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『アリータ:バトル・エンジェル』

『アリータ:バトル・エンジェル』(原題:Alita: Battle Angel)
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ローサ・サラザール,クリストフ・ヴァルツ,ジェニファー・コネリー,
   マハーシャラ・アリ,エド・スクライン,ジャッキー・アール・ヘイリー他

なんばパークスシネマで5本ハシゴの4本目。
この日のハシゴはいつものハシゴのように終映時間と上映時間とかぶっていることもなく、
ほぼ完璧といえるハシゴだったのですが、
本作とその前に観た『THE GUILTY/ギルティ』については終映と上映の時間が同じでした。
あ、これをかぶっているというのか。(^^;

予告編、めちゃめちゃ流れていましたよね。
ジェームズ・キャメロンが出てきてしゃべっていたから、彼の監督作かと思ったら、
脚本と製作が彼なのだそうで、監督はロバート・ロドリゲス
『デスペラード』(1995)とか『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)とか、懐かしい。
『マチェーテ』(2010)や『シン・シティ 復讐の女神』(2014)なども観ましたが、
私の印象に残っているのは昔の作品のほうだなぁ。

木城ゆきとの伝説的コミック『銃夢』の実写映画化とのことですが、
私は『銃夢』を知りません。そんなに凄いものなんですか。
気になる。けど、とても漫画にまで手を出している時間はないっ。

このところ、20世紀フォックスといえば、
『ボ・ラプ』バージョンのファンファーレばかり聞いていたから、
この普通バージョンはなんだか新鮮です。
そしてそのロゴが「26世紀フォックス」に変わるオープニングも洒落ている。

26世紀、世界は“ザレム”と“アイアンシティ”に二分化されている。
“ザレム”は富裕層が暮らす天空の都市。
“アイアンシティ”はザレムから排出された廃棄物が堆積する屑鉄の町

アイアンシティで壊れたサイボーグを診る医師イドは、
屑鉄の山の中からサイボーグ少女の頭部を発見する。
彼女は300年前のサイボーグで、奇跡的に脳はまったく傷ついていない状態。
イドが彼女に新しい機械の身体を与え、“アリータ”と名づける。
目覚めたアリータは一切の記憶を失っていたが、イドを父親として慕う。

町へと飛び出したアリータは、青年ヒューゴと出会う。
ザレムへの憧れを熱く語るヒューゴに惹かれるアリータ。

ヒューゴから若者の間で流行っているスポーツ“モータボール”に誘われて参加すると、
アリータは周囲の度肝を抜くほどの高い身体能力を発揮。
記憶は戻らないままだが、アリータの戦闘力は並みではないとわかる。

その頃、アイアンシティではサイボーグが襲われる事件が多発していた。
サイボーグが独りでいるところを何者かが襲い、部品を盗んで売っているらしい。
夜間にこっそり出かけようとするイドを見かけたアリータは、
よからぬことが起こるのではないかと後をつけるのだが……。

アリータのヒューゴに媚びるような目が気に入りませんが(笑)、
それ以外は大画面で観る楽しみを味わえました。

悪人役が多いクリストフ・ヴァルツがこの上なく善良な医師イド役。
その元妻チレンを演じるのがジェニファー・コネリー
イドとチレンはもともとはザレンの住人で、チレンはザレンに戻ることを諦めていません。
それゆえ、ザレンへの伝手となる悪党ベクターを手伝っていますが、
終盤の彼女の「母親であり、医師であることを思い出した」行動には涙。
ちなみにベクター役はマハーシャラ・アリ
このたび『グリーンブック』で第91回アカデミー賞助演男優賞を受賞。
それとはまるでちがう悪い奴を本作では演じています。

なんだかこれも続編があっても不思議ではない終わり方なんですが、あるんですか。

それはそうとひとこと言いたい、隣の家族三人連れ。
明らかに親の趣向で観に来たようで、お嬢ちゃん最初から退屈そう。
それでもなんとか大人しく耐えているのに、パパママ、途中でスマホ見るなよ。
映画の途中で親がスマホを何度もチェックするのを見て育ったら、
そりゃ子どもも普通にスマホ見るようになりますよね。映画館に来んといて。
—–

