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『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』

『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』(原題:The Aeronauts)
監督:トム・ハーパー
出演:フェリシティ・ジョーンズ,エディ・レッドメイン,フィービー・フォックス,ヒメーシュ・パテル,
   レベッカ・フロント,ロバート・グレニスター,ヴァンサン・ペレーズ,アン・リード,トム・コートネイ他
 
イオンシネマ茨木のクーポン券を流してしまうのが惜しくて、
ちょっぴり気になっていた本作を上映終了日に鑑賞。
 
1862年9月5日にロンドンでおこなわれたガス気球飛行を基にした作品ですが、
実際は男性2人が飛んだ話を男女に置き換えています。
作品中、彼女の名前をアメリアとしたのは、
女性として初めて大西洋単独飛行を果たしたアメリア・イアハートを称えてのことでしょうか。
 
気象学者のジェームズ・グレーシャーは、天気を予め知ることこそが人類を救うと信じているが、
彼が真面目に話をすれば、周囲は馬鹿にして笑うだけ。
誰の援助もあてにできず、なんとか自力で空を飛んで天気予報に役立てたい。
 
パイロットのアメリア・レンは、一緒に飛行していた最愛の夫ピエールを空で亡くし、
以降は自分の殻に閉じこもったまま。二度と飛行しないと決めている。
 
そんなアメリアに接触をはかったジェームズは持論を力説し、
アメリアにガス気球の操縦を頼もうとする。
最初は頑なに断っていたアメリアだが、ジェームズの友人ジョン・トリューの話を聞いて心を動かされる。
 
もう一度飛行する決意をしたアメリアは、ジェームズと共にガス気球で大空へ。
飛行の目的は、気象データを集めることと最高高度到達記録を更新すること。
前人未踏の世界へとふたりは旅立つのだが……。
 
実話に基づいたフィクションとして見れば、非常に満足度は高いです。
ただ、実在の人物の片方を作品から排除してしまった点が責められているらしく。
そりゃそうですよね、偉業を成し遂げた人を別人に置き換えてしまったのですから。
 
だから、描かれなかったもうひとり、
ヘンリー・コックスウェルの存在は知ったうえで、フィクションとして観たい。
 
今は飛行機が空を飛び交う時代ですが、160年近く前はこんなだった。
傍観してわいわい言っているだけの人は何もなしえない。
こういう先人がいたからこそ、今の時代がある。
空高く飛ぶ気球に『ディリリとパリの時間旅行』(2018)の美しいシーンを思い出しました。
 
高所恐怖症の人はご覧になれません(笑)。
私は高いところが好きなほうなのに、座席上で足がすくみました。(^^;

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『さよならテレビ』

『さよならテレビ』
監督:土方宏史
 
第七藝術劇場にて4本ハシゴの4本目。
 
東海テレビが2018年に開局60周年記念番組として放送した作品に
新たなシーンを加えて映画版として劇場公開。
東海テレビといえば、2011年に“セシウムさん騒動”を起こしたテレビ局。
プレゼント当選者発表画面に「怪しいお米 セシウムさん」というフリップを出してしまったという、
ローカル局での出来事ながら大問題となり、バッシングに遭いました。
その後、『ヤクザと憲法』(2015)、『人生フルーツ』(2016)などで高い評価を受けています。
 
その東海テレビの今回の取材対象は自社の報道部。
高い視聴率を獲得することを求められて奮闘する社員たちを映し出したドキュメンタリー。
 
期待が高かった分、私は拍子抜け。
 
番組制作の裏側をもっと突っ込んで見せるのかと思っていました。
視聴率を得るために本意ではないことをしているとか、そんなことを。
暴露映画みたいなものを想像しちゃっていたのです。
ま、よく考えたら自社を対象にしてそんな映画はつくれないか。(^^;
 
重きを置いて描かれているのは「社員の扱い」という印象。
キャスターだったり派遣社員だったり。
 
序盤に「カメラが入っている時点でドキュメンタリーではないのではないか」という発言があり、
それはそうかもしれないと思いました。
カメラの前でまったく素の自分が出せているかと聞かれたら、つくっていますよね、やはり。
 
最後まで観たら、結局みんな「演技」していたように思えて、
なんだかおちょくられたような気がしてしまったのは私だけ?
だってあんなレポーター、普通は無しやで。

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『欲望の翼』【デジタルリマスター版】

『欲望の翼』
監督:ウォン・カーウァイ
出演:レスリー・チャン,カリーナ・ラウ,マギー・チャン,
   ジャッキー・チュン,トニー・レオン,アンディ・ラウ他
 
1990年の香港作品。
劇場で観たことはなかったので、このたびデジタルリマスター版が上映されると聞き、
喜び勇んで第七藝術劇場へ。
 
1960年の香港。スーはサッカー競技場の売店に勤める女性。
ある日やってきた男性客ヨディに口説かれる。
名前を聞かれて無視するものの、ヨディはそれから毎日やってきて、
あきらめずにスーを口説きつづける。
次第にヨディに惹かれ、恋人関係になるふたり。
 
