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『ワンドゥギ』

『ワンドゥギ』(英題:Punch)
監督:イ・ハン
出演:ユ・アイン,キム・ユンソク,パク・スヨン,イ・ジャスミン,
   キム・サンホ,キム・ヨンジェ,パク・ヒョジュ,カン・ビョル他

シネマート心斎橋にて、ハシゴ3本目。

上映初日の特典なのか、主演のユ・アインの写真をくれました。
こんなんもろて、どないせぇっちゅうねんと思っていましたが、
終わってみれば、か、かわいすぎる。
そら、韓流好きのおばちゃんたち、メロメロになってしまうでしょ。
モテるのもわかると思ったのは、『悪魔を見た』(2010)のイ・ビョンホンを見て以来。
しかも本作のユ・アインに関しては、おっちゃんたちもイカレてしまうと思います。

高校生のワンドゥクには母親がいない。
身体に障害を持ち、道化者の扮装で踊って日銭を稼ぐ父親と、
父親の相棒ミングと三人暮らし。
ワンドゥクが幼い頃、知的障害を持つミングは、父親の踊りに魅入られて弟子入り。
以降、父親はワンドゥクにミングを叔父さんと呼ばせて同居しているのだ。

喧嘩にはめっぽう強いが、勉強はまったくせず、
誰とも親しくなろうとしないワンドゥクに、
おせっかいで型破りな担任教師ドンジュは執拗なくらい構おうとする。
しかも、優しいとは口が裂けても言えない、ヒドイ構い方。

そのドンジュが、ワンドゥクの母親を居所を知っていると言う。
存在すら知らなかった母親に会ってみろと言われても、ワンドゥクは混乱するばかり。
会いになんて行けるものかと思っていると、母親のほうから訪ねてきて……。

この日の韓国映画ハシゴ3本のうち、どれがいちばん好きだったかと聞かれたらこれ。
いちばん泣けたのは『サニー 永遠の仲間たち』なのですけれど、
本作はもっと笑えて、なんとも言えずしんみりとして。

こんな環境下でこんなに素直に少年が育つものかと思わなくもないですが、
ワンドゥクのその素直さにイカレてしまいます。
なぜか同居している赤の他人のミング叔父への接し方、
「くそドンジュ」への感謝の表し方、母親への言葉のかけ方など、
照れ臭くても気持ちはちゃんと伝えなくちゃいけないということを知っているかのよう。
どんな環境であれ、愛情をいっぱい注がれればこう育つんだと思わずにはいられません。

ワンドゥク役のユ・アインは可愛いうえに、コメディセンスも抜群のようで、
これまた絶妙な間合いをもたらすドンジュ役のキム・ユンソクとの掛け合いに笑わされっぱなし。
キム・ユンソクは、『哀しき獣』(2010)の恐ろしいブローカー役とはまるで別人です。

恋文といえば、森見登美彦の『恋文の技術』は無条件に好きですが、
つい先日読んだ三浦しをんの『舟を編む』に出てきた一節にふきました。
「思いのたけをこめた、しかも思いが空回って無用に難解になってしまった手紙」。
ワンドゥクが同級生のユナに贈った恋文は、いたってシンプルながら、
ちょっぴりこの『舟を編む』に登場する恋文を思い出させるものがあります。

韓流好きでなくとも、万人にオススメ。
目の前のものすべてが君に見える。
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