『THE GUILTY/ギルティ』

『THE GUILTY/ギルティ』(原題:Den Skyldige)
監督:グスタフ・モーラー
出演:ヤコブ・セーダーグレン他
声の出演:イェシカ・ディナウエ,ヨハン・オルセン,オマール・シャガウィー,
     カティンカ・エヴァース=ヤーンセン他

なんばパークスシネマで5本ハシゴの3本目。

まったくノーマークだったデンマーク作品。
同劇場の上映スケジュールを調べているときに知り、あらすじを読んだら超好みっぽい。
本作鑑賞の優先度が『ボ・ラプ』の次に上昇し、速攻で予約しました。
当日の朝、残席わずか。12:40からの上映でしたが、12時前には満席に。
監督も俳優も日本での知名度ゼロに等しく、低予算の作品なのに満席って、
こういうときにはやっぱり難波って凄いなと思ってしまう。
マニアが集う街とでも言えばいいでしょうか。

監督が知名度ゼロなのは当たり前、これが長編デビュー作。
主演のヤコブ・セーダーグレンは『光のほうへ』(2010)で見ています。
けど、覚えられないでしょう、こんな名前(笑)。

捜査中にトラブルを起こし、謹慎の意味で現場を外された警察官アスガー。
緊急通報司令室勤務となり、オペレーターを務めている。
翌日の裁判でお咎めなしとなるはずだから、職場復帰まであと少しの辛抱。

かかってくる電話は、酔っぱらいが転んだり、風俗街でひったくられたりと、
いずれも自業自得だと言いたくなるような案件ばかり。
適当に相手をしていたところ、誘拐事件とおぼしき1本の電話が。

電話の相手はイーベンと名乗る女性で、走行中の車の中にいるらしい。
誰かに拉致され、家族に電話をかけているふりをして通報を試みた様子。
緊急通報司令室にかけたことが犯人にわかれば、イーベンの命が危ない。
アスガーは少ない情報を頼りに犯人の特定とイーベンの救出に挑むのだが……。

スクリーンに映し出されるのは緊急通報司令室のみ。
同僚たち何人かの姿は映るし、彼らとの会話も少しはありますが、
それ以外の場面はいっさい無し。

『セルラー』(2004)は監禁された女性がたまたま繋がった携帯の主に助けを求める作品でした。
状況としてはそれと非常に似ていますが、『セルラー』は電話の女性がキム・ベイシンガー
繋がった携帯の相手がクリス・エヴァンス、犯人がジェイソン・ステイサムですからね。
3人とも映さないわけにはいきません(笑)。

アスガー以外スクリーンに映らない状況のなか、
声だけで舌を巻く演技を見せる(聞かせる?)のがイーベンの幼い娘マチルド役の
カティンカ・エヴァース=ヤーンセン。
どんな子なのか知りませんが、この名前は覚えておきたい。凄い。

謹慎中のアスガーには犯人を特定する職務も権利もない。
けれど警察官としての性なのか、突き止めずにはいられません。
事件の真相に愕然とし(ちょっとはそれも疑いましたけど)、
それと共に明らかにされるアスガーが起こしたトラブル。
この事件のおかげでアスガーは人間性を取り戻します。

思い込みは恐ろしい。
サスペンス劇を堪能。北欧作品、面白くってたまらん。
—–

『天才作家の妻 40年目の真実』

『天才作家の妻 40年目の真実』(原題:The Wife)
監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ,ジョナサン・プライス,クリスチャン・スレイター,
   マックス・アイアンズ,ハリー・ロイド,アニー・スターク他

なんばパークスシネマで5本ハシゴの2本目。

スウェーデン/アメリカ/イギリス作品。
封切り直後の新作とこれと、どれを観るか迷いに迷い、
やはりこれは観逃してはあかんだろうと選択。
観てよかったとしみじみ思いました。凄い。

アメリカ・コネティカット州
ジョゼフ・キャッスルマンは現代文学の巨匠として名高い作家。
その彼のもとへ、ノーベル文学賞受賞の報せが届く。
ジョゼフと40年連れ添う妻ジョーンはベッドの上で飛び跳ねて大喜び。

