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『ACIDE/アシッド』

『ACIDE/アシッド』(原題:Acide)
監督:ジュスト・フィリッポ
出演:ギヨーム・カネ,レティシア・ドッシュ,パションス・ミュシェンバック,
   クレマン・ブレッソン,マルタン・ヴェルセ,マリー・ユンク他
 
台風直撃かと思ったら、大阪はたいした雨が降るでもなく通り過ぎそうな気配。
劇場もとりあえずオンラインチケット販売を止めるも毎朝再開して休館は無し。
 
雨の日にはあまり観たくないようなフランス作品。
上映初日、台風の影響で雨が降り出した晩に鑑賞しました。
 
どうでもいいことですが、主演のギヨーム・カネのことをなんとなく調べてみたら、
一時はダイアン・クルーガーと結婚していたことを知らなくてビックリ。
そしてマリオン・コティヤールとの間に子どもがいることを知ってまたビックリ。
 
労働争議の先頭に立ったミシャルは、暴力的な行動に出たせいで逮捕されたばかりか、
暴走するシーンを収めた動画が世に出回ったせいで、白い目で見られるように。
妻エリーズとは離婚、彼女が引き取った一人娘セルマは寄宿学校で父親のことをからかわれて逆上。
あの親にしてこの子と問題視されているのが現状。
 
そんなある日、空から酸性雨が降り出す。この雨を浴びれば体が溶け出して死に至る。
学校に行ったきりのセルマを心配してエリーズは迎えに行こうとするが、車がない。
兄ブリスに電話するも連絡つかず、致し方なくミシャルを頼ることに。
ミシャルの車でエリーズのもとへと向かい、ようやく連絡のついたブリスと合流先を決める。
 
ところが車が故障、3人はほかの避難者らの行列に加わって歩きはじめる。
その途中、はぐれたエリーズが橋から落下、溺れるうちに溶けて亡くなってしまう。
悲嘆するセルマを強引に引っ張り、雨が降り出す前に屋内へ逃げ込みたいミシャル。
 
ミシャルが疲労困憊して倒れたとき、招き入れて介抱してくれたのがデボラ。
彼女は腎臓疾患のある幼い息子ウィリアムとふたりでこの家に住み続けているが、
ミシャルが見たところ、ここもやがて崩れてしまいそうで……。
 
最初の労働争議のシーンは果たして要るのかどうか疑問。
どうやら争議に発展した理由は、ミシャルの同僚で移民女性のカリンが勤務中に怪我をして、
その補償を会社が怠ったためのようだけど、説明が少なすぎて不親切。
そして今ミシャルはカリンと恋仲にあり、この状況下で再会を約束しています。
 
ミシャルの足首には監視装置が取り付けられているけれど、
だから逃げられないわけというでもなくて、この設定の必要性も感じません。
 
ミシャルはとにかくカリンに会いたいから、ブリスのもとへは行こうとしない。
せっかく助けてくれたデボラに食べ物を分けてくれないことに嫌味を言ったりもして、
一見熱い善い男だけれど、普通に嫌な面もいろいろと持ち合わせています。
人間らしいといえば人間らしいし、ギヨーム・カネが演じるとそこまでの嫌悪感は抱かない。
 
こんな感じで場面の必要性にいろいろと疑問を感じますし、
酸性雨の恐怖もハリウッドのディザスタームービーのそれとは違っておとなしい。
しかも「これで終わり!?」というエンディング。
 
労働問題、移民問題、夫婦の問題に親子の問題。病に罹った幼い子。環境汚染。
何も解決しとらんじゃあないか。どうすればいいですか。(^^;

—–

『モンキーマン』

『モンキーマン』(原題:Monkey Man)
監督:デヴ・パテル
出演:デヴ・パテル,シャールト・コプリー,ソビタ・ドゥリパラ,ピトバッシュ,シカンダル・ケール,
   マカランド・デシュパンデ,アシュウィニ・カルシカール,ヴィピン・シャルマ他
 
