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『ニュー・シネマ・パラダイス』

『ニュー・シネマ・パラダイス』(原題:Nuovo Cinema Paradiso)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ,ジャック・ペラン,サルヴァトーレ・カシオ,マルコ・レオナルディ,
   アニェーゼ・ナーノ,アントネラ・アッティーリ,レオポルド・トリエステ他
 
土曜日に旧作を3本ハシゴ、日曜日はこれ1本に留めました。
109シネマズ箕面にて。
 
1988年のイタリア作品。
こうして旧作を観るとき、過去に劇場で観たかどうかを意外と覚えていないことに気づきます。
これはもしかすると公開当時ではなく、
リバイバル上映を千里中央の今はなき劇場で観たんじゃないかな。
 
ローマに暮らす映画監督サルヴァトーレは、
30年帰っていない故郷シチリア島の母親から、ある人が亡くなったとの報せを受ける。
故郷で暮らした少年時代、青年時代に想いを馳せるサルヴァトーレ。
 
多くの人が好きな作品として挙げる本作のこと。
余計な説明は要らないかと思います。
しかし改めて観ると、こんなシーンあったかいなと思うところいろいろ。
 
サルヴァトーレの愛称はトト。少年時代のトトは本当にずる賢い(笑)。
映画が大好きで、映画館に隙あらば潜り込む。
この映画館というのが村の唯一の娯楽施設で、なんと教会と兼用。
村人たちへの上映に先駆けて神父が検閲し、
ラブシーンはすべてカットするように映写技師に命じます。
 
映写技師のアルフレードこそが、「亡くなったある人」。
映写室にやってきてはちょろちょろと動き回るトトのことが
鬱陶しくてたまらないけれど、可愛くもある。
母親から買い物を頼まれたトトがついついそれを映画につぎ込んでしまったときも、
助け舟を出してトトを窮地から救ってやります。
 
逆に、まともに教育を受ける機会のなかったアルフレードが
小学校卒業の認定試験を受けるときは、
映写室に入れてもらうことを条件に、トトが解答を教える。
この辺りのトトも非常にずるいんですけれど(笑)。
 
以前にも書いたことがあるかもしれませんが、
本作について話すときに必ず思い出すのが、
これほど世界中の人から愛されてやまない作品を好きじゃないって!?と思ったのですが、
今回観て、その気持ちがちょっぴりわかった気がしました。
アマノジャクだねぇ。(^^;
 
ちょっぴり気持ちはわかったけれど、やっぱり泣きましたよ。
とにもかくにもエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。
大人になったサルヴァトーレと一緒にアルフレードの形見を観ながら、
涙が頬を伝うのでした。愛に溢れています。

—–

『タワーリング・インフェルノ』

『タワーリング・インフェルノ』(原題:The Towering Inferno)
監督:ジョン・ギラーミン,アーウィン・アレン
出演:スティーヴ・マックィーン,ポール・ニューマン,ウィリアム・ホールデン,
   フェイ・ダナウェイ,フレッド・アステア,ジェニファー・ジョーンズ他
 
大阪ステーションシティシネマで2本観てからTOHOシネマズ梅田へ移動。
こちらはもともとは“午前十時の映画祭10+”の参加劇場ではないので、
旧作を上映していても“午前十時の映画祭”とは言いません。
でも、上映作品は似たような感じで、旧作の名作だらけ。
 
ちなみに、ステーションシティシネマは座席を3つ空け、
空けた席にはテープを貼って座れないようにしています。
TOHOシネマズは1つ空けるだけでテープも何もなし。
座ろうと思えば座れるから、3人で来た人がくっついて座っているのも見かけました。
そういう人たちに限ってマスクも着けずにくっちゃべっていたりして、これはやめて。
思わずそこから遠く離れた席に移動しました。どっちみちがらがらやけど。
コロナ対策ではステーションシティシネマが段違いで上だと言わざるをえません。
 
1974年のアメリカ作品。
日本でも公開年の1975年に大ヒットしたそうで、
当時の洋画の興行収入記録を更新したとのこと。
これ、165分もあるせいか、私はテレビでもDVDでも観ていません。
アカンでしょ!?(^^;
 