自宅で大勢の客を招いて祝いの会を開いたあと、
ジョゼフとジョーン、その息子デビッドはノーベル賞授賞式に出席するため、
スウェーデン・ストックホルムへと飛び立つ。

その飛行機の中で声をかけてきたのは、伝記作家ナサニエル・ボーン。
以前からジョゼフの伝記を書きたいとしつこく、
ジョゼフはこんなところまで追いかけてくるのかと舌打ち。
ナサニエルに夫の非礼を詫びるジョーン。

ストックホルムに到着すると、授賞式までの数日を優雅に楽しめるよう、
ジョーンの世話係やジョゼフのカメラマンを紹介される。

どこへ行っても糟糠の妻のイメージで見られることに疲れたジョーンが、
ひとりで過ごしたいと主張して街へ出かけた日、
ナサニエルにつかまって一緒に一杯飲むことに。
そこでナサニエルがジョーンに次々と突きつける事実。

要はジョゼフが二流作家で、ゴーストライターを務めていたのがジョーン。
いろいろと調べ上げたナサニエルがそれに気づいてしまったのです。

ま~、このジョーンがほんとにできた妻。
それに対し、もとは彼女の大学で文学の教鞭を執っていたのがジョゼフ。
妻子のある身でありながら、学生に手を出したところからもうアカン。
しかもジョーンの才能には遠く及ばない、良いとこ無しの男です。

それでも時代が時代。
力強い文章を書く女性は好まれず、晴れて作家になったところで、
著書は母校の本棚に飾られるだけ。
良い作品だから売れるわけではなく、出版社の売り方次第。
そして出版社は決して女性作家の作品を推さない。

ジョーンは書くのが好きだった。書くことさえできればよかった。
それがたとえ夫の作品として世に出るとしても。

ジョゼフの浅はかなところというのか、男性の浅はかなところといってもいいのか(笑)、
どこへ出ても妻を褒めたたえれば、妻が機嫌のよいままだと思っている。
アホじゃなかろか。そんな単純なものじゃない。

能天気な浮気爺を演じるジョナサン・プライスも上手いけれど、
圧巻はなんといってもグレン・クローズの演技。シビレます。
大画面で観なくてもいい作品かなと思っていましたが、とんでもない。
めっちゃ面白かった。

そうそう、驚いたのはノーベル賞受賞者のおもてなし。
就寝中にいきなり聖歌隊が部屋を訪れたりするんですか。
暗闇のなか、頭にローソク立てた子どもが急に来るなんて、
愛らしいなんてとても思えません。怖いがな。(^^;
—–