スーが結婚する従姉の話を持ち出してヨディの気持ちを確かめようとしたところ、
ヨディは結婚する気持ちなどさらさらないと言う。
傷ついたスーは自分から別れを告げるが、ヨディのことが忘れられない。
 
一方のヨディは、母親が入れあげている若い男に因縁をつけにクラブへ。
そこで知り合ったダンサーのミミとつきあいはじめる。
最初は言い寄られたはずだったのに、いつのまにかミミはヨディにぞっこん。
 
想いを断ち切れずにヨディのもとを訪れたスーは、
すでに新しい恋人がいることに衝撃を受ける。
それでも気づけばヨディの家の前まで来てしまっていることしょっちゅう。
そんなスーを見かけた警邏中の警官タイドは彼女に惹かれ……。
 
ウォン・カーウァイ監督の作品は、一般的な香港映画のイメージと隔たりがあると言われています。
そこが鼻につくと言われ、批判的な見方も多い監督。
 
キャストの顔ぶれは、この当時すでに売れっ子だった面々ですが、
本作への出演で確実に演技の幅が広がったはず。
レスリー・チャンは美しく、アンディ・ラウは格好良く、
マギー・チャンは愛らしく、カリーナ・ラウが溌剌としていて、かつ痛々しい。
最後はトニー・レオンのオマケ付きだし。
 
レスリー・チャン演じるヨディがいつか飛んで行く鳥の話をするとき、
ホテルから飛び降りて命を絶ったレスリーって、飛んで行っただけなのかもと思いました。
 
デジタルリマスター版を公開してくれて感謝。

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『つつんで、ひらいて』

『つつんで、ひらいて』
監督:広瀬奈々子
 
前述の『インディペンデントリビング』を観た後、1階下のシアターセブンへ。
 
是枝裕和監督の秘蔵っ子と言われる広瀬奈々子監督が撮ったドキュメンタリー作品で、
是枝監督もプロデューサーとして名を連ねています。
 
日本を代表する装幀家である菊地信義さんに密着しています。
 
菊地さんは今年77歳。
装幀家として40年、実に1万5千冊以上の本のデザインを手掛けてこられました。
 
装幀家の仕事を全然知らなかったから、最初から最後までびっくり。
こうして紙を選び、印刷に回して製本されるのですね。
定規と鉛筆、色見本片手に試行錯誤する様子と共に、菊地さんの日常も描かれています。
行きつけの喫茶店のコーヒーのおいしそうなこと。
 
裏表紙のバーコードと定価が記される場所は規定されているから変えられない。
それも込みで考えるデザイン。
 
基本的には文庫本しか買わない私ですが、
単行本を手に取って装幀をじっくり眺めてみたくなりました。

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『インディペンデントリビング』

『インディペンデントリビング』
監督:田中悠輝
 
年に数度ある職場の全館停電の日は仕事も休み。
観覧車に乗りたがっていた義両親をエキスポシティへ連れて行き、
水族館とフードコートにも寄って実家へ送り届けた後、
私は映画を観るべく十三の第七藝術劇場へ。
 
観るのに気力と体力が要りそうで迷っていたドキュメンタリー。
上映開始時間に間に合えば観ようと決めていました。間に合った。
 
障害者が自立生活を送れるよう、全国各地に設立されている「自立生活センター」。
障害種別は問わず、日常的に介助を必要とする障害者に総合的なサービスを提供。
自立生活センターは運営委員の過半数と事業実施責任者が障害者であるというのが
面白いというのか凄いとこ。
 
凄いとこと言ってしまう自分にすでに差別意識があることに気づきます。
障害者が運営してやっていけるのか、そんな気持ちがあることに。
 
確かに、障害者の気持ちは障害者でなければわからないでしょう。
同じ立場の人が運営するセンターであればこそできることがいろいろある。
 
本作では大阪の自立生活センターに密着取材。
身体障害者もいれば知的障害者もいる。
でもそこに通う人は皆、自立した生活を送りたいと思っています。
 
多発性硬化症車椅子生活を送る女性が自立生活センターに関わるようになったのは、
「障害を受容するということは、何もかもあきらめる生活を受容することなのか」
という疑問が湧いたからだと話していました。
 
こんなセンターがあることも知らなかったから、
いかに自分が日々に感謝もせずに漫然と生きているのかを思い知らされます。
客は大入りで、関心を持っている人がこれだけいることに嬉しくなりました。
嬉しがっているだけじゃ駄目なんですけどね。

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