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『二ノ国』

『二ノ国』
監督:百瀬義行
声の出演:山﨑賢人,新田真剣佑,永野芽郁,宮野真守,坂本真綾,
     梶裕貴,津田健次郎,山寺宏一,伊武雅刀,ムロツヨシ他
 
基本的には観た順番にUPするところ、
『引っ越し大名!』を先にUPしました。
それよりも前に観た作品に戻ります。
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
レベルファイブの人気RPG“二ノ国”シリーズが原作のアニメーションだと言われても、
レベルファイブもそのゲームも知りません。
予告編を観るかぎりではついて行けそうな雰囲気だったので鑑賞。
監督はスタジオジブリ出身の百瀬義行、音楽は久石譲が担当しています。
 
ユウ(♂)と親友のハル(♂)とコトナ(♀)は同じ高校に通う幼なじみ。
ハルとコトナは恋人同士でもある。
ユウは生まれてすぐに遭った事故が原因で車椅子に乗る身。
 
ある日、ひとりで帰途に就いたコトナからユウのもとへ電話が入る。
何者かにつけられているのだが、ハルには連絡が取れないという。
慌てて家を飛び出したユウの目の前でコトナは刺されてしまう。
やっと駆けつけたハルは、虫の息のコトナを見てユウを罵る。
言い争うふたりが車に轢かれかけた瞬間、ふたりは異世界へ。
 
そこは現実世界と隣り合わせの魔法の世界“二ノ国”。
町の様子も自分たちを含めた人々が着ている服もまるでちがう。
しかも二ノ国には王様とお姫様までいるらしい。
そして、ユウの車椅子は消えて、すたすたと歩けるではないか。
 
宮殿に潜り込んだユウとハルは、アーシャ姫の姿を見て驚く。
アーシャ姫はコトナと瓜二つで、死の呪いをかけられているという。
咄嗟にアーシャ姫に近寄ったユウは、みごと呪いを解いて英雄に。
現実世界に戻ってみると、コトナもピンピンしていた。
 
アーシャ姫とコトナの命が繋がっているのではとふたりは考えるが、
コトナが悪性の腫瘍に冒されて余命わずかと聞かされ、
死ぬはずだったアーシャ姫を救ったせいでコトナの命が危うくなったとハルは思い込み……。
 
エンディング間際までハルが好きになれずにいました。
自分がスマホを鞄に入れっぱなしでコトナからの連絡に気づかなかったくせに、
車椅子のユウに「おまえ、何してたんだ」はないでしょ。
おまえこそ何してたんだよっ。
とにかくコトナを救うことで頭がいっぱいで、ユウのような賢さがない。
イライラしました(笑)。
 
イライラさせられるのも物語にのめり込んでいる証拠。
とてもわかりやすい物語で、最後に真実が明かされる場面では、へ~っ、なるほど。
ちょっとしたどんでん返しですね。こりゃ幸せ。
 
前日に『ディリリとパリの時間旅行』を観たところで、
どちらをもう一度観たいかと聞かれたら圧倒的に『ディリリ』ですが、
これも楽しめるアニメでした。
ただし、巷の評価はものすごく低いようです。
普通に楽しめた私はなんだかお得な気がしてきました。(^^;

—–

『引っ越し大名!』

『引っ越し大名!』
監督:犬童一心
出演:星野源,高橋一生,高畑充希,山内圭哉,正名僕蔵,丘みどり,
   向井理,小澤征悦,濱田岳,西村まさ彦,松重豊,及川光博他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
原作は“超高速!参勤交代”シリーズの土橋章宏。
同著者原作の『サムライマラソン』も今春映画化されたばかり。
今回は犬童一心監督がメガホンを取っています。
 
前述の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』もよく客が入っていましたが、
こちらもかなりの入り。子ども連れの人もいたりなんかして、安心の1本。
万人受けすると思われます。
 
時は江戸時代前期。
姫路藩主・松平直矩(及川光博)は小納戸・柳沢吉保(向井理)の機嫌をどこで損ねたか、
豊後藩日田国への国替えを突然命じられる。
国ごと引っ越すという一大事業だから、その厄介さは参勤交代のはるか上。
ただでさえ大変なところ、減封まで言い渡されて呆然。
 
