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『CURED キュアード』

『CURED キュアード』(原題:The Cured)
監督:デヴィッド・フレイン
出演:エレン・ペイジ,サム・キーリー,トム・ヴォーン=ローラー,
   ポーラ・マルコムソン,スチュアート・グレアム他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『コリーニ事件』の次に。
またもやゾンビもの。でも笑えるやつではなくて、とても真面目な。
かなり面白かった。
 
アイルランド/フランス作品。
監督は本作が長編デビューとなるアイルランドの新鋭だそうです。
 
メイズと呼ばれる新種のウイルスがヨーロッパに蔓延し、
感染した人々はゾンビとなって凶暴化する。
数年後にようやく治療薬が開発されるたものの、
甚大な被害を受けたアイルランドはなかなか混乱から立ち直れない。
 
やがて感染者のうち75%が治癒して「回復者」として認定され、
社会復帰を果たすことが決まる。
たいていの回復者は家族から受け入れを拒否されて支援棟で暮らすが、
回復者のうちのひとりである青年セナンは、
義姉アビーとその幼い息子キリアンに迎えられる。
 
アビーの夫、すなわちセナンの兄は、感染パニックの中で死亡。
実は兄の命を奪ったのはセナンだが、それはアビーに打ち明けられないまま。
 
そんななか、回復者の社会復帰に断固反対する市民グループが過激化。
対抗しようと回復者同盟を統率するコナーもまた過激な行動に走りだし……。
 
ゾンビ化した人たちが治癒して社会復帰するというのが新しい。
何が怖いって、回復者の頭の中にゾンビだったときの記憶がすべて残っているということ。
自分がゾンビになって、人を喰って回ったことを全部覚えているのです。
ゆえに治癒してからもその悪夢にさいなまれる。
 
回復者にはゾンビが同じにおいを感じ取るから襲いかからないのも面白い。
抗体ができているんですねぇ。
 
人を食い殺したと言っても病気だったんだから仕方がない。
そう思っていても、自分の家族を殺されたと知っても同じように言えるのか。
治癒した人の社会復帰を本当に受け入れることができるのか。
 
アビー役のエレン・ペイジ、セナン役のサム・キーリーがよかった。
コナー役のトム・ヴォーン=ローラー、怖すぎ(笑)。
 
ちなみに本作のゾンビは全力疾走します。怖いっちゅうの。

—–

『コリーニ事件』

『コリーニ事件』(原題:Der Fall Collini)
監督:マルコ・クロイツパイントナー
出演:エリアス・ムバレク,アレクサンドラ・マリア・ララ,ハイナー・ラウターバッハ,
   マンフレート・ツァパトカ,ヤニス・ニーヴーナー,フランコ・ネロ他
 
2日連続でシネ・リーブル梅田へ。
ここへ行かなければ終業後に2本ハシゴするのは無理ですから。
 
ドイツ作品。
原作者は刑事事件の弁護士としても著名な作家フェルディナント・フォン・シーラッハ
 
ドイツで育ったトルコ人の青年カスパー・ライネンは、
3カ月前に弁護士になったばかりだというのに、
思いがけず大きな事件の国選弁護人に任命される。
 
その事件は、この国に長く暮らすイタリア出身の男性ファブリツィオ・コリーニが、
経済界の大物ハンス・マイヤーを殺害したというもの。
ファブリツィオは模範的市民で、これまで何の問題も起こしたことがなかったのに、
ホテルのスイートルームに滞在するハンスを訪問して頭を撃ち抜き、
遺体の頭蓋骨を踏みつけて粉砕、ホテルのフロントで自らその事実を告げた。
 
カスパーがファブリツィオの弁護を引き受けたときは、
ハンスという通称ではなく本名を聞かされていたために気づかなかったが、
実はハンスはカスパーの恩師。
カスパーの父親が妻子を残して蒸発し、残されたカスパーと母親が困っていた頃、
優しく手を差し伸べてくれたのがハンスだった。
ハンスは自分の子どもと同じようにカスパーを可愛がり、
カスパーが弁護士になれたのはハンスのおかげといっても過言ではない。
 
