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『へんしんっ!』

『へんしんっ!』
監督:石田智哉
 
京都シネマにて、4本ハシゴの2本目。
 
立教大学の映像身体学科の学生だった石田智哉監督が、
“しょうがいと表現活動”をテーマに撮った卒業制作。
それがぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞しました。
 
石田監督は身体に障害を持ち、電動車椅子で生活しています。
障害者による身体表現の可能性を追求した作品。
 
面白いと思ったのは、石田監督と同じ障害を持つ人に限らず、
聴覚障害者視覚障害者などなど、ありとあらゆる障害者に取材し、
一緒に表現活動を試みていること。
聴覚障害を持つ人と視覚障害を持つ人がコミュニケーションを取るって、
非常に難しいことのように思いますが、できるわけで。
 
見えない人が相手だと思うとやたら気を遣って、
「見る」という言葉すら使わないようにする人がいる。
その気遣いは正直に言ってウザいと思うという意見。
彼ら彼女らは目が見えていなくとも観ています。
本作では「障害」をひらいて「しょうがい」という字が使われているのに、
私がこうして障害と書くのもどうなんだと思いながら。
字の使い方ひとつについてもいろいろと考える時間。

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『83歳のやさしいスパイ』

『83歳のやさしいスパイ』(原題:El Agente Topo)
監督:マイテ・アルベルディ
 
学生時代は毎日かよっていたのに、今はちょっと遠く感じる京都。
えいっ!と気合いを入れなきゃなかなか向かえないのですが、
この日は朝から京都シネマに4本予約。行くぞ。
 
ところがオンライン予約後に電車の時間を調べたら、
なぬ!?阪急電車の京都線で人身事故があった模様。
目的地の烏丸まで阪急で行くのは無理っぽくて、
JRと京都市営地下鉄を乗り継ぐなら今すぐ出てもキワキワ。
涙目になりながら慌てて家を出たところ、
宝塚線に乗っている間に京都線復旧。間に合いました♪
 
チリ/アメリカ/ドイツ/オランダ/スペイン作品。
なんとも風変わりで楽しく、心に沁みるドキュメンタリーです。
そうだと知らずに観たら、きっとフィクションだと思うはず。
 
チリにて、ある日の求人広告。募っているのは80歳〜90歳の老人。
こんな年齢層への求人なんて、見たことがない。
応募者との面接段階から撮影されています。
 
仕事を射止めたのは83歳のセルヒオ。
4カ月前に妻に先立たれ、今は独り暮らしをしています。
彼の任務は老人ホームへの潜入捜査。
入居者である母親への虐待を疑う女性から依頼を受けた探偵事務所が、
セルヒオをスパイとして送り込もうというもの。
 
求人の条件には、年齢のほかに「電子機器を扱えること」もありました。
83歳といえどもスマホはちゃんと使えます。
それでも、音声メッセージの送信機能などは使ったことがなく、
まずその操作を覚えるのがなかなか大変。
本件を担当する探偵ロムロがイライラする姿も可笑しい。
毎日の報告は周囲にバレないよう、暗号も駆使せなあかんし(笑)。
 
さてさて、こうして潜入捜査が始まるわけですが、
ホームはほぼ女の園で、入居者は男性数名に対して女性は何十人もいる。
そこにお洒落で知的な紳士セルヒオがやってきたからさぁ大変。
セルヒオはモテモテになっちゃいます。
 
女性にちやほやされて悪い気はしないでしょうが、
セルヒオはちっとも偉そうじゃない。どの入居者にも親切で優しい。
この人、カウンセラーの資質があるんじゃないかと思うほど。
自分の記憶が薄れて行くことに気づいて苦しむ女性とのやりとりなど、
あまりにも温かく切なくて、涙なしでは聴けません。
 
しかしこんなふうに入居者の誰も彼ものことをセルヒオが案ずるから、
肝心の対象女性の捜査は遅々として進まない(笑)。
 
「ターゲットは手厚く介護されている。
僕がこんなことを言う立場にないのはわかっているが、この捜査に意味はあるのか。
虐待を疑っていると言いながら、娘は一度も面会に来ないじゃないか」。
 
ユーモアに満ちていて、かつ介護についても考えさせられる良作でした。
ぜひぜひご覧ください。

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『食の安全を守る人々 未来の子どもたちのために』

『食の安全を守る人々』
監督:原村政樹
 
第七藝術劇場にて、前述の『東京クルド』とハシゴ。
コロナのせいかおかげか、2本の間隔が少し長くて30分ある。
斜向かいのがんこ寿司十三総本店に駆け込み、
にぎり寿司のランチを食べることができました。
お腹も満たされたところで本作を鑑賞。
 
ターゲットになっているのはモンサント社とそれを買収したバイエル社。
ご存じの方はここにあれこれ書くまでもないこと。
ご存じでない方は『モンサントの不自然な食べもの』(2008)をまずはご覧いただきたい。
 
何でも枯らす「画期的」な除草剤“ラウンドアップ”。
それを体内に吸い込めば、子どもは学習障害を起こしたり自閉症になったり。
大人も癌になったりするけれど、それをラウンドアップのせいだとは思わない。
 
健康被害を及ぼすものとして他国では使用が禁止されている添加物も、
日本にはバンバン輸入されている。
アメリカでたくさん作っているから日本はそれを使いなさい。
そう言われてすべて受け入れているなんて、完全なカモですよね。
アメリカのみならず、オーストラリアも自国では使用不可のものを
日本への輸出品には振りかけているらしい。
日本人はそんなことが起きているとは思いもせず疑いもしない。
どれだけお人好しなんだか。
 