用意できる金も限られるなか、誰が引っ越しの段取りを組むのか。
引っ越し奉行を命じられそうになった鷹村源右衛門(高橋一生)は、
体力と武力には自信があるが、知力に自信がない。
そこでふと思いついたのが、書庫版を務める片桐春之介(星野源)のこと。
 
人と話すのが超絶苦手な本の虫。
だから書庫にこもっていられるこの仕事が好きだった。
「かたつむり」と呼ばれるほど表に出てこない春之介は、
引っ越し奉行などとんでもないことだと断ろうとするが、
引き受けるか切腹かの二択を迫られる。
 
致し方なく引き受けたものの、何をどうしてよいのやらさっぱりわからず、
引っ越し奉行の前任者の娘・於蘭(高畑充希)に相談しようとするのだが……。

とても楽しいです。
 
戦(いくさ)とは、剣を合わせるばかりではない。
理不尽な国替えを言い渡されて、やり通す。
藩に暮らす人々にとってはこれも戦。
 
春之介が金を借りに行ったさい、
「あれはきちんと金を返す奴の土下座だ」という商人役・岡山天音の台詞にジーン。
土下座って、見ていて気持ちのいいものではありませんが、
こんなふうに人の心を動かす場合もあるんだなぁ。
 
最初は人前でしゃべれなかった星野源演じる春之介の顔つきがどんどん変わります。
自分では何もしないくせに偉そうにしている奴をぎゃふんと言わせてもうスッキリ。
高橋一生はやっぱりなんだか色っぽいし、
春之介にほだされて協力する勘定方役の濱田岳もいい。
出番が少なくても光るピエール瀧には、もう薬に手を出すことなく更生してほしい。
 
楽しいから、気が滅入っている人、どうぞ。

—–

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ,ブラッド・ピット,マーゴット・ロビー,エミール・ハーシュ,
   マーガレット・クアリー,ティモシー・オリファント,オースティン・バトラー,
   ダコタ・ファニング,ブルース・ダーン,アル・パチーノ他
 
前述の『JKエレジー』を観てから本作を観るまでに他に7本観たのですが、
話題性の高いこれを先にUPします。
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
何なの、いっぱい客が入ってる。この状況に明らかにテンションが上がる私。
だってさぁ、クエンティン・タランティーノ、名前だけは有名だけど、多作ってわけじゃない。
若い子の間で知名度が高いとも思えない。
もう彼らの全盛期や美しかった頃を知らない人が多いんじゃないかと思うから、
こんなに客が入っていると嬉しくなってしまうでしょ。
 
タランティーノ監督作品にはそれぞれ出演経験のあるディカプとブラピ。
ディカプは『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)、ブラピは『イングロリアス・バスターズ』(2009)に。
だけどこのふたりの共演は初めてです。そらもうウキウキ。
 
本作を観ようという人にはほとんど常識なのでしょうが、
鑑賞前に知っておいたほうがいいことがいろいろとあります。
それより先にあらすじを書くとして。
 
1969年。
落ち目のTV俳優リック・ダルトンにこのところ回ってくるのは悪役ばかり。
売り出し中の若手俳優の敵役を当てがわれている。
 
彼のスタントマンを長年にわたって務めるのはクリフ・ブース。
そもそもリックに仕事がないのだから、クリフだってもちろんあぶれる。
それでもクリフはリックのそばを離れることなく、
運転手に雑用係とリックの身の回りのことを引き受けて支え続けている。
 
今は高級住宅地の豪邸に暮らすリックだが、このままでは手放さねばならなくなりそう。
そんな事実からは目を逸らしながら過ごしていたある日、
隣家に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督とその新妻の女優シャロン・テートが越してくる。
 
一方、クリフはこのところしばしば見かけるヒッピーの少女が
ヒッチハイクしているところに出くわす。
行き先を聞くと、かつて映画の撮影に使われていた牧場だと少女が答え、
懐かしさもあってクリフは彼女を車に乗せるのだが……。

