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『ナイチンゲール』

『ナイチンゲール』(原題:The Nightingale)
監督:ジェニファー・ケント
出演:アシュリン・フランチオージ,サム・クラフリン,ベイカリ・ガナンバー,
   デイモン・ヘリマン,ハリー・グリーンウッド,ユエン・レスリー他
 
この日も本作を観るためにシネ・リーブル梅田へ。
仕事でオーストラリア先住民であるアボリジニの資料を見ることが続いていたので、
アボリジニがどのように迫害されていたのかを知りたくて。
 
19世紀、英国植民地時代のオーストラリア、タスマニア島
些細な罪を犯してもここへ流刑されるような時代。
 
窃盗の罪で流刑されたアイルランド人の女性クレアは、
彼女の美貌と歌声を気に入った英国軍将校ホーキンスに目をつけられる。
ホーキンスは彼女とその夫エイデンに家を与えたものの、
クレアのことをまるで奴隷のように扱い、刑期を終えても釈放しようとしない。
 
エイデンがホーキンスに抗議して諍いになり、
揉めているところをホーキンスの上官が見咎める。
上官はホーキンスの昇進は見送ると宣言する。
 
エイダンに怒りの矛先を向けたホーキンスは、
深夜、部下を連れてエイデン宅に侵入。
クレアをレイプした挙句、彼女の目の前でエイデンと赤ん坊を殺害。
殴打されて死んだかと思われたクレアだったが、翌朝意識を取り戻す。
 
絶対に復讐する。そう誓ったクレアは、
ホーキンスが昇進を直訴しようと軍幹部の駐屯地ローンセストンへ急遽旅立ったことを知る。
ローンセストンまでひとりで行くのは無理だと判断し、
先住民アボリジニの若者ビリーを道案内として雇うのだが……。
 
ある映画祭で上映されたさいは、レイプ等の凄絶なシーンに退席した客が多くいたそうです。
確かにとてもとてもつらいシーン。
 
作品自体も一貫して重暗く、笑えるシーンなどひとつもありません。
最後も復讐は果たしたところでハッピーエンドではないから、きついのなんのって。
 
こうして映画でアボリジニを取り上げたものを観るのは初めてで、
アボリジニが遭ってきたことについて知れました。
アボリジニに限らず、先住民を描いた作品には悲哀を感じますね。
そのほか、生活の困窮からほんの少しの食べ物を盗んだだけで島流しって、
愕然とすることがいっぱいで、打ちのめされます。
 
この日を最後にテアトルグループは全館休業に入りました。
上映終了後、切ない気持ちで帰る客を見送ってくれるスタッフ。
一時的な休業のはずなのに、もうこれっきりみたいな気がして寂しかった。
早く再開できますように。

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『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』

『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』(原題:The Biggest Little Farm)
監督:ジョン・チェスター
 
4月の2週目の月曜日。
この日、まもなく大阪に緊急事態宣言が発令されそうな話になっていて、
そうしたらテアトルグループも休館するとの噂。
本作ともう1本、どうしても観たい作品があったため、
観そびれることを避けようとシネ・リーブル梅田へ。
2本ハシゴできれば連日終業後に梅田まで車を走らせる必要はなかったのですが、
どこの劇場も遅い時間の上映はもはや中止されていたので叶わず。
1日1本観ることになりました。
 
ある夫婦が農場づくりをゼロから始めました。
その様子をフィルムに収めたドキュメンタリー作品です。
夫婦の夫自身が監督を務めています。
 
野生生物番組の制作者兼カメラマンとして活躍するジョン・チェスター。
料理研究家である妻モリーもブログチャンネルを持って活躍中。
 
あるとき、ふたりは殺処分を待つ犬の世話をする人に会います。
200匹もの犬がいると聞き、愕然とするジョンとモリー。
そのうちの1匹と目が合って、この子を引き取ろうと決めます。
 
トッドと名付けられたその犬は、可愛くて可愛くてたまらない。
夫婦といるときはとっても良い子なのに、
ひとりきりでお留守番ということになるとずーっと吠えているらしい。
いろいろ工夫を凝らしてみてもご近所からの苦情が止まず、
ふたりはトッドのために郊外へ引っ越すことを検討。
 
ところがこれが普通の引越しではないところが凄い。
なんと東京ドーム約17個分相当の荒れた土地を購入。
ゼロから農場づくりを始めちゃうんですねぇ。
 
もともとそういう知識があったわけではない。
甘い考えで始めたといえばそうでしょう。
そもそもそんな資金もない。
仲間内で理想の農場の話をしたら、みんなに笑い飛ばされたけれど、
それがなんとなく口伝えに広がって、賛同者が現れます。
 
