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『きみの鳥はうたえる』

『きみの鳥はうたえる』
監督:三宅唱
出演:柄本佑,石橋静河,染谷将太,足立智充,山本亜依,
   柴田貴哉,水間ロン,渡辺真起子,萩原聖人他

大阪ステーションシティシネマで『判決、ふたつの希望』を観終わってから10分もない。
最短距離を小走りで突き進み、ぜぇぜぇ言いながらテアトル梅田へ到着。
オンライン予約していた出入り口脇の端っこ席へ。

佐藤泰志といえば函館。
函館三部作として公開された『海炭市叙景』(2010)、『そこのみにて光輝く』(2013)、
『オーバー・フェンス』(2016)はいずれも異なる監督がメガホンを撮りました。
本作もまた別の監督が、函館シネマアイリス開館20周年記念作品として撮ったとのこと。

天童荒太『悼む人』(2014)の原作を読む前、
長らく積んでいた本を何度も見ていたはずなのに、『恨む人』だと思い込んでいました。
そして本作の原作もずっと積読の山の中。
この映画を観るまで『きみの鳥はうろたえる』だと勘違いしていました。
上映スケジュールを調べるときに「うたえる」とあるのを見て誤字だと思ってしまった。
そして観終わった今、「うろたえる」でもいいんじゃなかろうかと思ったりもして。(^^;

書店のアルバイト店員である「僕」(柄本佑)は、
失業中の静雄(染谷将太)とルームシェアしている。
気ままな僕は、アルバイトを無断欠勤することもしょっちゅう。
代わりに呼び出される同僚の森口(足立智充)は腹を立てているようだが、
店長(萩原聖人)は僕を軽く諫めるだけで特に怒りもしない。

ある日、店長とデキているらしい同僚の佐知子(石橋静河)に誘われる。
僕は彼女との約束をすっぽかすが、以来なんとなくつきあうように。
静雄との生活に佐知子も加わり、3人は夜通し飲み明かすのだが……。

3連休の間、ここまでに観た映画は7本、これが8本目でした。
疲れていても睡魔に襲われる作品はなかったのに、すみません、これは一瞬寝ました。

出てくる人みんなだらしない。
共感できる人もただひとりとしていなくて、かといってイライラするほどでもない。
この人たち、この先どうなるんだろうと心配する気も起きません。

原作をまだ読んでいないので、佐藤泰志が描いていたのも同じ世界だったのかどうか。
本作のLINEでやりとりするシーンなどは、原作が執筆された1980年代には当然ないから、
今に置き換えたことでどう空気が変わっているのか気になります。

ちょっと退屈だったなぁ、寝ちゃったなぁと思いつつも、
佐藤泰志の映画化作品を観ると、この人が41歳で自殺してしまったことが
必ず思い起こされてしまうからつらいのです。
世の中を、自分を、彼はどんなふうに見ていたんだろう。

「僕」が佐知子のことを「おまえ」呼ばわりするのが似合わなくて、
なんとなく「君」と呼ぶほうが合っているのにと思っていましたが、
ラスト間際のシーンを見るとわざとだったか。

人間って、面倒くさいのは嫌だと言いながら
どうして面倒くさいほうばかり選んでしまうのでしょう。

などと、鑑賞後数日経ってから振り返ることが多くて、不思議な作品です。
—–

『判決、ふたつの希望』

『判決、ふたつの希望』(原題:L’insulte)
監督:ジアド・ドゥエイリ
出演:アデル・カラム,カメル・エル・バシャ,カミーユ・サラメ,リタ・ハイエク,
   クリスティーヌ・シューイリ,ジャマン・アブー・アブード他

晩ごはんが16時という日に朝から3本観るのは無理だと思ったんです。
でもとりあえずチャレンジしてみる価値はあるかと思い、計画を立てました。
1本目は大阪ステーションシティシネマにて、
観逃しそうだとあきらめかけていた作品を上映終了週に滑り込みで鑑賞。

レバノンの映画って、観るのは人生初かもと思ったら、
レバノン作品として初のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品だとか。
それほど珍しいということみたい。

レバノンの首都ベイルートに暮らすトニーと身重の妻。
あなたの故郷に帰ろうという妻に対し、ベイルートで暮らすことにこだわっているトニー。
自動車の修理工場を経営する彼は、やっと手に入れたマイホームを手放す気はない。