2回目の『ラストマイル』を観た後、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
アメリカ/カナダ/シンガポール/インド作品。
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)で映画デビューを果たしてから15年、
順調にキャリアを築いてきたデヴ・パテルが本作で映画監督デビュー。
製作を務めるのがジョーダン・ピールとくれば、面白さは約束されたようなもの。
案の定、批評家から高評価のようです。
ちなみに本作の原案もデヴ・パテル自身で、脚本も彼。主演ももちろん彼。
 
もともとは脚本を書いたらニール・ブロムカンプに監督を依頼するつもりだったらしくて、
そのせいなのかどうなのか、ブロムカンプ監督作品の常連であるシャールト・コプリーが出演しています。
インドっぽいけど、ロケ地はインドネシアのバタム島。
 
地下格闘技の世界で猿の覆面を被り、“モンキーマン”としてヒール役を務めるキッド。
幼い頃、彼は小さな村で母親と貧しいながらも幸せに暮らしていたが、
宗教指導者として祭り上げられているババがその土地を欲し、
警察幹部のラナに命じて村を焼き討ちにしたうえ、皆殺しを図った過去がある。
そのとき、母親から言われて身を潜めたおかげで助かったキッド。
しかしラナによって母親が殺されるところを隙間から目の当たりにしたのだ。
 
必ずや復讐すると自分に誓ったキッドは、当時目にしたわずかな手がかりからターゲットを突き止め、
彼らに近づく方法を考えると、まずはラナが出入りするクラブの支配人クイーニーのもとへ。
厨房で皿洗い等の職に就くと、クラブで顔が利くらしいアルフォンソと親しくなる。
 
アルフォンソの信頼を得たキッドは、クラブでウエイターに昇進する。
拳銃を入手してラナを襲撃する機会を待ち、いざそのときを迎えたものの失敗。
重傷を負って運河に落ちたところをとある寺院の者たちに救出されて……。
 
ブロムカンプ監督がメガホンを取ったとしてもきっと面白い作品になったろうと思います。
自分が依頼されているのに、企画を聴いて「君が自分で撮れ」と勧めたという。なんかカッコイイ。
そしてそれをこんな作品に撮り上げたデヴ・パテルもただ者ではありません。
 
暴力的でありながら美しさすら感じます。
宗教的政治的な部分は私には理解できないところが多いけれど、いつまでも残るカースト制度と、
独裁政権に断固反対するという気持ちが伝わってくる。
 
デヴ・パテルにこれからも注目したいと思います。

—–

2回目の『ラストマイル』

1回目は公開初日に観ました。
リピートする気はなかったのですが、この日観ようと思っていた『モンキーマン』がイオンシネマ茨木で20:30からの上映で、
それまでボーッとしているには時間がありすぎる。
台風のせいで週末はどこの劇場も閉館するかもしれないから、その前にせっせと劇場通いしておこうと思いました。
 
2回目の『ラストマイル』は満島ひかり演じるエレナの人となりがわかっているから、
彼女のテンション高すぎる言動に嫌気が差したりはしません。
だけど、新任のセンター長から「センター長ではなくエレナと呼んで」と言われたり、
自分のことをいきなり下の名前で呼び捨てにされたりするのはドン引きですよねぇ。
岡田将生演じる孔の「なんじゃこいつ」みたいな顔に笑ってしまいます。
 
「ロジスティクス」と言えない酒向芳演じる刑事、それをフォローするのは大倉孝二演じる後輩刑事。
「客が注文したのはのり弁なのに、唐揚げ弁当にすり替わっている」というエレナの例えを
「豪華になってるじゃないか」と大倉孝二がツッコミ入れるところは少しだけ面白い。
「桃太郎だと思ったら桃から出てきたのは金太郎」という例えには、
「桃から出てこない時点で桃太郎ではない」というディーン・フジオカ演じる五十嵐にもクスッ。
この五十嵐が本当に嫌な奴だと思うけれど、ディーン・フジオカだから「どうにもできなかった」と言うシーンには悲哀を感じます。
イケメンじゃないオッサン俳優が演じていたら、もっと憎らしく思ったでしょうね(笑)。
 
