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『教誨師』

『教誨師』
監督:佐向大
出演:大杉漣,玉置玲央,烏丸せつこ,五頭岳夫,小川登,古舘寛治,光石研他

これも前述の『マイ・サンシャイン』同様、
昨年の公開時にテアトルグループの劇場で観そびれたやつ。
塚口サンサン劇場で上映している間に行かなくては。
漣さんが急逝してからまもなく1年経つのですね。
本作は彼が初めてプロデュースも務めた作品で、かつ最後の主演作品。

教誨師とは、拘置所内で受刑者に対して教え諭す宗教家。
死刑囚と面会できる唯一の民間人なのだそうです。

牧師の佐伯(大杉漣)は月に2度、教誨師として拘置所を訪れる。

面会の相手は6人。
目を瞑ったままでまったく話をしようとしない鈴木(古舘寛治)。
関西弁でまくしたてる美容師の野口(烏丸せつこ)。
キリスト教に改宗したいというホームレス、進藤(五頭岳夫)。
訥々と自分のことを語る小川(小川登)。
気前のいいヤクザの組長、吉田(光石研)。
大量殺人犯の生意気な若者、高宮(玉置玲央)。

彼らが自らの罪ときちんと向き合い、悔い改めて、
死を迎えられるようにするのが佐伯の仕事。
実兄が殺人者だった佐伯は、時にはその話を受刑者にする。
自身の言葉が正しいものなのかどうか迷い、葛藤する佐伯だったが……。

死刑囚のドキュメンタリーならば過去にいろいろ観てきたはずなのに、
初めて知ることがいっぱいあって驚きました。
死刑囚は服装も髪型も自由、刑務作業もしなくてよい。
死をもって償うから、死刑が確定すればある程度の自由が許されるということでしょうか。

刑の執行が当日の朝に本人に知らされるのは『獄友』(2018)で知りました。
毎朝彼らがどう感じるのかを想像すると、キューッと胸が痛みます。
殺人犯の手に掛かった被害者のことを思えば、
そんな恐ろしさぐらい感じて当然だとも思ったりするわけですが、
それが冤罪だった場合にはあり得ない。
本作の死刑囚たちは冤罪ではないという設定だけれども、
自分に刑が執行されるとわかったときのある人物の演技が凄いです。

この本のレビューにも書きましたが、
私は漣さんの演技が上手いなぁと思ったこと、正直に言うとありません。
かといっていかにも演技をしているふうでもない。
教誨師を演じる漣さんは、まるで教誨師そのものでした。
つまりこれこそが演技が上手いということなのですよね、きっと。

あらためて、漣さんのご冥福をお祈りします。
—–

『マイ・サンシャイン』

『マイ・サンシャイン』(原題:Kings)
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ハル・ベリー,ダニエル・クレイグ,ラマー・ジョンソン,
   カーラン・KR・ウォーカー,レイチェル・ヒルソン他

『銃』を観た翌日も塚口サンサン劇場へ。
サンサン劇場での過去2度の鑑賞は、いずれもシアター1でした。
ここが席数50に満たない小さなシアターだったから、
あと3つあるシアターもそのぐらいの広さというのか狭さだと思い込んでいました。
そうしたらそうじゃなかった。シアター3は席数165。広っ!

ハル・ベリーダニエル・クレイグが出ているから観たかったのに、
12月の公開時にシネ・リーブル梅田で観そびれたやつ。
こうして書こうとしてビックリ、アメリカ作品じゃないのですね。
フランス/ベルギー作品とは、へ~っ。
しかも監督はトルコ出身、デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン。40歳の女性です。
ロサンゼルス暴動について調べるために、何度も現地へかよったとか。

1990年代初めのロサンゼルス、決して裕福とはいえない層が暮らす地域。
ミリーはケーキを焼いて日々の生活費を稼いでいる。
なんらかの事情で両親と暮らせない子どもを見ると放っておけず、
次から次へと自宅へ引き取ってきて世話をするホストマザー。

隣人の男性オビーは荒々しい気性の持ち主。
なにかと騒がしいミリーの子どもたちも怒鳴りつけられることしょっちゅう。
しかしそんなオビーが実は優しいことを知っているのか、
子どもたちは怖がるどころかむしろ面白がったりもしている。

巷ではロドニー・キングが白人警官に殴打される事件が起こり、
また、ラターシャ・ハーリンズが万引きを疑われて
韓国系アメリカ人の店主によって射殺される事件も起きたばかり。
人種間の対立が深まり、大規模な暴動が巻き起こるなか、
家を飛び出した子どもたちを探そうと駆けずり回るミリーにオビーは協力するのだが……。

原題の“Kings”はロドニー・キングとキング牧師を示すのでしょう。

10年以上前に本作を企画して取材を始めたという監督。
本作を観れば、ロサンゼルス暴動がいかにして起こったのかは知り得ます。
しかし、全体としてはなんだか散漫なイメージ。
オビーの人となりもよくわからないので、いきなりいい人になるところは目が点に。
ダニエル・クレイグだから許せるものの、
名も知らない俳優が同じ役を演じていたら、「はぁ?」と言いたくなったでしょう。

