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『ブラインドスポッティング』

『ブラインドスポッティング』(原題:Blindspotting)
監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
出演:ダヴィード・ディグス,ラファエル・カザル,ジャニナ・ガヴァンカー,
   ジャスミン・セファス・ジョーンズ,イーサン・エンブリー他
 
大阪ステーションシティシネマにてレイトショー。
21:20からの回で客は20人程度、ほとんどが独りで来ている客。
そして、私を除いて全員男性(笑)。
ま、デート向きじゃないですからね。でもめっぽう面白かった。
 
黒人のコリンと白人のマイルズはこの町で一緒に育った大親友。
 
コリンはある事件を起こして逮捕されて服役。
出所から1年間は指導監督期間、つまり保護観察期間。
365日のあいだ門限を守り、住まいのトイレ掃除を怠らず、
そのほか何も問題を起こさなければ晴れて自由の身となる。
 
期間終了まであと3日となった日。
とにかく平穏無事に3日間が過ぎ去るよう努めているのに、
マイルズはコリンの目の前で友人からを買う。
頼むから俺に銃を見せないでくれ。
そう懇願すると逆に面白がって銃を振りかざすマイルズ。
 
やっとのことでマイルズと別れ、帰途に就いたコリンだったが、
勤務先である引っ越し業者のトラックを運転して赤信号で停車中、
どこからか走ってきた黒人が白人警官に射殺される場面を目撃してしまう。
背後から弾を4発も撃ち込まれて。
 
その警官と目が合ったものの、
ちょうど現場に到着した複数のパトカーから直ちに立ち退くように命じられ、
心臓をバクバクさせたまま自宅に帰り着く。
コリンはこの夜と残り2日間を無事に過ごせるのか。
 
オークランドという町がアメリカのあちこちにあるって知らなかったんです。
で、ほかの州のオークランドがどうだかわかりませんが、
本作の舞台となっているオークランドはおそらくもともとは治安がよくない?
それがなかなかにお上品な人たちが転入してきて、町の雰囲気も変わりつつある。
たぶん、そんな感じ。
 
黒人と白人が大親友と聞いて、微笑ましく思っている私がいます。
微笑ましく思う必要がどこにあるのでしょう。
そんなことを思うこと自体、無意識のうちの差別があるのだと気づく。
 
マイルズは喧嘩っ早くて怒ると手がつけられない。
相当にアブナイ奴なのですが、差別意識はまったくないように見える。
コリンのことは大好きで信頼している。そう見えます。
 
実際そうだったはずなのに、3日の間に浮き彫りになる問題。
軽快で楽しげな会話やシーンの中に現れる、この町が、人が抱える問題。
軽い気持ちでは観ていられない、ヘヴィー級の作品です。
 
主演のふたりは本当に長年の友人とのこと。
差別なんてなくなればいい。

—–

『ロビンソンの庭』【デジタルリマスター版】

『ロビンソンの庭』
監督:山本政志
出演:太田久美子,町田町蔵,上野裕子,CHEEBO他
 
第七藝術劇場にて、『僕はイエス様が嫌い』とハシゴ。
 
1987年に公開され、海外でも高い評価を受けたカルトムービーの傑作らしい。
このたびデジタルリマスター版が上映されるということで、
ほなら観てみようかとナナゲイに足を運んだのですけれど。う〜む。
 
多数の日本人と外国人が暮らすシェアハウス
同居人たちと楽しくやっていたクミは、ある日、廃墟を発見。
ここで暮らそうと即決し、シェアハウスから引っ越す。
 
粗大ゴミの集積所でめぼしいものを拾ったり、
ホームセンターでDIY用具を万引きしたり。
廃墟の壁を塗り、内装を整え、自分好みの棲家に変えてゆくクミ。
井戸水を汲み、家庭菜園の本を読んでキャベツをつくると、
自給自足の生活を送るようになる。
 
時折あそびに来る友だちを引き入れることも。
クミをおちょくりに来る近所の悪ガキが鬱陶しい。
やがて、水が悪いのかキャベツの食べ過ぎなのか、
激しい腹痛にのたうちまわるクミは……。
 
ミニシアターブームの先鞭となった作品なのだそうです。
ファミレスの客として一瞬登場する若き日の田口トモロヲ室井滋に、ほ〜っ。
 
何度も書いていることですが、主人公の容姿を受け入れられない作品はキツイ
人の容姿をあれこれ言っちゃあかんと思いますよ。だけど映画ですから。
美女やイケメンがいいと言っているわけではなく、
見ていて気分の悪くならない役者であってほしいのです。
 