伝統農法を熟知する人に教えを請い、自然と共生する再生型の農場を。
作物を育てるのは無理だといわれていたパサパサの土も、
自然に基づいた方法を続けていれば甦る。
皆に厭われる動物にもきちんと役割があって、
本作を見ていると害獣や害虫なんて本当は存在しないのではとすら思いました。
コヨーテも、ホリネズミも、てんとう虫も、すべての生き物に役割がある。
 
野生動物を撮り続けてきた人だけあって、映像がとてつもなく美しい。
少しでも多くの人にご覧いただきたい作品ですが、
コロナ騒動で上映がどうなるのか。残念で、心配でなりません。

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『his』

『his』
監督:今泉力哉
出演:宮沢氷魚,藤原季節,松本若菜,松本穂香,外村紗玖良,
   中村久美,鈴木慶一,根岸季衣,堀部圭亮,戸田恵子他
 
2日連続で塚口サンサン劇場へ。
相変わらず超綺麗なトイレ。このご時世だからいつも以上の安心感。
 
たまに私のツボにハマる今泉力哉監督。
 
本作はTVドラマ『his 恋するつもりなんてなかった』のその後だそうですが、
そんなドラマがあったことすら知らず。
ドラマ版と映画版ではキャストはがらりと変わっています。
ドラマ版は大学時代の話らしいから、
数年経った設定の映画版ではもう少し歳を食ったキャストに。
 
主演は“THE BOOM”の宮沢和史の息子、宮沢氷魚
お父さんはそんなに背が高い印象なく、息子のほうがずいぶんすらりとしています。
ダブル主演の藤原季節は私のタイプではない。あ、私の好みはどうでもいっか。(^^;
 
かつて同棲していた井川迅(宮沢氷魚)と日比野渚(藤原季節)。
渚から切り出されて別れたふたり。
就職した会社でゲイだと知られることを恐れた迅は東京を離れ、
移住を積極的に受け入れている自治体、岐阜県白川町へ。
人を遠ざけながらも、畑で作った野菜を町民が獲った肉と交換するなど、
静かに自給自足の生活を送っている。
 
ところがそこへ突然、8年ぶりに渚が現れる。
しかも娘だという6歳の空(外村紗玖良)を連れて。
渚がバイセクシュアルだったことにも気づかず、驚きを隠せない迅。
 
渚は現在、離婚協議中の妻の玲奈(松本若菜)と空の親権を巡って争っており、
これまでは玲奈が通訳の仕事で稼ぎ、渚が家事と育児を受け持っていたという。
離婚すれば無職の渚はどうやって生活するつもりなのか。
生活力をあてにして現れたかのようで、納得のいかない迅だったが……。
 
田舎町でゲイだということが噂になって居づらくなる、
そんな展開かと思っていたのにそうじゃなかった。
田舎の人が移住してきたゲイの若者を受け入れられるわけがないなんて、
こっちの思い込みもはなはだしい。すみません。
鈴木慶一演じる猟師のおっちゃん、
根岸季衣演じるおばちゃんの言葉に目頭が熱くなりました。
 
子どもの親権を争った場合、夫側の新パートナーが男性だとしたら、
実際の裁判もこんな感じになるのでしょうか。
渚側の弁護士役、戸田恵子もよかった。
 
迅に想いを寄せる町役場の職員役が松本穂香
思いきって告白した相手がゲイだった。切ないなぁ。
 
迅と渚のキスシーンを目撃した空の言葉がすべて。
「パパが迅くんを好きで、迅くんもパパが好き。何がいけないの?」
そのとおりです。

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『EXIT』

『EXIT』(英題:Exit)
監督:イ・サングン
出演:チョ・ジョンソク,ユナ,コ・ドゥシム,パク・イナン,キム・ジヨン他
 
近所のシネコンで上映している作品は、
別に観んでもええかとスルーしているごく一部を除いて全部観てしまい、
観るものがなくなったので塚口サンサン劇場へ遠征。
 
来月初めにはDVDが発売されることが決まっている韓国作品です。
でもほかに観るものないし、面白そうやしということで本作を。
 
大学時代、山岳部に所属していたヨンナム(♂)。
ロッククライミングでは部内のエースだったと言いたいところだが、
後輩のウィジュ(♀)が随一の実力保持者。
そんなウィジュに恋して告白、見事にフラれ、傷が癒えないまま。
 
