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『白爪草』

『白爪草』
監督:西垣匡基
出演:電脳少女シロ
声の出演:花京院ちえり,神楽すず,カルロ・ピノ,もこ田めめめ,ヤマトイオリ
 
仕事帰りに2本ハシゴするのがつらくなり、
でも1本だけは観ようかなと通勤経路内にある劇場の上映スケジュールを物色。
ノーマークだった本作の時間がちょうどよかったので調べてみたら、
上映館は全国で池袋HUMAXシネマズと109シネマズ大阪エキスポシティだけだという。
何それ、気になるやん。行ってみよ。
 
「全キャストVTuber、出演者全員がVTuberの映画は世界初」らしいのですが、
私は「VTuberって何?」という物知らずな人間。
ほんでこれも調べてみたら、VTuberとはバーチャルYouTuber。
アバターによるYouTuberのことで、日本発祥なんですと。
皆さん、ご存じでしたか。知らないのは私だけ!?
 
そのVTuberでおこなわれるワンシチュエーションサスペンス作品。
シチュエーションスリラー好きの私としては観なければ。
 
109シネマズ大阪エキスポシティのそこそこ大きめのシアター。
ぽつぽつ入っているお客さんは全員男性、そしてちょっとヲタッキー(すんません)。
場違いだったかしらなどと思ったけれど、結果、かなり面白かった。
VTuberの電脳少女シロ(←これがアバターなわけですが)の一人二役。
 
フラワーショップ“花組”に勤める蒼は、平凡で穏やかな日々を送っているが、
人には言えない悩みを抱え、カウンセラーの桔梗先生に相談。
桔梗のアドバイスのもと、双子の姉である紅と再会することを決意する。
蒼からの連絡で花組を訪れた紅を目の前に、重い気分に襲われるのだが……。
 
ここからはネタバレです。
 
蒼と紅は一卵性双生児だけあってそっくりですが、性格は真逆に思える。
清楚で素直な印象の蒼に対し、紅にはやさぐれ感満載。
それもそのはず、紅は殺人の罪で服役し出所してきたばかり。
誰を殺したのかと思えば、蒼と紅の両親を毒殺したらしい。
 
なぜあんなことをしたのかと問う蒼に、
紅は自分が殺したのではない、両親を殺したのは蒼だと言います。
蒼の罪をかぶって服役し、出所して普通に暮らしたくても
近所の人や勤務先の人になぜかすぐバレてしまい、暮らせなくなる。
これからは蒼になりかわって生きることにしたと言う紅。
 
蒼は自分が両親を殺したと認め、自分の人生を紅に差し出します。
頃合いを見て自殺するから、紅はどうぞ私として生きてと。
この先にさらなるドンデン返しが待ち受けていてゾーッ。
 
アバターが動く映画なんて観るのは初めてで、最初は慣れず。
しかし話自体が面白かったし、何よりこんな映画は新鮮でした。
 
不気味このうえない話ではありますが、3Dとはまた違う味わいの作品。
一見の価値はあると思います。

—–

『いただきます ここは、発酵の楽園』

『いただきます ここは、発酵の楽園』
監督:オオタヴィン
ナレーション:小雪
 
ごぶさたしていた十三のシアターセブンで1本だけ。
 
「健康なお腹と畑は微生物でつながっていました」というキャッチフレーズ。
就活や婚活ならぬ「腸活」について考えるドキュメンタリーです。
 
健康な土は微生物がつくる。
里山保育をおこなう保育園の園長先生や、「菌ちゃん先生」こと菊地良一さんら、
発酵の楽園について語ってくれるのは、有機農業のエキスパートの皆さん。
 
自分たちの手で耕した土に種を植えて育て、それを自分たちで調理して食べる。
こんな小さな子どもたちなら甘いお菓子を食べたがって当然だと思えるのに、
ニンジンやキュウリをかじる子どもたちの顔のなんと幸せそうなこと。
菊地さんの指導で、残飯から肥料をつくるときに聞こえてくる、
「めっちゃ楽しい」という男の子の声に笑いました。
 
田植え、稲刈りももちろんします。
炊きあがった米に驚嘆の声が上がり、みんながお釜をかき混ぜたがる。
取り合いせずに、「じゃあみんな片手だけ出して混ぜよう」。
自分たちで作物を育てると、こんないい子に育つのか。
 
『奇跡のリンゴ』(2013)のモデルとなった木村秋則さんの話を聴くこともできます。
農薬のせいで奥様が体調を崩してしまったのをきっかけに、有機栽培を決意した木村さん。
10年以上もの間、りんごはひとつも収穫できず、
近所の人からは「いちばん貧乏な家」と言われていたそうです。
家の中のどこを探しても10円玉1枚すら出てこない。
子ども3人は消しゴムを3等分して使うほどの貧しさ。
それでも挑戦しつづけた結果、美味しい美味しいりんごができました。
農薬を使ったりんごより小さいけれど、抗酸化作用などは上。
 