シリアスな状況のなかでのミリーとオビーの会話も、
笑わそうとしているのかどうなのかわかりません。
結局私は笑ってしまったけれど、笑うところじゃなかったのかも。

実際の主役は、ミリーと暮らす子どものうち最年長者のジェシーなのに、
ミリーとオビーに焦点を合わせたいふうにも感じられてどっちつかず。
バランスの悪い作品だと感じました。ちょっと残念。
—–

『銃』

『銃』
監督:武正晴
出演:村上虹郎,広瀬アリス,日南響子,新垣里沙,岡山天音,
   後藤淳平,村上淳,リリー・フランキー他

ひょっこり1本だけ観る時間ができたので、
メンバーズカードをつくって以来1度しかおじゃましていなかった塚口サンサン劇場へ。
なかなかおじゃまする機会がないのは、この劇場がイマイチだからとかではありません。
ロードショー作品だとマイルを貯めるためにTOHOシネマズを優先してしまうし、
ロードショー作品以外だと数カ月前にすでに観ている場合が多いから。
しかし去年は『ボ・ラプ』をあんなに観たせいで、観逃した作品もいっぱい。

塚口サンサン劇場はイマイチどころか素晴らしい。
建物自体は古びていて、外観だけ見ると入るのをちょっと躊躇してしまう。
ところがいつ行っても清掃が行き届いていて、お手洗いなんて感動ものです。
“妖怪ウォッチ”などの子ども向け作品も上映しているから、
シネコンでありがちな床びちゃびちゃなんてこともありそうなのに、
ものすごくこまめにお掃除されているようで、
トイレットペーパーの切れっ端ひとつ落ちていません。
劇場内はもちろんのこと、階下のロビーも綺麗で実に快適。嬉しくなってしまう。

武正晴監督の作品はわりとよく観ています。
『モンゴル野球青春記 バクシャー』(2013)、『イン・ザ・ヒーロー』(2014)、
『リングサイド・ストーリー』(2017)、『嘘八百』(2017)。
そして、なんといっても大好きだった『百円の恋』(2014)。
私にとってはいつもイイ感じだったから、
原作が難解にちがいない中村文則であっても楽しめそうだと思っていたのですけれど。

大学生のトオル(村上虹郎)は、通りかかった河原で拳銃を拾う。
そばに横たわる男に弾が撃ち込まれていることは確かだが、
好奇心を抑えきれず、そのまま自宅に拳銃を持ち帰る。

友だちのケイスケ(岡山天音)に誘われて行った合コンで知り合った女(日南響子)とセフレに。
大学の食堂では誰だか知らない女(広瀬アリス)がなれなれしく声をかけてくる。
隣室に引っ越してきたのはケバい母親とその幼い息子で、息子は虐待を受けている様子。

あるとき、銃を撃ってみたくなったトオルは、夜の公園へ。
醜い野良猫を見つけて銃をぶっ放す。
その数日後、刑事(リリー・フランキー)がトオルを訪ねてきて……。

全編モノクロで終盤わずかなシーンのみカラー。
銃を持つことによって変化が生まれたトオルの心の内を
色に映し出しているといえばそうなのですが、
私にはやはり芥川賞作家の作品は意味不明。
どいつもこいつも嫌な奴で、共感できる人もシーンもひとつもないし。

武監督作品の脚本を担当していたのは、これまでは監督以外の人。
本作で初めて監督本人が脚本を担当された様子。
でも、別の人にまかせたほうがよかったのかもしれません。
今までの自分とはちがう作品を撮ろうとした意気込みは感じるけど、
虹郎くんの演技が下手に見えてしまうのも脚本のせいなのか。

唯一面白かったのは、親子共演のシーン。
名も無いオッサン役で最後に登場する村上淳。並んで座る村上虹郎。
口の中に銃を突っ込んで撃ち抜かれる役であっても嬉しいもの?
あ、ネタバレ、すみません。(^^;
—–

『チワワちゃん』

『チワワちゃん』
監督:二宮健
出演:門脇麦,成田凌,寛一郎,玉城ティナ,吉田志織,村上虹郎,仲万美,古川琴音,
   篠原悠伸,上遠野太洸,松本妃代,松本穂香,成河,栗山千明,浅野忠信他

レディースデーに劇場へ行く機会があれば逃すわけにはいきません。
終業後に2本ハシゴするとかなりへろへろになりますが、
2本目が『ボヘミアン・ラプソディ』ならば大丈夫。22回目(笑)。

109シネマズ大阪エキスポシティにて。
『ボ・ラプ』の前に観ることにしたのは本作で、原作は岡崎京子の同名短編コミック。
若手実力派といわれそうなキャストと共に栗山千明浅野忠信も出演していて、
すごく面白そうじゃないですか。
期待して観に行ったのに、なんと“おひとりさま”でした。
調べてみたら、前回おひとりさまだったのも同じ劇場で約2年前
私のために映画が上映される(というのとは違う?(笑))って、なんて素敵、贅沢!
もちろんエグゼクティブシートの真ん中に陣取って、靴を脱いで鑑賞。

