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『映像研には手を出すな!』〈公開記念!前夜祭舞台挨拶中継付き上映会〉

『映像研には手を出すな!』
監督:英勉
出演:齋藤飛鳥,山下美月,梅澤美波,小西桜子,グレイス・エマ,福本莉子,松崎亮,
   桜田ひより,板垣瑞生,赤楚衛二,松本若菜,山中聡,浜辺美波,高嶋政宏他
 
5月に封切り予定だった本作がコロナのせいで公開延期、
4カ月以上経ってようやく上映に至りました。
公開前日の晩に「前夜祭」と銘打って、舞台挨拶中継付きの上映会が。
ちょうどいい時間帯だったので、109シネマズ大阪エキスポシティへ。
 
舞台挨拶なんてちょろっとあるだけだろうと思っていたら、たっぷり30分以上。
英勉監督と映像研部員役の3名、ロボ研部員役の2名、音響部員の1名が登壇。
これまでに観た舞台挨拶の中では楽しさの点でいちばんだったかも。
 
齋藤飛鳥のことは覚えていました。
しかし、映像研のあとの2人も乃木坂46のメンバーとは知らなんだ。(^^;
本作の撮影が始まるまでは、3人は別に仲良くなかったそうです。
というのも、山下美月と梅澤美波は乃木坂46の3期生で、齋藤飛鳥は1期生。
2期違いと言ってもそこには5年の差があり(年齢は1歳違いだけど)、
2人にとって齋藤飛鳥は大先輩。おいそれとは声をかけられない人です。
緊張する後輩2人に齋藤飛鳥がそれを解きほぐすように努めた様子。
 
英勉監督の作品は“貞子3D”シリーズを除いてすべて観ていますが、
こんな風貌の人だとは知りませんでした。
三池崇史監督ほどヤクザ風ではないけれど(笑)、サラリーマンには絶対見えない。
舞台挨拶の第一声が「こんばんは。クリストファー・ノーランです」でしたが、
はたして観客のうちどれぐらいの人がノーラン監督のことを知っていたのか。
そっちを観る客と本作を観る客、あまりかぶらん気がする。(^^;
 
ら抜きオンパレードの挨拶のなか、山下美月だけが「乗り越えられない」と言ったのが好印象。
あと、本編中のことですが、板垣瑞生は絶対「シュミレーション」と言った気がする。
シミュレーションですよ、シミュレーション♪
 
さてさて、舞台挨拶の話はこの辺にしておいて、本編のあらすじを。
 
芝浜高校に入学した浅草みどり(齋藤飛鳥)には並外れた想像力があり、
自分の考えた空想世界をアニメにすることが夢。
だが、極度の人見知りで小心者の彼女は部活に入ることが困難。
 
同じく新入生でカリスマ読者モデルの水崎ツバメ(山下美月)は、ひそかにアニメーター志望。
しかし両親(山中聡松本若菜)共に人気俳優で、娘にも女優になることを求めているから、
ツバメは自分の夢を両親に打ち明けることができない。
 
そんなふたりに金のにおいを感じたプロデューサー気質の金森さやか(梅澤美波)は、
3人でアニメを作るための映像研を立ち上げることを決める。
 
ところが500ものクラブや同好会が存在する芝浜高校では、
収拾のつかなくなった状態を打破しようと、生徒会が部の統合や廃部を進めにかかる。
なぜか生徒会長(小西桜子)が目の敵にするのは映像研。
アニメ研との統合を言い渡されそうになったとき、
さやかがロボ研との交流話をまとめてきて……。
 
3人とも演技が上手いんです。
あんなに可愛いのに、妙な格好をしておどおどオタクぶりを発揮する飛鳥ちゃん。
美波ちゃん演じるクールなさやかがキレ味よくて可笑しい。
もうひとりの美波ちゃん、浜辺美波は謎の気象部員役でほぼカメオ出演みたいな感じ。
彼女と『思い、思われ、ふり、ふられ』で共演した赤楚衛二がロボット研部長役。
彼、ちょっと伊藤英明に似てません?
 
