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2019年3月に読んだ本まとめ

2019年3月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2791ページ
ナイス数:1079ナイス
 
■君がいない夜のごはん (文春文庫)
ネタのジャンルを限定しない、何でもありの穂村さんも面白いけれど、食に絞ったネタもまた楽しい。酔っぱらいの考え、理解できないですよねぇ。酔っぱらいの私にも理解不能です。しらふで酔っぱらいにつきあってくれる人にはホントに毎度どうもすみません。「混ぜ」の問題に関しては、どうも私は穂村さんと同じ。気合いが欠如していてこれまたすみません。『絶叫委員会』でアホほど笑ったから、他の作品も同程度の笑いを期待してしまっています。そう考えると笑い控えめだけど、間違いなく楽しい。電車の中で読むとやっぱり怪しい人になりそうです。
読了日:03月01日 著者:穂村 弘
 
■今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います (集英社オレンジ文庫)
奥付の頁に「この作品はフィクションです」とあるのを見て「当たり前や!」と笑ってしまったのは初めての体験。パワハラ上司を殺したい、あるいはそいつのせいで死にたい社員の話3つ。物騒なタイトルでも爽やかな表紙だから、元気を貰えそうだと思ったらとんでもない(笑)。これはもうホラーじゃあないか。ちょっといい話で終わりそうだと思っても落とされ、貞子ばりの話なんかもあったりして、頭の中で鳴り響く「きっと来る〜♪」。みんな、こんなに我慢せずにとっとと辞めようよね。クソ上司に天罰が下るところを見られると確約されない限りは。
読了日:03月03日 著者:夕鷺 かのう
 
■日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
かつて、茶道部と落研どちらにするか迷って落語を選んだ人間です。そんな私に合わせてくれたかのようなあとがき。小三治師匠のおっしゃるとおり、書店の茶道のコーナーに並べておくべき本ではありません。「言わなわからん」が私の信条ですが、言葉の空振りになることもあるんだなぁ。どんなことも一生に一度限り。今、目の前にあることを大切に。もうひとつの私の信条は「明日死んでもいいように生きる」だけど、物事を片づけるだけが今しなければいけないことではないのですね。一期一会、五感を使って今を味わうことを大事にしたいと思いました。
読了日:03月05日 著者:森下 典子
 
■晴れた日は謎を追って がまくら市事件 (創元推理文庫)
浜田青年、こんなところにイタンスカ。不可能犯罪ばかりが起こる蝦蟇倉市を舞台にした短編集で、伊坂幸太郎の『ジャイロスコープ』に収められていた「浜田青年ホントスカ」を改めて読む。この短編集に臨む作家5人の姿勢いろいろ。前の作家の話をまるで気にせずに書いている人もいれば、小ネタ程度に話題に出す人もいる。その点で、道尾秀介から伊坂幸太郎への流れは連作風の楽しさを味わわせてもらえました。蝦蟇倉市地図の掲載もオツ。2作目もあるんすか。次も是非というほどには面白くなかったのですけど、一応2作目も行っとくかな程度には。
読了日:03月11日 著者:伊坂 幸太郎,大山 誠一郎,伯方 雪日,福田 栄一,道尾 秀介
 
■空色バトン (文春文庫)
私にありがちなことですが、かなりメゲていて本を読むのもツライ。でも意地で何か読もうと薄さに釣られて購入しました。すごくメゲていたけれど、もしかするとここに出てくる中学生たちの悩みのほうが大きいかもしれない。だって彼女たちはまだ15年かそこらしか生きていない。経験値が少ない分、いろんなことを大きく感じているでしょう。だったら今の私の悩みなんてたいしたことない。読み終わって本を閉じたとき、ありがとうと思いました。ところで、書籍販売サイトに「230頁以下の本」なんてカテゴリーがあれば、きっと私は飛びつく(笑)。
読了日:03月14日 著者:笹生 陽子
 