サンフランシスコにお目見えした138階建て、地上135階の超高層ビル“グラス・タワー”。
落成式の日、最上階で華やかなパーティーが開かれる。
客たちがくつろぐなか、設計士ダグ・ロバーツは奔走。
というのも、ダグが指定した仕様とは異なる部品が使われていたと判明したから。
何も起こらなければいいのにという希望は叶わず、81階の倉庫から出火する。
 
ぼやでは済まず、次第に燃え広がり、消防隊が到着。
消防隊長マイケル・オハラハンの指揮のもと、
ビルに取り残された人々の救助と消火活動がおこなわれる。
 
ウィキペディアを読んでから鑑賞したから、見どころいっぱい(笑)。
スティーヴ・マックィーンがポール・ニューマンと同等の台詞の量を要求したとか。
そんな要求をするような奴だから、オープニングクレジットの位置も気にするはず。
ポール・ニューマンより先に名前を出さないとスネたことでしょう。
名前を並べて書くとき、通常は左側に書かれている俳優が格上と見なされ、
スティーヴ・マックィーンの名前が確かに左側に書かれています。
が、右側に名前が書かれているポール・ニューマンのほうが位置が高い。
ポール・ニューマンのほうが5歳上なのだし、敬意を払ってもいいところ、
なんかスティーヴ・マックィーンって器ちっせぇと思ってしまう話ですよね。(^^;
 
前述の『ブルース・ブラザーズ』を観たときと同じことを思う。
今ならCGでなんとでもできるでしょう。
45年前にこれをどのように撮ったのか、凄いです。
ミニチュアを製作したのだろうかと考えると、職人技に驚く。
たとえば『スカイスクレイパー』(2018)と見比べたとき、
『スカイスクレイパー』のほうが映像は綺麗でしょう。
今時の作品のほうが迫力もあるかもしれない。
でもこの時代に「手」でつくられたパニック映画だと思うと感慨深い。
 
見応え十分。
器ちっせぇ男でも、スティーヴ・マックィーンはやっぱり格好よかった。

—–

『ブルース・ブラザーズ』

『ブルース・ブラザーズ』(原題:The Blues Brothers)
監督:ジョン・ランディス
出演:ジョン・ベルーシ,ダン・エイクロイド,キャリー・フィッシャー,キャブ・キャロウェイ,
   ジョン・キャンディ,ヘンリー・ギブソン,チャールズ・ネイピア,ジェフ・モリス他
 
もういっちょ、“午前十時の映画祭10+”
同じく大阪ステーションシティシネマにて。
 
1980年のアメリカ作品。劇場で観るのは初めてです。
昔DVDで観てすごく楽しかったのを覚えているので、
この機会にぜひ大きなスクリーンで観たいと思っていました。
 
コメディアンのジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが中心となり、
結成したのが“ブルース・ブラザーズ・バンド”。
1977年にTV番組“サタデー・ナイト・ライブ”で人気を博しました。
 
ジェイクとエルウッドは孤児院育ちの兄弟。
訳あってジェイクが刑務所に入り、このたび出所。
孤児院の院長でペンギンと呼んでいるシスターから、
近日中に固定資産税5,000ドルを支払わなければ、
孤児院が立ち退きとなってしまうことを聞く。
 
ふたりは“ブルース・ブラザース・バンド”を再結成してコンサートを開き、
5,000ドルを寄付することを思いつく。
今はそれぞれ別の職に就いているメンバーを探し、
バンドの再結成について話すのだが……。
 
“スター・ウォーズ”シリーズのレイア姫、
キャリー・フィッシャーが謎の女役で登場するほか、
ヨーダの声で有名な映画監督フランク・オズが看守役で最初に登場。
最後にはスティーヴン・スピルバーグもチラリ。
楽器店の主にレイ・チャールズ、バンドメンバーの妻役にアレサ・フランクリン、
牧師役にジェームズ・ブラウン聖歌隊のソロにはチャカ・カーン。
すごい人たちの歌が聴けます。
 
車を何台つぶすねんというカーアクション。
今ならこんなこといくらでもCGでやれちゃうんでしょうが、
当時はどうだったのか。
あ、州兵や警察官のエキストラが何百人もいたって、ウィキぺディアに書いてある!
 
