MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『ミッドナイトスワン』

『ミッドナイトスワン』
監督:内田英治
出演:草彅剛,服部樹咲,真飛聖,水川あさみ,田口トモロヲ,
   田中俊介,吉村界人,真田怜臣,上野鈴華,根岸季衣他
 
公開は9月25日なのですけれど、10日の18:00より1回限定、
先行上映が全国のTOHOシネマズにておこなわれるという。
ちょうどいい時間だし、木曜日だからポイント使うにもうってつけだし。
そう思ったのに、特別な上映だから定価でしか販売ないやん。
 
じゃあもう25日以降でいいやと思ったもののほかに観るものがなくて、
楽天ポイントを使ってやっぱりTOHOシネマズ伊丹にオンライン予約。
草彅くんの人気は不動なのか、伊丹はかろうじて10席ほど残っていましたが、
関西圏のTOHOシネマズのうち、梅田、なんば、西宮、二条では売り切れていました。
 
監督は『下衆の愛』(2016)がものすごくよかった内田英治。
 
新宿のニューハーフショークラブに勤めるトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)。
毎晩メイクを施しては仲間たちとステージに立っている。
 
そんな凪沙のもとへ実家の母親(根岸季衣)から電話が入る。
凪沙の親戚に当たる少女・一果(服部樹咲)が、ネグレクトに遭っているらしい。
一果の母親・早織(水川あさみ)は水商売で生計を立てているが、
一果を叩いているところを見咎められて通報されたため、
親戚一同で話し合い、しばらく凪沙に一果を預けたいというのだ。
 
母親を含めて親戚たちは凪沙がセクシャルマイノリティであることを知らず、
一果を預かってくれるならば幾ばくかの養育費を出すとのこと。
それに釣られて凪沙は承諾するのだが……。
 
見ているのが非常につらい。
草彅くん演じる凪沙は別に美しくないし、鼻水垂れて泣くシーンのアップは、
別に特に草彅くんファンでもない私は見とうない。(^^;
でも同様の悩みを抱える人たちのことを思うと、それは言ってはいけないでしょう。
 
昔ほどニューハーフは珍しくはないから、もっと生きやすい社会になっているかと思いきや、
おそらくそれで稼げる人はごくわずかだし、
本当はそれで稼ぎたいわけではないかもしれない。
ごく普通の女性として生きたいのに、いつまで経っても女性とは認められず、
偏見の目にさらされて時には化け物呼ばわりされる。
 
そんななかで、凪沙を見ても一果は無表情。
楽しいことをあきらめているかのような一果が、
唯一興味を示すのがバレエで、バレエ教師を真飛聖が演じています。
予告編でも印象的だった、彼女が思わず凪沙に「お母さん」と呼びかけるシーンが好きでした。
 
一果の初めての友だちになるりん役の上野鈴華にも心を打たれます。
富裕な家庭に生まれ、お金にはいっさい困ったことがないけれど、
心はちっとも満たされていない。
そんな娘の苦悩など知ろうともしない両親役に平山祐介佐藤江梨子
何が悪いわけでもない、でも酷い。
 
水川あさみはどうしようもない母親役を演じて、
彼女のイメージが悪くなりそうなほどです(笑)。
そんな親でも離れられない、それが親子というものならつらすぎる。
 
性転換手術を受けるために必死で働いていた凪沙。
いつしかその手術を受ける目的が「女性」になるためというよりも
一果の「母親」になることに変わってゆく。
でも手術が100%成功するとは限らない。
彼ら、いえ、彼女たちの置かれた過酷な状況を知って凹みました。
 
あちこちからすすり泣きの声。私は泣けはしなかったけど。
やっぱりみんな草彅くんが好き!?

—–

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』(原題:Jexi)
監督:ジョン・ルーカス,コット・ムーア
出演:アダム・ディヴァイン,アレクサンドラ・シップ,ロン・ファンチズ,シャーリン・イー,
   ワンダ・サイクス,ジャスティン・ハートリー,マイケル・ペーニャ他
声の出演:ローズ・バーン
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の次に。
 
明らかに『スマホを落としただけなのに』(2018)をパクった邦題で、
あまりセンスがいいとは思えないけれど、内容は確かに「スマホを変えただけなのに」です。
 
スマホ依存症の青年フィル。
恋人がいないのはもちろんのこと、友人もひとりもいない。
ある日、ながらスマホで歩いていたところ、女性と激突。
彼女は近所で自転車屋を経営する快活で美人のケイト。
フィルはケイトに一目惚れするが、そのときにスマホが壊れてしまう。
 
新しいスマホを入手したフィルは、
“ジェクシー”というAI(人工知能)による生活向上サポート機能を試すことに。
契約書の中身をろくすっぽ読まないまま同意すると、
フィルの個人情報をすべて知っているジェクシーのサポートが凄すぎる。
振り回されつつも生活は向上、ついにケイトとのデートにこぎつけるのだが……。
 
