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『長崎の郵便配達』

『長崎の郵便配達』
監督:川瀬美香
 
郵便配達員のフィクションだと思い込んでイオンシネマ茨木へ。
「郵便配達員だった男性」が主人公とは言えないうえに、フィクションでもなかった。
嗚呼、勘違い。でもこんな人がいたと知ることができました。
 
フランス在住のイギリス人女優イザベル・タウンゼンド。
彼女は川瀬美香監督と出会い、長崎へやってきます。
 
イザベルの父親は第二次世界大戦の英雄ピーター・タウンゼンド。
戦後、マーガレット王女と巡り逢い、悲恋に終わった人。
『ローマの休日』(1953)はその恋をモチーフにしたと言われていますが、
ピーターとマーガレット王女の恋が公になったのは映画の公開年で、
映画はそれよりも前に完成していたわけだからガセネタらしい。
ま、おかげで映画はより評判になったようです。良い宣伝になってくれたもの。
 
この恋の後、ピーターはジャーナリストとして世界中を飛び回ります。
その途中、日本を訪れた折に、長崎で谷口稜曄(すみてる)氏に取材する。
谷口さんは14歳で郵便配達員になり、16歳のとき、配達の途中で被爆
生死の境を行きつ戻りつしながら生き延びました。
彼を主人公にしたノンフィクション“THE POSTMAN OF NAGASAKI”をピーターは発表。
 
ピーターは1995年に他界。
娘のイザベルが父親の著書を頼りにその足跡を巡る様子を収めた作品です。
 
核廃絶を訴えつづけた谷口さんがサーロー節子さんと共に招かれた席でスピーチするさい、
自身の被爆した身体の治療を長期にわたって受ける様子の写真も見せられます。
背中全面がただれているから、うつ伏せの姿勢しか取れない。
1年以上その格好のままだったせいで、お腹側に床ずれを起こし、皮膚がくずれたそうです。
 
被爆のせいで結婚をあきらめていた谷口さんにお相手が現れ、
娘と息子も授かって、家族で海に行ったときの話は胸を打つ。
上半身裸になって海に入ろうとした谷口さんを見て、娘と息子は怯えて泣いたのだとか。
そんな子どもたちに向かって谷口さんは、自分の体の疵が恥ずべきものではないこと、
この疵を見て、核の恐ろしさを皆が理解してくれるとよいと思っていることなどを説きます。
 
先日の選挙の結果を見て、憲法9条改正に賛成している人がこんなにも多いのだと愕然としました。
NO MORE NAGASAKI. NO MORE HIROSHIMA. NO MORE WAR.
戦争しないで。核兵器の使用も所有も認めないで。
それが私たちの誇りだったはずなのに。

—–

『ハーティー 森の神』

『ハーティー 森の神』(原題:Haathi Mere Saathi)
監督:プラブ・ソロモン
出演:ラーナー・ダッグバーティ,シュリヤー・ピルガオーンカル,ゾーヤ・フセイン,プルキット・サムラート,
   ラヴィ・カーレイ,アナント・マハデヴァン,アンキット・サーガル,ヴィシュワジート・プラダン他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『アフター・エブリシング』とハシゴ。
 
原題の“Haathi Mere Saathi”はヒンディー語で「象は私の友だち」の意。
タミル語とテルグ語ではそれぞれ“Kaadan”と“Aranya”というタイトルが付いていて、
どちらも英訳すると“Forester”、「森の住人」を意味するのだそうです。
 
が暮らす広大な美しい森で神様と崇められる男スミトラナンダン。
祖父の代からこの森を守り続ける彼は、たったひとりで10万本の木を植えた。
その偉業を大統領からも褒め称えられ、民の敬意を集めている。
 
環境を守ることを条件に政府から森を託されたのに、
ある日、森のリゾート開発の話が持ち上がり、いつのまにか工事が始まる。
役人と巨大企業が結託して偽の契約書をでっち上げたのだ。
 
このままでは象やほかの動物たちが森に住めなくなってしまう。
開発を阻止するために立ち上がったスミトラナンダンだったが……。
 
主演は“バーフバリ”で暴君バラーラデーヴァ役を演じたラーナー・ダッグバーティ
仙人みたいな役だからこの風貌は致し方ないけれど、やっぱり見るなら若いイケメンのほうがいいなぁ(笑)。
 
若いイケメンも出てはいます。
巨大企業に雇われる象使いシャンカル役のプルキット・サムラート。
最初は彼がウザイったらありゃしない奴なのですが、
自分の可愛がっていた子象が現場で事故に遭って死亡してから態度を変えます。
 
怒り狂うスミトラナンダンが結構残虐で、警官を串刺しにするシーンは笑った。
木の枝を渡り歩いて殺し合うアクションって、初めて観たように思います。
動物愛護団体から間違いなく訴えられそうなシーンもあり、すげぇなインドと思ったりも。
 