ミキ(門脇麦)たち20歳前後の男女が集うバー“セジウィック”。
ミキとヨシダ(成田凌)、カツオ(寛一郎)、ユミ(玉城ティナ)、キキ(仲万美)、
サヤカ(古川琴音)、ハラダ(篠原悠伸)、アキラ(上遠野太洸)、サヨコ(松本妃代)は、
映画監督志望のナガイ(村上虹郎)から声をかけられたことがきっかけで
なんだかんだと顔を合わせているうちに親しくなった。

ある晩、ヨシダが新しい彼女としてチワワ(吉田志織)を連れてくる。
ヨシダに想いを寄せていたミキは少なからずショックを受けるが、
チワワは可愛いいうえに何もかもが型破りで行動が読めない。
ヨシダが惹かれるのも無理はないと思える。

みんなと過ごした時期が青春の一コマになりかけた頃、
東京湾で見つかったバラバラ死体の身元がチワワだと判明。
モデルとして人気のあったチワワのことを取材したいと
ライターのユーコ(栗山千明)から申し込まれ、ミキはそれを受ける。

チワワと初めて会った日。
バーの客が600万円ものよからぬ金を所持していることを知り、
チワワが大胆な行動に出たおかげでその金を奪取。
みんなでその金を使って旅行した思い出。
チワワは「私たちの青春の自爆テロ」だったと語るミキは、
自分以外の誰かの目に映っていたチワワを知りたくて、
仲間たちにのひとりひとりから話を聴きはじめるのだが……。

映像も音楽もスタイリッシュなのですが、なんだか痛々しい。
懐かしく切ない青春時代というのではなく、
虚ろで寒々しい印象があって、鑑賞後の気分はあまりよくありません。

売れっ子カメラマン役で出演している浅野忠信にも苦笑い。
こういう彼はあまり見たくないかなぁ。
女優陣の肌があんまり綺麗じゃないところまで見せるのはスゲェ(笑)。

だいたい普通、悪人からとはいえ600万円を盗んだ話は
ライターになんてできないですよね。
その辺からしておとぎ話ではあります。
ヘヴィーで空虚なおとぎ話という感じ。

もうちょっと「あの頃はよかった」とこちらが共感できる話のほうが良いです。
原作は気になる。
—–

『マスカレード・ホテル』

『マスカレード・ホテル』
監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉,長澤まさみ,小日向文世,梶原善,東根作寿英,石川恋,
   生瀬勝久,松たか子,鶴見辰吾,篠井英介,石橋凌,渡部篤郎他

ダンナ出張中は羽を伸ばしていたとはいえ、
いつもどおり食パンを買いに行かなければならないし、
それをダンナ実家に届けなければならないのも同じ。
そんな日は2本ハシゴはできないから、これ1本だけ。
109シネマズ箕面にて。

“いきなり文庫”の『白銀ジャック』が出版された頃、
同時期の『カッコウの卵は誰のもの』もなんだかなぁな出来だったので、
東野圭吾もう駄目かもと思っていました。
ところがその後に出た『マスカレード・ホテル』はかなり面白くて(切なさは足りんけど)、
やっぱり東野圭吾おもしろいと思ったのでした。

ミステリーではありますが、「グランド・ホテル形式」群像劇
豪華キャストでこれをやられたら、それだけで楽しい。
既視感があると思ったら、『本能寺ホテル』(2017)と同じ鈴木雅之監督。

都内で発生した殺人事件3つの間に関連はないものと思われていたが、
現場に残された暗号が次の犯行場所を示していると判明。
3つめの事件が指し示したのはホテル・コルテシア東京。

警察はホテルでの潜入捜査を決断。刑事たちがホテルマンになりすます。
頭は切れるが人の言うことを聞かないエリート刑事・新田(木村拓哉)は、
フロントクラークを担当することに。
彼の指導係となったのは、優秀な女性フロントクラーク・山岸(長澤まさみ)。

わがままな客たちに新田は耐えられず、最初からキレそう。
そんな新田を山岸はフォローするものの、裏では大喧嘩。
犯人逮捕しか頭にない新田と、お客様第一の山岸が上手くいくはずもなく……。

客を演じる役者陣は、濱田岳に始まり、笹野高史高嶋政宏菜々緒
生瀬勝久橋本マナミ田口浩正などなど。
挙式予定の客として前田敦子。実生活で彼女の夫の勝地涼も怪しげな役で。

殺人事件そのものはちょっとややこしくて、頭に入ってきません。
どうでもいいっちゃどうでもいいというのか。
それよりも、殺人に関係のない客たちの行動の意味がわかるときのほうが面白い。

群像劇はやっぱり大好きです。
きっとあちこちに伏線やお遊びがあるのでしょうから、
それを見つけるために何度も観てもいいのだろうと思うのですが、
そうとはならないところが『ボヘミアン・ラプソディ』と違うんだなぁ(笑)。

明石家さんまが友情出演していると知ったのはエンドロールが回り始めてから。
全然気づきませんでした。
それを確認するためにもう一度観ませんかね、私。観ないよなぁ。
—–