主人公のクミの酔っぱらい方がまず嫌い
っていうのか、本作の登場人物の酔っぱらい方は全員最悪。
1980年代がそういう時代だったとしても、私は無理。
 
クミは全然美人じゃないし、色気もない。
でも男はちゃんといて、しかし彼との会話も超下品。
なんていうのか、全体的にヤな感じなんです。
 
海外で高く評価されたと聞いて、
これはもしかすると字幕で観るほうがいい作品なのかもしれないと思いました。
日本語のニュアンスをわからなければ、
私もここまで嫌悪感を抱かなかったように思うのです。
 
すごく不思議なシーンもたくさんあって、これは夢か現か幻か。
嫌気が差しながらもまったく眠くなることはなく、
観たことを生涯忘れない作品だというのは確実。
 
凡人には新しさも良さも理解できません。(^o^;
が、確かにこれはドでかい劇場で観るよりもこぢんまりとした劇場で観たい。
30年前のカルト的作品を今こうして劇場で観られることに感謝。

—–

『僕はイエス様が嫌い』

『僕はイエス様が嫌い』
監督:奥山大史
出演:佐藤結良,大熊理樹,チャド・マレーン,佐伯日菜子,木引優子,
   ただのあっ子,二瓶鮫一,秋山建一,大迫一平,北山雅康他
 
仕事帰りに第七藝術劇場へ。
 
これが長編デビュー作、22歳(若っ!)の奥山大史監督が
大学在学中に撮り上げた作品なのだそうです。
サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少受賞。
海外の映画祭で高い評価を受けた作品。
 
少年由来(ゆら)(佐藤結良)の祖父母は、雪深い田舎に暮らしていたが、
祖父(二瓶鮫一)が他界したため、
祖母(ただのあっ子)をひとりにしておくのは心配。
由来の両親(秋山建一&木引優子)は同居を決め、一家で東京から引っ越し。
 
ミッション系の小学校に転校した由来は、
礼拝の時間が設けられていることにまずびっくり。
皆が祈る様子にも違和感をおぼえて馴染めずにいたところ、
目の前に小さな小さなイエス様(チャド・マレーン)が現れる。
その不思議なイエス様に「友だちがほしい」と祈ると、
勉強もスポーツもよくできる学校の人気者・和馬(大熊理樹)と友だちに。
 
それを境にイエス様に願えば次々と叶いはじめる。
神を疑っていた由来も次第に信じるようになるのだが……。

宗教という題材に馴染みがないからハマれなかったのが一点。
馴染みがないうえに、教師の態度を高圧的に感じてさらにハマれない。
そりゃまぁミッション系の学校なのだから、
イエス様を信じているという大前提があるのでしょうが、
祈ることを強要されてもなぁと思うのです。
 
もう一点、どうしても無理だと思ったのが和馬の母親。
佐伯日菜子が演じています。
彼女のことは10日ほど前に『イソップの思うツボ』で観たばかり。
20年前の『らせん』(1998)で演じた「貞子」の印象が強すぎる彼女ゆえ、
『イソップ』で女子高生の母親役を演じていることに驚きましたが、
なんとも似合っていなくて違和感が拭えませんでした。
本作では小学生男子の母親で、熱心なクリスチャン役。
由来に言わせると「和馬のお母さんっていつも笑っていて幸せそう」。
いや、エキセントリックで怖いよ。
 
そんなんで、私はどうにも苦手でした。ごめんなさい。
かくいう私も幼稚園はミッション系。
お祈りには馴染みがあるはずなのですが、
残念ながら幼稚園のときはいじめられっ子だったから、良い印象がないのです。
それも影響しているのかもしれませんけど。すみません。

—–

『ドッグマン』

『ドッグマン』(原題:Dogman)
監督:マッテオ・ガローネ
出演:マルチェロ・フォンテ,エドアルド・ペッシェ,アダモ・ディオニージ,
   フランチェスコ・アクアローリ,アリダ・カラブリア他
 
テアトル梅田にて、『あなたの名前を呼べたなら』とハシゴ。
イタリア/フランス作品です。
 
マッテオ・ガローネ監督の作品を初めて観たのは『リアリティー』(2012)。
その後『五日物語 3つの王国と3人の女』(2015)を観ました。
どちらも好きだったわけではないのに、かなり記憶に残っています。
本作も衝撃的で、好きじゃないけどたぶん一生忘れない。
 
イタリアの寂れた海辺の町。
犬のトリミングサロンを営むマルチェロは、犬をこよなく愛する男。
妻とは離婚したものの関係は良好。
パパ大好きな愛娘と定期的に会って楽しい時間を過ごしている。
 
近隣の住民とは一緒に食事をしたりサッカーをしたり、
皆とほどよい距離でつきあっているマルチェロだが、
町の厄介者シモーネとの腐れ縁も断つことができない。
 
ガタイがよくてヤク中で乱暴者のシモーネはしょっちゅうトラブルを起こし、
住民の誰もが彼を殺したいと思っているほど。
なのにお人好しのマルチェロはシモーネの誘いを断れず、悪事にも手を貸してしまう。
 
