2002年10月、ポセイドン江戸番茶のHNで「さるさる日記」に“夜な夜なシネマ”を開設、約9年間お世話になりました。2011年5月、「さるさる日記」のサービス終了にともない、「gooブログ」に引っ越し。14年経った2025年4月、gooブログもサービスを終了することが突然発表されて目が点に。
引っ越し先はgooブログが他社のブログサービスを紹介するなどして選択肢を用意してくれています。無責任にサービスが打ち切られてしまうわけではありません。けれど、私にとって、問題は引っ越し先ではない。
5千件以上の記事にそれなりのレイアウトを施して引っ越し先へ移動する方法は何処に!? データはテキストで受け取れるというものの、引っ越し先にそのままペタペタ貼り付けるだけなのはなんか悲しい。そもそもペタペタ貼り付けるだけでも膨大な時間がかかるでしょう。
呆然としつつSNSでそんなことをつぶやいたら、神のように現れたのがデザイン事務所「MARU-C」さん。猫バス似(笑)の代表とはもうかれこれ長いおつきあいで、事務所へ遊びに行ったこともあります。飲みに行くのはもちろんのこと、ナゴヤドームで一緒に阪神戦を観戦したこともあったのに、彼の本業が何かを知りませんでした。彼から「それ、ボクの本業やで」と聞いて、うおーっ。まるごとお願いするに至りました。他社のブログサービスを利用すれば、またいつかそのサービスが終了してしまう心配をしなければなりません。いろいろと相談に乗っていただき、だったらもう自分のページを持つのがいちばんだという結論に。
もちろん、友達だからってタダとちゃいます。ちゃんとお支払いをして、ちゃんと面倒を見てもらいたい。gooブログからダウンロードしたデータを託してWordPressで出来あがったのが新生“夜な夜なシネマ”。こんなもん、自力で取りかかったところで絶対にできません。依頼してホントによかった。代表曰く、「やってみたら、デザインの仕事というよりもむしろプログラミングの仕事だった」そうですけど(笑)。おかげでリンクも新サイト内できちんと飛びます。
gooブログさん、長い間ありがとうございました。gooブログサービス終了の日までは閉鎖せずに置いておきますが、今後は新サイトで投稿を練習しがてら、同時進行の予定です。
長い間おつきあいくださっている皆様、これからもよろしくお願い申し上げます。
『We Live in Time この時を生きて』
『We Live in Time この時を生きて』(原題:We Live in Time)
監督:ジョン・クローリー
出演:アンドリュー・ガーフィールド,フローレンス・ピュー,グレイス・デラニー,リー・ブレイスウェイト,イーファ・ハインズ,アダム・ジェームズ,ダグラス・ホッジ,エイミー・モーガン,ニーヴ・キューザック他
キノシネマ心斎橋にて4本ハシゴの4本目。
監督は『ダブリン上等!』(2003)や『ブルックリン』(2015)のジョン・クローリー。アンドリュー・ガーフィールドがあまりタイプではないのでスルーしようかと思っていた作品ですが、フローレンス・ピューが一流シェフの役だと聞いたら観に行かずにはいられません。時間が前後して描かれるので、最初はちょっと戸惑いましたが、すぐに慣れました。
妻から離婚を言い渡されて沈んでいたトビアスは、ふらふらと歩いていたところを車にはねられる。病院で目覚めると、目の前には見知らぬ女性の心配顔。彼女こそ自分をはねた張本人。彼女はアルムート。新進気鋭のシェフで、まもなく自分の店をオープンするらしい。お詫びにごちそうしたいと言われたトビアスは、彼女の料理に心が癒やされるのを感じる。
こうして交際を開始したふたりだったが、あるときアルムートが体調を崩して病院へ。すると、卵巣癌を患っていることがわかる。子宮を全摘出するほうが再発などの可能性が低いとの説明を医師から受けるが、卵巣をひとつ残すことを選択。化学療法を受けて癌は寛解し、不妊治療の末、娘を授かる。
しかし数年後、アルムートは癌を再発。治療を再開するかどうかの選択を迫られるなか、世界的なコンクールにイギリス代表として出ないかというオファーが舞い込む。治療に専念してほしいと言うトビアスに応えたかに見えたアルムートだったが、ひそかに話を受けていて……。
癌の話になればやはり弟のことを思い出します。望みがわずかだったとしても前向きに化学療法や手術を受ける姿を思い出すと悲しさしかありません。でも愚痴ひとつ言わなかったよなぁ。楽しいことだけ考えるようにしていると言っていたものです。
そしてもうひとつ思い出すのが『急に具合が悪くなる』という本のこと。治ったら、どこそこへ行こう。治ったら、何々をしよう。治らないから。だったら今、やりたいことをして、行きたいところへ行く。それでよくないですか。
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『年少日記』
『年少日記』(原題:年少日記)
監督:ニック・チェク
出演:ロー・ジャンイップ,ロナルド・チェン,ショーン・ウォン,ロサ・マリア・ヴェラスコ,
ハンナ・チャン,カーティス・ホー他
キノシネマ心斎橋にて4本ハシゴの3本目は香港作品。
監督はこれが長編デビュー作となるニック・チェク。
途中、自分の思い込みが覆されて「えっ!?」と声が出そうになりました。
どこから書いてもネタバレになってしまいそうです。
高校教師のチェンは、暴力をふるった男子生徒とクラスの委員長を務める女子生徒を呼び出し、事情を聴く。
男子生徒がいじめられているのは知っているが、暴力はいけないとチェンが諭すと、
先生は自身の離婚問題で頭がいっぱいなのに生徒にかまっている暇はないだろうと捨て台詞を吐かれる。
ある日、用務員がゴミ箱の中から見つけた紙きれには、自殺をほのめかす内容が書かれていた。
学校側はまもなくおこなわれる共通テストへの影響を鑑み、遺書を書いた生徒をあえて探さない方針。
しかしチェンは気が気ではなく、委員長に心当たりがないかを尋ねて協力を求めるのだが……。
チェンの子ども自体を描いている映像が間に挟まれています。
それは、富裕な家庭で育つ小学生兄弟の様子。
豪奢な家に住む彼らのうち、勉強もできてピアノも上手なのは弟のほう。
兄も弟のような成績を残して両親を喜ばせようとするけれど、できない。
それどころか進級できず、父親からはいつも殴る蹴るの体罰を受けています。
母親も父親から息子が不出来な責任を問われ、口答えすれば殴られる日々。
てっきり現在教師になっているのは不出来だった兄だと思っていました。
ところがずいぶん経ってから、いま私が見ているのは弟だとわかる。
実は兄は10歳の時に自殺しているのです。それをきっかけに弟も両親の期待に応えるのはやめたわけで。
誰にも心を見せられなくなった彼は、それでも大好きな人と出会い、結婚する。
だけど、自ら命を絶った兄のことを考えると、子どもを持つ自信がありません。
そのせいで妻との仲がぎくしゃくして別れ話に至ってしまう。
この世のどこにも居場所がなかったら、どう生きればいいのでしょう。
死にたいわけじゃない。でも生きているのはつらい。
静謐だけど残酷で、心に染み入る作品となりました。
今年が終わる頃になっても本作のことは心に残っていると思います。
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『ダーティ・マネー』
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『ヒットマン リサージェンス』
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