■ささやかな頼み (ハヤカワ・ミステリ文庫)
原作に退屈気味だった人に朗報です。映画版はまったく違うのでぜひご覧ください。私の場合、もし先に映画版を観ていなければ挫折していたかもしれません。笑えるところは1ミリもない原作と異なり、映画版はステファニー役のアナ・ケンドリックのおかげでコミカル。原作では普通のブログだったところを映画版では動画ブログにして成功。オチも何もかも違って、こりゃまるで別物とも言えるけれど、映画版は痛快。読後感ドンヨリ、鑑賞後感スッキリ。悪女エミリー役のブレイク・ライヴリーがずたぼろにされて笑ってしまった。このキャスト、サイコー。
読了日:03月17日 著者:ダーシー・ベル
 
■九月の恋と出会うまで (双葉文庫)
泥棒と鉢合わせして殺されてしまうはずの私を救ってくれたのは未来の隣人。そして今も隣人。映画版では、今の隣人と未来の隣人の声がちがうということに納得の行く理由付けがされていませんでした。原作を読んでマジかいと笑ってしまいました。だって、花粉症のせいで声がちがって聞こえるって、どんな力技(笑)。映画版では、今の隣人と未来の隣人は別人だと思いつつも、今の隣人に恋をして、彼が未来の隣人と同一人物だったらいいのにと願う。だけど原作では、未来の隣人に恋をする。どちらも同じ結果になるものの、映画版のほうが切なくて好き。
読了日:03月23日 著者:松尾 由美
 
■冷たい手 (光文社文庫 み 34-3)
「もう会わない」と宣言してきた友達がその直後に殺される。そもそも1年に1度しか会わない友達。ワケありありで、次から次へと「えーっ」な展開。主人公の周りは嫌な奴だらけ。特に担当刑事、いっぺん逝ってしまえ(笑)。コイツのあまりに不愉快な物言いのせいで頭に血が上りつつも途中で止められなくて一気に最後まで。悲惨な話なのですが、痛々しい描写も露骨ではなくて助かりました。登場人物に共感を呼ぶ魅力的な人がいればもっとよかったのですけれど。私の推理はろくに当たらない。本作でもやっぱり当たらない。そこには辿りつけんやろっ。
読了日:03月24日 著者:水生大海
 
■BACK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
タヒチでの幕開けに、邦画でよくありがちな「意味のない海外ロケ」を想像して、なんでやねん。と思ったのも束の間、わけのわからん事件にどハマリ。冴えわたる野比先生のプロファイリング、犯人の狙いがまさかそこだとは。軽すぎるきらいのあった東海林さん、だんだん良さがわかってきました。彼が本作中で読む本のタイトルが『BACK』というのは、読者に媚びているようで個人的には嫌だ(笑)。三木さんの「勘違いが高じて病気の域に達したのでは」に大笑い。「寄り添うことって難しい」という台詞が心に残ります。次作も読まなきゃしゃあない。
読了日:03月30日 著者:内藤 了

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『ビリーブ 未来への大逆転』

『ビリーブ 未来への大逆転』(原題:On the Basis of Sex)
監督:ミミ・レダー
出演:フェリシティ・ジョーンズ,アーミー・ハマー,ジャスティン・セロー,ジャック・レイナー,
   ケイリー・スピーニー,クリス・マルケイ,サム・ウォーターストン,キャシー・ベイツ他
 
風邪をひいてへろへろの金曜日にTOHOシネマズなんば別館で2本ハシゴの2本目。
前述の『ブラック・クランズマン』の次に観ました。
 
これもやはり実話が基。
アメリカ合衆国最高裁判所の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグが、
史上初の男女平等裁判に挑んだ弁護士時代の話。
彼女がいなければ、あらゆる点で今よりも男女差別が多かったはず。
 