二足歩行のロボットについて思いを語るシーンとか、楽しい。
2回観たいほど面白かったかと尋ねられたらビミョーですが、
みんなの想像が映し出されるシーンに、
同じ場所で同じものを想像できるって楽しいことだなぁと思いました。

—–

『白爪草』

『白爪草』
監督:西垣匡基
出演:電脳少女シロ
声の出演:花京院ちえり,神楽すず,カルロ・ピノ,もこ田めめめ,ヤマトイオリ
 
仕事帰りに2本ハシゴするのがつらくなり、
でも1本だけは観ようかなと通勤経路内にある劇場の上映スケジュールを物色。
ノーマークだった本作の時間がちょうどよかったので調べてみたら、
上映館は全国で池袋HUMAXシネマズと109シネマズ大阪エキスポシティだけだという。
何それ、気になるやん。行ってみよ。
 
「全キャストVTuber、出演者全員がVTuberの映画は世界初」らしいのですが、
私は「VTuberって何?」という物知らずな人間。
ほんでこれも調べてみたら、VTuberとはバーチャルYouTuber。
アバターによるYouTuberのことで、日本発祥なんですと。
皆さん、ご存じでしたか。知らないのは私だけ!?
 
そのVTuberでおこなわれるワンシチュエーションサスペンス作品。
シチュエーションスリラー好きの私としては観なければ。
 
109シネマズ大阪エキスポシティのそこそこ大きめのシアター。
ぽつぽつ入っているお客さんは全員男性、そしてちょっとヲタッキー(すんません)。
場違いだったかしらなどと思ったけれど、結果、かなり面白かった。
VTuberの電脳少女シロ(←これがアバターなわけですが)の一人二役。
 
フラワーショップ“花組”に勤める蒼は、平凡で穏やかな日々を送っているが、
人には言えない悩みを抱え、カウンセラーの桔梗先生に相談。
桔梗のアドバイスのもと、双子の姉である紅と再会することを決意する。
蒼からの連絡で花組を訪れた紅を目の前に、重い気分に襲われるのだが……。
 
ここからはネタバレです。
 
蒼と紅は一卵性双生児だけあってそっくりですが、性格は真逆に思える。
清楚で素直な印象の蒼に対し、紅にはやさぐれ感満載。
それもそのはず、紅は殺人の罪で服役し出所してきたばかり。
誰を殺したのかと思えば、蒼と紅の両親を毒殺したらしい。
 
なぜあんなことをしたのかと問う蒼に、
紅は自分が殺したのではない、両親を殺したのは蒼だと言います。
蒼の罪をかぶって服役し、出所して普通に暮らしたくても
近所の人や勤務先の人になぜかすぐバレてしまい、暮らせなくなる。
これからは蒼になりかわって生きることにしたと言う紅。
 
蒼は自分が両親を殺したと認め、自分の人生を紅に差し出します。
頃合いを見て自殺するから、紅はどうぞ私として生きてと。
この先にさらなるドンデン返しが待ち受けていてゾーッ。
 
アバターが動く映画なんて観るのは初めてで、最初は慣れず。
しかし話自体が面白かったし、何よりこんな映画は新鮮でした。
 
不気味このうえない話ではありますが、3Dとはまた違う味わいの作品。
一見の価値はあると思います。

—–

『いただきます ここは、発酵の楽園』

『いただきます ここは、発酵の楽園』
監督:オオタヴィン
ナレーション:小雪
 
ごぶさたしていた十三のシアターセブンで1本だけ。
 
「健康なお腹と畑は微生物でつながっていました」というキャッチフレーズ。
就活や婚活ならぬ「腸活」について考えるドキュメンタリーです。
 
健康な土は微生物がつくる。
里山保育をおこなう保育園の園長先生や、「菌ちゃん先生」こと菊地良一さんら、
発酵の楽園について語ってくれるのは、有機農業のエキスパートの皆さん。
 
自分たちの手で耕した土に種を植えて育て、それを自分たちで調理して食べる。
こんな小さな子どもたちなら甘いお菓子を食べたがって当然だと思えるのに、
ニンジンやキュウリをかじる子どもたちの顔のなんと幸せそうなこと。
菊地さんの指導で、残飯から肥料をつくるときに聞こえてくる、
「めっちゃ楽しい」という男の子の声に笑いました。
 