契約条件を読まないまま同意するとどういうことになるのか。
ジェクシーを通じてデリバリーを頼もうとすると、
フィルが別に食べたくもないものをジェクシーが注文してしまいます。
なぜだと怒るフィルに、「ときには契約者の意向を無視してもいいってことに同意したでしょ」。
こわっ(笑)。フィルの健康を考えてくれてのことなんですけれどね。
 
暴言は当たり前、めちゃくちゃで品がない。
フィルの仕事も恋も応援してくれるのかと思いきや、途中から嫉妬に狂うジェクシー。
もう思いっきりストーカーです。
 
主演のアダム・ディヴァインがまるでタイプではないし、
せっかくローズ・バーンが担当するジェクシーの声もここまで下ネタに走られるとドン引き。
でも笑えなくもないので、ヒマつぶしにはよいかも。ヒマちゃうっちゅうねん。(^^;
 
エンドロールのマイケル・ペーニャがちょっとお茶目で、そこはオススメです。
それとたびたび出てくる『デイズ・オブ・サンダー』(1990)のこと。
あれってそんなに面白い映画でしたかね。覚えていません。
若かりし頃のトム・クルーズを観がてら、再鑑賞してみようかな。

—–

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(原題:Mr. Jones)
監督:アグニェシュカ・ホランド
出演:ジェームズ・ノートン,ヴァネッサ・カービー,ピーター・サースガード,
   ジョゼフ・マウル,ケネス・クラナム,クシシュトフ・ピチェンスキ他
 
終業後に梅田まで出るのがどうにも面倒になっていますが、
気持ちを奮い立たせてシネ・リーブル梅田へ。
どうせ梅田まで行くならば2本観ないともったいない。
 
2本ハシゴの1本目に観たのは、ポーランド/イギリス/ウクライナ作品。
ワルシャワ出身のアグニェシュカ・ホランド監督による。
重たい作品でしたがまぁまぁ見応えがありました。これも実話に基づく。
 
1933年。まだ20代の英国人記者ガレス・ジョーンズは、
ツテを頼ったとはいえヒトラーにインタビューした経験を持つ有名人。
彼が次にインタビューしたいと考えているのはスターリン
世界恐慌が吹き荒れるなか、なぜソ連だけが繁栄しているのか。
それを直接聴きたいと思っているが、
アポを取ろうとしても先方からまったく返答がない。
 
モスクワにいる友人記者ポール・クレブと電話で話したところ、
ポールはスターリンの資金源を突き止めたらしい。
しかしポールが何か言おうとした瞬間に電話は切れてしまう。
モスクワに向かったガレスは、ポールが強盗に遭って殺されたと聞くが、
背中から銃弾を4発撃ち込まれていたらしく、強盗の仕業とは思えない。
 
当局の厳しい監視の目をかいくぐって調べてみると、
ポールがウクライナへ向かおうとしていたことがわかる。
そこにこそスターリンの資金源があると見たポールは、
真実を求めてウクライナに乗り込むのだが……。
 
ガレス・ジョーンズがどんな人だったのかを検索しましたが、
ゴルフで有名な別人がいるようで、こっちのガレスについてはよくわかりません。
 
とにかく本作によれば、ガレスは28歳ぐらいのときにウクライナへ潜り込み、
ソ連繁栄の影でウクライナの人為的飢饉が生じていることを暴きます。
英国に帰ってそれを告発するけれど、誰も信じない。
「そんな事実はない、ガレスは嘘つきだ」と言ったから、皆そちらを信じる。
ガレスは別の大手メディアに自分の話を売り込むことに成功し、
やっと信じてもらえるようになるわけですが、30歳で何者かに殺されてしまう。
 
なんというのか、怖いです、ソ連。
そもそもガレスがモスクワ入りしたときに、当局が決めたホテルにしか宿泊できず、
しかも本人は1週間分の宿泊予約をしたはずなのに、
「2日しか泊まれません。ほかのホテルにも泊まれません」と言われるんですよ。
3日目にはあなたの姿は消えますということだったのかしらん。
 
こういう作品を観るたびに、日本に生まれてよかったと思うのでした。
日本だってなんだかんだあるのかもしれんけど、こんなことはなかったやろと。
 
見せかけの繁栄のために飢餓に苦しめられたウクライナの人々。
見ているのが辛かった。

—–

『人数の町』

『人数の町』
監督:荒木伸二
出演:中村倫也,石橋静河,立花恵理,山中聡,橋野純平,植村宏司,
   菅野莉央,松浦祐也,草野イニ,川村紗也,柳英里紗他
 
TOHOシネマズ梅田で欅坂46、ひとり呑みしたのち、
シネ・リーブル梅田で『mid90s ミッドナインティーズ』
スタバでお茶してテアトル梅田へ。
中村倫也人気でしょうか、これも満席。
本編の前に荒木伸二監督と中村倫也、石橋静河の3人が並ぶインタビュー映像付き。
 
「第1回木下グループ新人監督賞・準グランプリに選ばれたオリジナルストーリー」とあります。
木下グループって何なのかと調べたら、
ハウスメーカーの木下工務店などを傘下に置く持ち株会社とあります。
ますますよくわからないのですけれど、
一昨年にアニメーション制作会社の株式を100%取得していて、グループの子会社としたとのこと。
ここでうっすら映画との繋がりが見えてくる。
まぁいいか、何でも。(^^;
 