音楽はいつの時代も人の心を救う。

—–

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(原題:Back to the Future)
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス,クリストファー・ロイド,リー・トンプソン,
   クリスピン・グローヴァー,クローディア・ウェルズ,トーマス・F・ウィルソン他
 
先週の土曜日、またまた大阪ステーションシティシネマへ。
やっぱり“午前十時の映画祭10+”で旧作を鑑賞。
 
本当は9:30上映開始の『JAWS/ジョーズ』(1975)狙いだったんです。
(というと、便秘症かと尋ねられることがたまにあるのですが、
逆です、逆。便秘知らずだから、出さないままには出かけられない(^^;)、
それまでうだうだしていたら、間に合わなくなってしまった。
代わりに何を観ようかと考えたとき、10:00上映開始の本作が浮上。
 
1985年のアメリカ作品。
これはさすがに劇場で観たことがあると思うんです。
USJの“バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド”でゲロ酔いしかけたことも思い出す。
怖いんじゃないんです。
縦揺れはなんぼ揺れても平気なんですけど、横揺れはゲロゲロ〜。
 
誰もが知っている『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですけれど、おさらい。
 
クリストファー・ロイド演じるドクことエメット・ブラウン博士は、
スポーツカーのデロリアンを改造してタイムマシンを開発中。
マイケル・J・フォックス演じる高校生のマーティ・マクフライとは、
歳は相当離れているものの大親友。
 
ある日、タイムマシンを完成させたドクから呼び出され、
マーティは深夜のショッピングモール駐車場へ。
さていよいよ今から過去へ行くぞというとき、
ドクが部品を入手するために取引をしたテロリストの襲撃に遭う。
テロリストを騙したドクは銃弾を浴びて死亡。
 
ついデロリアンに乗り込んだマーティが着いた先は1955年。
デロリアンは故障しているから、このままでは元の世界に帰れない。
ドクの自宅を訪ね、未来の世界ではドクと自分が友だちであること、
ドクのタイムマシンに乗ってやってきたことを説明。
ふたりで考えた末、唯一の帰る方法を思いつく。
 
さて、1955年当時、マーティはもちろんまだこの世に生まれていない。
父親のジョージと母親のロレインは高校生で、話したことすらない様子。
このあと両親は恋に落ちるはずだったのに、
ふとしたことからロレインはマーティに好意を抱く。
 
自分はあなたの息子ですとも言えず、困り果てるマーティ。
このままではマーティも彼の兄妹も、存在が消えてしまう。
未来が変わらぬよう、両親の仲を取り持とうとするのだが……。
 
公開当時に観たとき、こんなに面白いと思った記憶がなく。
めちゃくちゃ面白かった。よかった。
本作で人気を極めたマイケル・J・フォックスが、
その後パーキンソン病に罹って大変な思いをしたことなどが
今はわかっているからかもしれないけれど、
だからって評価が甘くなっているわけじゃない。面白い。
 
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの“The Power of Love”がかかった瞬間にテンションが上がり、
冒頭からワクワクします。
1955年の音楽だったりファッションだったりも楽しくて、
結果的には『ジョーズ』を観るよりもこちらのほうがいい鑑賞時間だったかも。
 
いじめられっ子だった父親が、マーティが過去を変えたせいでそうではなくなる。
嬉しいことではありますが、立場が逆転して偉そうにしすぎじゃないか。(^^;
その点だけはもうちょい器のでかいところを見せてほしかったような。
 
続編も公開中ですが、う〜ん、これは1がいちばん面白かった記憶は合ってます?

