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『さよならテレビ』

『さよならテレビ』
監督:土方宏史
 
第七藝術劇場にて4本ハシゴの4本目。
 
東海テレビが2018年に開局60周年記念番組として放送した作品に
新たなシーンを加えて映画版として劇場公開。
東海テレビといえば、2011年に“セシウムさん騒動”を起こしたテレビ局。
プレゼント当選者発表画面に「怪しいお米 セシウムさん」というフリップを出してしまったという、
ローカル局での出来事ながら大問題となり、バッシングに遭いました。
その後、『ヤクザと憲法』(2015)、『人生フルーツ』(2016)などで高い評価を受けています。
 
その東海テレビの今回の取材対象は自社の報道部。
高い視聴率を獲得することを求められて奮闘する社員たちを映し出したドキュメンタリー。
 
期待が高かった分、私は拍子抜け。
 
番組制作の裏側をもっと突っ込んで見せるのかと思っていました。
視聴率を得るために本意ではないことをしているとか、そんなことを。
暴露映画みたいなものを想像しちゃっていたのです。
ま、よく考えたら自社を対象にしてそんな映画はつくれないか。(^^;
 
重きを置いて描かれているのは「社員の扱い」という印象。
キャスターだったり派遣社員だったり。
 
序盤に「カメラが入っている時点でドキュメンタリーではないのではないか」という発言があり、
それはそうかもしれないと思いました。
カメラの前でまったく素の自分が出せているかと聞かれたら、つくっていますよね、やはり。
 
最後まで観たら、結局みんな「演技」していたように思えて、
なんだかおちょくられたような気がしてしまったのは私だけ?
だってあんなレポーター、普通は無しやで。

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『欲望の翼』【デジタルリマスター版】

『欲望の翼』
監督:ウォン・カーウァイ
出演:レスリー・チャン,カリーナ・ラウ,マギー・チャン,
   ジャッキー・チュン,トニー・レオン,アンディ・ラウ他
 
1990年の香港作品。
劇場で観たことはなかったので、このたびデジタルリマスター版が上映されると聞き、
喜び勇んで第七藝術劇場へ。
 
1960年の香港。スーはサッカー競技場の売店に勤める女性。
ある日やってきた男性客ヨディに口説かれる。
名前を聞かれて無視するものの、ヨディはそれから毎日やってきて、
あきらめずにスーを口説きつづける。
次第にヨディに惹かれ、恋人関係になるふたり。
 
スーが結婚する従姉の話を持ち出してヨディの気持ちを確かめようとしたところ、
ヨディは結婚する気持ちなどさらさらないと言う。
傷ついたスーは自分から別れを告げるが、ヨディのことが忘れられない。
 
一方のヨディは、母親が入れあげている若い男に因縁をつけにクラブへ。
そこで知り合ったダンサーのミミとつきあいはじめる。
最初は言い寄られたはずだったのに、いつのまにかミミはヨディにぞっこん。
 
想いを断ち切れずにヨディのもとを訪れたスーは、
すでに新しい恋人がいることに衝撃を受ける。
それでも気づけばヨディの家の前まで来てしまっていることしょっちゅう。
そんなスーを見かけた警邏中の警官タイドは彼女に惹かれ……。
 
ウォン・カーウァイ監督の作品は、一般的な香港映画のイメージと隔たりがあると言われています。
そこが鼻につくと言われ、批判的な見方も多い監督。
 
キャストの顔ぶれは、この当時すでに売れっ子だった面々ですが、
本作への出演で確実に演技の幅が広がったはず。
レスリー・チャンは美しく、アンディ・ラウは格好良く、
マギー・チャンは愛らしく、カリーナ・ラウが溌剌としていて、かつ痛々しい。
最後はトニー・レオンのオマケ付きだし。
 
レスリー・チャン演じるヨディがいつか飛んで行く鳥の話をするとき、
ホテルから飛び降りて命を絶ったレスリーって、飛んで行っただけなのかもと思いました。
 
デジタルリマスター版を公開してくれて感謝。

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『つつんで、ひらいて』

『つつんで、ひらいて』
監督:広瀬奈々子
 
前述の『インディペンデントリビング』を観た後、1階下のシアターセブンへ。
 
是枝裕和監督の秘蔵っ子と言われる広瀬奈々子監督が撮ったドキュメンタリー作品で、
是枝監督もプロデューサーとして名を連ねています。
 
日本を代表する装幀家である菊地信義さんに密着しています。
 
菊地さんは今年77歳。
装幀家として40年、実に1万5千冊以上の本のデザインを手掛けてこられました。
 
装幀家の仕事を全然知らなかったから、最初から最後までびっくり。
こうして紙を選び、印刷に回して製本されるのですね。
定規と鉛筆、色見本片手に試行錯誤する様子と共に、菊地さんの日常も描かれています。
行きつけの喫茶店のコーヒーのおいしそうなこと。
 