恩師を惨殺した犯人ではあるが、自分は弁護士。
法廷で対決する遺族側には、カスパーの大学の教授リヒャルト・マッティンガーがついていて、
新米弁護士がなんとかできる案件だとは思えなかったが……。
 
ファブリツィオは沈黙を守り、動機について何も語ろうとしません。
弁護士にも話さないつもりならばもう知らんと思いかけたとき、
「父親は存命か。会えるうちに会っておけ」とファブリツィオが口を開いたことから、
カスパーはファブリツィオの故郷に赴き、真相を探ります。
 
原作者のお祖父さんはヒトラーユーゲントの指導者でした。
そんな背景も知りながら観ると、よりいろんな思いが心に生じます。
実話だと信じ込んで観ていたのですが、フィクションでした。
お祖父さんの罪を追及しているようにも思えます。
 
こんな骨太の話にロマンスとか要らんやんと思うところはあったけれど、
見応えのある法廷劇でした。ちょっと興奮。

—–

『ルース・エドガー』

『ルース・エドガー』(原題:Luce)
監督:ジュリアス・オナー
出演:ナオミ・ワッツ,オクタヴィア・スペンサー,ケルヴィン・ハリソン・Jr.,
   ノーバート・レオ・バッツ,アンドレア・バン,ティム・ロス他
 
同じくシネ・リーブル梅田にて、普通(笑)の作品を。
 
ピーターとエイミー夫妻にはルースという息子がいる。
ルースは現在高校生。学校一の優等生だが、生まれはアフリカの紛争地エリトリア。
夫妻はまだ幼かった彼を養子として引き取り、今まで育ててきた。
 
陸上部と討論部に所属し、どちらにも秀でているルース。
さまざまなスピーチを頼まれては、ユーモアも交えて完璧に喋り、
教師と生徒両方の信頼度も人気も抜群。
 
ところがある日、エイミーのもとへ学校から電話が入る。
連絡してきたのはルースに政治学を教える教師ハリエットで、
生徒たちに与えた課題「歴史上の人物の代弁」において、
ルースのレポートの出来は優れているが危険であると言う。
見過ごせずにルースのロッカーを探ったところ、
壁を吹き飛ばすぐらいの威力を持つ違法な花火を隠していたと。
 
ルースと話し合うようにとハリエットから言われたものの、
どのタイミングで息子に切り出すべきか悩むエイミー。
そんな気持ちを汲もうとしないピーターが、いきなりルースに問いただして……。
 
ルースが本当に良い子なのか、過激な思想に染まっているのかがわからず、
やきもきしながら最後まで。
そして最後に至ってもどちらなのかがわかりませんでした。面白い。
 
一見生徒のことを思っているかのように見えて、
「出自の不遇を克服した黒人」「耐える中東の人間」をアピールすることを求める教師。
オクタヴィア・スペンサー演じるハリエットはとても不愉快な人物で、
仮にルースが危険な人間だったとしても、ルースの肩を持ちたくなります。
でもそうでもしなければ黒人が認めてもらえないのが社会というものなのか。
養父母役のナオミ・ワッツティム・ロスの演技にも痺れる。
 
この直前に観たホドロフスキーが変態すぎただけに、
本作は気持ちの良い作品ではないけれど、めちゃめちゃ面白かった。
養子にした子に震え上がるというと『エスター』(2009)なんかも思い出しますが、
あんなおどろおどろしいホラーではありません。
ほくそ笑みたい人、どうぞ。

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『ホドロフスキーのサイコマジック』

『ホドロフスキーのサイコマジック』(原題:Psychomagie, Un Art Pour Guerir)
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
 
シネ・リーブル梅田にて、変態としか思えないフランス作品を。
いや、もう絶対変だろうとは思っていたのです。
だって、アレハンドロ・ホドロフスキー監督だから。
でも仕事帰りに2本ハシゴしようと思ったらこれを観るしかなかったのです。
 
どう説明したらいいですかね、これ。
“サイコマジック”とはホドロフスキー監督が考案した心理療法。
それを監督自身が説明してくれるドキュメンタリーです。
 
この心理療法を受けるのは、心に傷を持つ人。当然か。
家族と上手く関係を築けなかったり、鬱病だったり、吃音に悩んでいたり。
そういった患者たちが裸になって撫で回されます。
マッサージ療法ですね。見ていられないぐらい変(笑)。
だいたい、裸になるなら服を脱げばいいのに、服を切り裂くのはなぜ!?(^^;
 
