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『ルース・エドガー』

『ルース・エドガー』(原題:Luce)
監督:ジュリアス・オナー
出演:ナオミ・ワッツ,オクタヴィア・スペンサー,ケルヴィン・ハリソン・Jr.,
   ノーバート・レオ・バッツ,アンドレア・バン,ティム・ロス他
 
同じくシネ・リーブル梅田にて、普通(笑)の作品を。
 
ピーターとエイミー夫妻にはルースという息子がいる。
ルースは現在高校生。学校一の優等生だが、生まれはアフリカの紛争地エリトリア。
夫妻はまだ幼かった彼を養子として引き取り、今まで育ててきた。
 
陸上部と討論部に所属し、どちらにも秀でているルース。
さまざまなスピーチを頼まれては、ユーモアも交えて完璧に喋り、
教師と生徒両方の信頼度も人気も抜群。
 
ところがある日、エイミーのもとへ学校から電話が入る。
連絡してきたのはルースに政治学を教える教師ハリエットで、
生徒たちに与えた課題「歴史上の人物の代弁」において、
ルースのレポートの出来は優れているが危険であると言う。
見過ごせずにルースのロッカーを探ったところ、
壁を吹き飛ばすぐらいの威力を持つ違法な花火を隠していたと。
 
ルースと話し合うようにとハリエットから言われたものの、
どのタイミングで息子に切り出すべきか悩むエイミー。
そんな気持ちを汲もうとしないピーターが、いきなりルースに問いただして……。
 
ルースが本当に良い子なのか、過激な思想に染まっているのかがわからず、
やきもきしながら最後まで。
そして最後に至ってもどちらなのかがわかりませんでした。面白い。
 
一見生徒のことを思っているかのように見えて、
「出自の不遇を克服した黒人」「耐える中東の人間」をアピールすることを求める教師。
オクタヴィア・スペンサー演じるハリエットはとても不愉快な人物で、
仮にルースが危険な人間だったとしても、ルースの肩を持ちたくなります。
でもそうでもしなければ黒人が認めてもらえないのが社会というものなのか。
養父母役のナオミ・ワッツティム・ロスの演技にも痺れる。
 
この直前に観たホドロフスキーが変態すぎただけに、
本作は気持ちの良い作品ではないけれど、めちゃめちゃ面白かった。
養子にした子に震え上がるというと『エスター』(2009)なんかも思い出しますが、
あんなおどろおどろしいホラーではありません。
ほくそ笑みたい人、どうぞ。

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