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『YESデー ダメって言っちゃダメな日』

『YESデー ダメって言っちゃダメな日』(原題:Yes Day)
監督:ミゲル・アルテタ
出演:ジェニファー・ガーナー,エドガー・ラミレス,ジェナ・オルテガ,ジュリアン・ラーナー,
   エバリー・カルガニーラ,ナット・ファクソン,アルトゥーロ・カストロ他
 
2021年のアメリカ作品で、3カ月ほど前からNetflixで配信中。
 
ミゲル・アルテタ監督はプエルトリコ出身。
知らない監督だと思っていましたが、知ってるやん。
それとこれのこの2本で、もうじゅうぶんこの監督が好き。
 
アリソンはかつては常に前向きで、「Yes!!」が口癖の女性だった。
彼女の辞書に「No!」という言葉はなく、何にでもチャレンジ。
とにかくやってみるおかげで、彼女は「楽しい女性」。
毎日を明るく楽しく暮らしているなかで、
やはり何にでも前向きな楽しい男性カルロスと出会う。
 
ふたりは結婚、3人の子どもを授かる。
年頃の長女ケイティ、化学オタクの長男ナンド、まだ幼い次女リリー。
大切な子どもたちには違いないが、とにかく手がかかる。
いつしかアリソンは「No!!」としか言わない女になっていた。
カルロスは自分が悪者になりたくないせいでひたすら逃げ、
アリソンだけが子どもたちを怒るはめに。
 
親なんてそんなものだと思っていたある日、保護者会で学校へ。
そこでケイティとナンドの担任教師から驚愕の事実を知らされる。
子どもたちは母親のことを独裁者呼ばわりし、
ケイティはアリソンの独裁者ぶりを俳句にして詠み
ナンドはDVDまで制作して面白おかしく訴えていたのだ。
 
気落ちするアリソンとカルロスに声をかけてきたのは、
生活指導を担当するコーチ、ディーコン。
6人の子持ちだというディーコンは、“YESデー”を設けるべきだとアドバイス。
それは、親が子どもの要求すべてに応える日。
 
無理でしょ、そんなのと思ったが、
「ママが“No!!”と言わずにいられるわけがない」と子どもたちから言われ、
ムキになったアリソンは、“YESデー”を設けると決めるのだが……。
 
実際にあるんですかね、YESデーって。
映画の中では「今YESデーの最中なんだよ、この家族」と
周囲の人が触れ回ったりしていましたし、ありそう。
 
親が何でも応えてくれるとはいえ、YESデーの設定には一応ルールがあります。
そもそもいきなり「今日がYESデー!」というわけでもない。
YESデーをそう遠くない、たとえば数週間先に設定し、
その日まで子どもたちは家のことも学校のこともきちんとやる。
家事を手伝い、宿題はもちろんちゃんとして、成績もアップ。
 
それらをクリアしないとYESデーはやってきません。
わがままな子どもの無理難題を一方的に押しつけられるわけじゃないのはイイ。
子どもたちはYESデーに何をしたいかを練り上げるから、
行き当たりばったりで好きなことを言うわけじゃないのもイイ。
 
そして、当日にできることに限るというルールもあります。
当日より後の未来についてのリクエストは駄目だし、
物理的に行くのが遠すぎるような場所へ行きたいというのも駄目。
そうしたルールのもとで子どもたちが決めたあれこれの楽しいこと。
 
ネタバレはしたくないですが、
子どもたちのリクエストのうちひとつだけ言っちゃってもいいですか。
家族5人の乗った車で洗車に行く。
ここまではいいけれど、洗車機に窓全開で突入するのです。
車内も人も泡だらけ。水をかぶってビタビタ。笑った。
 
“No”としか言わない人が“Yes”と言うようになると何が変わるか。
『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)なんて作品もありましたよね。
眉間に皺を寄せて「あかん!」と言い続けるよりも、
ニッコリ笑って「ええで!」という心の余裕があればいいかもしれません。
 