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2020年5月に読んだ本まとめ

2020年5月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3946ページ
ナイス数:1520ナイス
 
■架空OL日記 2 (小学館文庫)
丁寧に読まなければ面白いところを逃してしまいそうで、意外と読むのに時間がかかる。といっても2時間はかからない。映画版を先に観ているから、頭の中に流れるのはバカリズムの声。はたして本当のOLが書いたものだとして私がこれほど笑えたかどうかはわかりません。でも、擬態語だけでもじゅうぶんに可笑しい。寿司屋で穴子も鰻も食べたいと思って「アナギください」と言ってしまったことのある私は、「雨かざれ」にニヤッ。私の場合、「うおっ、合体しとるがな」とありがたいツッコミを頂戴しましたが。恥ずかしかった。(;_;)←誰だお前。
読了日:05月02日 著者:バカリズム
 
■ネメシスの使者 (文春文庫)
いかに死刑廃止論が唱えられようとも、死刑制度があって良いと考えている人のほうがまだまだ多い。私もそうです。それでも、被害者の遺族でもないまったく赤の他人が正義をふりかざし、加害者の遺族を殺すのは異常だと感じます。異常な行為に走っていたわけではなかったのですね。緊急事態宣言発令直前に観た映画『プリズン・サークル』を思い出しました。他と比べて再犯率が低いこの刑務所。もしもここを出所した加害者が再び罪を犯すことなく生きていくとしたら、それは被害者の遺族の望むことなのだろうかと本作を読んで考え込んでしまいました。
読了日:05月05日 著者:中山 七里
 
■テミスの剣 (文春文庫)
ひと月の間にできるだけ、いろんなジャンルのいろんな作家の作品を読むと決めているので、上下巻でもない限り、同じ作家を続けて読むことはないんです。ないんですけど、『ネメシスの使者』を読んでおいて、その前日譚である本作を積読の山に入れたままなのが気になってつい。渡瀬刑事にはこんな過去があったのか。ネメシスを先に読んだおかげで、今も変わらぬ刑事であることがわかっているからちょっぴり安心。『その女アレックス』→『悲しみのイレーヌ』の順で読んだときと同じ感覚。それにしても毎度残り少なくなってからの展開が凄すぎて愕然。
読了日:05月06日 著者:中山 七里
 
■愛がなんだ (角川文庫)
恋愛は、「つきあってもらっている」という気持ちと「つきあってやっている」という気持ち、五分五分が理想だと思っています。どちらかに偏っているときの自分は好きになれないと思うから。しかし、本作のテルコは要するに都合のいい女で、「つきあってもらっている」とすらいえない関係。そんな彼女だけど、この恋の成就を願う気にはなれません。彼女の友人の言葉を借りれば、「ぞっとするほど頭が悪い」。でも、いっそマモちゃんになってしまいたいと考えるほど好きになれるのは、凄いことなのかもしれない。浅はかだ。アホだ。だけどこれが人間。
読了日:05月07日 著者:角田 光代
 
■銀翼のイカロス (文春文庫)
コロナのせいで、テレビには半沢直樹がなかなか帰ってこないからせめて読む。いんや〜、やっぱり面白いなぁ。私にとって、シュッと読めるお手頃頁数は320頁ぐらいまでなのに、それを100頁上回ってもシュシュッと読めるのは、今なら中山七里かたまにはずれるけど東野圭吾、そして鉄板の池井戸潤。法律以前に守るべき人の道。まっとうな商売してなんぼ。ほんと、そう思うのに、どうして人は身の丈に合わない欲をかき、良いものは良い、悪いものは悪いと言えなくなってしまうのか。「徹底的にやる」と「倍返し」とどっちが怖いだろ。倍返し歓迎。
読了日:05月08日 著者:池井戸 潤
 
■高座のホームズ – 昭和稲荷町らくご探偵 (中公文庫)
日常の謎よりは若干ヘヴィーな事件。ある噺家の師匠と兄さんがそれを解いてみせます。高校時代、私は落研に所属していましたが(最も暇そうなクラブを選んだ結果)、本作を読んだら知らないことだらけ。興味を惹かれて第1話は面白く読みましが、うーん、第2話は女としてはかなり不愉快。女子高生に欲情する段は正直言ってキモい。その相手と……なのだから、余計なお世話ですかね。稲荷町の名探偵のモデルとなっているのは八代目林家正蔵師匠。師匠のお人柄がわかる特別寄稿は非常によかったです。あ、キモいのは師匠ではないのでご安心ください。
読了日:05月12日 著者:愛川 晶
 