田植え、稲刈りももちろんします。
炊きあがった米に驚嘆の声が上がり、みんながお釜をかき混ぜたがる。
取り合いせずに、「じゃあみんな片手だけ出して混ぜよう」。
自分たちで作物を育てると、こんないい子に育つのか。
 
『奇跡のリンゴ』(2013)のモデルとなった木村秋則さんの話を聴くこともできます。
農薬のせいで奥様が体調を崩してしまったのをきっかけに、有機栽培を決意した木村さん。
10年以上もの間、りんごはひとつも収穫できず、
近所の人からは「いちばん貧乏な家」と言われていたそうです。
家の中のどこを探しても10円玉1枚すら出てこない。
子ども3人は消しゴムを3等分して使うほどの貧しさ。
それでも挑戦しつづけた結果、美味しい美味しいりんごができました。
農薬を使ったりんごより小さいけれど、抗酸化作用などは上。
 
木村さんは農薬を使うことを否定しているわけではない。
そこに優劣は考えていないとおっしゃる。
木村さんが有機栽培を始めたのは、ただ家族のためだったのですから。
 
『もったいないキッチン』を観たときと同じように、
もっといろんなものを食べたいなぁと思ったことも事実。
でもこういう農業があること、そして身体には確実にいいことを心に留めておきたい。

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『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』

『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』(原題:Joao, o Maestro)
監督:フィリップ・ヴァン・レウ
出演:アレシャンドリ・ネロ,ダヴィ・カンポロンゴ,ホドリゴ・パンドルフォ,
   カコ・シオークレフ,フェルナンダ・ノーブリ,アリンニ・モラエス他
 
テアトル梅田にて、『シリアにて』とハシゴ。
 
小学校入学時から高校1年生の途中まで、ピアノを習っていました。
弾かなくなってもうずいぶん経ちますが、それでもピアノは大好きです。
ゆえにピアニストの映画は絶対に見逃せません。
 
ブラジル作品。
1940年生まれのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの人生を映画化。
 
ジョアンは決して富裕とは言えない家庭に育ち、ピアノの才能に目覚めます。
ピアノのレッスン代も家計を苦しめていたであろう経済状況ですが、
サッカーにいそしむ兄弟とは違ってピアノにしか心を開かない息子を見て、
両親がピアノを続けさせた結果、わずか13歳でプロの演奏家としてデビュー。
20歳にしてカーネギーホールで演奏を果たしたまさに天才です。
 
幼少期の彼は、何を考えているのかわからない。
ただピアノだけは好きで好きでたまらない様子。
楽譜の最初のページを覚えてきなさいとピアノの先生から言われ、
最初のページどころかほぼ1冊40ページ近くを覚えてきたジョアン。
 
スポーツでも音楽でも、先生との出会いは大事ですね。
この先生のいいところは、彼の才能を見抜いてすぐに、
「この子はすぐに私より上手くなる。私が教えている場合ではない」と、
有名かつ優れた人にジョアンの指導を託したところ。
別れを寂しがるジョアンに、「あなたの先生だったことを自慢するから」って、
最初からもう泣かせます。あ、そんな泣くような作品ではないですけど。(^^;
 
成長してからのジョアンも賢いんだか抜けているんだかわからない。
初めて海外に招かれた折にはまだ童貞
招待主が用意してくれたホテルには見向きもせず、
タクシーの運ちゃんに「女性と遊べるところに連れて行って」と頼みます。
売春宿に泊まることを決めて3日間入り浸り、
コンサート前日にリハーサルがあることをやっと思い出す始末。
そのときには売春婦のお姉さんたちが新聞で彼の素性を知り、
コンサートに行きたいと懇願、従姉妹として至って上品に着席。
 
こんな感じで、もうハチャメチャ。
でも、誰も彼を騙そうなんて思わないところを見ると、愛すべき人柄なのでしょう。
しかし結婚して子どもに恵まれるも、いい夫、いい父親にはなれない。
酒にも女にも目がなくて、しょっちゅうふらふら。
 