161分の長尺で、そんなに笑えるシーンも泣けるシーンもないけれど、
知らぬ間に時間が経っていました。退屈はしません。
 
お役人たちのなんと憎たらしいことよ。
ネタバレですけど、そんなに観に行く人もいないと思うので書いちゃいます。
いちばん笑ったのはエンドロールが始まってから。
大臣の家に次々と石が投げ込まれ、孫娘が問う、「おじいちゃん、どうして石を投げられるの?」。
「公職にはよくあることだよ」「公職ってなぁに?」「人々のために尽くす仕事さ」。
「人々のために尽くしているのに石を投げられるの? 何か悪いことしたの?」。その通りです(笑)。
 
タミル語とテルグ語とヒンディー語では演じる俳優が異なることを知る。
映画でダブルキャストっていうのもさすがインド?

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『アフター・エブリシング』

『アフター・エブリシング』(原題:After Everything)
監督:ハンナ・マークス,ジョーイ・パワー
出演:ジェレミー・アレン・ホワイト,マイカ・モンロー,デロン・ホートン,ジーナ・ガーション,
   ビル・セイジ,リア・キルステッド,マリサ・トメイ,センディル・ラママーシー他
 
2018年のアメリカ作品なのですが、サービスデーでも割引なし、1,900円の均一料金。
映画などのレビューサイト運営会社Filmarksが初めて提供する洋画という触れ込み。
それが割引のない理由なのかしらん。
上映期間はまずは1週間限定、SNSや口コミで評判を得て徐々に広げて行く所存らしい。
 
終業後になんばまで車を走らせ、なんばパークスシネマにて鑑賞しました。
平日のなんばパークスは最大料金1,000円なのがとても嬉しい。
 
サンドイッチショップで働くエリオットは、女と見れば声をかけるプレイボーイ
ある日、地下鉄構内で毎回ハム&チーズを頼む常連客ミアを見かけてナンパする。
 
最初はエリオットのことを相手にしなかったミアだが、
なんとなく気になって後日サンドイッチショップに立ち寄るとエリオットは不在。
彼の同僚ニコに尋ねると、エリオットは病気で休んでいると言う。
ニコに電話番号を託して退店するミア。
 
さっそくミアに連絡したエリオットはデートの約束を取りつける。
しかし初めてのデートで自分はユーイング肉腫(骨に発生する悪性腫瘍)だとエリオットは告白。
動揺しながらもミアはエリオットに献身的に尽くし……。
 
ミア役にマイカ・モンロー、エリオット役にジェレミー・アレン・ホワイト。
久しぶりすぎてビビったのは、ミアの母親役のジーナ・ガーション
懐かしくないですか、『バウンド』(1996)。
今も変わらぬあの口角の上がり方整形以外の何物でもない(笑)。
 
そしてそして、エリオットの主治医を演じるのはマリサ・トメイ
“スパイダーマン”シリーズのメイおばさん。
『いとこのビニー』(1992)で大注目された後はなかなか大変でしたが、いまは見事に返り咲き。
彼女の活躍は、私の中ではジェニファー・コネリーのそれとかぶります。
 
なんでまた癌の話なんだろうと思う。
化学療法を受けるエリオットの姿に弟を思い出すし、
残念ながら効いていないと言われたときの彼の表情にも弟を思い出す。
 
でも弟はエリオットのように誰かに八つ当たりしたり投げやりになったりしなかった。
それなのに、エリオットは癌が完治して弟は逝ってしまった。
 
などということも考えたりはしますが、相対的には良い作品でした。
ふたりとも23歳の設定なのがちょっと。
どう見ても実年齢はアラサーでしょと思ったらやっぱりそうでした。無理がある。(^^;
 
結局別れてしまうところも含めて『私は最悪。』と似たテイスト。
ミアがいい子すぎるから、主人公のひねくれ具合などを考えて『私は最悪。』のほうが好き。
でも、“After Everything”というタイトルは秀逸だと思います。

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『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』

『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』(原題:Un Triomphe)
監督:エマニュエル・クールコル
出演:カド・メラッド,ダヴィド・アヤラ,ラミネ・シソコ,ソフィアン・カメス,
   ピエール・ロタン,ワビレ・ナビエ,アレクサンドル・メドヴェージェフ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『海上48hours 悪夢のバカンス』の次に。
 
実話に基づくフランス作品。
監督のエマニュエル・クールコルは、『君を想って海をゆく』(2009)の脚本家。
クルド難民の少年がドーバー海峡を泳いで渡ろうとする話で、心に残っています。
監督としてはこれがまだ2作目だそうで。
 
輝かしい時代もあったものの、今は無職の舞台俳優エチエンヌ。
このたび彼が引き受けた仕事は、刑務所囚人相手に演技指導をすること。
さして演劇に興味があるとは思えない囚人たち相手にエチエンヌは奮闘し、
とりあえず刑務所内でおこなわれる発表会で芝居を披露する。
 
