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『ブラック・クランズマン』

『ブラック・クランズマン』(原題:BlacKkKlansman)
監督:スパイク・リー
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン,アダム・ドライヴァー,ローラ・ハリアー,トファー・グレイス,
   コーリー・ホーキンズ,ライアン・エッゴールド,ヤスペル・ペーコネン,ハリー・ベラフォンテ他
 
ダンナ出張中で毎晩映画三昧できるはずなのに、風邪をひきました。
先週初めから喉が痛くて、これは普通なら鼻に来て熱も出るパターン。
なのに先週は土曜日も出勤予定だったから寝込んではならぬと自らに言い聞かせ、
毎日仕事帰りにとりあえず1本ずつは観ました。
 
金曜日、体調は恐ろしく悪かったけれど、「明日の仕事が終わるまでは倒れちゃ駄目」と、
さらにハードなスケジュールを自分に課し、終業後に2本観ることに。
次年度に繰り越せない有休のうち、時間休が1時間だけ残っていたので、
16:15に上がって、なんばへ向かいました。
 
17:50からTOHOシネマズなんば別館で上映開始だった本作。
16:15に職場を出れば余裕で間に合うと思っていたのに、すでに中環も新御もババ混み。
いつも駐める堺筋沿いのタイムズに入庫したのは17:40でした。ギリギリ。
 
『グリーンブック』のオスカー作品賞受賞を「最悪」と称したスパイク・リー監督。
それを聞いてさぞかし小難しい作品を撮る人なのだろうとお思いになった方。
そんなことはありません。
アメリカで黒人の置かれた状況、そして今も置かれている状況を
ユーモアを織り交ぜつつきっちりと描いている人です。
 
映画のネタになる話がどれだけ転がっているねんと思うほど、実話が基の作品が多い。
そんな中でもこれはぶっ飛び。実際にあったことだなんて。
タイトルの「クランズマン」は白人至上主義団体“KKK(クー・クラックス・クラン)”のメンバーを指します。
「ブラック」だから、「黒人のKKKメンバー」ということですよね。あり得ないけどあったこと。
なお、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンはデンゼル・ワシントンの息子。
お父さんとはちょっとちがうコメディ路線で活躍できそうな感じです。
 
1970年代後半のアメリカ・コロラド州
アフリカ系アメリカ人のロンは、コロラドスプリングス警察で人種を問わない求人があると知って応募。
同警察初の黒人刑事となる。
しかし求人は「差別をしません」というポーズだけだったのか、
実際に就職してみると、ロンに与えられた仕事はファイルを探す係。
露骨に差別的な態度を見せる署員もいて、ロンは面白くない。
 
ある日、署長から潜入捜査の任務に就くように命じられて大喜びするが、
それは黒人運動の指導者を迎える集会に参加して情報を収集せよというもの。
つまりは白人の手先になれというものだった。
その後に言い渡されるのもつまらぬ仕事ばかり。
 
そんな折り、ふと目についたKKK地方支部のチラシ。
ロンは白人を装って独断で電話をかけ、「KKKの活動に興味がある」と伝える。
するとそれを信じたKKK支部が有望な新メンバー獲得だと思ったのか、
ロンに会いたいと連絡を寄越す。
 
KKKを叩く絶好のチャンスに、上司たちもロンの潜入捜査を認めるが、
ロン自身がKKKの支部に出向くわけにはいかない。
そこで、ロンの先輩刑事でユダヤ人のフリップがロンのふりをすることに。
 
こうして電話はロン、実際にKKKメンバーと会うのはフリップと役割分担。
無謀とも思える計画が実行に移されるのだが、意外にも上手く潜入捜査は進み……。
 
ロンの代わりに現場へ行くフリップはユダヤ人。
KKKは黒人ばかりかユダヤ人も認めていません。
だからユダヤ人であることがバレてもいけない。
フリップのことをユダヤ人ではと疑うKKKメンバーからパンツ脱がされそうになったりも。
そもそもロンが最初の電話でうっかり本名を名乗っているところからもう可笑しい。
 
