『少年と犬』
監督:瀬々敬久
出演:高橋文哉,西野七瀬,伊藤健太郎,伊原六花,嵐莉菜,木村優来,栁俊太郎,一ノ瀬ワタル,
宮内ひとみ,江口のりこ,渋川清彦,美保純,眞島秀和,手塚理美,益岡徹,柄本明,斎藤工他
春分の日。JR大阪駅から環状線で1駅、福島にある大好きなバーで青森の醸造家がつくるワインの並ぶイベントがありました。
15時からのそのイベントの前にTOHOシネマズ梅田でこの日封切りの本作を観る。
映画もきっと良い作品になりそうなところ、メガホンを取るのが瀬々敬久監督というのが気がかり。
瀬々監督は泣かせる話にするのが得意だと思われますが、改変も結構凄いときがある。
『64―ロクヨン― 後編』(2016)にはがっかりしましたし、
『護られなかった者たちへ』(2021)では犯人の性別が原作の男性から映画では女性に変わっていて、
さすがに死体を引きずって階段を上がるのは清原果耶には無理があるやろと思ったものです。
本作ではどんな改変が加えられているのかドキドキしていたら、まさかのファンタジーへの改変。えーっ。
原作は、男と犬/泥棒と犬/夫婦と犬/少女と犬/娼婦と犬/老人と犬/少年と犬から成っています。
最初の章“男と犬”に登場する男・中垣和正を演じるのが高橋文哉。
ある日、コンビニの前で見かけたシェパードと目が合い、なんとなく放っておけなくて連れ帰る。
首輪に付いていたタグに書かれている名前は“多聞”。
仕事に出るときも車に乗せて行くと窃盗は大成功。多聞はまるで守護天使のよう。
しかしこれで最後にするはずだった仕事の日に失敗。
和正は大怪我を負い、多聞もどこかに行ってしまう。
月日が経ち、多聞と巡り会ったのは滋賀県に住むデリヘル嬢の須貝美羽。
多聞に新たに“レオ”と名付けて可愛がっていたが、急病に見舞われたレオを病院に連れて行くと、
そこに和正がやってくる。服役して出所後、ずっと多聞の行方を捜していたのだ。
どうしてもレオを手放したくない美羽だったが、きっとレオには会いたくてたまらない人がいる。
その人を追って、はるばる宮城から滋賀までやってきたのだろう。
和正と美羽はレオ=多聞が会いたい人のいる場所まで連れて行く決意をするのだが……。
原作では最初の章で死んだ和正が映画版では死にません。それどころか多聞を追いかけてくる。
ところが、殺人を犯した美羽がレオを和正に託して自首した直後に和正が事故死。
おいっ、この後どうするんだよと思ったら、なんと和正が幽霊として多聞に同行。
別物として観ればいいんでしょうが、ここまで改変しちゃうかなと思って私は興醒め。
まぁ最後はちょっと泣いたけれど、やっぱり瀬々監督作品には納得いかない。
私以外はたぶんみんなボロ泣きのようで、あちこちから鼻をすする音が聞こえていました。(^^;
そして、多聞が会いたかった少年の父親役に斎藤工。みんな上手いですけどねぇ。
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