2回目だと俳優そのものを見る余裕も出てきて、違った楽しみ方ができます。
それに、漫然と見ていた物流業界のさまも、1回目よりいろいろと感じるところが多い。
羊急便の関東局局長役の阿部サダヲが、電話の相手が社長だと知らずに叫ぶところが好きです。
その阿部サダヲが満島ひかりに「やめましょう!」と言われるシーンも好き。
 
大手企業の商品配送が自社の60%ものシェアを占めるせいで楯突けない。
けれど、1個運んで150円ではドライバーのなり手に困る。
エレナの計画により、運送会社が一致団結するのは小気味のいい場面です。
 
ひとつの荷物にどれだけの人が関わり、私たちの手元に届けられているのか。
人としての扱いを受けていないかのような現状があるならば、なんとかせねばなりません。
でも、いかに便利かばかり考えてしまうのですよねぇ。
 
火野正平宇野祥平のような宅配ドライバーがたくさん存在しているということを心に留めておきたいです。

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『スリープ』

『スリープ』(英題:Sleep)
監督:ユ・ジェソン
出演:チョン・ユミ,イ・ソンギュン,キム・クムスン,キム・グクヒ,イ・ギョンジン,ユン・ギョンホ他
 
シネマート心斎橋で観逃して残念に思っていたところ、塚口サンサン劇場が持ってきてくれました。
 
監督は本作が長編デビューとなるユ・ジェソン。
辛くてたまらないのはイ・ソンギュンが昨年暮れに自ら命を断ってしまったこと。
麻薬の不法投薬を疑われて取り調べを受けていたそうで、
もしも本作を地で行く睡眠障害ゆえの麻薬使用だったのだとしたら、これほど悲しいことはない。
共演したチョン・ユミもどんな気持ちだろうと思わずにはいられません。
 
スジン(チョン・ユミ)とヒョンス(イ・ソンギュン)は新婚夫婦。
ヒョンスは今はまだ売れているとは言えない役者だが、いつか大役を掴む日を夢見てスジンが支え、
出産をひかえてお腹が大きくなった今も仕事を続けている。
 
ある晩、寝息を立てていたヒョンスが自分の顔を掻きはじめる。
翌朝、血だらけになっているヒョンスの頬を見てスジンはびっくり。
その顔のせいでせっかくもらった仕事がキャンセルになってしまう。
 
ふたり一緒なら何でも克服できると信じるスジンはヒョンスを励ますが、
この日を境に睡眠中のヒョンスの行動があきらかにおかしくなる。
夜中に冷蔵庫を開けて生肉をむさぼり食っていたり、窓から飛び降りようとしたり。
病院に行くと睡眠障害だと言われ、薬を処方されるがなかなか効き目が出ず……。
 
夢遊病患者が起こした事件の記事を読みあさるスジン。
本人の意識なく家族を殺したニュースなんて知ったら怖くてたまらないですよね。
かわいがっていたポメラニアンをヒョンスに殺されても、
ヒョンスは病気だから悪くないと責めようとしないけれど、
出産を終えて自分の娘がこの世に生まれると、娘のことが心配になります。
犬を殺したように、娘も殺そうとするかもしれないわけですから。
 
スジンの母親は巫女を呼んできて、お祓いが必要だと言う。
そんなアホなと思っていたら、ホントにヒョンスが憑依されているという話に。
しかもヒョンスに取り憑いているのは、階下に住んでいたジジイだし。
 
そのうちスジンのほうがおかしくなって、ヒョンスを殺しかける。
精神病院に送られるのも当然なところ、実はスジンの言うことが正しくて。
 
イ・ソンギュンが亡くなっていることがわかっているせいか、相当怖い。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』よりずっとドキドキハラハラしました。
憑依って実際にあるのでしょうか。
今はイ・ソンギュンが安らかに眠っていることを祈るだけ。

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『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』【4Kリマスター版】