それが好評だったことから、エチエンヌは彼らに今後も演劇を続けさせたいと考える。
かつての盟友で、今は劇場経営者に徹する儲け第一のステファンに、
一日だけ劇場を貸してほしい、この舞台で囚人たちに上演させてほしいと懇願する。
たった一日の舞台にエチエンヌが選んだ演目はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』。
それも成功して、あちこちから出演オファーが舞い込むようになり……。
 
エチエンヌのクラスを選択した囚人は6名。意味のわからない不条理劇に彼らは困惑しきり。
なかでも文盲のジョルダンは、字も読めないのに難解な台詞を覚えねばならず、時折パンク。
対照的にとても知的でベケットを知っていた囚人パトリックもいる。
彼なんぞはもともとはクラスにいなかったのに、どんな下心があるのか、
どうしても演じたいと言って、元いた囚人を追い出してまで参加します。
 
エチエンヌ自身も、下心とは言えないまでも、誰のためなのか途中からわからなくなってくる。
囚人たちのためと思いきや、長く無職の自分がこれで認められるわけですから、
そりゃ知らず知らずのうちに熱が入りますよねぇ。そこを一人娘に指摘される。
 
刑務所長も大変です。
いくら本物の劇場を借りることができたところで、判事の許可を取らねばならない。
凶悪な強盗を犯した罪で服役している囚人を外に出してもいいものか。
 
「予想外のラストが、あなたを待っている」とあります。確かに予想外。
感動的なラストかどうかを聞かれたら、ちょっと厳しい。
少なくとも映画をあまり観ない人は、憮然とするのではないでしょうか。
 
ネタバレですが、信じていたのに裏切られちゃうのですからね。
あれでやっぱり彼らが戻ってきたというオチであれば感動しますけど。
もしも感動を求めて観に行くなら「なんか違う」ということになりそうです。

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『海上48hours 悪夢のバカンス』

『海上48hours  悪夢のバカンス』(原題:Shark Bait)
監督:ジェームズ・ナン
出演:ホリー・アール,ジャック・トゥルーマン,キャサリン・ハネイ,
   マラカイ・プラー=ラッチマン,トーマス・フリン,マニュエル・カウキ他
 
原題はわかりやすく“Shark Bait”、邦題も超B級の『海上48hours』。
“海底47m”シリーズのバッタもんみたいな邦題で、
はたして本作が本当に48時間だったかどうかも定かではありません。
だけど乗せられていそいそと観に行く私。なんばパークスシネマにて。
 
最後の春休みを楽しもうとメキシコを訪れた大学生5人。
そのうちのナットとトムは結婚も考えているカップル。
ナットの親友ミリー、あとは♂のタイラーとグレッグ。
 
夕方にはここを出発してアメリカに帰るという日の早朝、
まだ酒も抜けていない彼らは盗んだ水上バイク2台に分乗して沖合いへ。
悪乗りしすぎて2台が衝突、片方の操縦席にいたグレッグが大怪我をする。
 
膝から突き出した骨を見て泣き叫ぶグレッグをなだめ、
ただちに浜辺に戻ろうするが、水上バイクは故障して動かない。
日が暮れる前に助けを呼びに行かなければと、
意を決したタイラーが泳ぎはじめるのだが……。
 
原題のとおり、サメが出没します。ホホジロザメらしい。
『JAWS/ジョーズ』(1975)よりもずいぶんリアルではあります。
 
名前を知っている役者は誰もいないし、特に美人やイケメンがいるわけでもない。
いや、それなりにイケてるんですが、特に目立つものがないんですよねぇ。
 
ナットはとても真面目で優しい女子。
ハメを外す仲間を見咎めるものの、これが最後の休みなんだからと言われると、
楽しい席に水を差すのもなんだかなぁと思ってしまう。
ミリーは、トムの浮気相手であることが冒頭の表情から明白で、いかにもビッチ。
グレッグとタイラーはあきらかにオマケの存在。
 
最後に生き残るのは当然ナットでしょうから、
こうなるともう誰からどういう順番で死ぬのかだけが見どころ。
で、想像と違うことなく、オマケからサメの餌食になります。(^^;
 
サメにやられない工夫、生き延びる工夫というのはほぼ無し。
誰か通らんかなぁ、このままじゃ死ぬよなぁ、って言うてたらそのたびにサメが出る。
意外だったのは、トムの自らを犠牲にする行動くらいです。
 
いちばんサバイバル能力が高かったのはナット。
そしてバカ騒ぎしていた前夜に皆が出会った物乞いの爺さんを笑わなかったのはナットだけ。
人の話を信じる良い子、かつ、どうなってもあきらめない強い子だけが生き残るのでした。

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