ミミ・レダー監督は、ナタリー・ポートマンを主演に起用したかったそうですが、
これはフェリシティ・ジョーンズで正解だったのでは。
夫役のアーミー・ハマーもめちゃくちゃよかった。
 
ルースはハーバード大ロースクールの1回生。
2年上の先輩マーティンとすでに結婚しており、生まれて間もない娘もいる。
夫婦で家事と育児を分担しつつ授業も受けてきたが、夫が精巣癌で倒れる。
生存率5%と言われる手術に賭け、看病しながら夫の授業にまで出る。
 
マーティンは奇跡的に回復してニューヨークの法律事務所に就職。
ルースは家族のそばを離れたくないとコロンビア大へ転籍する。
同大を首席で卒業したものの、「女性弁護士を雇うと、家族が嫉妬する」などという理不尽な理由で、
10以上の法律事務所から断られる。
致し方なく法律事務所への就職をあきらめ、ラトガース大学で教鞭を執ることに。
彼女が教えるのは法律と性差別について。
 
法廷に立つことなく、学生たちに講義する弁護士のルース。
成長した娘ジェーンはそんな母親に不満を持っているらしく、反抗的な態度を取る。
ジェーンから痛いところを突かれて、ルースも不機嫌。
それを察したマーティンが、あるときルースに「君が興味を示しそうだ」と言って持ち込んだ案件とは。
 
ある中年のサラリーマンが、母親を介護するために介護士を雇おうと考えた。
彼は独身で、自分に代わって母親を看るものがいないから。
ところが、未婚男性は介護士を雇ってもその分の所得控除が受けられない。
法律の条文を読んだルースは、これが男性に対する性差別であると気づく。
法律における女性に対する性差別を是正するには、
男性に対する性差別について訴えることが一助となるのでは。
なぜなら裁判官は男性ばかりだから、男性に対する性差別であれば共感するはずだとルースは考える。
 
ルースとマーティンはこの件について訴訟を起こすことに決めるが、
女性弁護士が吠えたところで世間は冷たい。
アメリカ自由人権協会(ACLU)が共に声をあげてくれればと、
ACLUの旧知の友人メル・ウルフに助けを依頼するが駄目。
そこでルースは女性弁護士で公民権運動家のドロシー・ケニヨンに会いに行く。
ドロシーの口添えにより、メルも協力を申し出る。
 
なんとか訴訟の提起にこぎつけたものの、
法廷に立った経験のないルースはメルらを招いた口頭弁論の模擬でしどろもどろになってしまい……。
 
黒人が、とか、女性が、とか、何かと差別に関する映画が多い今日この頃です。
本作では、ルースがなんとか教職を得たのも「辞めた黒人の代わりに女性を雇ってもいい」と言われた末で、
なんともあちこちに差別が溢れています。
ハーバードのロースクールの学部長とその奥さんまでが
女が弁護士になるなんてなどと露骨に嫌な態度を示していたなんて、がっかりです。
 
差別が描かれるどんな映画を観ても思うのは、差別意識をまったく持たない人もいるということ。
ルースの夫マーティンなんて、この時代の人とは思えない。
「マーティンのような男と結婚できてよかったね」と彼の上司から言われて
「女を下に見ている」と憤るルースは、ちょっと何にでもナーバスになりすぎではと思うけど、
仕事もバリバリにできて、料理も妻よりはるかに上手で、子どもの面倒も実によくみる。
こんな男性が増えたら、世の男性たちは言い訳ができなくて困るはず(笑)。
 
最後の法廷のシーンに胸を打たれます。
こんな女性がいたということ(今もご健在ですが)、知っておきたい。
 
余計なことですが、ルースが娘のジェーンに「おまえ」と言う字幕には違和感。
ここは「あなた」でよかったんじゃないかなと思います。

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『ブラック・クランズマン』

『ブラック・クランズマン』(原題:BlacKkKlansman)
監督:スパイク・リー
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン,アダム・ドライヴァー,ローラ・ハリアー,トファー・グレイス,
   コーリー・ホーキンズ,ライアン・エッゴールド,ヤスペル・ペーコネン,ハリー・ベラフォンテ他
 
