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『越境者たち』

『越境者たち』(原題:Les Survivants)
監督:ギヨーム・レヌソン
出演:ザール・アミール=エブラヒミ,ドゥニ・メノーシェ,ヴィクトワール・デュボワ,
   オスカー・コップ,ルカ・テラッチャーノ,ロクサーヌ・バラズー他
 
前週末公開になった作品を2本ハシゴしようと思っていたのに、
イオンシネマ茨木が20時以降の上映をストップ。ひと晩だけかけて改装工事をするそうな。
というわけでこの日は本作1本のみ鑑賞。
 
本作が長編デビュー作となるギヨーム・レヌソン監督によるフランス作品。
主演はイランテヘラン出身女優、ザール・アミール=エブラヒミ。美人。
もうひとりの主演はフランスの人気俳優、ドゥニ・メノーシェ
 
交通事故で妻を亡くした中年男サミュエルは、まだ幼い娘のレアとふたり暮らし。
自らも負傷してプールでリハビリを続ける日が続いていたが、復職の許可が出る。
まだ仕事に戻る気にはなれず、休暇を延長してレアを弟に預けるとアルプスへ。
フランスからイタリアに入ったサミュエルは、山小屋へと向かう。
 
その夜、物音に気づいて起きると、見知らぬ女性が忍び込んでいた。
どうやら密入国者で、追っ手から逃げているらしい。
最初は敵意をむき出しにしていた彼女だが、サミュエルが助けてくれると考え、
山を越えるために道案内をしてほしいと言う。
 
山小屋へ来る前に偶然会ったサミュエルの知人は、密入国者を目の敵にしている。
彼女の存在を知ればすぐに追いかけてくるに違いない。
放り出すわけにも行かず、サミュエルは彼女を連れてフランスを目指すのだが……。
 
彼女はアフガニスタン人の元教師という設定で、名前はチェレー。
最初はサミュエルのことを警戒して、名乗ろうともしません。
雪山を歩くうち、ふたりの間に信頼関係が芽生えます。
 
道案内をしてほしいと言われても、チェレーが軽装備すぎることをサミュエルは指摘。
しかしそう言うサミュエルだって、あんな雪深いところを歩くほどの装備はない。
しかもドゥニ・メノーシェのことをご存じの方であれば容易に想像できると思いますが、巨漢なんです。
そのうえ脚の傷はまだ痛むから若干引きずっている。
デブで、歩けばすぐに息が上がって、脚を引きずっていて、たいした装備もなくて、
こんなふうに歩けると思いますか。無理やろ~。
食べ物も飲み物もないのに、何日歩いたことになるのか。
 
追いかけてくる3人、ジュスティーヌとヴィクターとステファノは、
いくらサミュエルと知り合いであっても、密入国者の味方をする者は許しません。怖い怖い。
隠れたところでデブだもの、どこかにぶち当たって音を立てそう。
およそ逃げられる気はしないけれど、映画ですもん、ちゃんと逃げおおせます。
 
ムリムリムリ~と思いつつも最後までわりと楽しく観ました。
 
きちんと別れも告げることができないまま立ち去ったチェレーがサミュエルに残したもの。
ちょっとジーンと来ました。

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『YOLO 百元の恋』

『YOLO 百元の恋』(原題:熱辣滾燙)
監督:ジャー・リン
出演:ジャー・リン,ライ・チァイン,チャン・シャオフェイ,シャー・イー,
   チャオ・ハイイエン,ブー・ユー,シュー・ジュン・チュン,ヤン・ズー他
 
どうしても見逃したくなくて、日曜日の昼間、これ1本だけ観にシアターセブンへ。
 
大好きだった『百円の恋』(2014)を中国でリメイクしたら空前の大ヒットを飛ばしたとか。
監督と主演を『こんにちは、私のお母さん』(2021)のジャー・リンが務めています。
彼女、『こんにちは、私のお母さん』のときのデータではジア・リンとなっているのですが、
本作ではジャー・リン、別名ジア・リンとなっています。
シュー・グァンハンのように中国人俳優は名前を使い分けることが多いのでしょうか。
でも、ジャーとジアでは、単にカタカナ表記の問題のような気もするし。
 
そんなことはさておき、本作の話。
 
32歳のドゥ・ローインは無職、実家で食っちゃ寝するだけのひきこもり
体重100キロを超える巨漢で、出かけるときは外食が目的。
見かねたローインの出戻りの妹・ローダンが、テレビ局勤務のいとこ・ドゥドゥに連絡を取り、
無職の人に仕事を紹介する番組にローインを出演させるよう依頼する。
テレビになんか出たくないと、ローインは取材を拒否。
ローダンと大喧嘩になり、ローインはあてもないのに出て行くことに。
 
母からもらった金でとりあえず部屋を借り、飲食店でバイトを始めたローインは、
店の近所のボクシングジムでトレーナーを務めるハオ・クンに一目惚れ。
ある日クンから誘われて、てっきりデートだと思って出かけたところ、ジム会員の勧誘。
それでも嬉しくて、クンのトレーニングを受けようと入会する。
 
