『犬の裁判』(原題:Le proces du chien)
監督:レティシア・ドッシュ
出演:レティシア・ドッシュ,フランソワ・ダミアン,ジャン=パスカル・ザディ,アンヌ・ドルヴァル,
マチュー・ドゥミ,アナベラ・モレイラ,ピエール・ドゥラドンシャン他
イオンシネマ茨木で観たスイス/フランス作品。
フランスで実際にあった裁判を基に、女優のレティシア・ドッシュが監督と脚本と主演を務めています。
弁護士のアヴリルは自他共に認める「負け筋」の弁護士。
現行犯で捕まった人など負けるに決まっているから弁護を引き受けなければいいのに、
どんな人にも犯罪に絡んだ事情があるだろうからと引き受けては負ける。
弁護士事務所の上司から「負けすぎだ」と言われてクビ寸前。
次は絶対に勝てそうな依頼しか引き受けないと誓う。
ところがそんなアヴリルのもとへやってきたのは、人を噛んで殺処分になりそうな犬の飼い主。
ダリウシュが部屋を貸していたポルトガル移民女性ロレーネの顔に噛みついて怪我を負わせた。
コスモスは過去にも2度、人に噛み付いたことがあり、3度目の今、殺処分が確定なのだ。
コスモスが殺されるなんてダリウシュには耐えられないこと。
どうにかして殺処分を免れるよう、アヴリルに法廷で闘ってほしいのだと。
負けるとしか思えない裁判だが、アヴリルは引き受けてしまい……。
3度噛みついた犬は殺されるという決まりがあるそうです。
負ければクビ決定のアヴリルはなんとか勝つ道を見出そうとしますが、とても難しい。
とりあえず、犬としてではなく人としてコスモスを裁いてほしいと訴えます。
ダリウシュがいい人ならまだしも、前科者で態度も悪い。
この飼い主にしてこの犬と見られる部分もあって前途多難。
それでも、コスモスは人に噛みついたなんて信じられないほど賢く可愛げのある犬で、
アヴリルは犬の立場になって考えようとします。
本筋の「犬の裁判」の話に加えて、アヴリルの隣の部屋に住むヨアキムの話からも目が離せません。
ヨアキムもとても賢い少年だけど、どうも親から虐待を受けているらしい。
ベランダ越しのアヴリルとヨアキムの会話、ついに逃げ出してきたヨアキムの様子に惹かれます。
きっと裁判に勝って万々歳のオチを想像していたから凹む。
そう上手くは行かないものなのですね。
でも、この裁判で人生を考えるきっかけになった人はアヴリル以外にもいるはず。
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