付近の住宅の補修作業の現場監督を務めるのはパレスチナ難民のヤーセル。
ある日の作業中、頭上から水が降ってきて、作業員たちに掛かる。
ベランダで水撒きをするトニーの部屋の樋が破損しているせいだ。
さっそくヤーセルはトニーの部屋の樋を修理させてほしいと話しに行く。

ところがトニーはヤーセルを問答無用で追い返す。
作業員たちにまた水が掛かっては困ると、ヤーセルは勝手に樋を修理。
すると怒ったトニーはヤーセルが修理した樋を叩き壊してしまう。
憤ったヤーセルがトニーに叫ぶ、「くず野郎」と。

近隣住民とトラブルを起こしたくないヤーセルの上司は、
トニーに謝罪するようヤーセルに言い聞かせる。
渋々ながらも承知したヤーセルが上司とともにトニーのもとを訪ねるが、
トニーのひと言にヤーセルは怒りを抑えられずに殴りかかる。
結果、トニーの肋骨が折れ、事態は裁判に発展し……。

トニーはキリスト教徒。ヤーセルはイスラム教徒。
私たちには理解しにくい宗教に絡む話。
もっとややこしい話かと思ったら、とてもわかりやすい話でした。

最初はトニーのことをものすごく嫌な奴だという印象を持ちます。
ヤーセルが加害者とはいえ、真面目で不幸な境遇にある。
彼に肩入れしてしまうのは仕方のないこと。
そのうえ、トニーの弁護士はあからさまな差別主義者で、
彼が法廷に立つと途端に政治色が濃くなる。
これでこっちが勝ったらいやだなぁなんて思うのですが。

ところがトニーにもとても悲しい過去がある。
まわりでガタガタと騒いでいるけれど、
本当にトニーを思いやれるのはヤーセルなのかも。

裁判の帰り、車のエンジンがかからなくて困っているヤーセル。
敵なんだから知らん顔してもいいところ、そうはできないトニー。
やってやっているという態度もなければ礼もない。
そのシーンがすごく良くて涙が出ました。

勝った負けただけでいえば納得できない人が多いはず。
でも、ふたりは判決が出る前に納得していたはずだから。

劇場で観られてよかったです。
—–

『パパはわるものチャンピオン』

『パパはわるものチャンピオン』
監督:藤村享平
出演:棚橋弘至,木村佳乃,寺田心,仲里依紗,淵上泰史,
   松本享恭,川添野愛,大泉洋,大谷亮平,寺脇康文他

TOHOシネマズ梅田にて、『若おかみは小学生!』の次に。
原作は絵本『パパのしごとはわるものです』と『パパはわるものチャンピオン』。
ヒール役のプロレスラーとそれを受け入れられない息子の話です。

プロレス、まったく知りません、わかりません。
本作を観に来る客で私のような者は珍しいらしい。
例のいびつなシアター5だから100名足らず、席数はそんなに多くない。
だけどおそらく私以外の全員がプロレスファン。
詳しくはあらすじの後に書きますが、めちゃめちゃ楽しい鑑賞時間でした。

大村孝志(棚橋弘至)はかつてプロレス界のトップに君臨したレスラー。
ところが膝を負傷して、エースの座を失ってしまう。
いずれ返り咲くことを夢見て悪役レスラー“ゴキブリマスク”になるが、
2年だけのつもりがもうじき10年、相変わらずゴキブリのマスクを外せない。

妻の詩織(木村佳乃)と相談して、一人息子の祥太(寺田心)にはその事実を伏せたまま。
しかし、同級生らから父親の職業を問われた祥太が繰り返し聞いてくる。
それでもごまかしていると、祥太はこっそり孝志のあとをつけるという行動に出る。

たどり着いたのはプロレスの試合会場。
何が何だかわからない祥太の前に現れたのは、祥太が恋する同級生の平野マナ(根本真陽)。
プロレスファンのマナは父親(淵上泰史)と観戦に来たらしい。
好きな女の子と一緒に初めて観るプロレスに祥太はワクワク。
マナが応援するレスラー“ドラゴンジョージ”(オカダ・カズチカ)は本当にカッコイイ。

