの会社をなんとかしてやると言う。
あまりに尊大な態度にダグは抵抗。3人の共同CEOということでジムも手を打つ。
その後はジムの凄まじい営業力により、ブラックベリーと名付けられたそれは世界を席巻するのだが……。
 
カナダでは上回る者がいないとマイクが主張するほどの頭脳が揃うリサーチ・イン・モーション。
しかもみんなお気楽で、金が入ってこなくても実に楽しそう。
毎週“ムービーナイト”なんてイベントを設けて、社内で映画会を楽しんでいます。
マイクも最初はそれでよかったはずなのに、ジムの指示に従って動くうち、
ダグをはじめとする社員たちの能天気ぶりに苛立ち、目の色が変わって何かに取り憑かれたかのよう。
 
スマホがこんなふうに生まれたのだと思うと面白いし、
自分では何も開発せずとも大儲けしようとしている人はいっぱいいることに驚きます。
もちろん金を手にする人にはそれなりの労働と苦心が伴っているのでしょうけれど。
 
どこで手を引くべきか。後日談がまた滑稽で物悲しい。
キーボードを叩く音にこだわったマイク。その音も今は「ノイズ」とみなされる世の中です。

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