それでもなんとか上手くやりすごしていたはずが、
あるとき取り返しのつかない事態に巻き込まれてしまい……。

イライラします(笑)。
 
お人好しの男が犬を傷つけられてキレる、そんな作品なのかなと思っていました。
伝説の殺し屋が愛犬を殺されてキレる、『ジョン・ウィック』(2014)を想像しながら。
 
でもそうじゃなかった。
 
マルチェロはシモーネに犬を傷つけられても怒れない。
シモーネたち悪党が豪邸に盗みに入ったとき、
邸の外に停めた車の中で待機させられていたマルチェロは、
うるさく吠える室内犬を冷凍庫に入れてきたとシモーネらが笑うのを聞き、
ひとりでのこのこ現場に戻ると、荒らされた邸の中を歩き回って犬を探す。
やっと冷凍庫の在り処を見つけて凍った犬を取り出し、
静かに水をかけながら「がんばれ、がんばれ」と声をかけ、
息を吹き返した犬がスタスタと歩くのを確認すると安心して邸を立ち去る。
 
日常生活には問題がないし、トリミングサロンの仕事も完璧だけど、
知能的にはおそらく問題があるだろうと思われる。
そんなやりとりだらけです。
 
マルチェロはものすごいお人好しなのですが、究極の善人でもない。
ドラッグの売人を副業にしているのですから。
それも断れずに続けている部分が大きいけれど、それゆえシモーネにつきまとわれる。
とっとと関係を断っておけばよかったのに、共依存的なところもあるのか、
どうしてもシモーネのことを切れない。
頭もあまりよくないから、ずるいことなんて考えられないんですねぇ。
 
悲惨です。
どうにかマルチェロに幸せになってほしいと思いましたが、駄目。
つきあう相手は選ばないと、こんな結末が待っている。
犬だけは彼の味方でいてほしい。

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『あなたの名前を呼べたなら』

『あなたの名前を呼べたなら』(原題:Sir)
監督:ロヘナ・ゲラ
出演:ティロタマ・ショーム,ヴィヴェーク・ゴーンバル,
   ギータンジャリ・クルカルニー,ラウル・ヴォラ他
 
平日に休みを取って、北浜で今年89歳になる母とランチ。
が数独と将棋と読書にしか興味がないようで、
「しゃべりかた忘れそうやわ」と母が言うものですから。
学生の頃に私がバイトしていた単車屋の店長のお母様もお誘いすることに。
なんでそんな人もお誘いしたのか説明すると長くなるから割愛(笑)。
とにかく凄く楽しくて、ランチタイムの初めから終わりまで居りました。
 
食べて飲んで(飲んだのは私だけやけど)しゃべり倒し、3時間半。
それぞれ相方の晩ごはんの仕度をせなということで解散。
ダンナ出張中の私はそんな仕度もないから、
テアトル梅田で観たかった映画2本を鑑賞。
 
ハシゴの1本目はインド/フランス作品。
インド映画ってこんなのもあるんだとまた印象が変わる。
これも良かったです。
 
インドの田舎で生まれ育った女性ラトナは、
19歳で両親が決めた相手と結婚するが、結婚生活わずか4カ月で夫が病死。
未亡人となり、口減らしのために夫実家からムンバイへと追い出される。
 
故郷とは何もかもが異なる大都会。
建設会社御曹司が暮らす高級マンションにメイドとして住み込むラトナ。
その御曹司=「旦那様」は結婚するはずだったのに、
挙式当日に婚約者の浮気が発覚してキャンセル、傷心の日々を送っている。
ラトナは旦那様を気遣いながら家事をこなすのだが……
 
インド映画を観ると、いったいいつの時代のことかと毎度驚きます。
本作も、これだけ経済が発展しているインドなのに、
いまだにこんなに階級格差があるのかと目が点に。
ムンバイが大都会であることも改めて知りましたし、
金持ちたちは家族同士でも英語で会話することを初めて知りました。
これって常識なんですか。すみません。
 
メイドを見下した態度を取る金持ちが多いなか、この旦那様はえらくいい奴なんです。
ラトナは自分の立場をわきまえてほとんどしゃべらないし、別段愛想がいいわけでもない。
でも正直で優しい女性であることがよくわかる。
ひそかにファッションデザイナーになることを夢見るラトナを心から応援する旦那様。
やがて旦那様はラトナを愛している自分に気づきますが、
ラトナは階級を飛び越えた恋など決して叶わないと拒絶します。
 
この恋、どうなるんだと見守らずにはいられません。
って書くと、叶わぬ恋のベタベタな恋愛ものっぽい。
でも全然そうではありません。
 
叶わないよね、叶わないだろうけれど。
叶うかもしれないと思えるラストシーン。嬉しくなりながら席を立ちました。

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