何のためにここへ来たのかも忘れかけていたころ、祥太は気づいてしまう。
みんなの嫌われ者、ゴキブリマスクが孝志であることを。どうしてパパは悪者なのか。

翌日、学校で改めて父親の職業を聞かれた祥太が「プロレスラー」と答えたところ、
同級生たちが祥太のことをドラゴンジョージの息子だと勘違い。
マナからサインを求められ、本当のことを言えなくなる祥太だったが……。

なんか楽しいんです。劇場全体の雰囲気が。
現役のレスラーがドドーッと出演しているため、誰か出るたびに湧くのなんのって。
“スイートゴリラ丸山”というリングネームの人が出てきたときに、みんな爆笑。
私ひとりついていけていなくて、後から調べてみたら、これは真壁刀義というレスラー。
スイーツ好きなのだそう(笑)。なるほどなるほど。

泣かせる展開になるのは当たり前の話。
で、その段になると、周囲から嗚咽が聞こえてくる。
大のおとなの男が泣くのは恥ずかしいと思っているのか、
誰しもが必死で涙をこらえているから、座席が揺れるんですよ。
私もすぐに泣くほうだけど、それ以上に泣いている人がいると
泣きすぎやろと笑ってしまいます。それも楽しくて。
倒れても起き上がる、倒れても起き上がる。
そりゃこんな場面を見せられたら、プロレスファンは泣きますわね(笑)。

夫と子、両方を気遣い励まし見守る詩織役の木村佳乃がすごくよかった。
プロレス大好きな雑誌編集者ミチコに仲里依紗。サイコーです。めっちゃ笑った。
編集長役で特別出演しているのが大泉洋。これも可笑しすぎ。

劇場で観る醍醐味を味わえた作品としては『カメラを止めるな!』より上でした。
この回のお客さんが特によかったのかもしれませんけれど。
皆さん、ありがとうございます!(^o^)
—–

『若おかみは小学生!』

『若おかみは小学生!』
監督:高坂希太郎
声の出演:小林星蘭,水樹奈々,松田颯水,遠藤璃菜,小桜エツコ,
     一龍斎春水,一龍斎貞友,てらそままさき,ホラン千秋他

TOHOシネマズ二条で4本ハシゴした翌日、
TOHOシネマズ梅田で2本ハシゴ、その1本目。

本当は本作を観るつもりはありませんでした。
いかにも子ども向けだし、ほかに観たい作品はいくらでもある。
なのにあえて観に行かんでも……と思ったのですが、
前日に日本酒を4合空けたら、二日酔いではないものの、眠たくて。
この日2本目に観る作品は早々と決めていたから、ほかの劇場まで歩くのも面倒で、
2本目と同じTOHOシネマズ梅田で鑑賞可能な作品に決めてしまったというわけで。

で、絶対爆睡するだろうという予測のもと観はじめたところ、
予想に反して楽しく、全然眠くなりませんでした。

原作は令丈ヒロ子の児童文学シリーズ“若おかみは小学生!”なのだそうです。
300万部以上の売り上げを記録しているという人気ぶり。

小学6年生の「おっこ」こと関織子は、家族でドライブ中に交通事故に遭って両親を失い、
花の湯温泉街にある、祖母・峰子の経営する旅館“春の屋”に引き取られる。

これから暮らすことになる離れの一室に入ると、どこからともなく声が聞こえ、
見上げると天井に男の子がぷかぷかと浮いている。
驚いて絶叫するが、どうやら彼の姿はおっこにしか見えていないらしい。

彼は「ウリ坊」こと立売誠。
何十年も前に死んで幽霊となったが、幼なじみの峰子のそばでうろうろしている。
もうひとり、おっこの前に現れた幽霊は、
おっこの同級生で高級旅館の娘である秋野真月の姉・美陽。
彼女も妹のことが心配で成仏できずにいるが、とんでもないおてんば。

ほかの人には決して見えないふたりと仲良くなったおっこは、
長らく箪笥の中に閉じ込められていた子鬼・鈴鬼まで解放。
この地で生きてゆくことになり、花の屋の若女将として奮闘するのだが……。

いつもピンクのフリルだらけの服を着ている真月は
鼻持ちならない奴なのですが、とても勉強家。
ライバルとしてふたりが罵り合い、でも時に協力して経営に携わる姿は、
小学生には無理でしょと思いつつも応援したくなる楽しさ。