一部、やりすぎのところはありますが(笑)、とても楽しい作品です。
そしてホロリと来る。オススメ。

—–

『アメリカン・マーダー:一家殺害事件の実録』

『アメリカン・マーダー:一家殺害事件の実録』(原題:American Murder: The Family Next Door)
監督:ジェニー・ポップルウェル
 
JCOMでAndroidのタブレットを貰いました。
タダという触れ込みですが、厳密にはタダではない。
4Kチューナーに交換して、追加契約をしなければなりません。
もともとスポーツチャンネルはほぼ観られる契約をしているから、
今さらDAZNを追加契約する必要はなし。追加はNetflix一択です。
 
どうせ観るならNetflixオリジナル作品を。
2020年のアメリカのドキュメンタリーです。
昨年9月に配信がスタートした模様。
 
2018年、アメリカ・コロラド州
ワッツ家は夫クリスと妻シャナン、娘ベラとセレステの4人家族。
シャナンのお腹の中には15週目を迎える赤ちゃんがいました。
 
お似合いの夫婦に愛らしい娘たち。
絵に描いたように幸せな家族のはずが、シャナンと娘たちが失踪。
連絡がつかないことを心配する同僚で親友のニコールが通報。
やがてクリスに殺人の容疑がかかります。
 
当時、全米で話題になった殺人事件らしいです。
シャナンのSNSへの投稿や夫婦間あるいは友人とのLINEのやりとり、警察の記録映像など、
関係者から入手したという映像がそのまま使われていて、
ここまで晒す必要があるのかというほど生々しい。
 
警察による取り調べの様子もそのまんま。
かつては体重が110kgあったというクリスが痩せて筋骨隆々になり、
「男性が筋トレをするのは見せたい相手がいるから」と警官は断言。
浮気なんてしたことがないとクリスは否定しますが、
実際には浮気相手がいて、その浮気相手の映像もバッチリ出ます。
 
私には本作がよくできた作品なのかどうかわかりません。
集めた映像を繋ぎ合わせただけだといえばそうだし、
でもたとえば私が同じ映像でこのような作品を作り上げられるかと聞かれたら
もちろん絶対無理ですし。
ただ、そこには感動のようなものはまったくなく、
プライベートすぎる他人の家の事情に戸惑い、
痴話喧嘩の果てに幼い子どもたちまで殺された痛ましさだけが募ります。
 
字幕が「シャナン」だったり「シャノン」だったりするのは勘弁してほしいなぁ。
ヤジウマ的好奇心を満たすにはじゅうぶんな作品としか言えない。
こういう作品は今後も多く撮られることでしょう。
 
あと、Netflix初体験でめちゃくちゃ腹が立ったことひとつ。
エンドロールに入ると、向こうが勝手に選んだ次の作品の上映が始まります。
そして一旦始まるや、元のエンドロールに戻ることができません。
大きなお世話やっちゅうの。エンドロールを最後まで見せろっ。
これがドラマだったりすると、次のエピソードが勝手に始まるらしく、
わりと最近まではこの設定を変更することができなかったそうです。
今は変更できることを知り、即変更しました。
マーベル・コミックの作品などは最後の最後にオマケがある場合が多いのに。
最後まで観るほうをデフォルトにしてほしい。
でもこっちがデフォルトになっているということは、
エンドロールを最後まで観ない人のほうが多いってことか。

—–

『ファーザー』

『ファーザー』(原題:The Father)
監督:フロリアン・ゼレール
出演:アンソニー・ホプキンス,オリヴィア・コールマン,マーク・ゲイティス,
   ルーファス・シーウェル,イモージェン・プーツ,オリヴィア・ウィリアムズ他
 
京都シネマで4本はしごの4本目、イギリス/フランス作品。
アンソニー・ホプキンスは本作で第93回アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
「感動のヒューマンドラマ」とあるのですが、それはちょっと違いませんか。
戦慄が走るというのか、不安でたまりませんでした。
 
