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『レミニセンス』

『レミニセンス』(原題:Reminiscence)
監督:リサ・ジョイ
出演:ヒュー・ジャックマン,レベッカ・ファーガソン,タンディ・ニュートン,
   クリフ・カーティス,ブレット・カレン,アンジェラ・サラフィアン他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
原題も邦題も“Reminiscence”。こんな単語、知らんっちゅうの。
「記憶潜入」という意味なのかと思っていたら、「回想」なのですね。
 
監督のリサ・ジョイは、人気TVドラマ“バーン・ノーティス 元スパイの逆襲”シリーズの脚本家。
また“ウエストワールド”シリーズでは企画と製作総指揮を務めています。
映画を撮るのはどうやらこれが初めてのよう。
なんと言っても気になるのは、本作の製作者にジョナサン・ノーランの名前があること。
『ダークナイト』(2008)や『インターステラー』(2014)の脚本家でもあります。
こういう兄弟の会話って、どんなふうなんでしょうね。
 
さて、そんな弟プロデュースの本作は、兄監督の作品よりもわかりやすい。
SFを理解するアタマのない凡人にもわかりやすいように作ってくれてありがたい。
ま、難しいSFでも、鑑賞時は理解できた気がしているんですけどね。
 
舞台は近未来。海面上昇が進んで、各地の都市は水に覆われています。
主人公のニックが暮らすマイアミもそうで、人々は暑さを逃れ、
自然と夜型の生活を送るようになっています。
 
ニックの仕事は、顧客が見たいと望む記憶を呼び起こして追体験させること。
顧客の誰しもが幸せな記憶に浸る時間のために金を払う。
 
ある日、自室の鍵をどこに置き忘れたか記憶を辿りたいという女性メイが現れる。
その美しさに一目惚れしたニックは、後日彼女が歌う店を訪れ、交際を開始。
深く愛し合っていたはずなのに、突然ニックの前から姿を消すメイ。
 
どうしても彼女のことが忘れられず、ニックは来る日も来る日も自分の記憶を辿り、
メイの行き先についてヒントが隠されていないかを調べる。
やがて、ギャング組織の犯罪に彼女が巻き込まれていると知り……。
 
驚いたのは、ギャング組織のボス役がダニエル・ウーだったこと。
なんだかもうすっかりたるんだオッサンになってしまって、
『美少年の恋』(1998)の頃の彼はいったい何処へと思うけど、
こうして元気で活躍しているのは嬉しい。
 
序盤のニックとメイのやりとりには結構イライラ。
ニックはメイにぞっこんで、彼女が姿を消したときも騙されていたなんて微塵も思わない。
みんなが彼女のことを悪く言うけれど、本当の彼女を知っているのは俺だけ、なんて、
男性にありがちじゃないですか(笑)。
本当の彼女はそんなじゃないし、もしそうだとしても立ち直らせることができるのは自分だけだなんて、
思い込みも甚だしいぜ。傲慢だよ。そう思いませんか。
タンディ・ニュートン演じるアシスタント女性のほうがよっぽどええのに、
もう、美人に弱いんだからっ!などと若干憤ったりもする私(笑)。
 
でね、傲慢だなんて方向には話は進みません。
やっぱり彼女のことをわかっているのは彼だけだったのだから、
男性の夢を叶えていますよねぇ。
 
と、一見文句に聞こえるかもしれませんが、わかりやすくて面白かったです。
観る人に夢は与えなきゃいけないし、映画の中だけでも夢は叶えてほしいもの。
 
『グレイテスト・ショーマン』(2017)でもイチャイチャしていました。
このような共演が多いと、ほんとにデキちゃうのではと思ったり。
レベッカの歌はどの作品のときも素晴らしいです。聴き惚れた。
 
やっぱり自分が愛した相手は善人だった。ちょっぴり切ないです。

—–

『岬のマヨイガ』

『岬のマヨイガ』
監督:川面真也
声の出演:芦田愛菜,粟野咲莉,大竹しのぶ,伊達みきお,富澤たけし,宇野祥平,
     達増拓也,天城サリー,江原正士,桑島法子,佐藤拓也,広瀬裕也他
 
歌うようになってからの大竹しのぶがなぜか苦手なんです。
おかげで映画までなんとなく避けてしまい、
原作が大好きな『漁港の肉子ちゃん』も観ないまま終映してしまいました。
 
本作も芦田愛菜は気になるものの、積極的に観に行く気分にはなれず。
イオンシネマ茨木で早い時間帯の上映のみになっていましたが、
ある日ふとスケジュールを覗いたら、晩1回の上映になっている。
ちょうどほかに観るものもなくなりかけていたので、思いきって鑑賞。
 
やっぱり観なきゃわからんもんです(笑)。
私は『竜とそばかすの姫』より好きでした。
 
東日本大震災に見舞われてからしばらく経った岩手県のある町。
避難所を訪れた訳ありの17歳のユイは、8歳のヒヨリと出会う。
ヒヨリは両親を交通事故で亡くした後、親戚に引き取られてこの町に来たが、
震災でみんな亡くなり、たったひとり生き残ったらしい。
 
