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『オーバーボード』

『オーバーボード』(原題:Overboard)
監督:ロブ・グリーンバーグ
出演:エウヘニオ・デルベス,アンナ・ファリス,エヴァ・ロンゴリア,メル・ロドリゲス,
   ハンナ・ノードバーグ,アリヴィア・アリン・リンド,ジョン・ハナー他
 
関西の劇場の休業は解除されましたが、
公開延期になっている作品が多すぎて上映スケジュールが組めないのか、
緊急事態宣言発令前に私が観た作品ばっかり。
もう1回観たいほど好きな作品がそうそうあるわけじゃなし、
しばらくは劇場通いと自宅で鑑賞の併用になりそうです。
 
2018年のアメリカ作品。
日本では未公開、DVD化もされていませんが、
Amazonプライムビデオで配信されています。タダで〜す。
 
ゴールディ・ホーンカート・ラッセルが共演した『潮風のいたずら』(1987)の
「リイマジネーション版」なのですって。なんすか、それ(笑)。
リブート版とかリイマジネーション版とか。リメイク版でよろしいやん。
なお、『潮風のいたずら』とは恥ずかしくなるような邦題ですが、
そちらも原題は本作と同じく“Overboard”でした。
 
ケイトは3人の娘を育てるシングルマザー
看護師の資格取得を目指して勉強しながら、仕事を掛け持ち。
友人夫婦の経営する飲食店の配達員と、派遣の清掃員
 
ある日、清掃を担当することになったのは超豪華なヨット。
所有者は世界で第3位の金持ち企業の長男レオナルド。
毎日何人もの女性を連れ込んではドンチャン騒ぎしているらしく、
その後片付けをするために呼ばれたのだ。
 
レオナルドの横柄で嫌みな態度にキレたケイトが言い返すと、
怒ったレオナルドは、ケイトを掃除用具もろともヨットから突き落とす。
給料をもらえなかったばかりか、掃除用具の弁償もしなければならない。
おまけに、まだ幼い下の娘ふたりの子守を頼むつもりだった母親は、
70歳を過ぎて舞台女優デビューするとはりきって出て行ってしまい、
もうケイトはどうしてよいかわからない。
 
そんな折、ふと目にしたニュース。
あのレオナルドがどういうわけか記憶喪失で入院しているという。
心当たりのある人は連絡をほしいという内容。
 
なんとしてでも先日の給料はもらわねば気が済まない。
そこでケイトの親友テレサが思いついた案は、
レオナルドの妻のふりをして病院に引き取りに行き、
ケイトが勉強に集中できるように彼を働かせるというもので……。
 
ウィキペディアを見て大笑いしてしまったのですが、
本作は批評家に酷評されているそうです。
「必ずしも名作とは言えない映画をリメイクしている。
オリジナルの低い水準にすら達しないリメイクを観客に提供した」と、
『潮風のいたずら』からして酷いことを言われていてワラける。
 
でもこれはとても楽しい作品です。
 
エウヘニオ・デルベス演じるレオナルドは、最初は本当にイケすかない奴。
アンナ・ファリス演じるケイトが病院へ引き取りに行ったあとも、
すべての記憶は失っていても、金持ちの習慣は体に染みついている。
なんとなく自分が貧乏だったわけはないと思っているんですね。
 
ケイトの家に連れて行かれて、「僕は貧乏だったのか」と愕然。
愕然とするのはどうかと思うほど、可愛いおうちですけどね(笑)。
仕事なんてしたこともないのに、いきなり肉体労働。
現場の男たちから「なんだ、その女みたいな(美しい)手は」と笑われる。
まったく使い物にならなかったけれど、次第に働くのも楽しくなります。
 
ケイトから料理もするように言われても、自分で鍋を火にかけたことすらない。
それでも、もともと良いものを食べているから、
一旦料理の仕方を覚えると、ケイトより美味しいものを作るようになる。
ケイトが使っていた市販のトマトソースが不味すぎるからと、
スパイスを加えて変身させ、子どもたちがその美味しさにびっくり。
 
外での仕事と家事は任せられても、子どものことだけは任せられない。
だって本当は夫でもなんでもない、他人だから。
そう思っていたケイトですが、子どもたちも懐くんですねぇ。
 