フリップ役のアダム・ドライヴァーの顔が私はどうも苦手なのですが、
『パターソン』(2016)と本作の彼は良かった。
フリップと、ヤスペル・ペーコネン演じるもうひとりの先輩刑事フェリックスがごく普通で◯。
新人の黒人刑事を馬鹿にする署員もいるなか、彼らにとっては新人は新人でしかない様子。
上司たちも、世間の黒人に対する偏見に対抗する気はないけれど、
ロンの「やる気」は買って、とりあえずはやりたいようにやらせてくれる。
彼が白人になりすました電話に相手がまんまと騙されるのを
みんなで聞いて笑いをこらえるのが大変というシーンも好きでした。
 
客席からしばしば笑い声が沸き起こるほど面白い作品でしたが、
それと同時にめちゃくちゃ重い。恐ろしい。
観た者が笑っておしまいにはできない力強さがあります。
 
闘いつづける監督、スパイク・リー。

—–

『天国でまた会おう』

『天国でまた会おう』(原題:Au Revoir La-Haut)
監督:アルベール・デュポンテル
出演:ナウエル・ペレス・ビスカヤール,アルベール・デュポンテル,ロラン・ラフィット,
   ニエル・アレストリュプ,メラニー・ティエリー,エロイーズ・バルステ他
 
『君は月夜に光り輝く』を観に行ったさい、
箕面で飲み友だちの兄さん夫婦とばったり会ったと思ったら、
翌日は梅田で本作を観たさい、飲み友だちの姉さんとばったり。
上映前のトイレの行列に並んでいた姉さんが、
個室から出てきた私を見つけて肩をポンッと。2日続けての偶然にビックリ。
両日共、私はまったく気づいておらず、向こうから見つけてもらいました。
日頃からいかにボーッと歩いているかということですね。(^^;
 
どうしても観たかった作品なのに、前日に西宮での上映が終了、
私の行動範囲内で上映しているのはもうここだけ。
大阪ステーションシティシネマへ最終日に滑り込み。
良い作品でした。もう少し上映を延長してくれてもよさそうなところ。
 
あんなえげつない(好きだったけど)小説を書く人がこんな小説も書くなんて。
 
1918年第一次世界大戦中、休戦目前の西部戦線。
身を潜めてじっとしていればすぐに休戦だというのに、
プラデル中尉から見回りを命じられた兵士。
命令に背くこともできずに従った瞬間、撃たれて死亡する。
 
撃ったのは敵ではなく、プラデル中尉であることに気づいたために、
自分も殺されそうになった兵士アルベールは、
生き埋めになりかけたところを若い兵士エドゥアールに救出される。
ところがその直後に爆撃に遭い、エドゥアールは顔に重傷を負う。
 
休戦を迎えたパリでは、戦没者が称えられ、帰還兵には冷淡。
エドゥアールは退院しても父親や姉が待つ家に戻りたくないと言い張る。
アルベールも勤めていた銀行への復帰は叶わず、恋人も去ってしまう。
そこで、腹を括ったアルベールはエドゥアールの死を偽装。
名前も身分も偽って、ふたりで新しい生活を始める。
 
顔の下半分を失ったエドゥアールは、もともと絵が得意。
慰めになればとアルベールが用意した画材を用い、仮面を作り上げる。
 
穏やかともいえる毎日だが、ふたりの生活は困窮。
そこで、エドゥアールが大がかりな詐欺を思いつき、
大家の娘で孤児だった少女ルイーズの協力を得て実行に移すのだが……。
 
ルメートルがこんな話を?へ~っ!と驚きましたが、
エドゥアールが負った傷のえぐさを想像すると(画面には映りません)納得(笑)。
でもそれ以外は悲しくて、切なくて、あったかい。
仮面やスケッチのおかげでファンタジーのようでもあります。
 
実話が基だといって感動を煽り気味の作品も多いなか、
こんな素敵なフィクションを見せてもらえると嬉しくなる。
しかし、こうして愚かな戦争には終止符が打たれたはずなのに、
この後に第二次世界大戦が起こったという現実がやるせない。
 
本作の鑑賞後、上映前にトイレで会った姉さんと1杯飲みに行きました。
映画の後の1杯、楽しい!

