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『悪の偶像』

『悪の偶像』(英題:Idol)
監督:イ・スジン
出演:ハン・ソッキュ,ソル・ギョング,チョン・ウヒ,
   ユ・スンモク,チョ・ビョンギュ,キム・ジェファ他
 
先週じゃなくて先々週の土曜日のこと。
ミナミで4本ハシゴ。まずはシネマート心斎橋で3本、その1本目。
 
コロナ禍の劇場はどこも前後左右の席をひとつ空けてチケットを販売しています。
TOHOシネマズだけは空けてあるはずの席そのままだけど、
その他の劇場はテープを貼ったり、「ここは座れません」という紙を貼ったり。
今まででいちばん面白いと思ったのがこのシネマート心斎橋。
空けてある席にはマ・ドンソクが睨みを利かせて
「ここは俺の席だ」と宣言しているチラシが貼られています。
こういう遊び心は嬉しいですねぇ。
 
韓国作品。
「息子の射精を手伝ってやった」という衝撃的なモノローグから始まります。
 
漢方医から市議会議員となったミョンフェは、清廉潔白なイメージで巷の人気者。
今や知事選の最有力候補と目されている。
 
ある晩、ミョンフェの一人息子ヨハンが事故を起こす。
ミョンフェの車を勝手に使い、飲酒運転して人を撥ねたうえ、
遺体を車に積んで自宅のガレージまで運び込んできたのだ。
目撃者は誰もいないというヨハンの話を信じ、
ミョンフェは遺体を現場に戻してからヨハンに自首をさせる。
そうすれば実刑は免れるだろうし、知事選への影響も最小限に抑えられるから。
 
被害者の身元がプナンという青年であることが判明し、
ミョンフェの思惑どおりに話が進みはじめるが、
プナンの父親ジュンシクは、息子がひとりでいたはずはないと断言する。
プナンは新婚旅行中で、しかも妻のリョナは妊娠していると。
 
嫁であるリョナの安否を気遣うジュンシクと、
今さら目撃者に出てこられては困るミョンフェと。
双方がリョナの行方を血眼になって探しはじめるのだが……。
 
いろんな問題がてんこ盛りで、ぼーっと観ていると置いてけぼりにされます。
 
プナンには知的障害があり、リョナは中国からやってきた不法滞在者
政治の話も絡んでくるから、ちょっと盛り込みすぎでしょと言いたいような気も。
一度観て一応すべてわかった気持ちになっていますが、
振り返ってみると、「えっと、あの台詞ってどういうこと!?」と思う箇所もあったりして、
「二度三度観たくなる」という触れ込みはあながち大げさともいえません。
 
サスペンスミステリーだと思っていたのに、終盤はほとんどホラー。
リョナが凄すぎて、強制送還されることを恐れる不法滞在者って、
これぐらいの強さがなければ乗り越えられないのかもと思いました。
 
もう一度観るのはキツいから、どなたかご覧になった人とお話ししたい(笑)。
ところでソル・ギョングって内野聖陽にちょっと似てませんか。

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『CURED キュアード』

『CURED キュアード』(原題:The Cured)
監督:デヴィッド・フレイン
出演:エレン・ペイジ,サム・キーリー,トム・ヴォーン=ローラー,
   ポーラ・マルコムソン,スチュアート・グレアム他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『コリーニ事件』の次に。
またもやゾンビもの。でも笑えるやつではなくて、とても真面目な。
かなり面白かった。
 
アイルランド/フランス作品。
監督は本作が長編デビューとなるアイルランドの新鋭だそうです。
 
メイズと呼ばれる新種のウイルスがヨーロッパに蔓延し、
感染した人々はゾンビとなって凶暴化する。
数年後にようやく治療薬が開発されるたものの、
甚大な被害を受けたアイルランドはなかなか混乱から立ち直れない。
 
やがて感染者のうち75%が治癒して「回復者」として認定され、
社会復帰を果たすことが決まる。
たいていの回復者は家族から受け入れを拒否されて支援棟で暮らすが、
回復者のうちのひとりである青年セナンは、
義姉アビーとその幼い息子キリアンに迎えられる。
 