ロンドンで一人暮らしをする老人アンソニー。
心配する娘アンがアンソニーと合いそうな介護ヘルパーを見つけてくるが、
気難しいアンソニーは難癖を付けてはヘルパーを追い出してしまう。
アンソニーには認知症の兆候が現れていて、日に日に悪化。
しかも本人はそんな認識がまったくないから、アンにも辛く当たり……。
 
ストーリーとしてはこれだけのことなんです。でも凄い。
認知症の人が何を思い、何を見て、どう認識しているのかは実際のところはわからない。
どんなに研究しようとも、研究している人は認知症ではないのですから。
 
でも、実際こんな感じなのかもしれないと思わされます。
自分の家にいたはずなのに、どこか様子がちがう。
独身のはずの娘に恋人ができたらしいと思ったら、娘は結婚していると言う。
その娘の夫を名乗る人物が目の前にいて、自分を冷ややかな目で見つめている。
 
もはやどの女性が自分の娘なのかもわからない。
ヘルパーだという若い女は、末の娘にそっくりで、でも末の娘はもうこの世にいない?
 
自分は知的で、何でもひとりでできるはずだったのに。いや、できるのに。
自分を子どものように扱うこの女は誰だ。この男は誰だ。
頭がおかしくなっているのは認めたくない。でも何が起きているのかわからない。
 
その言動を、戸惑いに満ちた心の裡を、こんなにも表現できるものなのですね。
アンソニー・ホプキンスの演技はもちろん素晴らしい。
そしてアン役を演じたオリヴィア・コールマンも素晴らしい。
 
感動的なシーンなんてありません。ただ、つらい。

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『ブルーヘブンを君に』

『ブルーヘブンを君に』
監督:秦建日子
出演:由紀さおり,小林豊,柳ゆり菜,本田剛文,大和田獏,寺脇康文,
   おかやまはじめ,岩橋道子,柊瑠美,鈴木信二,小池里奈,寺泉憲他
 
京都シネマで4本ハシゴの3本目。
 
秦建日子監督は東京都のご出身ですが、
地方創生ムービー、いわゆるご当地ムービーでよく名前をお見かけします。
『クハナ!』(2016)では三重県桑名市、『キスできる餃子』(2018)では栃木県宇都宮市。
そして本作は岐阜県揖斐郡の池田町、揖斐川町、大野町が登場します。
 
主演の由紀さおりのモデルになっているのは、実在のバラ育種家なのだそうです。
 
世界初の青いバラ“ブルーヘブン”を生み出した園芸家・鷺坂冬子(由紀さおり)は、
ステージ4の癌で闘病中だが、家族には癌の再発を内緒にしており、
彼女が余命半年であることを知っているのは主治医・川越恵一(大和田獏)だけ。
川越は化学療法を強く勧めるが、冬子はウンと言わない。
 
やがて冬子は人生でやり残したことについて考え始める。
若かりし頃の初恋。その相手が没頭していたのはハングライダー。
この世を去る前に自分の手で空を飛んでみたいと考える冬子。
 
池田山のハングライダー発進基地を訪れた冬子は、
どうしても自力で飛びたいのだと力説するが、
30kgの装具を着けて離陸時と着陸時に走らなければならないのだから無理。
それでも諦めきれない冬子は、癌のことは伏せたまま、孫・蒼太(小林豊)に相談。
両親の離婚で別れて暮らす蒼太の弟・恩田正樹(本田剛文)も巻き込む。
 
ばあちゃんがなんとか飛べる装置をつくれないものか。
そう考えた蒼太は、正樹の取引先の凄腕女性整備工・鈴木夏芽(柳ゆり菜)に協力を仰ぎ……。
 
余命わずかになってやり残したことをやるという話はありがち。
空を飛んでみるなら『最高の人生の見つけ方』(2019)も最近の作品。
別に珍しくもなくて、またかぁと思いながら鑑賞に臨みました。
 