—–

『君は月夜に光り輝く』

『君は月夜に光り輝く』
監督:月川翔
出演:永野芽郁,北村匠海,甲斐翔真,松本穂香,今田美桜,
   優香,生田智子,長谷川京子,及川光博他
 
ダンナの出張中は終業後に毎日2本映画を観る。
そんなつもりで週間予定を立てていましたが、一度も2本は観られず。
しかし月曜日はイオンシネマが1,100円。
火曜日はTOHOシネマズと109シネマズが1,300円。
水曜日はレディースデーで1,100円になる劇場が多い。
なんらかの割引がある日にまっすぐ家に帰るのはもったいない気がして、
せめて1本は観ようとふらふら劇場へ向かってしまうのでした。
 
この日は109シネマズ箕面へ。
チケットを購入後、風邪薬を買おうとイオンへ行きかけたら、呼ばれたような気が。
空耳かと思いつつも振り返ったら、そこに飲み友だちの兄さんご夫婦が。
ご夫婦で『グリーンブック』を観に来られたそうで、
私はこれを観ると言ったら、「なんでそんなん観るん」。
だって、シネコンでは“PSYCHO-PASS サイコパス”か“ウルトラマン”かこれしか、
もう観るものが残っていないんだもの。
ほならまっすぐ帰ったらええんですよね、私。しかも風邪気味やのに。(^^;
 
……などと思いながらの鑑賞でしたが、
ハードル下がっていたのが良かったのか、そこそこには泣けました。
原作は電撃小説大賞を受賞した佐野徹夜の同名ライトノベル。
 
高校生の岡田卓也(北村匠海)は、同級生の甲斐翔真(香山彰)から色紙を渡される。
卓也はまだ一度も会ったことのない同級生・渡良瀬まみず(永野芽郁)に宛てた、
クラス全員からの寄せ書きらしく、まだ書いていないのは卓也だけ。
最後に書いた者がまみずに届けることになっていると言われる。
 
仕方なく病院を訪れた卓也は、まみずが発光病という不治の病に罹っていることを知る。
奇しくも、卓也の亡くなった姉・鳴子(松本穂香)と交際していた男性と同じ病。
 
余命ゼロだというまみずは意外に明るく、元気に見える。
彼女が大事にしていたスノードームを壊してしまった卓也は、
罪滅ぼしにまみずの言うことを何でも聞くと約束する。
するとまみずは、彼女自身がしたかったのに病気のせいでできなかったことを
自分に代わって卓也に実行してほしいと言い……。
 
でもこれは、ぶっきらぼうだけど彼女の願いをなんとか叶えようとする卓也が良くて、
わりとキュンキュンできました。あくまでも「わりと」。
 
北村匠海はカワイイと思っていましたが、女装は似合わないですね。
メイクも似合いそうだと思いきや、どう見ても男顔でした(笑)。
 
それはやはり若くして病魔に冒された女性が、自分がしたいことをリストアップ。
ひとつずつ実行してゆく話でした。
ただし、既婚で子どももいて、自分が余命わずかであることを打ち明けないままでした。
「死ぬまでにしたいあれこれ」と聞くと、どうしてもこの映画を思い出してしまう。
だから二番煎じどころか五番煎じぐらいの印象は否めません。
でも、実際に余命を宣告されたら、きっと誰でも死ぬまでに本当にしたいことを考える。
何番煎じというよりは、当たり前のことなのかも。
 
大好きだった人を亡くしたら、たとえその人が「幸せになってね」と言ってくれたからって、
なかなか気持ちの整理はつけられそうにありません。

—–

『キャプテン・マーベル』

『キャプテン・マーベル』(原題:Captain Marvel)
監督:アンナ・ボーデン,ライアン・フレック
出演:ブリー・ラーソン,サミュエル・L・ジャクソン,ベン・メンデルソーン,
   アネット・ベニング,クラーク・グレッグ,ジュード・ロウ他

TOHOシネマズ伊丹にて。

“アベンジャーズ”はいつも楽しみにしているけれど、通りいっぺん観ただけ。
だから、実は何がなんだかわかっていないところがあります。
予習復習もしないし、これ誰でいつからメンバーだっけと思うこともしょっちゅう。
本作もきっとワケわからんやろと思いながら観に行きました。