ちょっぴり泣いて、大いに笑いました。
スーパーハッピーエンド。
 
批評家の言うことなど気にせずに観てほしい。
きっと明るい気持ちになれます。

—–

『フローズン・グラウンド』

『フローズン・グラウンド』(原題:The Frozen Ground)
監督:スコット・ウォーカー
出演:ニコラス・ケイジ,ジョン・キューザック,ヴァネッサ・アン・ハジェンズ,
   ディーン・ノリス,ジーア・マンテーニャ,ラダ・ミッチェル他
 
 
2013年のアメリカ作品。
ニコラス・ケイジって、相変わらず映画に出まくっている様子。
高く評価される作品は最近まったくないけれど、別に最近に限らんか。
言われたって気にしない、その姿勢は潔いのかもしれません(笑)。
 
私はどうやらタイトルに「フローズン」と付くとスルーできないみたいで。
『フローズン・リバー』(2008)のような佳作もたまにありますが、
抱腹絶倒のB級シチュエーションスリラーが多い。
これもたぶんその手のやつなんだろうと思ったら、なんと実話が基。
1980年代に全米を震撼させた実在の連続猟奇殺人犯の逮捕劇を題材にしています。
 
1983年、アラスカ州アンカレッジ。
手錠をされて傷だらけの少女シンディが警察に保護される。
23歳と偽っていたが、シンディは17歳の娼婦
客であるロバート・ハンセンという男に監禁レイプされ、
命からがら逃げてきたというが、ロバートは地元の名士。
警察は所詮娼婦の言うことだとシンディの話に取り合わない。
 
一方、州警察では相次ぐ身元不明女性の変死事件を調査中。
数週間後に刑事を辞めて平穏な生活を送るつもりのジャック・ハルコムは、
またしても発見された変死体について調べるうち、
地元警察が事件化を見送ったシンディの調書に目を留める。
 
変死体は同一犯による連続殺人なのではないか。
ロバートこそが殺人犯だと確信したジャックは、
警察にないがしろにされたおかげで不信感あらわなシンディを守ると誓い、
なんとかロバートの尻尾を掴もうとするのだが……。
 
ジャック役にニコラス・ケイジ、ロバート役にジョン・キューザック
この共演といえば思い出す、『コン・エアー』(1997)。
あのときは連邦捜査官役で格好よかったジョン・キューザックが
本作では変態殺人鬼役ですもんねぇ。
彼にはいつまでも善人役の俳優でいてほしかったけど、仕方ないか。
 
殺人犯といってもウィキペディア等でたいしたページを割かれていない、
特に日本語版ではあまり知り得る情報はないことも多々ありますが、
ロバート・ハンセンについてはウィキペディアに長い長い説明が。
モチーフにした程度の作品かと思っていたら、かなり忠実なようです。
ニコラス・ケイジ主演なのに(笑)。
 
ロバートのやり口は、女性をだいたい1週間程度監禁した後、
林に連れて行って放ち、狩りをするかのごとく猟銃で撃ちます。
遺体は熊などに齧られて凄惨な状態に。
妻子もある身で、妻は敬虔なクリスチャン。
夫のしでかしていることなど露とも知らなかったのがまた悲惨です。
 
決定的な証拠がなかなか出ないなか、
のらりくらりとかわそうとするロバートから
なんとか自白を引き出そうとするジャック。
この掛け合いがなかなかスリリング。
当時「偽りの年齢」のほうに近かったヴァネッサ・アン・ハジェンズ
17歳の役というのはちょっとキツイかなぁ。上手かったけど。
 
実話ベースなのに、ニコラス主演というだけで
普通のスリラーに思われてしまうジレンマ(笑)。
そこも含めて面白かった。

—–

『ギリーは幸せになる』

『ギリーは幸せになる』(原題:The Great Gilly Hopkins)
監督:スティーヴン・ヘレク
出演:ソフィー・ネリッセ,キャシー・ベイツ,ジュリア・スタイルズ,ビル・コッブス,
   ビリー・マグヌッセン,オクタヴィア・スペンサー,グレン・クローズ他
 
2016年のアメリカ作品。日本では劇場未公開、WOWOWにて放映されたそうな。
WOWOWの放映時邦題は『ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常』。
とっても良くて、こんなならGW中にUPしたかったと思うほど。
 
どういうわけか母親と一緒に暮らすことが許されない少女ギリーは、
里親に引き取られるたびに問題を起こし、どこにも居付けない。
今度もしも駄目だったら、ずっと施設にいることになるだろう。
そう言われて預けられることになったのは、養母トロッターさんの家。
 