好き勝手していても人は寄ってくるし、妻に逃げられたってなんてこたぁない。
そう見えましたが、人生そう上手くは行かない。
家の目の前で始まったサッカーにちょっと参加したさいに、大怪我を負ってしまう。
右手のうち指3本に障害を抱え、コンサートをキャンセルすることに。
リハビリしても元に戻らず、鋼鉄のギプスをつけて演奏。
血まみれになってピアノを弾く様子は凄絶です。
 
これで終わりかと思ったら、さらにまだ酷い話が待っている。
どんな身になっても音楽から離れようとしなかったジョアン。
音楽への執念を、そして愛情を感じました。
 
一旦はピアノの演奏をあきらめたジョアンがまたピアノに戻るとき。
ご近所さんの迷惑にならないようにと、無音鍵盤を購入して練習するシーンが好き。
無音でもジョアンの練習は激しいから、近所の住人はタイプライターを叩いていると勘違い。
ジョアンは作家だと思われます。
どうせ苦情を言われるならと、無音鍵盤を止めてグランドピアノを購入。
練習中にドアがノックされ、「はいはい、うるさいんでしょ」と言おうとしたら、
「窓を開けて弾いてほしい。聞こえないから」。笑ったシーンです。
 
本作中の演奏は、すべてジョアン本人の当時の演奏を録音したものだそうです。
やっぱりピアノの映画は止められない。

—–

『シリアにて』

『シリアにて』(原題:Insyriated)
監督:フィリップ・ヴァン・レウ
出演:ヒアム・アッバス,ジャマン・アブー・アブード,ジュリエット・ナヴィス,
   モフセン・アッバス,ムスタファ・アル・カール他
 
そろそろ1カ月前の話になってしまいますけれども。
シルバーウィーク中は毎日映画を観るつもりが、体調を崩しました。
単純に疲れていたので、ゆっくり昼寝する日まで設けた翌日、
もう映画を観に行ってもええやろとテアトル梅田へ。
 
ベルギー/フランス/レバノン作品。きつかった。
 
内戦が続くシリアの首都ダマスカス。
アパートメントの一室で息を潜めて暮らすある家族。
仕切っているのは中年女性のオーム。
戦地に赴いた夫に代わり、家族を守ろうと必死。
 
室内にいるのは、オームと子ども3人、義父、家政婦と、
娘に会いに来たまま帰れなくなった彼氏。
そして、階上の部屋で爆撃に遭ったために住居を失った家族。
その家族は若夫婦と生まれたばかりの赤ん坊で、
夫婦は知人の仲介で今晩ベイルートへ逃亡することを決めている。
 
ところが、若夫婦の夫サリームが出かけたところ、
スナイパーに撃たれて車の影に倒れ込む。
家政婦のデルハニがまさにその瞬間を目撃し、
震えながらオームに知らせたところ、
オームはサリームの妻ハリマには絶対に知らせるなと言う。
 
まだ生きているかもしれないのに。生死を確認しないのか。
とにかくハリマに知らせるべきではないのか。
だからと言ってデルハニには表に出る勇気はなく……。
 
86分と短めの作品なのに、濃い、重い。
家政婦を雇っているぐらいですから、そこそこ富裕だと思われます。
家の中の家具などを見てもチープな感じはしない。
とっとと安全な場所へ移ることはできなかったのかとも思うけれど、
オームはここは自分の家だからと決して動こうとしません。
 
夫が殺されたであろうことを知らされないままのハリマが哀れ。
住人のいなくなった部屋に盗みに入る男たちがオーム宅に押し入ったとき、
オームは家族全員に台所に隠れるように言いますが、
隠れ損ねたハリマが男たちに強姦されかけてもオームは出て行かない。
相手は2人なんだから、家族全員で反撃すればいいのに、酷いオバハンやと思ったりも。
でもそれは内戦のない平和な国で生まれ育ったから思うことで、
きっとシリアの人たちはいつも死をそばに感じ、生き抜こうとしているのでしょう。
 
戦争の終わるときがわかっていればまだいいのに。
いつこれが終わるかわからないまま暮らすって、つらすぎる。

—–