で、映画を鑑賞する前に知っておくほうが良いことは。
 
ブルース・リーが実在の人だと知らん人はおらんでしょう(笑)。
でももしかするとロマン・ポランスキー監督のことは知らん人がおるかな。
本作でディカプリオ演じるリック・ダルトンのお隣に引っ越してくる夫婦は、
夫がポランスキー、若い美貌の妻は女優のシャロン・テート。
彼女の映画出演に際し、アクション指導をしたのがブルース・リー。
1969年、ポランスキーの留守中に押し入った集団に妻シャロンが殺害されました。
犯人は、チャールズ・マンソン率いるヒッピーのカルト教団。
一時、ポランスキーはブルース・リーが犯人ではないかと疑っていたのですよね。
 
また、クリント・イーストウッドは、本作のリックのように、
イタリアの西部劇作品に出演して名を上げています。
アル・パチーノ演じるプロデューサーが「カウボーイを演じきれる役者」として
リックを推薦した流れなど、まんまイーストウッドの実際の話のとおり。
こういった事実を知らなくても楽しめるとは思いますが、知っていたほうが断然楽しい。
 
実際の事件と同じエンディングを予想していたら、そう来ますか。
さすがタランティーノ。やりすぎの感はあるものの、なんと痛快。笑った笑った。
 
ネオナチとか、ブルース・リーの遺族とか、ヒッピーとか、
怒る人いっぱいいるんじゃないかとちょっぴり心配ですが、(^^;
ポランスキー監督は「こうなってほしかった」と思っているかも。
 
本作を観た帰りに聴いたトータス松本のラジオ番組に、古田新太がゲスト出演していました。
古田さんって、幼い頃からクラシックバレエなども習っていたとのこと。
彼にクレシックバレエのイメージはまったくなかったのでビックリ。
昔から役者になりたくていろんなものを習ったとか。
客を笑わす演技、たとえば舞台の上ですっ転ぶようなときも、
一回転してから転ぶほうがオモロイな、
それならばそれができるように体を鍛えて技術を学ぶのがいいと。
 
この古田新太の話とタランティーノと、何が関係あるねんとお思いでしょうが(笑)、
作品に史実を盛り込みつつ、あっと驚く展開で楽しませてくれるのは、
史実をよく理解していないとできないことだと思うのです。
中途半端に知っていることを盛り込むと、失敗したり、下品になったり、
時には悪意に満ちてしまったりもする。
タランティーノはちゃんと理解して敬意を払いつつ盛り込んでいるから楽しいんだなぁ、きっと。
 
もう1回観たい。

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『JKエレジー』

『JKエレジー』
監督:松上元太
出演:希代彩,猪野広樹,芋生悠,小室ゆら,前原滉,
   山本剛史,森本のぶ,阿部亮平,川瀬陽太他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『ディリリとパリの時間旅行』とハシゴ。
 
大阪芸術大学出身、本作が劇場映画デビューとなる松上元太監督。
いや~、将来がめちゃめちゃ楽しみです。面白かった。
 
梅田ココア(希代彩)は群馬県桐生市に暮らす高校3年生。
母を亡くしてから父親・シゲル(川瀬陽太)は仕事を辞めてギャンブルばかり
漫才師になると言って東京へ出て行った兄・トキオ(前原滉)も実家へ舞い戻る。
シゲルは病気のふりをして生活保護を受けている。
トキオもいっさい仕事をするそぶりなく、家で食っちゃ寝の毎日。
ココアのバイト代にたかるという最低の父と兄。
 
遊園地の売店のバイトだけではにっちもさっちも行かず、
トキオの元相方・カズオ(猪野広樹)のバイトの話に乗る。
それはカズオが制作する“クラッシュビデオ”と呼ばれる動画への出演。
 
成績は優秀なのに、金がないから大学へ行けない。
家庭環境のせいで進学をあきらめかけていたココアだが、
母の七回忌に叔母から、母がココアの入学資金を貯めていたと聞かされる。
入学金さえ用意できれば、あとは奨学金でなんとかなるかも。
進学への道が見えてきて、猛然と勉強を始めるのだが……。
 