木村さんは農薬を使うことを否定しているわけではない。
そこに優劣は考えていないとおっしゃる。
木村さんが有機栽培を始めたのは、ただ家族のためだったのですから。
 
『もったいないキッチン』を観たときと同じように、
もっといろんなものを食べたいなぁと思ったことも事実。
でもこういう農業があること、そして身体には確実にいいことを心に留めておきたい。

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『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』

『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』(原題:Joao, o Maestro)
監督:フィリップ・ヴァン・レウ
出演:アレシャンドリ・ネロ,ダヴィ・カンポロンゴ,ホドリゴ・パンドルフォ,
   カコ・シオークレフ,フェルナンダ・ノーブリ,アリンニ・モラエス他
 
テアトル梅田にて、『シリアにて』とハシゴ。
 
小学校入学時から高校1年生の途中まで、ピアノを習っていました。
弾かなくなってもうずいぶん経ちますが、それでもピアノは大好きです。
ゆえにピアニストの映画は絶対に見逃せません。
 
ブラジル作品。
1940年生まれのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの人生を映画化。
 
ジョアンは決して富裕とは言えない家庭に育ち、ピアノの才能に目覚めます。
ピアノのレッスン代も家計を苦しめていたであろう経済状況ですが、
サッカーにいそしむ兄弟とは違ってピアノにしか心を開かない息子を見て、
両親がピアノを続けさせた結果、わずか13歳でプロの演奏家としてデビュー。
20歳にしてカーネギーホールで演奏を果たしたまさに天才です。
 
幼少期の彼は、何を考えているのかわからない。
ただピアノだけは好きで好きでたまらない様子。
楽譜の最初のページを覚えてきなさいとピアノの先生から言われ、
最初のページどころかほぼ1冊40ページ近くを覚えてきたジョアン。
 
スポーツでも音楽でも、先生との出会いは大事ですね。
この先生のいいところは、彼の才能を見抜いてすぐに、
「この子はすぐに私より上手くなる。私が教えている場合ではない」と、
有名かつ優れた人にジョアンの指導を託したところ。
別れを寂しがるジョアンに、「あなたの先生だったことを自慢するから」って、
最初からもう泣かせます。あ、そんな泣くような作品ではないですけど。(^^;
 
成長してからのジョアンも賢いんだか抜けているんだかわからない。
初めて海外に招かれた折にはまだ童貞
招待主が用意してくれたホテルには見向きもせず、
タクシーの運ちゃんに「女性と遊べるところに連れて行って」と頼みます。
売春宿に泊まることを決めて3日間入り浸り、
コンサート前日にリハーサルがあることをやっと思い出す始末。
そのときには売春婦のお姉さんたちが新聞で彼の素性を知り、
コンサートに行きたいと懇願、従姉妹として至って上品に着席。
 
こんな感じで、もうハチャメチャ。
でも、誰も彼を騙そうなんて思わないところを見ると、愛すべき人柄なのでしょう。
しかし結婚して子どもに恵まれるも、いい夫、いい父親にはなれない。
酒にも女にも目がなくて、しょっちゅうふらふら。
 
好き勝手していても人は寄ってくるし、妻に逃げられたってなんてこたぁない。
そう見えましたが、人生そう上手くは行かない。
家の目の前で始まったサッカーにちょっと参加したさいに、大怪我を負ってしまう。
右手のうち指3本に障害を抱え、コンサートをキャンセルすることに。
リハビリしても元に戻らず、鋼鉄のギプスをつけて演奏。
血まみれになってピアノを弾く様子は凄絶です。
 
これで終わりかと思ったら、さらにまだ酷い話が待っている。
どんな身になっても音楽から離れようとしなかったジョアン。
音楽への執念を、そして愛情を感じました。
 
一旦はピアノの演奏をあきらめたジョアンがまたピアノに戻るとき。
ご近所さんの迷惑にならないようにと、無音鍵盤を購入して練習するシーンが好き。
無音でもジョアンの練習は激しいから、近所の住人はタイプライターを叩いていると勘違い。
ジョアンは作家だと思われます。
どうせ苦情を言われるならと、無音鍵盤を止めてグランドピアノを購入。
練習中にドアがノックされ、「はいはい、うるさいんでしょ」と言おうとしたら、
「窓を開けて弾いてほしい。聞こえないから」。笑ったシーンです。
 
本作中の演奏は、すべてジョアン本人の当時の演奏を録音したものだそうです。
やっぱりピアノの映画は止められない。

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『シリアにて』

『シリアにて』(原題:Insyriated)
監督:フィリップ・ヴァン・レウ
出演:ヒアム・アッバス,ジャマン・アブー・アブード,ジュリエット・ナヴィス,
   モフセン・アッバス,ムスタファ・アル・カール他
 