わがままな同年代の子どもやら占い師やら、
簡単には接客が務まらない客がいっぱい。
最後はまさかそんな人が……と言いたくなる客で、泣かずにはいられません。

誰でも受け入れて、癒やしてくれる花の屋。
私もこんな旅館の露天風呂で美味しいカクテルを飲んで、
板前さんのつくったお料理とおっこちゃんのつくったデザート、食べたいなぁ。

子ども向けだなんていって侮れない。
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『響―HIBIKI―』

『響―HIBIKI―』
監督:月川翔
出演:平手友梨奈,北川景子,アヤカ・ウィルソン,高嶋政伸,柳楽優弥,北村有起哉,
   野間口徹,小松和重,黒田大輔,板垣瑞生,吉田栄作,小栗旬他

TOHOシネマズ二条で4本ハシゴをこれで〆。

あまり興味なかったんです。
主役の平手友梨奈は欅坂46でセンターを務める人気者らしいけど、私は全然知らないし。
巷でやけに高評価なのも本当かなと訝っていました。
シネコンで上映中の未見作品はもうこれぐらいしか残っていないけれども、
いっそ4回目の『カメラを止めるな!』にチャレンジするか!?
そうしたら、大阪・神戸・京都でカメ止めを観たことになるって、ちょっと嬉しい。
しかし、千日前の客よりも二条の客が笑うとも思えず、
悩みに悩んでから貯まったポイントを使って観ることに。
そうしたら、同じようなタイトルの『累―かさね―』よりずーっと良かった。

監督は月川翔。すんごい勢いで撮ってません?
『君の膵臓をたべたい』『となりの怪物くん』『センセイ君主』と立て続けに。
私は『君と100回目の恋』はまったく駄目でしたが、
ほかはどれもそこそこ以上に楽しめた気がします。

ある日、文芸誌『木蓮』の編集部に届けられた原稿。
それを読んだ編集者・花井ふみ(北川景子)は、天才の出現だと驚喜。
この原稿をなんとか形にして世に出したいと考えるが、
差出人の名前しか書かれていない封筒に連絡するすべがなく、困り果てる。

大人気作家・祖父江秋人(吉田栄作)の娘・凛夏(アヤカ・ウィルソン)の文壇デビューの話に、
祖父江家を訪れたふみは、そこに遊びに来ていた無礼な女子高生の名前を聞いてびっくり。
彼女こそふみが捜していた原稿の執筆者・鮎喰響(平手友梨奈)だった。

響の処女作『お伽の庭』はみごと『木蓮』の新人賞を受賞。
15歳の少女の作品が直木賞芥川賞にダブルノミネートされる自体に発展するが、
響の言動はとにかく型破り。
思ったままを口にして、怒りを見せるときには暴力さえも厭わない。
彼女の代わりに頭を下げつづけるふみだったが……。

喧嘩を売ってきた相手は誰であろうが殴り倒す。
「殺すぞ」と言ってきた不良(笠松将)の指を折り、
不遜な態度の新人作家(柳楽優弥)に飛びかかり、
ベテラン作家(北村有起哉)の顔面にも容赦なく蹴りを入れる。
ひどく暴力的なのですが、彼女の言い分は至極真っ当。

本作のいいところは、響に対して嫉妬や劣等感を持つ人びとが、
それでも彼女を欺いたりはしないこと。
響に言われたい放題、実は図星を指されて怒っていた人たちも、
自分の非を認める心を持っています。
だから観ていて嫌な気持ちになったりせず、痛快。
あ、高嶋政伸演じる編集長だけはすごく嫌な奴だった(笑)。

ぼろぼろの作家を演じた小栗くんを見ていると、作家も大変な仕事だなぁとしみじみ。
だけど、誰かひとりでもその小説を好きでいてくれる人がいたならば。
書き続けて。

最後に余談ですが、このタイトル、書くのに悩んだんです。
『響―HIBIKI―』か『響-HIBIKI-』か『響 -HIBIKI-』か。
馬鹿馬鹿しいと呆れられそうですが、こんなことも気になります
サイトによって表記の仕方もいろいろで、おそらく『響-HIBIKI-』が優勢。
公式サイトは『響 -HIBIKI-』なので、これを正しいとすべきでしょうが、
個人的好みから『響―HIBIKI―』を選択しました。すみません。
って、こんなん誰も気にしてへんやろっ!
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