ダンナ出張中で毎晩映画三昧できるはずなのに、風邪をひきました。
先週初めから喉が痛くて、これは普通なら鼻に来て熱も出るパターン。
なのに先週は土曜日も出勤予定だったから寝込んではならぬと自らに言い聞かせ、
毎日仕事帰りにとりあえず1本ずつは観ました。
 
金曜日、体調は恐ろしく悪かったけれど、「明日の仕事が終わるまでは倒れちゃ駄目」と、
さらにハードなスケジュールを自分に課し、終業後に2本観ることに。
次年度に繰り越せない有休のうち、時間休が1時間だけ残っていたので、
16:15に上がって、なんばへ向かいました。
 
17:50からTOHOシネマズなんば別館で上映開始だった本作。
16:15に職場を出れば余裕で間に合うと思っていたのに、すでに中環も新御もババ混み。
いつも駐める堺筋沿いのタイムズに入庫したのは17:40でした。ギリギリ。
 
『グリーンブック』のオスカー作品賞受賞を「最悪」と称したスパイク・リー監督。
それを聞いてさぞかし小難しい作品を撮る人なのだろうとお思いになった方。
そんなことはありません。
アメリカで黒人の置かれた状況、そして今も置かれている状況を
ユーモアを織り交ぜつつきっちりと描いている人です。
 
映画のネタになる話がどれだけ転がっているねんと思うほど、実話が基の作品が多い。
そんな中でもこれはぶっ飛び。実際にあったことだなんて。
タイトルの「クランズマン」は白人至上主義団体“KKK(クー・クラックス・クラン)”のメンバーを指します。
「ブラック」だから、「黒人のKKKメンバー」ということですよね。あり得ないけどあったこと。
なお、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンはデンゼル・ワシントンの息子。
お父さんとはちょっとちがうコメディ路線で活躍できそうな感じです。
 
1970年代後半のアメリカ・コロラド州
アフリカ系アメリカ人のロンは、コロラドスプリングス警察で人種を問わない求人があると知って応募。
同警察初の黒人刑事となる。
しかし求人は「差別をしません」というポーズだけだったのか、
実際に就職してみると、ロンに与えられた仕事はファイルを探す係。
露骨に差別的な態度を見せる署員もいて、ロンは面白くない。
 
ある日、署長から潜入捜査の任務に就くように命じられて大喜びするが、
それは黒人運動の指導者を迎える集会に参加して情報を収集せよというもの。
つまりは白人の手先になれというものだった。
その後に言い渡されるのもつまらぬ仕事ばかり。
 
そんな折り、ふと目についたKKK地方支部のチラシ。
ロンは白人を装って独断で電話をかけ、「KKKの活動に興味がある」と伝える。
するとそれを信じたKKK支部が有望な新メンバー獲得だと思ったのか、
ロンに会いたいと連絡を寄越す。
 
KKKを叩く絶好のチャンスに、上司たちもロンの潜入捜査を認めるが、
ロン自身がKKKの支部に出向くわけにはいかない。
そこで、ロンの先輩刑事でユダヤ人のフリップがロンのふりをすることに。
 
こうして電話はロン、実際にKKKメンバーと会うのはフリップと役割分担。
無謀とも思える計画が実行に移されるのだが、意外にも上手く潜入捜査は進み……。
 
ロンの代わりに現場へ行くフリップはユダヤ人。
KKKは黒人ばかりかユダヤ人も認めていません。
だからユダヤ人であることがバレてもいけない。
フリップのことをユダヤ人ではと疑うKKKメンバーからパンツ脱がされそうになったりも。
そもそもロンが最初の電話でうっかり本名を名乗っているところからもう可笑しい。
 