でも思っていた以上によかった。
由紀さおりの化粧が濃いのが気になるものの(笑)、上品で逞しいばあちゃんを好演。
孫ふたりのやりとりは可笑しく、夏芽のバカ親父役で登場する寺脇康文もよかった。
秦監督自身の原作で、脚本も書いて、メガホンを取る作品はどれも温かい。
 
本人がやりたいということをすればいい。
思ってはいてもなかなかそうはさせられないだろうけれど、
自分の余命がわずかになったら、そうさせてほしいですよね。
 
治らないかもしれないなんて考えるなということかもしれないけれど、
今いちばんしたいこと、してもいいんじゃないですか。

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『ブラックバード 家族が家族であるうちに』

『ブラックバード 家族が家族であるうちに』(原題:Blackbird)
監督:ロジャー・ミッシェル
出演:スーザン・サランドン,ケイト・ウィンスレット,ミア・ワシコウスカ,リンゼイ・ダンカン,
   サム・ニール,レイン・ウィルソン,ベックス・テイラー=クラウス,アンソン・ブーン
 
 
時間の都合で選んだだけで、あらすじも読まずに鑑賞に臨んだら、
しばらくはどういう話なのか見当もつきません。
スーザン・サランドン演じる女性がたぶん病気にかかっていて、
サム・ニール演じる夫と暮らす家に集まってくるのは、たぶん子どもたち。
やがて、安楽死をテーマにした物語なのだとわかります。
 
デンマークの巨匠ビレ・アウグスト監督による『サイレント・ハート』(2014)のリメイクだそうで、
本作のロジャー・ミッシェルは『ノッティングヒルの恋人』(1999)の監督です。
 
不治の病に罹っている高年女性リリー。
医師である夫ポールの見立てでは、あと数カ月で自力呼吸すらできなくなるだろう。
そこでリリーは安楽死することを決断。
最期の時間を過ごすため、彼女は大切な人びとを家に招く。
 
やってきたのはふたりの子どもたちなど全部で6人。
長女ジェニファーとその夫マイケル、その息子ジョナサン。
次女アナとその同性パートナーであるクリス。
そしてリリーの大親友リズ。
 
ジェニファーは母親リリーの意思を尊重しようとするが、
それを受け入れることができないアナは苛立ちを隠せず……。
 
ジェニファー役にケイト・ウィンスレット、マイケル役はレイン・ウィルソン
ジョナサン役はアンソン・ブーン。
アナ役にミア・ワシコウスカ、クリス役にはベックス・テイラー=クラウス。
リズ役にはリンゼイ・ダンカン
登場人物はこれだけ。ロケ地もこの家とその周辺のみだから、なんと安上がり。
でもギャラにはそれなりにお金がかかりそうな名優が多い。
 
安楽死を決意しても、家族や親友と過ごすうちに揺らぎそうなところ、
リリーの気持ちが1ミリたりとも揺らがないのが凄い。
安楽死は違法とされている州で暮らしているから、
家族が安楽死を認めてくれても、家族の手を借りて命を絶てば、家族に迷惑がかかる。
ならば自分の手足が動くうちに自殺して、家族に迷惑がかからないようにしたい。
誰もいないときに自殺したのだという体にして。
 
重い話ですが、芸達者な俳優陣のこと、コミカルな面もあってバランスが良い。
たとえばリリーが若者たちを起こすとき、「私が死ぬ前に起きてきて」と声をかけたり、
男性陣に遺産を分ける条件が「酒と女につぎ込むこと」だったり。
リリー自身が形見をそれぞれに贈るシーンもユーモアたっぷり。
ジョナサンへの贈り物の本の間には高額紙幣が挟み込まれていて、
喜ぶジョナサンは「何に使う?」とリリーから問われ、しっかり「酒と女に」と答えます。
頭の回転が速そうなひと同士の会話というのは楽しいなぁ。
 
もう長くは生きられない、生きても周囲に迷惑をかけるだけ。
それがわかったときには私も安楽死を望むと思います。
その是非は簡単に決められるものではないけれど。

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