ある日、母親の古稀を親戚一同で祝うことに。
ウィジュの就職先を密かに調べていたヨンナムは、
彼女が副店長を務める宴会場をわざわざ予約。
偶然を装ってウィジュと再会を果たす。
 
再会するときには立派な会社に就職していたかったのに、
採用試験に不合格だったヨンナムは無職。
それを隠してウィジュに話しかけ、
失恋の痛手もまったく受けていないふりをする。
 
宴も終わって帰途に就こうとしたヨンナムたち。
ところがちょうどその頃、街では原因不明の有毒ガスが発生。
道行く人たちが呼吸困難に襲われて次々と倒れている。
 
ヨンナムは、皆にとにかく高いところへ上がるように指示。
日頃は頼りないヨンナムを信頼すべきかどうか、
一同は悩みつつも、ビルの屋上へと上るのだが……。
 
チョ・ジョンソク演じるヨンナムは、イケメンながら筋肉バカ。
毎日公園の鉄棒で誰も見ていないパフォーマンスを繰り返し、
彼の甥っ子は叔父である彼を恥じています。
子どもたちの間では「進撃の鉄棒男」と呼ばれているってワラける。
 
一方のウィジュ役は“少女時代”のユナ。可愛い。優しい。
とっとと自分だけ逃げる臆病な店長と違い、
責任感の強い彼女は客を先に逃がすことに徹します。
 
このふたりが皆を逃がした後、取り残されてしまうのです。
ロッククライミングの技を生かして、ビルからビルへと渡って逃げる。
最初はスベリ気味だなぁと思っていたのに、最後は楽しくて楽しくて。
 
暗くなりがちな今日この頃、楽しい映画鑑賞になりました。

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『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』

『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』(原題:The Man Who Killed Hitler and Then The Bigfoot)
監督:ロバート・D・チコフスキ
出演:サム・エリオット,エイダン・ターナー,ケイトリン・フィッツジェラルド,ロン・リヴィングストン他
 
シネ・ルーブル梅田にて、『恋恋豆花』『コロンバス』を鑑賞。
これで帰ってもよかったけれど、もう1本観られるやん。
いつ劇場が休業してしまうかわからないから、迷わず観る。
 
“未体験ゾーンの映画たち2020”のラインナップのうちの1本。
たまたまこの日の上映作品が本作でした。
 
自ら命を絶ったとされているアドルフ・ヒトラーは、実は暗殺されていた。
その暗殺を成功させたのは、カルヴィン・バール。
アメリカ政府から密命を受けて単身ヒトラーのもとへ乗り込み、
暗殺を成し遂げた事実を知るのはごく一部の人間だけ。
 
あれから何十年という月日が流れ、
カルヴィンは犬と暮らすただの老人だと周囲は思い込んでいる。
実際すでに隠居の身、静かに余生を過ごすだけ。
 
ところがある日、突然FBIが彼を訪ねてくる。
巷では毎日のように連続殺人事件の発生が報じられているが、それは嘘。
カナダの山中に殺人ウイルスを保菌する未確認生物“ビッグフット”が出現し、
直径80キロ圏内の野生生物を死滅させたらしい。
人間への感染も確認され、すでに死亡者も出ているとのこと。
FBIが対策を練るうち、ウイルスへの免疫を持つ者としてカルヴィンが浮上。
人類を救うために、ビッグフットの討伐に向かってほしいと言われ……。
 
“未体験ゾーンの映画たち”にありがちなことですが、ツッコミどころ満載(笑)。
どんな凄腕のナチハンターやったか知らんが、ヨレヨレの爺さんですよ。
ま、そんなだからこそ、彼がチンピラを一網打尽にするところは痛快。
 
若き日のカルヴィンと老いたカルヴィンとを見比べて、
巧い老けメイクだなぁと感心していたら別の役者が演じていました。
エイダン・ターナーが歳を取ってサム・エリオット、違和感なし。
 
カルヴィンが殺人ウイルスの免疫保持者って都合よすぎる気もするけれど、
そうじゃないと話が進まないし、まぁこれもええか。
ウイルス感染の話だというのもタイムリー。
 
B級でありながら、そうじゃないと言いたげなエンディングとか、
いろいろツッコミ入れたいところはまだまだありますが、
人生のそこここを後悔しながらそれでも生きて行かざるを得ない老人の悲哀漂い、
全体的には悪くなかった1本です。

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