辟易したのは、月経の血で自画像を描きなさいという「療法」。
生理中の女性たちが血を手に塗りたくって絵を描きます。
見たくないって、こんなの。その自画像がまたみんな上手いのが困りもの(笑)。
 
吃音を治したいアラフィフの男性は、
自信を持てとホドロフスキー監督からタマを握られ、
さらには体中を金色に塗られて町を行脚。
夫婦関係に悩む男女は足首に長い鎖を付けて歩いたりもしていました。
 
これらの人たちの症状がすべて改善されたそうなんですけど、あり得ん!
怪しい新興宗教の教祖となんら変わらん気がする。
 
ホドロフスキー監督の過去の作品の映像がいろいろ登場します。
まぁどの作品を観てもやっぱり変人ですな。(^o^;

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2020年6月に読んだ本まとめ

2020年6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3141ページ
ナイス数:1111ナイス
 
■すみれ屋敷の罪人 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
由緒正しき名家だった洋館。敷地を掘り起こしてみれば、身元不明の3人の遺体。身元を突き止めるため、当時の使用人に聞き込みに来た若者。調査を依頼したのが誰なのか、若者が誰なのか、明かされないまま聞き込みが進む。使用人は皆なにか隠し事がある様子。名家の麗しい主一家のことが語られているのに、嫌な空気がつきまとう。評価が高いのもわかる面白さではありましたが、登場人物にあまり共感できなくて、私は今ひとつ。直前に読んだ本数冊と情景がかぶってしまったのもたぶん乗れなかった要因。やっぱり明るいのと暗いのと順番に読もうっと。
読了日:06月03日 著者:降田 天
 
■3時のアッコちゃん (双葉文庫)
『ランチのアッコちゃん』『幹事のアッコちゃん』→これ。3作目を先に読み、後から2作目を読んだことになりますが、全然問題なし。ただ、『幹事』でお別れが確定していることを思うと寂しい。長い人生、確かに1週間やそこら何かを変えてみたところで、大勢に影響はないかもしれない。でも、そこを変えてみなければ何も変わらない。想像力は誰にでもある。使うか使わないかだけの違い。アッコちゃんにそれを気づかされます。阪急沿線に住む人間は、阪急電車のことを「チョコレート色」だとは絶対言いませんけどね。あの色は「マルーン」だよん。
読了日:06月06日 著者:柚木 麻子
 
■静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)
読まず嫌いだった中山センセにすっかりハマってしまい、次から次へと読みたくなる。いろんな作家を万遍なく読むという私のポリシーに反してしまう(笑)。静おばあちゃんのポリシーは、困っている人を助けること。孫娘・円が根っからの善人刑事・葛城と組んで活躍する様子はのんびりしているだけに、事件解決に向けて佳境に入ったときの緊迫感がクセになる。ただ、私が純粋に楽しめたのは第3話まで。政治色が強くなってくると、担当はこのコンビでなくてもいいかと思ってしまう。そしてあのおばあちゃんが。マジか。ほんまに目が点になったやんか。
読了日:06月09日 著者:中山 七里
 
■ユリゴコロ (双葉文庫)
人を殺すことに躊躇のない女性が子どもを持つ。その結果、どうなるのか。この人もイヤミスの女王のうちのひとりに数えられるそうですが(女王ってひとりじゃないのか(笑))、普通に「嫌な感じ」というのとはちょっと違う気がします。本作然り、『彼女がその名を知らない鳥たち』然り、登場する女性の生き様は凄絶。何を考えているのかわからず、共感しづらい人物であることが多くて、周囲がなぜこんなに献身的なのかと不思議になる。でも、そこに隠されていた事実が明らかになるとき、嫌な後味が残るのではなく、心がひりつく。この暗さは大好き。
読了日:06月11日 著者:沼田 まほかる
 