知りませんでした、クラッシュビデオって。
女子高生がいろんなものを足で踏みつぶして破壊する様子が映るだけ。
何がおもろいねんと思うけど、いるんですねぇ、マニア。
 
とにかく大人がみんなクズ。酷い。えげつない。阿呆。
ココアは見るからに今時の女子高生なのですが、
クズの父と兄をなんだかんだで放っておけない。
父にものすごく腹を立てていても、ずっと無視なんてことはしない。
 
みんな彼女に甘えています。
最初に面白いと書いたけど、面白いわけじゃない、悲惨です。
それでも「もう振り回されたくない」と言い切る彼女を見れば、
絶対だれでも応援したくなる。
 
監督のことも応援します。期待してるよん。

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『ディリリとパリの時間旅行』

『ディリリとパリの時間旅行』(原題:Dilili a Paris)
監督:ミッシェル・オスロ
声の出演:プリュネル・シャルル=アンブロン,エンゾ・ラツィト,ナタリー・デセイ他
 
数年前までは終業後に梅田まで車を飛ばして映画を観るのも平気でしたが、
今は気合いを入れないとホントに無理。
でもこのアニメーションはどうしても観たかったから、頑張れました。
シネ・リーブル梅田にて。
 
フランス/ベルギー/ドイツ作品。
『キリクと魔女』(1998)、『夜のとばりの物語』(2010)のミッシェル・オスロ監督。
アニメの手法などはまったくわからない私ですが、
オスロ監督の絵は美しく幻想的で大好きです。
背景は実写っぽいなと思ったら、監督自身が撮りためた建造物の写真なのだそうな。
斎藤工が声を担当する吹替版と迷ったけれど、まずは字幕版を。
 
ベルエポック(19世紀末から第一次世界大戦勃発頃まで)のパリ。
ニューカレドニアからやってきたカナック族の少女ディリリ。
金持ち相手の興行で原始的生活を演じて見世物になっているが、
伯爵夫人と出会ったおかげでフランス語教師にも恵まれ、良い生活を送っている。
 
そんな彼女に声をかけたのは配達人の青年オレル。
流暢なフランス語を話すディリリにまず驚き、
パリは自分の庭のようなものだから案内しようと言う。
好奇心旺盛なディリリはすぐにオレルと親しくなり、
彼の三輪車に乗せてもらってあちこちを走り回る。
 
巷で話題になっているのが少女ばかりを狙った誘拐事件。
地下で暗躍する男性支配団という謎の組織の仕業らしい。
自らも犯人に狙われているとわかったディリリは、
拉致監禁されている少女たちを救うべく、事件の解決に乗り出すのだが……。
 
事件の真相は信じたくない悲惨なもの。
当時はこういう考えを持つ人がたくさんいたのでしょう。
今もってなくならない、人種差別性差別
 
事件が悲惨なだけに、ディリリの奮闘と活躍がより光ります。
そして何より楽しいのは、顔の広いオレルのおかげで
事件解決に協力を惜しまない著名な文化人たち。
 
最初、本作のあらすじを聞いたとき、
文化人がいっぱい出てきたところで私の知らない人ばかりでは?
だったら寝てしまうかもなぁと心配でした。
でも、私でも知っている人ばかり。
 
モネとルノワールが並んで絵を描いているかと思えば、
若き画家のたまり場となっていたアトリエにはマティスやピカソ
ロダンの邸宅にもおじゃまします。
キャバレー“ムーラン・ルージュ”にはロートレック。
バーでピアノを弾きはじめるのはエリック・サティ。
オペラ歌手エマ・カルヴェのお針子を務めるのはポール・ポワレ。
頭を突き合わせて事件解決方法を探るのは、
キュリー夫人、サラ・ベルナール、カミーユ・クローデル。
マルセル・プルーストにもずいぶん世話になります。
飛行船を設計するのはサントス=デュモン。あ、この人は知らなんだ。
 
エッフェル塔やグラン・パレなどを見ているのも楽しくて、
行ったことのないパリに行った気分に。
パリのいいところばかりではなく、怪しい地域も描いているのがいい。
 
とにかくみんなこの素敵な世界を見て見て!と思うのです。
梅田まで必死のぱっちで行ってよかった。

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