アビーの夫、すなわちセナンの兄は、感染パニックの中で死亡。
実は兄の命を奪ったのはセナンだが、それはアビーに打ち明けられないまま。
 
そんななか、回復者の社会復帰に断固反対する市民グループが過激化。
対抗しようと回復者同盟を統率するコナーもまた過激な行動に走りだし……。
 
ゾンビ化した人たちが治癒して社会復帰するというのが新しい。
何が怖いって、回復者の頭の中にゾンビだったときの記憶がすべて残っているということ。
自分がゾンビになって、人を喰って回ったことを全部覚えているのです。
ゆえに治癒してからもその悪夢にさいなまれる。
 
回復者にはゾンビが同じにおいを感じ取るから襲いかからないのも面白い。
抗体ができているんですねぇ。
 
人を食い殺したと言っても病気だったんだから仕方がない。
そう思っていても、自分の家族を殺されたと知っても同じように言えるのか。
治癒した人の社会復帰を本当に受け入れることができるのか。
 
アビー役のエレン・ペイジ、セナン役のサム・キーリーがよかった。
コナー役のトム・ヴォーン=ローラー、怖すぎ(笑)。
 
ちなみに本作のゾンビは全力疾走します。怖いっちゅうの。

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『コリーニ事件』

『コリーニ事件』(原題:Der Fall Collini)
監督:マルコ・クロイツパイントナー
出演:エリアス・ムバレク,アレクサンドラ・マリア・ララ,ハイナー・ラウターバッハ,
   マンフレート・ツァパトカ,ヤニス・ニーヴーナー,フランコ・ネロ他
 
2日連続でシネ・リーブル梅田へ。
ここへ行かなければ終業後に2本ハシゴするのは無理ですから。
 
ドイツ作品。
原作者は刑事事件の弁護士としても著名な作家フェルディナント・フォン・シーラッハ
 
ドイツで育ったトルコ人の青年カスパー・ライネンは、
3カ月前に弁護士になったばかりだというのに、
思いがけず大きな事件の国選弁護人に任命される。
 
その事件は、この国に長く暮らすイタリア出身の男性ファブリツィオ・コリーニが、
経済界の大物ハンス・マイヤーを殺害したというもの。
ファブリツィオは模範的市民で、これまで何の問題も起こしたことがなかったのに、
ホテルのスイートルームに滞在するハンスを訪問して頭を撃ち抜き、
遺体の頭蓋骨を踏みつけて粉砕、ホテルのフロントで自らその事実を告げた。
 
カスパーがファブリツィオの弁護を引き受けたときは、
ハンスという通称ではなく本名を聞かされていたために気づかなかったが、
実はハンスはカスパーの恩師。
カスパーの父親が妻子を残して蒸発し、残されたカスパーと母親が困っていた頃、
優しく手を差し伸べてくれたのがハンスだった。
ハンスは自分の子どもと同じようにカスパーを可愛がり、
カスパーが弁護士になれたのはハンスのおかげといっても過言ではない。
 
恩師を惨殺した犯人ではあるが、自分は弁護士。
法廷で対決する遺族側には、カスパーの大学の教授リヒャルト・マッティンガーがついていて、
新米弁護士がなんとかできる案件だとは思えなかったが……。
 
ファブリツィオは沈黙を守り、動機について何も語ろうとしません。
弁護士にも話さないつもりならばもう知らんと思いかけたとき、
「父親は存命か。会えるうちに会っておけ」とファブリツィオが口を開いたことから、
カスパーはファブリツィオの故郷に赴き、真相を探ります。
 
原作者のお祖父さんはヒトラーユーゲントの指導者でした。
そんな背景も知りながら観ると、よりいろんな思いが心に生じます。
実話だと信じ込んで観ていたのですが、フィクションでした。
お祖父さんの罪を追及しているようにも思えます。
 
こんな骨太の話にロマンスとか要らんやんと思うところはあったけれど、
見応えのある法廷劇でした。ちょっと興奮。

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『ルース・エドガー』

『ルース・エドガー』(原題:Luce)
監督:ジュリアス・オナー
出演:ナオミ・ワッツ,オクタヴィア・スペンサー,ケルヴィン・ハリソン・Jr.,
   ノーバート・レオ・バッツ,アンドレア・バン,ティム・ロス他
 