なんだかよくわからんけど、その賞を受賞したオリジナルストーリーとあるだけに、
斬新なストーリーが面白い。愉快な話ではありません。
 
借金取りから逃げようととして暴行を受けていた蒼山(中村倫也)は、
黄色いツナギを着た見知らぬ男(山中聡)に助けられる。
助けられたのはありがたいが、こいつはいったい何者なのか。
男は蒼山に「居るところがないんだろう」と言い、居場所まで提供してくれると言う。
 
蒼山と同様の境遇とおぼしき人々を乗せたバスが到着したのは奇妙な町。
そこでは蒼山たち住人は名前を持たず、全員「デュード」と呼ばれ、
「チューター」である黄色いツナギを着た者たちがすべて管理しているらしい。
 
住人たちは衣食住を保証され、労働のノルマなども一切ない。
気に入ったデュードには声をかけてセックスもし放題。
食事と引き換えに住人が求められるのは、ネットに褒めたり貶したりの書き込みをすることと、
他人になりすまして選挙に行って投票すること、それぐらい。
最初は疑問を感じたものの、次第にその生活に馴染んでゆく蒼山。
 
そこへある日、紅子(石橋静河)という新たな住人がやってくる。
彼女の境遇は蒼山らとは異なり、行方不明になった妹を探しに来たのだという。
確かにそこには彼女の妹である緑(立花恵理)も暮らしていたが、
夫のDVから逃げてきた緑は元の生活になど戻りたくないと言い……。
 
この町から逃げることはできません。
逃げようとすれば頭がおかしくなりそうな音が流れて、とても正気ではいられません。
誓約書にサインすれば簡単に入れるけれど、出られない町。
蒼山と紅子はそれでもなんとか脱出しようとします。
 
恐ろしいのは、誰も何の疑問も持たずに町で暮らしているということ。
そりゃそうですね、怯えて暮らす必要もなく、
それぞれ個室が与えられ、働かなくても食事にありつける。
服だっていろいろ支給されて、プールで優雅な時間を過ごすこともできる。
実際にこんな生活ができるのだとしたら、
たとえ戸籍を失ってもこの生活を選ぶ人がたくさんいるのではないでしょうか。
 
脱出した蒼山と紅子が結局たどり着く果ては絶望的。
でもこれがいちばんいい選択だったようにも思えます。
考えないこと。それを求められる暮らしは自由なのでしょうか。

—–

『mid90s ミッドナインティーズ』

『mid90s ミッドナインティーズ』(原題:Mid90s)
監督:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ,ルーカス・ヘッジズ,キャサリン・ウォーターストン,ナケル・スミス,
   オーラン・プレナット,ジオ・ガリシア,ライダー・マクラフリン,アレクサ・デミー他
 
TOHOシネマズ梅田で欅坂46を観た後、45分間ひとり呑みしてからシネ・リーブル梅田へ。
 
ぽっちゃり色白おデブの俳優ジョナ・ヒルの監督デビュー作。
彼自身の少年時代の思い出をもとにした半自伝的物語だそうで。
たいして有名な役者が出ているわけじゃないのに、よく客が入っています。
私が観た回もその次の回も満席になっていました。
何が人の興味を惹くのかわからんもんですねぇ。
 
1990年代半ばのロサンゼルス。
13歳の少年スティーヴィーは、シングルマザーの母親と兄イアンの3人暮らし。
チビのスティーヴィーは、歳が離れて体も大きなイアンからしょっちゅう暴力を受けている。
早く大人の仲間入りをしたい、そう願う日々。
 
ある日、スケートボードを抱えて座り込んでいたところ、
同じ年頃の少年ルーベンから声をかけられる。
それをきっかけにスケボーショップに出入りする「ちょっぴり不良たち」と知り合いに。
特にレイはスケボーの腕前が群を抜いていて、スティーヴィーの憧れ。
仲間として受け入れられたことを喜ぶスティーヴィーだったが……。
 
レトロとまでは行かないけれど、25年前はこんなだったかもしれません。
ちょっとワルくてカッコイイものに憧れていた少年の気持ちは
同じ年頃の時代を振り返ってみれば誰もが想像できそうに思います。
 
ルーカス・ヘッジズ演じる兄イアンから派手に殴られているというのに、
キャサリン・ウォーターストン演じる母親は気づきもしない。
母親づらしているだけのアカン女と思うのですけれど、
私がいちばん好きだったシーンは、怪我をしたスティーヴィーが運ばれた病院のロビーで、
それまで母親がつきあいを禁じていた不良たちが疲れて眠りこけているところを
母親が半ば呆れ顔で見つめるシーンでした。しゃあないな、こいつらええ奴やん、そんな顔。
 
半自伝的物語で自分の子どもの頃の役を演じるのがサニー・スリッチって、
美少年すぎやしないかい?と思ったけれど、
このときのジョナ・ヒルを思い出せば、確かに彼は美少年だったのでしょう。
 
少しの郷愁に誘われて切なく爽やか。心洗われた気持ちになります。

—–