『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』

『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』(原題:Saturday Church)
監督:デイモン・カーダシス
出演:ルカ・カイン,マーゴット・ビンガム,MJ・ロドリゲス,
   レジーナ・テイラー,マルケス・ロドリゲス他
先週の土曜日、なんばパークスシネマで5本ハシゴ。
狙いはもちろん夕方より上映の『ボヘミアン・ラプソディ』の爆音絶叫上映。
その前に4本は観られそう。
シネマート心斎橋やTOHOシネマズなんばとハシゴすることも考えたけれど、
あちこちうろうろするのが面倒になって、結局5本とも同劇場で。
その1本目に選んだのは本作でした。
不良少年たちが教会に集まって歌うようになる、そんな話を想像していました。
そもそも私、劇場で250本以上観るわりには、
事前に内容を調べることをほとんどしないんですよねぇ。
時間の効率とタイトルの響きだけで選ぶことも多いから、
観に行ってビックリの内容だったなんてこともしょっちゅうで。
原題の「サタデーチャーチ」とは何か。
教会で実施されている、LGBTQの人々を支援するプログラムのこと。
LGBTはもはや誰もが知っている言葉になりつつありますね。
最後のQは ジェンダークィア。自身の性自認や性的指向が定まっていない人を指す言葉。
本作が長編デビュー作となるデイモン・カーダシス監督は、
サタデーチャーチが実施されている教会でボランティアをしていた経験があるそうです。
ニューヨーク。
14歳の少年ユリシーズは、母親アマラと弟エイブの3人暮らし。
父親を亡くし、生活のためにアマラの夜勤が増えたことから、
アマラの姉ローズがユリシーズとエイブの世話を買って出る。
ありがたいことではあるが、ローズは小言ばかりでとても厳しい。
ユリシーズには誰にも言えない秘密があった。それは女装に惹かれるということ。
母親のクローゼットに忍び込んではハイヒールやストッキングを穿いてみる
同級生らには彼の指向がなんとなくわかるらしく、オカマと言っていじめられる。
それを知ったローズからも酷い言葉を投げつけられたユリシーズは、家を飛び出す。
彼がたどり着いたのはLGBTQが集まる場所。
不安げに佇む彼に、ドラァグクイーンのエボニーやゲイのレイモンドが話しかける。
サタデーチャーチに行く途中だったエボニーたちは、ユリシーズも誘う。
家庭でも学校でも居場所を見つけられずにいたユリシーズは
初めてそのままの自分を受け入れてくれた場所にやすらぎを感じるのだが……。
映画としての完成度はあまり高くないように思ってしまいます。
唐突に始まるミュージカルシーンにも違和感。
ミュージカルとカテゴライズするほど歌って踊るシーンは多くなく、
また歌そのものにもそんなに惹かれないのが残念。
それでも観てよかったと思える作品でした。
家出したユリシーズが金を得るために初めて身を売るシーンなど、辛すぎる。
そんな彼を「誰もが通る道だから気にしちゃ駄目」と励ますエボニーたち。
差別はなくなってきていると思いたいけれど、彼女たちの生きる道はまだまだ厳しい。
ローズの横暴ぶりは目に余るほど。この差別意識はなんとかならんのか。
柴田理恵にちょっと似ていて、今後柴田理恵を見たら腹を立ててしまいそう。(^^;
私、ひそかにナジャ・グランディーバのファンなのです。
毎週火曜日の帰り道は、車の中で彼女(でいいですよね?)が出演するラジオ番組を聴いています。
数週間前、子どもの頃、将来何になりたいかという作文に、
彼女は「お父さん」と書いたという話が。
「お父さんって書いてたのに、こんなオカマになって、
親の気持ちを考えると居たたまれない」と彼女。
大笑いしながら話していたけれど、ちょっぴり切なかったです。
いつまでも見守って何も言わずにいてくれるお父さんとお母さん。
この映画のローズとはえらい違い。

—–

2019年2月に読んだ本まとめ

2019年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3658ページ
ナイス数:1148ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■七つの会議 (集英社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作が凄く面白かったことは当然覚えていますが、記憶力が急降下している今日この頃、2年近く前に読んだ本の詳細なんてほぼ丸ごと忘却の彼方へ。問題の会社が何屋さんだったかも忘れている。それよりも池井戸作品のあちこちに出没する「ネジ」ですよネジ。萬斎さんが現代を舞台にした時代劇とおっしゃっているとおり、豪華おっさんキャストの大立ち回りを観ているかのよう。今どきのボソボソじゃなくて皆はっきり喋ってくれるから聴きやすい。大げさであっても共感を得やすいでしょうね。万人受け確実。
読了日:02月02日 著者:池井戸 潤
https://bookmeter.com/books/10352506

■甘い罠 (講談社文庫)
帯の「炭水化物は善か悪か」に惹かれて購入。終盤まで米も日本酒も菓子も毒扱いされ、糖質オフの推奨の仕方は新興宗教かと思うほど。ここまで否定するかと嫌な気分に。女優より美人の料理研究家に私が嫉妬しているのかもしれません(笑)。そういう意図だったのかとわかるのは著者のあとがきを読んでから。なるほど、経験談に基づいていたのですね。糖質を悪だと言いたかったのではないんだと、そこまで読んでようやく納得。「羊羹一切れで優しくなれる自分が愛おしい」、この一文にはホッとしました。何事もバランス、上手く取り入れたいものです。
読了日:02月03日 著者:鏑木 蓮
https://bookmeter.com/books/11143894