フリップ役のアダム・ドライヴァーの顔が私はどうも苦手なのですが、
『パターソン』(2016)と本作の彼は良かった。
フリップと、ヤスペル・ペーコネン演じるもうひとりの先輩刑事フェリックスがごく普通で◯。
新人の黒人刑事を馬鹿にする署員もいるなか、彼らにとっては新人は新人でしかない様子。
上司たちも、世間の黒人に対する偏見に対抗する気はないけれど、
ロンの「やる気」は買って、とりあえずはやりたいようにやらせてくれる。
彼が白人になりすました電話に相手がまんまと騙されるのを
みんなで聞いて笑いをこらえるのが大変というシーンも好きでした。
 
客席からしばしば笑い声が沸き起こるほど面白い作品でしたが、
それと同時にめちゃくちゃ重い。恐ろしい。
観た者が笑っておしまいにはできない力強さがあります。
 
闘いつづける監督、スパイク・リー。

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『天国でまた会おう』

『天国でまた会おう』(原題:Au Revoir La-Haut)
監督:アルベール・デュポンテル
出演:ナウエル・ペレス・ビスカヤール,アルベール・デュポンテル,ロラン・ラフィット,
   ニエル・アレストリュプ,メラニー・ティエリー,エロイーズ・バルステ他
 
『君は月夜に光り輝く』を観に行ったさい、
箕面で飲み友だちの兄さん夫婦とばったり会ったと思ったら、
翌日は梅田で本作を観たさい、飲み友だちの姉さんとばったり。
上映前のトイレの行列に並んでいた姉さんが、
個室から出てきた私を見つけて肩をポンッと。2日続けての偶然にビックリ。
両日共、私はまったく気づいておらず、向こうから見つけてもらいました。
日頃からいかにボーッと歩いているかということですね。(^^;
 
どうしても観たかった作品なのに、前日に西宮での上映が終了、
私の行動範囲内で上映しているのはもうここだけ。
大阪ステーションシティシネマへ最終日に滑り込み。
良い作品でした。もう少し上映を延長してくれてもよさそうなところ。
 
あんなえげつない(好きだったけど)小説を書く人がこんな小説も書くなんて。
 
1918年第一次世界大戦中、休戦目前の西部戦線。
身を潜めてじっとしていればすぐに休戦だというのに、
プラデル中尉から見回りを命じられた兵士。
命令に背くこともできずに従った瞬間、撃たれて死亡する。
 
撃ったのは敵ではなく、プラデル中尉であることに気づいたために、
自分も殺されそうになった兵士アルベールは、
生き埋めになりかけたところを若い兵士エドゥアールに救出される。
ところがその直後に爆撃に遭い、エドゥアールは顔に重傷を負う。
 
休戦を迎えたパリでは、戦没者が称えられ、帰還兵には冷淡。
エドゥアールは退院しても父親や姉が待つ家に戻りたくないと言い張る。
アルベールも勤めていた銀行への復帰は叶わず、恋人も去ってしまう。
そこで、腹を括ったアルベールはエドゥアールの死を偽装。
名前も身分も偽って、ふたりで新しい生活を始める。
 
顔の下半分を失ったエドゥアールは、もともと絵が得意。
慰めになればとアルベールが用意した画材を用い、仮面を作り上げる。
 
穏やかともいえる毎日だが、ふたりの生活は困窮。
そこで、エドゥアールが大がかりな詐欺を思いつき、
大家の娘で孤児だった少女ルイーズの協力を得て実行に移すのだが……。
 
ルメートルがこんな話を?へ~っ!と驚きましたが、
エドゥアールが負った傷のえぐさを想像すると(画面には映りません)納得(笑)。
でもそれ以外は悲しくて、切なくて、あったかい。
仮面やスケッチのおかげでファンタジーのようでもあります。
 
実話が基だといって感動を煽り気味の作品も多いなか、
こんな素敵なフィクションを見せてもらえると嬉しくなる。
しかし、こうして愚かな戦争には終止符が打たれたはずなのに、
この後に第二次世界大戦が起こったという現実がやるせない。
 
本作の鑑賞後、上映前にトイレで会った姉さんと1杯飲みに行きました。
映画の後の1杯、楽しい!