そろそろ1カ月前の話になってしまいますけれども。
シルバーウィーク中は毎日映画を観るつもりが、体調を崩しました。
単純に疲れていたので、ゆっくり昼寝する日まで設けた翌日、
もう映画を観に行ってもええやろとテアトル梅田へ。
 
ベルギー/フランス/レバノン作品。きつかった。
 
内戦が続くシリアの首都ダマスカス。
アパートメントの一室で息を潜めて暮らすある家族。
仕切っているのは中年女性のオーム。
戦地に赴いた夫に代わり、家族を守ろうと必死。
 
室内にいるのは、オームと子ども3人、義父、家政婦と、
娘に会いに来たまま帰れなくなった彼氏。
そして、階上の部屋で爆撃に遭ったために住居を失った家族。
その家族は若夫婦と生まれたばかりの赤ん坊で、
夫婦は知人の仲介で今晩ベイルートへ逃亡することを決めている。
 
ところが、若夫婦の夫サリームが出かけたところ、
スナイパーに撃たれて車の影に倒れ込む。
家政婦のデルハニがまさにその瞬間を目撃し、
震えながらオームに知らせたところ、
オームはサリームの妻ハリマには絶対に知らせるなと言う。
 
まだ生きているかもしれないのに。生死を確認しないのか。
とにかくハリマに知らせるべきではないのか。
だからと言ってデルハニには表に出る勇気はなく……。
 
86分と短めの作品なのに、濃い、重い。
家政婦を雇っているぐらいですから、そこそこ富裕だと思われます。
家の中の家具などを見てもチープな感じはしない。
とっとと安全な場所へ移ることはできなかったのかとも思うけれど、
オームはここは自分の家だからと決して動こうとしません。
 
夫が殺されたであろうことを知らされないままのハリマが哀れ。
住人のいなくなった部屋に盗みに入る男たちがオーム宅に押し入ったとき、
オームは家族全員に台所に隠れるように言いますが、
隠れ損ねたハリマが男たちに強姦されかけてもオームは出て行かない。
相手は2人なんだから、家族全員で反撃すればいいのに、酷いオバハンやと思ったりも。
でもそれは内戦のない平和な国で生まれ育ったから思うことで、
きっとシリアの人たちはいつも死をそばに感じ、生き抜こうとしているのでしょう。
 
戦争の終わるときがわかっていればまだいいのに。
いつこれが終わるかわからないまま暮らすって、つらすぎる。

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『もったいないキッチン』

『もったいないキッチン』
監督:ダーヴィト・グロス
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『行き止まりの世界に生まれて』に続いて。
 
「フードアクティビスト」なるものがあるそうで、
オーストリア人のダーヴィト・グロス監督の肩書きはそれ。
自前のキッチンカーでヨーロッパ各地を巡り、
廃棄食材を用いて料理を作る旅を記録しているそうです。
食品ロスについて考えてみましょうということ。
 
今回は日本にやってきた同監督。
ラジオパーソナリティで通訳・翻訳家でもある塚本ニキを相棒に、
東京、福島、京都、大阪、熊本、福岡等々を巡ります。
「もったいないキッチン」と書かれたキッチンカーに乗って。
 
日本の食品ロスは世界トップクラスらしい。
毎日1人おにぎり1個分は確実に食材を廃棄している。
グロス監督とニキさんは、ローソンでその日廃棄予定の商品を分けてもらいます。
さまざまな食品を見て何がつくれるか相談した結果、
キッチンカーで豆腐ハンバーグをメインにしたお料理完成。
バランスもよさそうな食事になりました。
 
福島の被災地でやっと仕事を再開した農家からは、
ネギ坊主の出たネギを受け取り、地元のフランス料理店へ。
ネギ坊主ごと煮込んでおいしい出汁を取ったり、ドレッシングをつくったり。
震災がなければ地元の農家とこんな関係は築けなかったとシェフ。
 
京都の野草研究家のおばあちゃんを訪ねたときに、
「スーパーでは買う食材がない。野草さえ食べていれば健康」みたいな発言があり、
う〜ん、野草だけあればええってことはないなぁ、
それぞれの食材をつくって生活している人がいるんだからと思いましたけれども。
 
お寺の住職が自らつくる、捨てる部分まったくなしのお料理が面白かった。
茄子のヘタも食べられるのですね。
あいりん地区のアート×料理にも目を惹かれ。釜ヶ崎は熱い。
 
なんか、見るからに人の好さそうな監督の顔が気になって(笑)、
そんなに好きだと言えるほどの作品ではなかったのですが、
食品ロスについて考えるきっかけにはなります。

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