裏表紙のバーコードと定価が記される場所は規定されているから変えられない。
それも込みで考えるデザイン。
 
基本的には文庫本しか買わない私ですが、
単行本を手に取って装幀をじっくり眺めてみたくなりました。

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『インディペンデントリビング』

『インディペンデントリビング』
監督:田中悠輝
 
年に数度ある職場の全館停電の日は仕事も休み。
観覧車に乗りたがっていた義両親をエキスポシティへ連れて行き、
水族館とフードコートにも寄って実家へ送り届けた後、
私は映画を観るべく十三の第七藝術劇場へ。
 
観るのに気力と体力が要りそうで迷っていたドキュメンタリー。
上映開始時間に間に合えば観ようと決めていました。間に合った。
 
障害者が自立生活を送れるよう、全国各地に設立されている「自立生活センター」。
障害種別は問わず、日常的に介助を必要とする障害者に総合的なサービスを提供。
自立生活センターは運営委員の過半数と事業実施責任者が障害者であるというのが
面白いというのか凄いとこ。
 
凄いとこと言ってしまう自分にすでに差別意識があることに気づきます。
障害者が運営してやっていけるのか、そんな気持ちがあることに。
 
確かに、障害者の気持ちは障害者でなければわからないでしょう。
同じ立場の人が運営するセンターであればこそできることがいろいろある。
 
本作では大阪の自立生活センターに密着取材。
身体障害者もいれば知的障害者もいる。
でもそこに通う人は皆、自立した生活を送りたいと思っています。
 
多発性硬化症車椅子生活を送る女性が自立生活センターに関わるようになったのは、
「障害を受容するということは、何もかもあきらめる生活を受容することなのか」
という疑問が湧いたからだと話していました。
 
こんなセンターがあることも知らなかったから、
いかに自分が日々に感謝もせずに漫然と生きているのかを思い知らされます。
客は大入りで、関心を持っている人がこれだけいることに嬉しくなりました。
嬉しがっているだけじゃ駄目なんですけどね。

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『サヨナラまでの30分』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の23本目@伊丹)(完)

『サヨナラまでの30分』
監督:萩原健太郎
出演:新田真剣佑,北村匠海,久保田紗友,葉山奨之,
   上杉柊平,清原翔,牧瀬里穂,筒井道隆,松重豊他
 
前述の『シグナル100』でゲンナリしたあと、
フリーパス人生最後の鑑賞となる本作を鑑賞しました。
監督が『東京喰種 トーキョーグール』(2017)の萩原健太郎ということで、
『シグナル100』よりこっちの監督のほうがグロいの好きそうだったけれど、
本作は全然そうじゃなくてよかった。安堵の涙。(T_T)
 
就活中の大学生・窪田颯太(北村匠海)は父親(筒井道隆)と二人暮らし。
人づきあいが大の苦手で、友だちはひとりもいないし、
そうであることをむしろ心地良く思っている。
就活の面接でそんなことを言うものだから、どこにも通らない。
 
ある日、秘密の場所でいつもどおりひとりで過ごしていた颯太は、
カセットテープが入ったソニーのウォークマンを拾う。
再生ボタンを押してみると、見知らぬ若者が目の前に出没。
彼は1年前に亡くなったミュージシャン・宮田アキ(新田真剣佑)で、
テープが再生されている30分だけ、アキが颯太になれるらしい。
アキの姿が見えるのは颯太だけ、
アキに体を乗っ取られている間の颯太のことが見えるのはアキだけ。
 
颯太とちがってアキは社交的でしゃべりも上手。
代わりに臨んだ面接ではこともなげに合格を成し遂げてしまう。
 
アキは颯太の体を借りて、恋人だった女性・村瀬カナ(久保田紗友)や、
彼の死のせいでメジャーデビュー目前に解散したバンド“ECHOLL”のメンバーに会いに行く。
当然のことながら、見た目は颯太のアキの言動は変人扱いされるが、アキは懲りない。
30分経てば颯太に戻ってしまうから、
颯太もカナやバンドメンバーとつきあわざるを得なくなり……。
 
カセットテープというのは私たちの世代の心をくすぐります。
作品中に見えたテープの銘柄は“FUJIFILM AXIA”。懐かしい。
私はTDK派でしたが、そりゃAXIAも使いました。
 
それより本作のウィキペディアのページで、
タイトルの振り仮名が「さよならまでのさんじゅっぷん」になっているのが気になる(笑)。
「さんじっぷん」が正解のはずだけど、今はもう「じゅっぷん」も許容なのかな。
 
同じく気になったといえば、序盤に「LINEのグループに入ってよ」と言われた颯太が、
「大丈夫です」と答えるシーン。
大丈夫ってどっちやねん!?と言いたくなりません?
「結構です」の意味で使われることが多くなった「大丈夫です」。
はっきり「要りません」というよりもやわらかく聞こえるからでしょう。
でもはっきり言ってほしいことも多いねん。
 
ほとんど映画の内容とは関係ないことを書いてしまった。
カセットテープは手のひらで包み込める音楽だというのがいいと思ったけど、
今はiPodだって何だって、手のひらで包み込めますよねぇ。(–;
でもやっぱりいいもんだよ、カセットテープ。懐かしくて、切なくて。

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