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『君は月夜に光り輝く』

『君は月夜に光り輝く』
監督:月川翔
出演:永野芽郁,北村匠海,甲斐翔真,松本穂香,今田美桜,
   優香,生田智子,長谷川京子,及川光博他
 
ダンナの出張中は終業後に毎日2本映画を観る。
そんなつもりで週間予定を立てていましたが、一度も2本は観られず。
しかし月曜日はイオンシネマが1,100円。
火曜日はTOHOシネマズと109シネマズが1,300円。
水曜日はレディースデーで1,100円になる劇場が多い。
なんらかの割引がある日にまっすぐ家に帰るのはもったいない気がして、
せめて1本は観ようとふらふら劇場へ向かってしまうのでした。
 
この日は109シネマズ箕面へ。
チケットを購入後、風邪薬を買おうとイオンへ行きかけたら、呼ばれたような気が。
空耳かと思いつつも振り返ったら、そこに飲み友だちの兄さんご夫婦が。
ご夫婦で『グリーンブック』を観に来られたそうで、
私はこれを観ると言ったら、「なんでそんなん観るん」。
だって、シネコンでは“PSYCHO-PASS サイコパス”か“ウルトラマン”かこれしか、
もう観るものが残っていないんだもの。
ほならまっすぐ帰ったらええんですよね、私。しかも風邪気味やのに。(^^;
 
……などと思いながらの鑑賞でしたが、
ハードル下がっていたのが良かったのか、そこそこには泣けました。
原作は電撃小説大賞を受賞した佐野徹夜の同名ライトノベル。
 
高校生の岡田卓也(北村匠海)は、同級生の甲斐翔真(香山彰)から色紙を渡される。
卓也はまだ一度も会ったことのない同級生・渡良瀬まみず(永野芽郁)に宛てた、
クラス全員からの寄せ書きらしく、まだ書いていないのは卓也だけ。
最後に書いた者がまみずに届けることになっていると言われる。
 
仕方なく病院を訪れた卓也は、まみずが発光病という不治の病に罹っていることを知る。
奇しくも、卓也の亡くなった姉・鳴子(松本穂香)と交際していた男性と同じ病。
 
余命ゼロだというまみずは意外に明るく、元気に見える。
彼女が大事にしていたスノードームを壊してしまった卓也は、
罪滅ぼしにまみずの言うことを何でも聞くと約束する。
するとまみずは、彼女自身がしたかったのに病気のせいでできなかったことを
自分に代わって卓也に実行してほしいと言い……。
 
でもこれは、ぶっきらぼうだけど彼女の願いをなんとか叶えようとする卓也が良くて、
わりとキュンキュンできました。あくまでも「わりと」。
 
北村匠海はカワイイと思っていましたが、女装は似合わないですね。
メイクも似合いそうだと思いきや、どう見ても男顔でした(笑)。
 
それはやはり若くして病魔に冒された女性が、自分がしたいことをリストアップ。
ひとつずつ実行してゆく話でした。
ただし、既婚で子どももいて、自分が余命わずかであることを打ち明けないままでした。
「死ぬまでにしたいあれこれ」と聞くと、どうしてもこの映画を思い出してしまう。
だから二番煎じどころか五番煎じぐらいの印象は否めません。
でも、実際に余命を宣告されたら、きっと誰でも死ぬまでに本当にしたいことを考える。
何番煎じというよりは、当たり前のことなのかも。
 
大好きだった人を亡くしたら、たとえその人が「幸せになってね」と言ってくれたからって、
なかなか気持ちの整理はつけられそうにありません。

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