行き場を失ったふたりのことを自分の孫たちだと市役所の職員に偽り、
一緒に暮らそうと言ってくれたのは、キワという不思議なおばあさん。
キワに連れられて向かった岬に建つ古民家は「生きていた」。
 
驚くふたりにキワは言う。
心配しなくていい、この家はふたりのことを決して傷つけない。
温かくもてなしてくれるマヨイガだよ。
最初は訝っていたユイだが、マヨイガでの生活に少しずつ心が解きほぐされてゆく。
 
やがてキワはマヨイガに客を呼ぶ。その客とはなんと河童たち。
人々の悲しみを食べて巨大化していくアガメという魔物が
どうやらこの町を乗っ取ろうとしていることに気づいたキワが、
河童をはじめとする“ふしぎっと”と呼ばれる善き妖怪たちに相談したのだが……。
 
まずマヨイガの建つ岬の風景が素敵です。
そして、家も人と同じできちんと育つのだという考え方。
実際に家が動いたりしたらポルターガイストを疑いますが、
こんなふうに家が笑えば怖くない(笑)。
 
震災や虐待で心身共に傷つけられた子どもたちが、
優しく不思議なおばあちゃんによってたくましく育ってゆく姿が良い。
ユイはいったいどこから逃げ出してきたのか、
学校はどうなっているんだという疑問が最初こそ湧きますが、
キワおばあちゃんならそんなことを片付けるのはお茶の子さいさい。
魔法使いではないようだけど、こんなふうに生きていれば、
人間じゃないものとも心を通わすことができるのかもしれません。
 
今、自分にできることをする。
良いアニメでした。

—–

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』

『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(原題:Sound of Metal)
監督:ダリウス・マーダー
出演:リズ・アーメッド,オリヴィア・クック,ポール・レイシー,ローレン・リドロフ,
   マチュー・アマルリック,マイケル・トウ,チェルシー・リー,ビル・ソープ他
 
これも前述の『The Guilty/ギルティ』と同じくシネ・リーブル梅田で公開中。
しかしAmazonプライムビデオで配信中なのですよね。
タダで観賞できるとなれば、ついついそっちを選んでしまう。
 
第93回アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネートされ、編集賞と音響賞を受賞しました。
受賞は逃しましたが、リズ・アーメッドが主演男優賞、ポール・レイシーが助演男優賞にノミネート。
また、主人公の恋人役でオリヴィア・クック、その父親役をマチュー・アマルリックが演じています。
 
ドラマーのルーベンは、恋人のルーとバンドを組んで活動中だったが、
ある日、自分の耳が聞こえにくくなっていることに気づく。
病院で診察を受けたところ、ルーベンの耳は数割程度しか聞こえていないらしく、
手術するしか聴力を取り戻す方法はないという。
しかし手術には多額(日本円にして何百万円)もの費用が必要で、とてもそんな金は工面できない。
 
ボーカルのルーが合図さえくれれば演奏は続けられるはず。
そう訴えて、だましだまし続けようとするルーベン。
それは無理だと考えたルーは、聴覚障害者の自助グループにルーベンを連れて行く。
 
グループをまとめているのは初老の男性ジョー。
彼によれば、ルーは一緒に入所することはできず、電話等で連絡を取るのも禁止。
ルーベンと同じ聴覚障害者だけで共同生活を送るのだ。
そんな生活は受容できそうにもなく、頑なに拒もうとするルーベンに、
ルーは応援していると言って立ち去ってしまうのだが……。
 
批評家に絶賛されているとのことだったせいか、期待が大きすぎました。
あるいは、なぜか序盤、日本語字幕が声と大いにずれていたせいで集中できなかったのかも。
あまりにずれるので、吹替版に切り替えたのですが、やっぱり嫌。
字幕版に戻して再生し直したら、ずれなくなりました。これってよくあること?
 
期待ほどではなかったけれど、良作だったことは確かです。
昨日まで何の問題もなく聞こえていたのに、ある朝突然聞こえなくなる。
シャワーの水の音、不味すぎるスムージーを作るときのジューサーの音、
何もかも聞こえなくなったときの衝撃。
 
「難聴はハンデではないし、治療すべきものでもない」。
ジョーからそう言われてもハンデとしか捉えられないルーベンは、金を作って手術をする。
この手術で驚いたのは、聴力を復活させるものではないのですね。
聞こえているように脳に錯覚を起こさせているだけで、聞く機能は失ったまま。
手術後は聞こえるようになったとはいえ、雑音が入り乱れる。
その状態に慣れるしかないなんて。
 
聞こえないことを不幸にしか感じられなかったルーベン。
静寂こそが幸せなのかもしれないと思い始めるラストが秀逸です。
 
これもやっぱり劇場で観るべき1本だろうなぁ。

—–

『THE GUILTY/ギルティ』

『THE GUILTY/ギルティ』 (原題:The Guilty)
監督:アントワーン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール,クリスティナ・ヴィダル,イーライ・ゴリー他         
声の出演:イーサン・ホーク,ライリー・キーオ,ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ,
     デヴィッド・カスタニェーダ,ポール・ダノ,ピーター・サースガード他
 