モンサント社のラウンドアップで具合が悪くなる人がいたら、バイエル社製の薬がある。
バイエル社がモンサント社を買収した今、自社製品で健康を害するように仕向けて、
自社製品の薬を売りつけるわけですね。そりゃ儲かる。
 
コロナ禍、家呑みする人が増えてレモンがものすごく売れているそうですが、
そのレモン、大丈夫ですか。

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『東京クルド』

『東京クルド』
監督:日向史有
 
第七藝術劇場にて。
十三は駐車場料金が安くてありがたい。日中の最大料金が500円ですもの。
これなら電車で行くより断然安い。
 
お恥ずかしながら、タイトルを見たとき、「クルド」の意味すらわからず。
クルドはクルド人のこと。
トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアにまたがる地域に居住。
本作に登場するのはトルコから来日したクルド人青年ふたり。
トルコで命の危険を感じて日本に逃げてきました。
 
青年たちの名前はオザンとラマザン。
ふたりとも家族と共に日本に来て長い年月が経ちますが、
難民申請を受け入れられず、過酷な状況に置かれています。
日本語堪能、漢字の読み書きもできる。
でもビザがないから仕事することは許されません。
 
ラマザンは通訳になることを目指し、英語も勉強中。
しかし難民申請中の彼は専門学校に入学しようと問い合わせても断られます。
オザンは容姿を生かして芸能プロダクションに登録しようとしても、
やはり難民申請中の身では駄目だと断られる。
 
難民だとは認められるまではビザは下りない。
それまで仕事するのは禁止。ならばどうやって毎日食べていけばいいのか。
 
入国管理局の職員は、「それはそっちで考えることでしょ。
他の国へ行ってよ」と平然と言い放ちます。
彼らの仕事は難民認定せずに皆を生まれた国へ送り返すこと。
戻れば殺されるかもしれないのに。
 
ラマザンは心が折れそうになりながらも言います。
「勉強するのは無駄かもしれない。でももしこの先ビザが下りたとき、
あのとき勉強しておけばよかったとは思いたくない」。
やらなかった後悔よりもやった後悔を選んでいます。
 
確かに、日本に来たいという難民をすべて受け入れていたらキリがないのかもしれません。
でも、こんなにも切実な状況にある若者たちをなんとかできないものなのか。

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『ファイナル・プラン』

『ファイナル・プラン』(原題:Honest Thief)
監督:マーク・ウィリアムズ
出演:リーアム・ニーソン,ケイト・ウォルシュ,ロバート・パトリック,
   アンソニー・ラモス,ジェフリー・ドノヴァン,ジェイ・コートニー他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
鑑賞後すぐに邦題を忘れました。
えっと、何やったっけ、『ファースト・プラン』やったっけ、逆か(笑)。
原題は“Honest Thief”。そうなんです、彼は「正直な泥棒」。
 
8年前から全米各地の銀行で起きている金庫破り
その手口はわずかな時間で金庫を爆破、
証拠はいっさい残さず、死傷者も出したことがない。
あまりの華麗さに人々が尊敬の念を抱くほど。
 
犯人のトムはある日、貸し倉庫店の受付係のアニーと出会う。
彼女は心理学を学ぶ大学院生で、瞬く間にトムと恋に落ちる。
銀行強盗からは足を洗ってアニーと共に生きたい。
そう考えたトムはFBIに連絡し、盗んだ金900万ドル全額を返金する代わりに、
罪の軽減と面会の自由を取り付けようとする。
 
ところが電話に応対した捜査官ベイカーと居合わせた捜査官マイヤーズは、
同様の「自首したい奴」が15人もいる、おまえもどうせ偽者だろうと取り合わない。
証拠を見せるからというトムにいずれ会いに行くと言って待たせ続ける。
 
業を煮やしたトムが再びFBIに連絡したところ、
ようやくベイカーの部下ホールとニーベンスが会いに来るが、
トムが本物の犯人で900万ドルを所持しているとわかると、
ニーベンスとホールがその金を横領しようとして……。
 
もちろんトム役がリーアム・ニーソン
なんというのか、アクション映画には違いないのですが、とっても省エネ。
あまり派手な殴り合いはなくて、ほとんど車頼り。
そりゃまぁ、来年には古稀を迎える人ですからねぇ。
 
そんなリーアムが若い女性と恋愛って、クリント・イーストウッドかよっと思いましたが、
大学院生といってもキャピキャピではないし許そうかと(笑)。
そしてアニー役のケイト・ウォルシュの年齢を知って驚いた。
アラフォーぐらいかなと思ったら、今年54歳なんですと。
69歳のリーアムの相手役としては余裕で許容範囲だわ。
 
ベイカー役をロバート・パトリックが演じていますが、速攻で殺されます。
『ターミネーター2』(1991)の殺人マシーン役だった俳優なのに。
その犯人としてトムは濡れ衣を着せられるのですけれども。
ベイカーの良き友人でもあったマイヤーズを演じるのがジェフリー・ドノヴァン
いいところは彼が持って行きます。
 
穴がありすぎて、トムは自ら罠にはまりに行っていると思えるほど。
でも、最後は絶対トムというのかリーアムが勝つとわかっているし、
退屈せずに安心して観られます。
映画評論家と私たち素人の評価が分かれる典型的作品。
評論家にとっては駄作以外の何物でもないでしょうね(笑)。
 
どうしていいのかわからずに苦悶しているとき、
良心に従えば、自ずと進むべき道はわかる。

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