酔っぱらったクンと勢いで一夜を共にし、有頂天になるローイン。
クンはローインのアパートに転がり込んで、ふたりは同棲を始める。
クンがジムを代表して試合に出場することになると、ローインはすっかり女房気取り。
しかし、八百長試合の話を受けたクンとの仲がいつしかこじれる。
 
クンと別れた後、ボクサーとなることを目指し、本格的にトレーニングを開始したローインは……。
 
あれれ、ジャー・リンってぽっちゃりした人だったよね?
ポスターの写真はめちゃくちゃ引き締まった体つき。
本作のために痩せるにしても、こんなに痩せるのは無理でしょう。
ということは、太っている間の顔と体型は特殊メイクなのかしら
その割にものすごく自然なメイクだわと思ったら。
 
実際に50キロ落としたとエンドロールで知って驚きました。恐るべき女優魂。いや、監督魂か。
日々体重計に乗り、トレーニングを続け、痩せてボクサーとなる。
その様子はすべて本当で嘘がないから、当たり前だけどものすごくリアルで驚嘆、いや感嘆。
 
ようやく選手として試合に出場できることになった彼女の対戦相手は10戦全勝のプロ。
打たれても打たれても立ち上がる彼女を見ていたら涙が出ました。
 
大好きだと言いつつ『百円の恋』は1回観ただけなので、
リメイクの本作とどの辺りが違うのかはほとんどわかりません。
おそらくオリジナルのほうがもっと好きだったとは思うけど、
自ら監督しながら役者としても50キロの減量に挑み、
なおかつ完璧にアスリートの体型になったジャー・リンに驚くばかりです。
 
ちなみに“Yolo”は本作がアメリカで公開されたときの英語タイトルでもあり、
“You Only Live Once”、つまり「人生は一度きり」。
ジャー・リンが観客に伝えたいメッセージなのだそうです。

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『うんこと死体の復権』

『うんこと死体の復権』
監督:関野吉晴
 
さほど興味はなかったのに『アイ・アム・ア・コメディアン』を観に行ったのは、
そのあとに第七藝術劇場で本作の上映があったからです。
 
映画であればどんなジャンルの作品も観たいとは思っていますが、
行き過ぎたう◯こネタゲロネタは大の苦手です。
スカトロマニアでもあるまいし、何が嬉しくて金払ってう◯こやゲロを観なあかんのか。
 
あ、タイトルに「うんこ」とあるのですから、わざわざ「う◯こ」と伏せ字にする必要はないですね(笑)。
うんこは観たくない。けれど本作は真面目にうんこを取り上げている。
ならばやっぱり観ておくかと意を決して十三まで出向いたのでした。
 
関野吉晴監督は“グレートジャーニー”で知られる冒険家
彼はアマゾンの奥地狩猟採集民と生活を共にし、自然とヒトとの関係について考えています。
そして彼が2015年から始めたのが“地球永住計画”というプロジェクト。
我々が地球で生きて行くためにはどうすればいいかを考えるというプロジェクトです。
 
このプロジェクトで関野監督が出会ったのが本作に登場する3人。
「糞土師」を名乗る伊沢正名氏は、1970年代から今まで野糞することにこだわり、
トイレで排便したのはわずかに13回という強者。
誰でも自由に野糞できるように山を買って「プープランド」と名付けています。
プープランドで野糞してはどんな虫がどのように分解されるのかをつぶさに調査。
 
あとの2人は、うんこから生き物と自然について考察する生態学者の高槻成紀氏と、
死体を喰らう生き物を観察して描く絵本作家の舘野鴻氏。
 
いつでも退席できるように、最後列の出口脇の席を取りました。
私にはやっぱりうんこを大画面で観るのは無理で、直視できず。
これは立派なうんこだとか、人のうんこを見て褒め称えるなんて、オエーッ(笑)。
何週間か経ち、完全に土と化したものを食べて爽やかだとか、うーむ。
 
とはいうものの、どんな虫が寄ってきたとか分析するのはつまらなくはありません。
直視はしがたいけれど、その研究に対する熱意には頭が下がる思い。
ただ、後半は特に編集がほどこされているとも思えない映像が続き、いささか退屈。
したがって眠気に誘われてしまうのでした。
 
マニアックなドキュメンタリー作品を観る機会に恵まれたのはよかった。
でもうんこを観る機会はもう要らない。
 
ちなみに、この記事を投稿するさいに作品名にハッシュタグを付けようとしたらはねられました。
「タグ名:うんこと死体の復権は、受け付けられません」ですって。
「うんこ」がダメなの? たぶんそうじゃなくて「死体」のほうかな。