■お家あげます (実業之日本社文庫)
「笑いと涙のエンタメ小説」とあるけれど、私は笑えないし泣けない。かなりウザくないですか、この夫婦。特に、一流女優気取りの奥さんの強欲ぶりにイライラ。赤の他人が家1軒タダで差し出してくれるなんてオイシイ話が転がっているわけもないから、最後は呆然として終わればいいのにと腹黒いことを考えながら読みました(笑)。還暦も過ぎた作家が、一回り以上年下の巨乳の女優を嫁にもらって、ついでに家をくれるというファンがいたらええなぁ、そんなふうに考えた妄想と捉えることにします。確かに、イライラしつつも先が読めなくて止まらない。
読了日:06月14日 著者:沖田 正午
 
■冬雷 (創元推理文庫)
伝統を引き継ぐことが時には人の命よりも重きを置かれる町。鷹匠の跡継ぎとなるために施設から引き取られた主人公は、跡取りの自覚を持って鷹と向き合ってきたのに、不妊だった師匠夫妻に実子が生まれればたちまちお払い箱だなんて。話が進むにつれて少し駆け足でバタついた感もあり、遠田さんの作品でいちばんのお気に入りとは言えないけれど、ビジュアルに訴えかける力が凄い。どのシーンも想像できてしまう。慣習と因習は紙一重なのだと思わずにはいられません。地面から生えるように光るという冬の雷を見てみたい。映像化されたら嬉しいです。
読了日:06月18日 著者:遠田 潤子
 
■急に具合が悪くなる
42歳でお亡くなりになった哲学者・宮野さんと、人類学者・磯野さんの往復書簡形式。「治ったらいちばんしたいことは」という質問には、治らなければできないよという示唆があるのだと気づかされて愕然としました。「いつ死んでも悔いがないようにという言葉に欺瞞を感じる」とおっしゃっていた宮野さん。でも私はやっぱり、明日死んでもいいように生きたい。故人の人生を「幸せだったはず」などと他人が言うのは、遺された側の願いであるだけで、実際どうだったかなんて本人にしかわからないけど、宮野さんは悔いのない人生を送られたと思いたい。
読了日:06月21日 著者:宮野 真生子,磯野 真穂
 
■侠飯6 炎のちょい足し篇 (文春文庫)
第6作だもの、一見ヤクザコンビの正体を知らずに読んでいる人はいないはず。もうとにかく柳刃さんの料理さえあれば、どこが舞台であろうがかまいません状態になっている私です。化学調味料アレルギーの家族を持つ身としては、ジャンクフードに走りすぎないでいてくれるとありがたい。柳刃さんの場合、ジャンクフードを使いつつもそれに頼りすぎず、激旨そうな料理。舞台はどこでもいいと言ったものの、自立支援とは名ばかりのぼったくり施設に腹が立ち、最後は柳刃と火野が颯爽と現れるシーンを心待ちにしていました。レシピ本の出版、まだですか。
読了日:06月22日 著者:福澤 徹三
 
■母親ウエスタン (光文社文庫)
不遇の子どもがいると聞けば、どんな手を使おうともその父子家庭に入り込み、赤の他人の子どものために最善を尽くす女。自分の去り時だと思うと速やかに姿を消し、次の家庭を探しては移る。父子の父親のほうには不要になったとしても、子にとっては実の母親同然。大人になった今も彼女のことを忘れられない子どもたちが、彼女を追いかける。感情が読めないから彼女を理解しづらいけれど、母性とはこういうものなのでしょうか。不思議なタイトルに思い出すのは映画『シェーン』。「カムバック!」と言われたらそうしてもいいと思う。きっと、戻れる。
読了日:06月25日 著者:原田 ひ香
 
■死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人 (新潮文庫)
職場のエレベーターで一緒になった人から「物騒なものをお持ちですね」と言われました。鞄の中のこのタイトルが見えていて。母親を殴殺して少年院、退院後に女性二人を強姦して殺害という、書いているだけで胸糞悪くなる事件の犯人はアスペルガーだったとのこと。障害のある犯罪者を認知して支援することが必要だと著者は言う。障害者を理解する姿勢は大事だと思う。でも、障害の有無に関わらず、世の中の大半の人間は殺人なんて犯さない。事件がそこに起因すると考えられてしまったら、同じ障害を持つ人やその周囲の人はやりきれないんじゃないか。
読了日:06月30日 著者:池谷 孝司

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