■屋根をかける人 (角川文庫)
ブックカバーのかかった状態で友人から借り、「建築物好きの作家が自分の家を建てる話」だと完全に思い込んでいました。既読の著作が万城目さんとの建物探訪だったせい。そうしたら、実在の人物に着想を得た歴史小説で驚く。伝道者でありながら建築家にして商売人。マルチ商法まがいの話まで出てきたりして、たまにドン引き(笑)。終盤は時折涙腺を刺激され、紆余曲折、波乱万丈の人生に想いを馳せ、壮大な伝記を読んだ気持ちになりました。読了後にブックカバーを外す。最初にこうしなかったことがより深い感慨を呼び込みました。とても良かった。
読了日:05月13日 著者:門井 慶喜
 
■ゴールデン・ブラッド GOLDEN BLOOD (幻冬舎文庫)
もちろん本作の主役は消防士の圭吾なのですが、影の主役はあの人ではないですか。「実直そうではあるけれど、軽そうなところがどうもなぁ」(笑)。私が薦めて“藤堂比奈子”シリーズを読み始めた人が、いつのまにか私を追い抜いて先に読了。その後しきりと本作を読め読め言うのです。序盤は、あらこの人♪と思った程度だったのが、カメオ出演どころの出番ではない。ほかに、名前こそ出ないけれど「凄腕の検死官」も見え隠れ。なるほど早く読め読め言いたくなるはずだ。検察庁法改正案が可決されたら、ますます役人を裁けなくなるのかもしれません。
読了日:05月16日 著者:内藤 了
 
■AX アックス (角川文庫)
凄腕の殺し屋は恐妻家。世の中の妻は「夫よ、これぐらい気を遣ってみろ」と思うでしょう。逆に夫は「本当はこんなに気を遣っているのだよ」と思うかもしれません(笑)。伊坂幸太郎を読んだとき、私の胸に広がる想いをなんと説明すればいいのか。ありえないキャラクターにたまにふくほど笑わされ、幸せで、でも切なくて、何度も涙が溢れそうになる。とにかく私のツボに突き刺さるんですとしか言えません。何をしていたのかはわからないままでも、父親は父親。自分のことを見守ってくれていたのはわかるはず。きっとこの先、何度も読み返したくなる。
読了日:05月19日 著者:伊坂 幸太郎
 
■忘れ物が届きます (光文社文庫)
忘れた頃に届く良い話。この表紙ならそう思うじゃないですか。でも、ひとつめの話は出だしからなんだか嫌だった。数十年前の辛い過去が赤の他人にほじくり返されるなんて。少々むかつきつつ、ひねりは効いていたから、まぁふたつめ以降も読んでみたら。いずれの話も、気になっていたことの真相が年月を経て明かされます。ヘヴィーさはまちまち。あのとき何があったのか、知らないままよりも知れてよかったにちがいない。読了後の心情は表紙から受ける印象通りになりました。「思いとどまらせた」ふたつの話、『雪の糸』と『おとなりの』が好きです。
読了日:05月20日 著者:大崎 梢
 
■首無の如き祟るもの (講談社文庫)
“刀城言耶”シリーズと言いながら言耶さんなかなか出てこないし、出てきてもすぐどこかに行っちゃうし、どないなってるねんと思ったら、そういうことですか。内藤了の“堀北恵平”シリーズに記述のあった昭和7年の「首なし娘事件」が本作にも登場。実在の猟奇殺人はフィクションの中でもかぶるものですね。閉鎖的な村の中で起きる事件という設定は大好きだけど、言耶さんの推理が次から次へと展開して、真相はどこに落ち着くのか、ついていくのがたいへん。3冊分ぐらい読んだ感。シャッフルはややこしいから、着せ替え人形を作りながら読みたい。
読了日:05月31日 著者:三津田 信三

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