トロッターさんは、終始生意気な態度のギリーにも優しい。
そこが余計にむかつく。
もうひとりの里子、ウィリアムはおとなしくて口も利かないが、
すっかりトロッターさんに懐いていて、それも腹が立つ。
トロッターさんは毎晩隣家の盲人フランドルさんを食事に招くし、
どこまでお人好しなのか。
 
学校へ行けば、ハリス先生が鬱陶しい。
友だちなんて要らないのに、アグネスという同級生がまとわりついてくる。
ギリーの頭の中にはどうすれば実母と暮らせるということしかないのに。
 
ある日、実母の居場所を突き止めたギリーは、
あることないことでっちあげた手紙を書くことを思いつく。
一刻も早くこの環境から救い出してほしいとしたためて投函するのだが……。
 
中盤までクソ生意気なギリーを演じるのはソフィー・ネリッセ。
とても可愛い子なのですが、20歳になった今の写真を見るとイマイチかなぁ(笑)。
 
トロッターさんにはキャシー・ベイツ。さすが。
フランドルさん役のビル・コッブスも実にあったかい。
また、ハリス先生役のオクタヴィア・スペンサーもいい味。
祖母役で登場するグレン・クローズを見ると、
『危険な情事』(1987)で鍋にウサギ突っ込んでたストーカー
こんな上品なおばあちゃん役かと思うと感慨深い(?)ですねぇ。
 
実母役のジュリア・スタイルズだけがめっちゃ怖い。いや、顔と化粧が。(^^;
まぁ、あかん母親役なので合ってるっちゃ合ってますが。
 
親に愛されることのないまま里親のところを転々としていた問題児が
優しい養母に引き取られて暮らすうち、良い子になる。
とてもありがちな話ではありますが、心が洗われて涙涙。
 
ありきたりでもこういう話は落ち着きます。
きっとギリーは幸せになる。

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『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』

『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』(原題:Blow the Man Down)
監督:ダニエル・クルーディ,ブリジット・サヴェージ・コール
出演:モーガン・セイラー,ソフィー・ロウ,マーゴ・マーティンデイル,
   ジューン・スキッブ,アネット・オトゥール,エボン・モス=バクラック他
 
2019年のアメリカ作品。
Amazonスタジオの配給作品で、日本では劇場未公開。
Amazonプライムビデオで配信中ですが、
全米での公開が今年の3月下旬だから、いわゆる「神配信」
しかも他の神配信と異なって無料です。プライム会員ならば。
 
監督はウィキペディアにまだ日本語ページのないふたり、
ダニエル・クルーディとブリジット・サヴェージ・コール。
映画好きの人なら誰しも思うことでしょう、
コーエン兄弟『ファーゴ』(1996)を思わせるスリラー作品で、
この先がめちゃくちゃ楽しみ。
メジャー作品が好きな人には薦めませんが、私は大好き。
 
アメリカ・メイン州の小さな漁師町イースター・コーヴ。
魚屋を営むコノリー家の母親が亡くなり、
長女プリシラと次女メアリー・ベスは哀しみの淵にいる。
プリシラはこの地に残って店を継ぐつもり。
自由奔放なメアリー・ベスは一刻も早くここを立ち去りたいのに、
母親の死で足止めを食らってイライラ。
 
憂さを晴らそうとひとり飲みに出かけたメアリー・ベスは、
バーで知り合った男ゴルスキーと酔っぱらって羽目を外す。
ゴルスキーの家に着いた途端、豹変した彼に恐れをなし、
逃げようとするメアリー・ベスをゴルスキーが追う。
そばにあった銛でゴルスキーの首をひと突きしたうえに、
レンガで頭を殴って殺してしまったメアリー・ベス。
 
帰宅して震えながらプリシラに相談。
正当防衛が適用されるはずだから大丈夫と通報しかけるが、
気が変わったプリシラはメアリー・ベスを連れてゴルスキー宅へ。
彼の遺体をクーラーボックスに詰め込み、海へと放り込む。
 
翌朝、警官がプリシラにボートを貸してほしいと言いに来る。
小型のボートしか近寄れない場所に遺体が打ち上げられたと言うのだ。
もう見つかってしまったと呆然とするプリシラ。
ところがその遺体はゴルスキーのものではなく、若い女性のもので……。
 