予備知識のないまま鑑賞に臨んだら、アベンジャーズの前日譚。
すごくわかりやすくて、ほーっ。
なるほどこうしてアベンジャーズが参集されることになったのですね。

1995年、クリー帝国の首都ハラ。
ヴァースは、クリー人のエリート特殊部隊“スターフォース”に所属。
6年前、なんらかの事故に遭って記憶を失った彼女は特殊能力を持ち、
スターフォースの司令官ヨンによって拾われた後、訓練を受けてきたのだ。

ある日、クリー人の宿敵スクラルが潜伏する星トルファへ、
囚われているはずの同僚を救出するために向かったヴァースは、
逆にスクラルの司令官タロスに捕まってしまう。
タロスはヴァースの頭の中にある記憶を探っているらしい。

隙を突いて脱出することに成功したヴァースだったが、
惑星C-53こと地球のビデオショップに墜落。
天井をぶち抜いて床に落ちたヴァースが目撃され、
S.H.I.E.L.D.(戦略国土調停補強配備局)のエージェント、フューリーが
新人エージェントのコールソンを連れてやってくる。

コスプレかと思うようなスーツに身を包んだヴァースが
宇宙人スクラルよる地球侵略の危機が迫っているということ、
しかもそのスクラルは擬態に長けていることを説明しても、
あまりに荒唐無稽でフューリーは信じようとしない。

そうこうしているうちに本当にスクラルが現れ、ヴァースが追いかける。
フューリーはヴァースを捕らえようと必死で追う。
車に同乗したコールソンも実は擬態したスクラルで、
フューリーはヴァースの話を信じざるを得なくなるのだが……。

ヴァース、すなわちキャプテン・マーベル役にブリー・ラーソン
予告編を観たときは特にカッコイイとも思わなかったのですが、美しい。
アクションもキレ味よく、コミカルなところもあって楽しいです。

スターフォースの司令官にジュード・ロウ
昔は彼がこんな大作にこんな役で出るところなんて想像できませんでしたが、
ダンブルドア先生だったり、こんな司令官だったり、ちょっと可笑しい。
彼の情けないシーンには大笑いしました。

フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンと猫のグースが◎。
猫は何をやっても可愛いのです(笑)。
かつてのキャプテン・マーベルの親友で相棒の母子もよかったなぁ。

もちろん、エンドロールが終わるまでお席は立たずに。
来月公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が楽しくなりそうです。

—–

『ROMA/ローマ』

『ROMA/ローマ』(原題:Roma)
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ,マリーナ・デ・タビラ,マルコ・グラフ,
   ダニエラ・デメサ,カルロス・ペラルタ,ディエゴ・コルティナ・アウトレイ他
 
Netflixで配信された本作が第91回アカデミー賞の10部門にノミネートされて話題に。
そのうちの外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞しました。
そもそもが劇場公開作品ではないから、上映劇場も少ない。
私の行動範囲内ではイオンシネマ茨木でかかっていることを知り、
月曜日は1,100円のイオンシネマへ行こうと、終業後にオンライン予約しました。
 
その直後、義母から電話が。なんと、義父が行方不明だと言うのです。
朝10時すぎに銀行へ行くと言って出かけた父が、日が暮れても帰ってこない。
昨年の台風で傷んだ屋根の修理代を出金したはずだから、ン十万円。
義母曰く、「誰か親切を装った人から車で送りますとでも言われたのでは」。
そんなん言われて車に乗ります? 乗らないとは思うけど、高齢です。
頭も体もしっかりしているけれど、うーん、爺ちゃんは爺ちゃんだし。
 
とりあえず落ち着かないから家に寄ってほしいとのことで、
そりゃ私も映画に行っている場合ではないと、ダンナ実家に向かいました。
義母に話を聞くと、どこの銀行へ行ったのかもわからない。
出先から「何か要るか」という電話がかかってくることはあるのに、それもない。
「銀行で、やられたんやと思うわ」と義母が冷静に言うので、
不謹慎にもお母さんそれは冷静に言うことではないのではと笑いそうになりましたが、
ちゃうちゃう、シャレにならんかもしれんしと、どうすべきか義母と相談。
 