■原調 (講談社文庫)
交通事故の加害者側が契約する損保会社の保険査定員・滋野による原調=原因調査。滋野の心情はほとんど窺えず、淡々と調査を進めるデキる査定員という印象。かといって冷ややかなわけでもなく、事故を公平な目でつぶさに見ようという姿勢に好感を持ちました。ただ、事故の真相はやるせないものばかり。なぜこんな事故が起きたのかが明かされて、しんみりするというよりはやるせない気持ちでいっぱいになります。読後どんより。面白かったけれども、私の好みとしては、結末が「めっちゃいい話」か「どん底に突き落とされるほど嫌な話」のほうがいい。
読了日:02月06日 著者:遠藤 武文
https://bookmeter.com/books/11182832

■あひる (角川文庫)
ひっそりとした家庭であひるを飼い始めたら、近所の子どもたちが立ち寄るようになって一気に賑やかになった。それが嬉しい両親は、あひるの元気がなくなるたびに次のあひるに取り換える。子どもたちは気づいていないかと思いきや、言わないだけで知っている。同じあひるなんだもの、居さえすればいいのです。人も同じ。会社の中ではそこに誰か居さえすれば仕事は回る。あひると違うのは、人はそれを認めたくない場合が多いということか。『こちらあみ子』に惹かれた人にはお薦め。あっというまに読める薄さなのに余韻大。無邪気か無関心か無気力か。
読了日:02月07日 著者:今村 夏子
https://bookmeter.com/books/13357336

■魍魎桜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
何度も言っていることですが、今いちばん楽しみにしているシリーズです。春菜が今回はいきなりガールズトークを喜んでいる。そんなの春菜じゃねぇ!と思ったら最初だけでした。ほっ(笑)。地滑りが起きたせいで発掘されたミイラ。それを移送したら現れ始めた老婆の幽霊。お得意の悲恋は今回もたまらなく切ない。今までで最も怖くなかった気はするけれど、でも夜中に目が覚めてババアに乗りかかられていたら怖いか。何でも曳きますねぇ、仙龍さん。和尚といい棟梁といい、オジサンたちがステキ。パグ男はもうずっと出んでええし。はよ次たのんます。
読了日:02月11日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13450851

■嫉妬事件 (文春文庫)
うんこうんこうんこって。270頁ばかしのこの本に、いったい何回「うんこ」という語が出てくるのか数えてみようかと思いましたが、アホくさいのでやめました。大学のミステリー研究会の部室、本棚の上のほうから1冊抜き取ろうとしたらうんこ被弾なんて、想像するだけでおぞましい。誰がどんな動機でこんなものを仕掛けたのか。最初は眉間に皺が寄り、途中から幾分慣れて笑いもしましたが、最後に至るまで相当に悪趣味です。他の推理作家に同じ設定で書いてみてほしいかも。高島先輩がうんこに突っ込んだ指を洗った様子がない。勘弁してよ、もう。
読了日:02月14日 著者:乾 くるみ
https://bookmeter.com/books/4348227

■浪花の歌う巨人パギやんの「在日」無頼控
浪速の歌う巨人パギやんこと趙博さんの「歌うキネマ」を初めて観に行ったのが3年前。1本の映画を語りと歌で丸ごと再現するというものです。凄く面白くて直ちにファンになりました。政治的な話は避けたい私がいますが、「歌うキネマ」に誘ってくださった方が貸してくださり、映画『アイ(子ども)たちの学校』を鑑賞したタイミングで読む。さまざまな歌や詩に涙が溢れ、これはパギやんから「あまり感動しないでください」と言われてしまうケース(^^;。相模原虐殺事件の犯人のTwitter的返信になるほど。私たち、無関心でいてはいけない。
読了日:02月17日 著者:趙 博
https://bookmeter.com/books/12860432

■向田理髪店 (光文社文庫)
最近、この手の本を読むと、自分が奥田英朗を読んでいるのか荻原浩を読んでいるのかわからなくなります。これは私のせいなのか、みんな歳取って似通ってきたせいなのか。なんにせよ、私はこういうのが好きなのでしょう。田舎の居心地良いとこ悪いとこさまざま。色っぽい四十路女が開業したスナックにおっさん共が通うくだりには「男って」。しかしそれに嫉妬するおばはん共には「女って」。村起こしに燃える若い衆を見て、親たちは「馬鹿が張り切ると始末に負えん」と笑うけれど、それでも夢を見させてくれるほうがいい。こぢんまりとした奥田さん。
読了日:02月19日 著者:奥田 英朗
https://bookmeter.com/books/13364308