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『アイアム・ア・コメディアン』

『アイアム・ア・コメディアン』
監督:日向史有
 
シアターセブンにて。
 
『東京クルド』(2021)の日向史有監督がお笑いコンビ“ウーマンラッシュアワー”の村本大輔に密着。
時間的に合ったので観に行きましたが、ウーマンラッシュアワーを好きなわけじゃなし、村本大輔のこともほぼ知らず。
だから、彼のネタが政治的すぎるとして炎上したことも知らず、
超売れっ子だったのにいつのまにかテレビに出演することがなくなっていたのも知りません。
こんなふうに何も知らない状態からですから、逆に興味深く観ることができました。
 
東日本大震災の被災者が仮設住宅で不自由な暮らしを続けているというのに、
世の中は東京オリンピックに向かって盛り上がり、新国立競技場に莫大な予算を割いている。
そんな話だとか、在日の人の話だとか、テレビではおよそタブー視されてきたであろうことを
村本は臆することなく漫才やトークのネタとして喋りつづける。
そりゃテレビでは使われなくなりますよねぇ。何を言うかわからない芸人なのですから。
 
彼の心意気は凄いと思うし、何も間違ったことは言ってない。
ただ、好きかと聞かれると、私には面白いとは思えません。
単純に、芸として面白いと思えなくて、笑えないのです。
 
大阪に生まれ、大阪で育ち、これまでの人生を大阪以外で過ごしたことがない私は、
やっぱり関西弁が好きで、関西弁の芸人が好き。
アメリカのスタンダップコメディの面白さはまったくわからないし、それを村本がやったところで同様。
 
彼がやりたいことは真っ当で、応援もしたい。
だけど面白くはないから笑えない。
彼の話で笑える人たちでどうぞ、と思ってしまうのでした。
でも本作を観たら、彼の今後の活動は気になると思います。

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『憑依』

『憑依』(英題:Dr. Cheon and Lost Talisman)
監督:キム・ソンシク
出演:カン・ドンウォン,ホ・ジュノ,イ・ソム,イ・ドンフィ,キム・ジョンス,パク・ソイー他
 
イオンシネマ茨木で『メリーおばさんの羊』を鑑賞後、109シネマズ箕面へ。
21:30からのレイトショー、カン・ドンウォン主演の新作公開初日だというのに、客は私ひとり。
今年8度目の“おひとりさま”ではないですか。
 
客ふたりよりも客ひとりのほうがいいと思っていたけれど、ホラーでひとりきりというのは怖いかも。
とビビっていたら、想像以上にコメディ要素が多くてめっちゃ楽しめました。
やっぱり、知らない人とふたりでなんとなく気まずいよりもひとりのほうが良い。
 
などまったく視えないのに祈祷師を名乗るチョン(カン・ドンウォン)は、
助手のインベ(イ・ドンフィ)と共に依頼人を騙して金を取るインチキお祓いをおこなっている。
悪霊を呼び出したように見せる技術を担当するのがインベで、
チョンはそれをみごとに祓ったように言葉巧みに演出するのだ。
 
客はたいてい金持ちだから、このインチキお祓いに感謝して多額の金を出すばかりか、
家にあるものを何でも持ち帰ってくれてよいと言う。
客からせしめたブツをチョンが持ち込むのは旧知のファン(キム・ジョンス)が営む骨董品店
 
ある日、チョンの事務所に若い女性ユギョン(イ・ソム)が訪ねてくる。
幼い妹ユミン(パク・ソイー)に憑いた悪霊を祓ってほしいと言われて彼女の家に向かうと、
村全体に暗い空気が漂い、村人全員が引っ越すことになっている様子。
 
ユギョンの家に着くと、そこには動けぬように縛り付けられたユミンの姿が。
いつもと同じインチキを働こうとしたところ、ユミンには本当に何者かが取り憑いているとわかる。
実はユギョンとユミンこそが霊を視ることができる者で、悪霊は姉妹の眼を狙っているのだ。
 
インチキ祈祷師かと思いきや、チョンは由緒正しき祈祷師一族のもとに生まれたその能力を持つ者。
霊は視えないが払う力を持つチョンと霊が視えるユギョンは、協力して悪霊を退治することに。
 
あらすじはザッとこんな感じでしょうか。
最初のインチキお祓いがなかなか面白くて笑えます。
インチキではあるのですが、チョンの洞察力は確か。
依頼人の様子や家の内外、SNSへの投稿写真を一目見るや、その家庭の問題を即座に判断。
それをもとに上手く騙すんですね。詐欺師にはこんな力が必要だと納得。
 
とにかくキャストが最高です。
ユミンに取り憑いている悪霊こそがチョンの祖父と弟を殺した奴。
この悪霊を演じるのがこれまた名優のホ・ジュノで、怖いのなんのって。
村人も取り巻きも意のままに操れるくせして、自分自身は動けないとは(笑)。
 
韓流スターって面白いですね。
確かにシュッとした顔はしているけれど、顔だけ見ている間は、そこまで人気がある理由がわからない。
だけどひとたび演技を見るや、虜になります。
 
チョンとユギョン、インベとファンがチームを組んで祓う続編を作ってもらえませんか。
『メリーおばさんの羊」とは違って、確実に観たいやつですけど。

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