オリジナルはデンマークの『THE GUILTY/ギルティ』(2018)。
めちゃめちゃ面白くて衝撃を受けたのを覚えています。
それがハリウッドリメイクされているというではないですか。
シネ・リーブル梅田で期間限定で上映されていますが、
契約したのになかなか観る時間をつくれないNetflix、今こそ出番。
 
それを聞いただけで期待大。
 
ダイヤルナンバー911、緊急通報センターにオペレーターとして勤務するジョー。
ロサンゼルスで発生した山火事のためにあちこちてんやわんや。
訳あって明日は自らが法廷に立たねばならないジョーは、
勤務中もそのことで頭がいっぱいになり、落ち着かない。
 
あと15分もすればその日の勤務が終了するというときに鳴った電話。
ジョーが取ると、ただならぬ状況にありそうな女性の声が聞こえる。
 
エミリーと名乗るその女性の話を繋ぎ合わせると、彼女は車の中にいて、
運転者である夫ヘンリーに拉致されているらしい。
現在車は高速道路を走行中、夫婦の子どもたちは家に置き去りにされている様子。
ナイフを携えるヘンリーにエミリーは怯えているのか、「監禁は嫌だ」と呟く。
 
一大事だと考えたジョーは、すぐに交通警察に電話。
該当する車を見つけて止めるように依頼する。
一方で、子どもたちの身にも危険を感じ、警官に見に行くように頼むのだが……。
 
じゅうぶんに面白かったですが、オリジナルのほうがよりインパクトがありました。
オリジナルでは主人公が法廷に立つ理由や家庭の事情がより丁寧だった気が。
まぁ、詳しく描けばいいというものでもないと思うので、
サスペンスとしての見せ場は損なわれていませんし、じゅうぶん驚く。
 
しかしオリジナルを観ているとオチがわかっているから、素直にハラハラはできません(笑)。
おいっ、だからさぁ、などと初見とは違う感覚でイライラできて面白い。
 
声の出演者も実は豪華なんです。
ジョーと旧知の警察官にはイーサン・ホーク。声だけの出演は珍しいでしょ。
ヘンリーの声を担当するのはピーター・サースガード
交通警察の一員をポール・ダノが担当していたりします。
 
オリジナルもこのリメイクも、電話の声だけ登場の女の子、凄い役者です。
リメイクの女の子アビーの声はクリスティアナ・モントーヤ。
いつか声だけでない彼女の演技も見ることができますように。
 
ラストシーンはどうかなぁ、これもオリジナルのほうが好きですが、
とにかく面白い作品なので、各国でリメイクしてもよさそう。
まったく、人間の思い込みとは恐ろしい。観て。

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『ミッドナイト・トラベラー』

『ミッドナイト・トラベラー』(原題:Midnight Traveler)
監督:ハッサン・ファジリ
 
第七藝術劇場にて、ドキュメンタリー3本ハシゴの〆。
 
アメリカ/カタール/カナダ/イギリス作品です。
 
アフガニスタンの映画監督ハッサン・ファジリは、タリバンから死刑を宣告されます。
彼が撮ったドキュメンタリー作品がタリバンの不興を買ったから。
親しかった友人は政府への不満からタリバンに入れ込み、
しかしハッサンの身が危険だということを知らせてきてくれました。
その友人が殺害されたことを知り、ハッサンは家族4人で出国することを決意します。
 
まず向かったのはタジキスタン。
そこで庇護申請の書類を提出しますが、却下されてしまう。
一旦アフガニスタンに戻ることを余儀なくされ、
その後、安全な場所を求めて一家の過酷な旅が始まります。
本作はその5,600キロに渡る旅を3台のスマホで撮影したもの。
 
食べるものがなくて果実を盗もうとしたら追いかけられたなんてのは笑えます。
でも、ぼったくりの密航業者に娘の誘拐を示唆されるのはもちろん笑えない。
難民キャンプに収容され、買い物に出かけたら、「移民は出て行け」と石をぶつけられる。
収容施設もさまざまで、不衛生なところも多い。
なんだかわからない虫に刺されて、娘の顔も体もぼこぼこになったり。
マイケル・ジャクソンの曲で楽しげに踊る娘の顔をずっと見ていられたらいいのに。
 
金を払えば密入国という手段もある。
けれど、不法に入国すれば、いつまでも追い出される心配がつきまとう。
時間がかかってもいいから合法的に入国したいという妻。
 
夫妻ともに映像に関わる仕事をしているからなのか、
悲惨な中にあっても景色も表情も豊かでとても美しい。
それだけに、彼らが安心して暮らせる日が来てほしい。
いまだに安住の地が見つからないまま。
コロナでより過酷な日々になっているかもしれません。

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