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(原題:Night of the Living Dead)
監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:ジュディス・オディア,デュアン・ジョーンズ,カール・ハードマン,キース・ウェイン,ジュディス・リドリー,
   マリリン・イーストマン,ビル・ハインツマン,カイラ・ショーン,チャールズ・クレイグ他
 
台風10号の動きがあまりに遅くて、劇場も対応をどうするか困っていた様子。
鉄道の計画運休が発表されればそれに合わせて休館するのでしょうが、
迷走する“サンサン”のせいで何もかもが不確定だから閉めるに閉められない。
結局、大阪に来そうな数日間はオンライン予約を停止した劇場がほとんどでした。
 
これはオンライン予約停止前日に塚口サンサン劇場にて鑑賞。
1968年のアメリカ作品で、ハリウッドのホラー映画の新時代を築いたと評価されています。
って、私が説明するまでもないことですね。
ただ、私はホラー映画をことごとく避けてきたので、本作を観るのも初めてです。
ようやくホラー慣れしてきた今、観る機会があるなら行っておかなければと思い。
 
原作は1939年生まれの作家ジョン・A・ルッソ。84歳でご健在です。
ジョージ・A・ロメロ監督と共同で本作の脚本を担当し、一躍有名人に。
ルッソ、ロメロ共に本作にカメオ出演しているのは鑑賞後に知ったこと。
幾度となくリメイクや続編が製作されたカルト作品で、いま公開されているのは2016年の4K版です。
これが初めて公開されたのは同年のニューヨーク近代美術館。
こんなゾンビ映画がアメリカ国立フィルム登録簿に載っているってなんだか嬉しいですね。
 
兄ジョニーと妹のバーバラは車で3時間の道のりを走り、ペンシルヴェニア州にある父親の墓へ参る。
寝坊したジョニーのせいで到着が夜の8時になってしまったが、まだ外は明るい。
父親に丁寧に手を合わせるバーバラをからかい、とっとと帰ろうと言うジョニー。
人っ子一人いなかった墓地に男の人影が見えると、ジョニーはまたしてもバーバラをからかって怖がらせる。
ジョニーの失礼な態度を詫びようと男に近づくと、いきなりその男がバーバラに襲いかかる。
バーバラを助けようとしたジョニーは男と揉み合いになり転倒。死んでしまったようだ。
 
バーバラは車に飛び乗り、追いかけてくる男から必死に逃げようとするが、
途中で車が止まってしまい、乗り捨てると走りまくる。
ようやく見つけた一軒家に逃げ込み、何が起きているのかわからないまま震え上がる。
 
同じくどこかから逃げてきた男性ベンは、謎の集団の侵入を防ごうと家の窓や扉に板を打ち付ける。
ジョニーを喪ったショックから放心状態にあるバーバラはベンに叱咤されるもなかなか動けない。
 
そうこうしていると、地下室から男がふたり上がってくる。彼らもここに逃げ込んだらしい。
年輩のほうの男性ハリーは妻ヘレンと負傷して動けないカレンを地下室に匿っており、
もうひとりの男性トムは恋人のジュディとここへ来てハリーたちと知り合ったと言う。
 
地下室にいるほうが安全だというハリーと、階上にいなければ外の様子がわからないと主張するベン。
両者は対立しながらも、ラジオやテレビ放送の情報をもとに脱出を図ることに決めるが……。
 
何十年経とうがつくられ続けるゾンビ映画の発祥が本作にあると思うと感慨深い。
ゾンビ退治に活躍するベンに黒人俳優を起用したことも、当時は驚きだったはず。
ゾンビは走らない、脳天をぶち抜けば殺せる、などなど、後続の作品がそれを守っているんですね。
動きが鈍いのは「一度死んでいるから」という台詞には納得して笑っちゃいました。
その基本をひっくり返した『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)も面白かったですよねぇ。
 
ベンとバーバラは助かるとばかり思っていましたから、
途中でバーバラがゾンビ化したジョニーに捕まることにビックリ。
最後まで生き残っていたベンもゾンビと間違われて銃殺されるのは衝撃的。
ハッピーエンドじゃないんかい。
 
こうした古い作品を劇場で観る機会があればまた行きたいです。

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