同じくシネ・リーブル梅田にて、普通(笑)の作品を。
 
ピーターとエイミー夫妻にはルースという息子がいる。
ルースは現在高校生。学校一の優等生だが、生まれはアフリカの紛争地エリトリア。
夫妻はまだ幼かった彼を養子として引き取り、今まで育ててきた。
 
陸上部と討論部に所属し、どちらにも秀でているルース。
さまざまなスピーチを頼まれては、ユーモアも交えて完璧に喋り、
教師と生徒両方の信頼度も人気も抜群。
 
ところがある日、エイミーのもとへ学校から電話が入る。
連絡してきたのはルースに政治学を教える教師ハリエットで、
生徒たちに与えた課題「歴史上の人物の代弁」において、
ルースのレポートの出来は優れているが危険であると言う。
見過ごせずにルースのロッカーを探ったところ、
壁を吹き飛ばすぐらいの威力を持つ違法な花火を隠していたと。
 
ルースと話し合うようにとハリエットから言われたものの、
どのタイミングで息子に切り出すべきか悩むエイミー。
そんな気持ちを汲もうとしないピーターが、いきなりルースに問いただして……。
 
ルースが本当に良い子なのか、過激な思想に染まっているのかがわからず、
やきもきしながら最後まで。
そして最後に至ってもどちらなのかがわかりませんでした。面白い。
 
一見生徒のことを思っているかのように見えて、
「出自の不遇を克服した黒人」「耐える中東の人間」をアピールすることを求める教師。
オクタヴィア・スペンサー演じるハリエットはとても不愉快な人物で、
仮にルースが危険な人間だったとしても、ルースの肩を持ちたくなります。
でもそうでもしなければ黒人が認めてもらえないのが社会というものなのか。
養父母役のナオミ・ワッツティム・ロスの演技にも痺れる。
 
この直前に観たホドロフスキーが変態すぎただけに、
本作は気持ちの良い作品ではないけれど、めちゃめちゃ面白かった。
養子にした子に震え上がるというと『エスター』(2009)なんかも思い出しますが、
あんなおどろおどろしいホラーではありません。
ほくそ笑みたい人、どうぞ。

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『ホドロフスキーのサイコマジック』

『ホドロフスキーのサイコマジック』(原題:Psychomagie, Un Art Pour Guerir)
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
 
シネ・リーブル梅田にて、変態としか思えないフランス作品を。
いや、もう絶対変だろうとは思っていたのです。
だって、アレハンドロ・ホドロフスキー監督だから。
でも仕事帰りに2本ハシゴしようと思ったらこれを観るしかなかったのです。
 
どう説明したらいいですかね、これ。
“サイコマジック”とはホドロフスキー監督が考案した心理療法。
それを監督自身が説明してくれるドキュメンタリーです。
 
この心理療法を受けるのは、心に傷を持つ人。当然か。
家族と上手く関係を築けなかったり、鬱病だったり、吃音に悩んでいたり。
そういった患者たちが裸になって撫で回されます。
マッサージ療法ですね。見ていられないぐらい変(笑)。
だいたい、裸になるなら服を脱げばいいのに、服を切り裂くのはなぜ!?(^^;
 
辟易したのは、月経の血で自画像を描きなさいという「療法」。
生理中の女性たちが血を手に塗りたくって絵を描きます。
見たくないって、こんなの。その自画像がまたみんな上手いのが困りもの(笑)。
 
吃音を治したいアラフィフの男性は、
自信を持てとホドロフスキー監督からタマを握られ、
さらには体中を金色に塗られて町を行脚。
夫婦関係に悩む男女は足首に長い鎖を付けて歩いたりもしていました。
 
これらの人たちの症状がすべて改善されたそうなんですけど、あり得ん!
怪しい新興宗教の教祖となんら変わらん気がする。
 
ホドロフスキー監督の過去の作品の映像がいろいろ登場します。
まぁどの作品を観てもやっぱり変人ですな。(^o^;

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