■月光 (中公文庫)
私、誉田哲也慣れしていません。好きだったのは断トツで『プラージュ』だけど、凄惨な描写に定評のある人だから、悲惨なほうの作品も読んでみよかと。それにしても「衝撃のR18ミステリー」は煽りすぎじゃないですか(^^;。女性読者を不愉快にさせたくて書いたのかと思うほど嫌な話。しかし400頁近くを一気読みさせられてしまったのですから、面白かったと認めざるを得ないか。実際にどこかで起きているかもしれないことで、絶望的な気分にさせられます。何にせよ上手いんでしょうね、誉田さん。このシュッシュと読める感じは東野圭吾並み。
読了日:02月21日 著者:誉田 哲也
https://bookmeter.com/books/6522905

■ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス (新潮文庫)
芥川賞受賞作ではないけれど、選考会では結構推されていた模様。芥川賞っぽい。『ボ・ラプ』の「ジミヘンを知る俺が」という台詞が頭に残っていなかったら、この本を買わなかったかも。原付で走った東北の旅を振り返る。地震やテロがいかにもという感じで絡められている小説は正直言って苦手ですが、本作はさりげない。誉田哲也の『月光』を読んだ直後だったから、同じ教師と生徒でもこんなふうに描かれれば笑顔。女教師と男子生徒がお互いの裸体モデル、しかも生徒側は2人並んでフルチンなんてところを想像すると可笑しい。記憶はいったい何処へ。
読了日:02月22日 著者:滝口 悠生
https://bookmeter.com/books/12739644

■スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
今回はスマホは落としていないのに、スマホもPCもハッキングされまくり。ここに書いてあることって、本当にできることばかりなんだろうと思うと怖っ。この著者の作品はどれも、それなりにえぐい事件が軽い文体で書かれていて、私の好みとはちょい違う。でも速攻で読めるから、冊数稼ぎについ。そしてまずまず面白い。しかしこの人、すっかりスマホミステリー作家ですやん。新刊コーナーに並んでいるのもスマホでしょ。いつまでスマホネタで引っ張るつもりやねんと思うけど、読みやすいからたぶん次も買う。いまだにスマホを持っていない私です。
読了日:02月24日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/13210967

■城崎へかえる
城崎温泉へ行った人からお土産に貰い、昨日つぶやいたばかり。読メで登録するのは無理だろうと勝手に思い込んでいて何気なく検索したら、あるやん。さすが。メモ帳だったりしてと思ってしまう装丁に、くれた人の目の前で開封したらちゃんと本でした。外は茹でたカニ風、中は和綴じ風。著者が城崎温泉に縁があるのかどうか知りませんが、まるで彼女の自伝を読んでいるかのよう。イヤミスの女王による、イヤミスのかけらもない優しい話で、温泉に癒やされにきた人に売るにふさわしい。読書好きのツボを突くお土産だなぁ。万城目ちゃん版も読みたいぞ。
読了日:02月26日 著者:湊かなえ
https://bookmeter.com/books/11751442

■雪のマズルカ (創元推理文庫)
主人公のプライドの高さといったら、富士山ぐらいあるんじゃないかと思うほどなのです。探偵だった旦那が浮気相手と事故死して、その稼業を継ぐことにした彼女。男にナメられないようにするためなのか、常に上から目線。でもモテるのよと言いたげだし。肩の力を抜いているふうを装って実は常に緊張していそう。そんな彼女を好きにはなれなかったけれど、なんとなく気になってしまう、そんな存在。ミステリーとしては物足りない。ハードボイルドであることは間違いない。表紙に女性が描かれていることに気づいたのは読後。こんな可愛い人でしたか。
読了日:02月27日 著者:芦原 すなお
https://bookmeter.com/books/514980
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