この件から少しずつ明らかになる町の黒い歴史。
町に1軒だけ存在するホテルは売春宿として昔から営業されていました。
それに自分たちの亡き母親も絡んでいたと姉妹は知ります。
また、自分たちが抹殺したあの男が宿の用心棒であったことも。
 
母親が亡くなったのを機会に、売春宿をなくしてしまおうと考えている町の女性たち。
しかし、宿の経営者であるエニッドは決して首を縦に振らない。
 
マーゴ・マーティンデイル演じるエニッドが凄い迫力なのですが、
それに負けじとエニッドに詰め寄る婆さんたちがまた怖いのなんのって。
町の汚点はなんとしてでも排除するつもりなのがありあり。
 
プリシラ役のソフィー・ロウは透明感のある美人。
はねっかえり娘のメアリー・ベス役のモーガン・セイラーと良いコンビ。
 
タイトルの“Blow the Man Down”は、冒頭で漁師たちが歌っている曲。
「そいつをぶっ飛ばせ」と。
最後は女たちが歌います。男をぶっ飛ばせ。その微笑みが怖すぎる。

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『ピザ!』

『ピザ!』(原題:Kaaka Muttai)
監督:M・マニカンダン
出演:V・ラメーシュ,J・ヴィグネーシュ,アイシュワリヤー・ラージェーシュ他
 
2014年のインド作品。日本では劇場未公開。
こういうのを「あなたへのオススメ」でAmazonが教えてくれると、
Amazonよ、君はなんと確かな目を持っているんだと思います(笑)。
プライム会員なら無料。
 
踊らないボリウッド作品です。でもやっぱりボリウッド。
 
南インドの都市チェンナイのスラム街に暮らす幼い兄弟。
父親は何の罪でか投獄され、保釈金を要求されるが、
母親がいくら金を工面しようとも釈放してもらえない。
高齢の姑は働けず、母親の仕事だけでは生活が苦しく、
兄弟は学校に行かずに線路脇の石炭を集めて日銭を稼いでいる。
 
ある日、スラムの子どもたちの遊び場だった広場が立入禁止に。
工事の末にできたのは大規模なピザ店
有名な芸能人を招いてオープニングイベントが開かれる。
遠巻きにしか見ることを許されない子どもたちは、
初めて見るピザなる食べ物に興味津々。
 
食べてみたい。でも1枚のピザが300ルピー(約420円)。
これはスラムの1カ月の家賃よりも高い。
母親にねだったところでピザが買えるわけもなく、
兄弟はニンジンと呼んでいる顔見知りのおっちゃんに相談。
ニンジンは石炭がたんまりある場所をこっそり教えてくれて……。
 
子どもは残酷です。
特に兄ちゃんのほうときたら、もうピザのことしか考えられず、
母親が父親の保釈のために必死で働いているのに、
「パパなんかよりピザのほうがいい」と平然と言い切る。
諌める祖母には「食べて寝るしか能がないくせに黙ってろ」って。
そう言われたお婆ちゃんの悲しそうな目と言ったら。
 
なんとかピザ1枚分の金を貯めて喜び勇んで出かけたのに、
店先でガードマンから追い返される。
服装からスラムの子どもだと判断されたと思い込み、
今度はショッピングモールへ新しい服を買いに行くと決めます。
 
兄ちゃんには時折イライラさせられましたが、気持ちはわからなくもない。
そして、その兄ちゃんにただただついていく弟が可愛い。
 
スラムにピザ屋を出店して、スラムの人を排除する。
その感覚はどうなのよ。
金持ちにも貧乏人にも悪いことを考える奴はいて、
悪いことを考える奴同士で出し抜くことを考えているのもなぁ。
大地真央のCMじゃないけれど、「ここに愛はあるんか」と言いたくなる。
 
でも、愛はあります。
そもそもスラムに暮らす人びとに悲壮感はありません。
幸せか不幸せかなんて、まわりが決めることじゃない。
 
いろいろあって、最後にピザにありついた兄弟の言葉。
笑顔と共に心に残りました。
 
ちなみに、原題を英訳すると“Crow’s Egg”、「カラスの卵」。
兄弟の名前は最後まで出てきません。
ふたりはカラスの卵、大きい卵は兄、小さい卵は弟。
そのまま育って。

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