警察に捜索を依頼するのはきっとまだ早い。
駅の近辺を車で走ってみてくれないかという義母に、
それをしてもどないもならんのではと思いつつ、
その間にひょっこり帰ってきはることを期待して、駅近辺を走りました。
小一時間も経った頃、実家に戻ったら、お父さん居てはる!
歯が痛くてたまらんようになって、歯医者に行ってはったそうです。
「帰ったら事件になっていた。なんで連絡するかな」と叱られるお母さん。
「いやいや、朝出て行ったまま何も連絡がなかったら、そら心配しはりますよぉ」と私。
一件落着でよかったです。
 
あ、ウチのダンナ実家をご存じの人、
ここに私がこんなん書いてるのはくれぐれも内緒でお願いします。(^O^)
 
こうして実家を出たのが18:43。映画の上映開始時間は18:50。
到底まにあわない時間です。
あきらめてそのまま家に帰ろうかと思ったけど、20分ぐらいで着けるかもと一応向かう。
TOHOシネマズならば13分ぐらい予告編があるので余裕。
しかしイオンシネマはたぶんそれより短い。
まぁ最初の5~10分観逃すぐらいの時間には着けるかなと裏道を駆使したら、
オープニングタイトルが表示された瞬間に劇場入りすることができました。(^O^)
なんでもあきらめずにやってみるもんだ。
 
アルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的な物語とのこと。
監督はどの役柄に位置するのかさっぱりわからんと思って調べてみたら、
そうですか、雇い主側ですか。
上流とは言わないまでも、家政婦や運転手を雇えるほどの階級の出なのですね。
 
1970年。メキシコの首都メキシコシティにほど近いコロニア・ローマ地区。
クレオはアデラとともに住み込みの家政婦として働いている。
雇い主は6人家族で、医師アントニオとその妻ソフィア、
トーニョ、パコ、ペペという息子3人と娘のソフィ、ソフィアの母テレサ。
 
ある日、アントニオはカナダのケベックへ出張するが、そのまま帰ってこない。
実は愛人を連れて旅行しているらしく、ソフィアは発狂寸前。
そんなそぶりを子どもたちの前で見せるわけにもいかず、
クレオはあらゆる家事と子どもたちの世話をおこなう。
 
その合間に、クレオとアデラはダブルデート。
クレオはアデラの恋人ラモンの友人フェルミンと交際を始めるが、
クレオから妊娠を聞かされたフェルミンはとっとと逃げる。
クビを覚悟でソフィアに妊娠を告げると、思いのほかソフィアは優しく、
子どもたちは皆あなたのことが大好き、クビなんてとんでもないと言う。
 
ソフィアの紹介で病院で診察を受けたクレオ。
お腹の中の赤ん坊は順調に育っていくのだが……。
 
とにかく玄人の評価が高いのです。評論家もメディアも絶賛。
しかしアカデミー賞の監督賞やヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞とかいう賞は、
芥川賞みたいなものに見えることがあります。凡人の私には。
 
ただなぜか妙に心に残るのです。
評論家たちに「痛いほど美しい」と賞賛されたのはそのとおり。
モノクロというより綺麗な褐色のイメージを受けます。
 
家政婦クレオの日常が淡々と描かれているだけなのに退屈しない。
普通なら確実に睡魔に襲われているパターンなのに。
飼っていた犬が死ぬたびに頭だけ切断して剥製をつくり、額に入れて飾る金持ちの神経はわかりかねますが、
意外に笑えるシーンもあり、特におかんの運転にはマジかい!と大笑い。
 
出てくる男はみんな酷くて、子どもたちの父親然り、
フェルミンなんて人間のクズですよ、クズ。
そんなんで武術に邁進されたら、武術も腐るっちゅうの。
『イップ・マン外伝 マスターZ』のチョン・ティンチを見習ってください。
 
ネタバレになりますが、
死産した後に雇い主家族と旅行に出かけたクレオが心の裡を吐露するシーンと、
帰宅後にアデラにどうだったかと尋ねられて「よかった」と言うシーンは
なんだかジーンと来ました。
 
ラストの構図もものすごく好きです。

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